巨大グリッド・ストレージ費用回収のための新サービス出現
超大型蓄電池 (1)太陽光発電向けグリッド・ストレージ・サービス (2)風力発電向けハイブリッド・バッテリー・サービス (3)電力系統全体の バランス支援サービス (4)都市部の区間連携遮断時のバックアップ・サービス (5)水素ステーション向け 液体水素提供サービス (6)電力自由化で電力販売業者に対する アンシラリーサービスの提供 (7)スマートセンター | グリッド・ストレージは超大容量で膨大な費用が掛かる。 その費用回収のためにあらゆるサービスを実施しなければならない。 そこに新ビジネスが生まれる。 超大型蓄電池の出現(レドックスフロー電池(15MW×4時間容量) 5000m2の敷地に120m×35m×20mの蓄電池 小中体育館の4倍程度、2015年12月設置完了予定 太陽光発電の安定給電保障のために過負荷調整としての役割を果たすために、年間の内の最大蓄積量に耐えられる容量を準備する。 当サービスの内容 ①天気に左右されない電力供給保障の具現化を支援する。 ②梅雨や降雪による長期間の 発電量減少に対応して発電量保障を支援する。 ③PV発電が予期せぬ災害や故障等により、想定外の減少に対して保障する。 ④電力自由化時代の取引に必要な同時同量を支援する。 GSのサービスにより発電業者のみならず、電力会社はバックアップ電源投資を抑制でき、かつ安定化したベース電源として太陽光発電が利用できるようになるので、安心して脱原発へ向かうことが出来る。 しかし、GSサービス事業者にとっては、太陽光発電だけの利用では稼働率が低いという問題が発生し、その空き容量の有効利用を考えなければならない。(「保障値とGS」参照) PV発電にHBSを適応し給電保障が出来た理由は、PVの一日当たりの最大発電量は推定可能であった事と、年間を通すと発電量はほぼ一定で安定している事であった。 風力発電の場合は、一日当たりの最大発電量の推定は困難で、かつ年間を通した発電量のバラツキが大きいため保障が困難てある。 そんな風力発電を直接電力系統に接続すると、系統運用上問題が大きくなる。 そこで、風力発電を系統には接続させるが、発電したものは一旦GSに保存し、のちに余裕を見ながら系統に送電する方が、系統運用上安定する。 風力発電を系統に接続させる手段としてGSを利用する。 PV発電と風力発電以外でも、系統安定化の阻害要因がある。 例えば、天気予報に反して気温が急騰したり、系統上のどこかの火力発電などに障害が発生した場合がある。そんな時、需給バランス調整にGSは大いに役立つ。GSのこのサービスにより電力会社はバックアップ電力への投資が減少し、かつ火力発電所のアイドリング運転が少なくなり、燃料費の節約にもつながる。 都市部のベース電源の一部を地方が請け負う場合、連携線の障害発生で地方からの支援が得られない危険性も考えられる。ベース電源の一部が突然停まってしまうと、都市全体が停電する危険性がある。 参考までに東京電力の場合について説明する。 東京電力はベース電源として2500万kW/hを必要としたが、その2500万kWの内半分の1,021万kWを東北から、656万kWを北海道から調達することにした。(図10.9)東京電力と東北電力の連携ポイントは福島県の相馬にあるが、相馬の連携ポイントが地震かテロの爆破などで連携できなくなったら、東京管内全域が停電と言うことになる。中部電力との連携は、東北に比べて容量が半分と少ないうえに、連携箇所は3ヶ所あるので1ヶ所の障害があってもインパクトは東北ほどではない。何とか対応できる範囲内である。東北との連携ポイントに障害が発生したら、すぐにGSに切り替えて少なくとも数時間、出来たら数日間のバックアップが出来ることが望ましい。ちなみに、1日分のバックアップに必要な容量は30,888万kWhが必要となる。 東京電力だけでなく、都会地の関西電力と中部電力についても同様にベース電源障害のバックアップの必要性がある。 図10.9について補足説明。 ベース電源の時間あたり放電量の2500万kWhは、年間を通した平均値として表示している。 ベース電源の時間あたり放電量は事前に保障値として決めておくが、その保障値も実現可能性を重 視して月旬ごとに決めておく。年間の発電量の多い5月を最大になるように設定する。 設定した保障値と発電実績を重ねると、図10.10になる。これを見ると東北からの送電が停まったら危険であることが感覚的にわかる。また、4〜6月はベース電源だけで十分である。 地産都消を進めると、地方から都会で電気を送ることになるが、連携ポイントの障害などは、命取りになるので、細心の注意が必要になる。 グリッドストレージに貯まり過ぎた電気を液体水素に変換して、国内または海外へ販売する。 液体水素へ変換するタイミングは次の何れかによる。 ①グリッドストレージが満タンになり、次をためる余裕がなくなった時。 ②最初から液体水素に変換する目的の電気を蓄電した場合。 ③当分の間放電することが無い場合。 新電力会社は30分同時同量を満足させる義務を負っている。 その新電力会社が電気の不足状態になった場合、緊急に必要量の供給を行う。逆に、余る状態になった場合、余った分を保存する。 スマートセンターの目的 |