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関西電力、美浜原発と高浜原発の再稼動認可で西日本の電気の流れを変える。四国、九州、中国は出力抑制激増で、発電業者倒産の地獄化か?

2021/7/12                       関西電力、美浜原発と高浜原発の再稼動認可で
西日本の電気の流れを変える。
四国、九州、中国は
出力抑制激増で、発電業者倒産の地獄化か?


Ⅰ.原発再稼働の動き

(1)新たな原発再稼働認定
    供給力不足の関電が、原発フル稼働で自立化
 

2020年末で稼働中の原発は、関西の高浜原発と大飯原発、九州電力の玄海原発と
川内原発だけであった。 今年の3月ごろから原発の再稼働認可が出始めた。それをまとめた表が (図1.1である。新たに許可が出た発電所だけを説明する。              
まず、東北の女川原発2,3号機で、出力は82.5万kW×2機となる。
次いで東京の柏崎刈羽の6,7号機で既に1年以上前から許可は出ていたが、東京電力のチョンボで自らが、稼働させたいとは言えない状況にある。稼働すれば、2機合わせて271.2万kWとなる。
関西電力の現在稼働中原発は高浜原発3、4号機(87.6万kW×2)、と大飯原発3、4号機(118万kW×2)で合計411.2万kWである。新たに運転許可が出たのは美浜原発3号機82.6万kWと高浜原発1,2号機(82.6万kW×2)で合計247.8万kWが
追加され、全部合わせると659万kWが稼働することになる。関電は日本一の原発依存になる。
四国電力の伊方3号機は2019年12月まで稼働していたが、広島高裁の運転差し止め命令が出てから稼働していなかった。しかし、2021年3月に突然「差し止め停止取消」が出た。近い内に再稼働するものと思われる。

                                                                                            (図1.1)
関電の原発認定詳細


(2)新たな原発再稼働が再エネに及ぼす影響

原発再稼働で電気の流れが大きく変わる。
これまで原発停止で供給力不足に陥っていた中央3社、特に関西電力と東京電力は地方電力の支援で何とか供給力を維持してきた。例えば東京は東北から、関電は四国と九州に支えられてきていた。支えた側の東北と四国は、自社分に対して40パーセントから50パーセントも割増しで発電してきた。割増しの苦労も多かったが、再エネの供給過剰で出力抑制を実施しなくて済んだ、と言う大きなメリットもあった。
原発再稼働で、関電や東電は地方電力からの支援が必要無くなる。特に関電の稼働は東京より早いと思われる。美浜3号機は既に本年6月23日に臨界に達し、7月27日には本格運転に入る予定であるから。

当サイトでは関電を取り巻く変化について述べる事にする。




Ⅱ.2020年度の日本の電気の流れ
    ❤ ❤ ❤ ❤  中央3社は地方各社の巨大蓄電池だった  ❤ ❤ ❤ ❤    

(1)1年間の電気の流れ

電気は瞬時瞬時に同時同量が成り立っている。
供給過剰分は、不足しているところが引き受ける。
年間通して連携線を通して送り出した量は必ずどこかで処理される。
関西電力は西日本を、東京電力は東日本を引き受けている。
このバランスが、原発本格稼働で大きく崩れて行く。


(図2.1)は2020年度1年間に連携線を流れた電力量を表示したものである。電力各社の発電実績を電源別且つ時間別に表示している電力需給実績の連携線欄の数値を1年間集計して表示したものである。
図中では電力会社毎に箱で表示し、電力会社名の真下にある数字が連携線欄の数値である。数値が黒字であれば、不足していたため外部から取り込んだことを意味し、赤字であれば供給過剰のため外に放出したことを意味する。
例えば関西電力は18,683GWh不足であったので、外部から取り込んだ。取り込み先は中国から19,761(以下単位は省略)、北陸から3,172であったが不足分を補充したので残り4,250は中部へ送ったことを意味する。
関西を支えたのは九州、中国、四国についで北陸が支えた。
日本の電力消費の三分の二を占めた中央三社(東京、中部、関西)が原発の殆どを止められたため、供給力不足に陥った。その不足分は、地方の電力4社で支えた。その2020年の一年間を支え合った構造を図形化したものが(図2.1)である。

西側から流れた電力と東から流れた電力が東京と中部間でドッキングするが、中部から-1,281で東京から1,279で差が2GWhあるが、この誤差は1年間の送電ロス、周波数変換ロス、直交変換ロスである。1年間でこれだけだからロスは極めて少ないと言える。(図1.1)の連携線の合計欄が-3となっているのは小数点以下の四捨五入の関係である。


連携線を利用して一年間電力間連を流れた電力量 (単位;GWh)
(図2.1)


(2)関西電力を支えたのは

(図2.1)から判明したことは、関西電力は2020年度の1年間を四国電力と、九州電力に支えて貰っていた。その支えて貰った量は四国と九州がほぼ同量であった。原発拡大でこの支援は不要となる。

❤ ❤ ❤・・・関西電力を支えたのは・・・❤ ❤ 
四国電力 ===⇒ 9,764GWh
九州電力 ===⇒ 9,997GWh


(3)関西電力に支えられたのは?
           実は関電に支えられた所もある。それは中國電力だ。

❤・・・関西電力に支えて貰ったのは・・・❤
                               中國電力 ===⇒ 昼は関西電力に支えて貰う、
                                                                      夜は九州電力から5,540GWh受電


♦♦中国電力は昼と夜で受信と送信が逆転することをグラフで確認♦♦

(図2.2)は中国電力の今年2021年5月1日から15日まで15日間の電力需給実績をグラフ化したものである。詳細が読み取れるよう敢えて1ヶ月ではなく15日間のグラフにした。
グラフ上部の需要(赤破線)を超えている日が10日程あり、超えていない日が5日ある。
超えていない日のグラフ下部の連携線黒実線)はプラスの値で、超えている日はマイナスの値になっている。
需要を越えていない日のグラフをよく見ると、需要と太陽光などの発電量との間に隙間があるが、その隙間に連携線で送られた分が埋まる事になる。
需要を越えている日は、連携線の値がマイナス側になっている。マイナスとは外に出すことを意味する。外とは関西電力しかない。外に出す分は、需要を超えた分を揚水発電の動力で少し消費した後の供給過剰分を、関西電力に送っているのである。
ここで分かったことは、関西電力が他所の分を引き受ける余裕がなければ、即、中国電力は九州並の出力抑制地獄に陥落すると言う事である。

                                                                                                                    (図2.2)


外部に送り出したものが、本当に関電に届いているかを確認してみる。
5月3日の12:00に、中国電力が連携線に乗せた電気はどこに行くか?
(図2.3)を使用して説明する。九州からの1,490と、四国からの850と中国の468とを合わせて2,808が関西に行って、関西で2,453処理されている。3社分は全て関西で処理されたと解釈できる。
(図2.3






Ⅲ.原発フル稼働で、関西電力も変わる

(1)他電力からの支援が不要となる根拠

                2020年度の連携線で送りこまれた18,683GWhは、
            今回許可が出た3機の能力247.8万kWで十分に対応できる。


(図3.1)は2020年度1年間の関西電力の稼働実績である。再エネ化率は僅か14.4パーセントで、日本で一番少ない率である。太陽光で5.5パーセント、風力はほぼゼロの0.3パーセントである。それに反して他所から支援してもらった量が13.3パーセントもある。
原子力15,509と連携線18,683、合わせて34,192になるが、この量は原発390万kWあれば達成出来る。今回新たに許可の出た原発とすでに稼働している原発合わせると659万kWになるので、現在以上の原発稼働になる。

(図3.1)


(2)原発フル稼働後の姿
            既に美浜3号機は6月23日に臨界に達し、
            本年7月27日には本格運転に突入した。


脱二酸化炭素に貢献するとの名目で、関電は原発をフル稼働してくるのは間違いない。659万kWの内、600万kWを稼働させた場合のグラフが (図3.2)である。
需要が一番少ない5月を選んだ。2020年5月の発電実績を使用して、原発を毎時600万kWhにし、火力は供給過剰にならないように出力を調整した、その他の電源は実績そのままを使用している。
結果、原発46.4パーセント、火力35.1パーセントで、水力11.8パーセント、太陽光11.0パーセント、風力0.5パーセントである。
重要なことは、原発をフル稼働すると火力は最低出力ぎりぎりで、全く余裕がなくなり、自社分の再エネを出力抑制で発電停止せざるを得なくなると言う事である。
ましてや、他所の供給過剰分を引き受けるなどの余力は完全になくなる。
関電は西日本地区の蓄電池の役割を放棄することになる。

                                                                                                               (図3.2)


(3)ピーク月は供給過剰分引き受けセンターとなる
❤ ❤ ❤ ❤ ピーク月は西日本の巨大蓄電池の面影が残る  ❤ ❤ ❤ ❤  

5月の昼の最大需要は15GWh~17GWh、8月の昼の最大需要は24GWh~28GWh(図3.3と5月と8月の最大需要に、10GWh近くの差がある。
5月に他所の供給過剰分を受取ってやろうとしても、火力発電は9GWh~11GWhの範囲しか許されない。また最低出力のことを考慮に入れると更に少なくなる。それに比べると8月は多くの余裕が取れる。他所の供給過剰分を受取る事が出来る。もっとも、他所の地区も需要が高いため供給過剰には成り難く、関電に処理をお願いする事も無いかもしれない。

8月なら余裕有                            (図3.3







Ⅳ.関電の原発フル稼働で、受ける影響

(1)四国電力
☘  供給過剰分も関電に送っために、出力抑制の必要が無かった  
★  伊方原発も再稼働、沼の水を抜かれて、ワニがウジャウジャ  
 
       水抜前   
関電支援のため大量に水を入れたため、ワニの存在すら気づかなかった。(図4.1)を見ると、太陽光の発電量が需要ライン(赤破線を超過しているが、その超過分も含めて連携線(黒実線)に乗せているため、供給過剰にならなかった。

                                                               (図4.1)


        水抜後
伊方3号機(89万kW)の通常運転開始は21年11月12日の予定(21年6月16日発表)、関西の美浜3号機(82.6万kW)も7月27日には本格運転に入ることと併せて考えると、下図の現象は今年後半から出現するであろう。
関電の美浜稼働開始で、四国からの送電は不要となる。不要となった分だけ火力の出力を下げた。下げたら太陽光の分がワニの牙のように突出した。30日中27本の牙が出てきた。30日中27日発電停止をせざるを得ない。(その内3日は揚水発電の稼働で解消出来た)

                                                               (図4.2)



水抜後の状態で1年間稼働すると‥‥。

何と再エネ化率は27.4パーセントと大幅にダウンしてしまった。

                                                                                                   (図4.3)


1年間の発電停止回数は155回も出てしまった。週に平均3回は停止命令が出ることになる。各発電所は年間で80回か81回停止させられる。
1回の発電停止でほぼ半数の発電所が停止させられた。ただし、全発電所がオフライン停止として計算している。
                                       (図4.4)



(2)九州電力
   ♦♦ 出力抑制回数激増  

九州電力は、2020年4月は毎日が供給過剰で、過剰分は外部に連携線経由で送り出しているが、発電停止回数は、22回だった。東北や四国では連携線を使うために出力抑制の必要が無かったのに、なぜ九州は出力抑制になってしまうのか?
送り出した量の一部しか受取って貰えなかったからである。その分は出力抑制となった。
それでは受取った所はどこか?その回答は(図1.1)にある。最初に受取ったのは中国電力で35.7パーセント、最終的には関電の64.3パーセントで、9.997GWhであった。関電は四国からは9.764GWh受取っている。関電から見ると支えたのは四国と九州が半分づつ支えてくれたことになる。

                                                           (図4.5)

関電が原発フル稼働で、他社からの支援不要となると、四国と九州は支援分を停止しなければならない。九州は中国だけを支援すればよいことになるが、実は中国も1年を通すと供給力不足であったが細かく分析すると、昼間の太陽光が発電する時間帯だけ供給過剰、ほかの時間帯は供給力不足で他所からの支援を頼りにしている。供給過剰分は関電に支援を依頼していたのだが、関電も引き受ける余裕がなくなっている。
再エネ化率も、悪くなった。24.7パーセントに落ちた。
                                                                                                   (図4.6)


その時の発電停止回数は、19年度74回、20年度35回より遥かに多い125回である。
   (図4.7)



(3)中國電力       
まさか、まさか中國が?
供給過剰分を関西電力が引き取ってくれなくなった


供給力不足の中で、太陽光が発電する時間帯だけ供給過剰になるため、その過剰分を関電に処理してもらっていたが、関電も原発フル稼働で引き取り出来なくなり、やむを得ず出力抑制発動となる。
発電停止回数も113回で、停止率も13.1パーセントと、被害は軽傷で済みそうだ。
                                                                                                   (図4.8)


                                       (図4.9)
その時の発電停止回数


しかし、重要なことは、中国電力自身の島根原発再稼働や、再エネ導入拡大の時は、停止回数も2~3倍になることを覚悟しておかなければならない。






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