「主力電源」にするためには、安定化と大量化と低コスト化と継続性が重要になる。
はたして大量導入はできるのか? そこで、・・
太陽光大量導入の課題は何か? 1.コスト競争力を高めるためには何が問題か? 2.自立化 2.1 太陽光発電の課題 3.電力系統の運用はいかにあるべきか? 4.系統制約の克服 5.課題①既存系統の最大活用 6.課題②:出力制御の最小化と公平性・予見可能 6.課題③::系統増強の在り方(増強判断及び費用負担) 7.課題④:適切な調整力確保 | 資源エネ庁・省エネルギー・新エネルギー部が平成29年5月25日に「再生可能エネルギーの大量導入時代における政策課題について」というタイトルで報告書を発表している。 その報告書を読むと具体的な政策が見えてくる。報告書の内容を解説する。カラー部分は報告書原文のままです。 最大課題はコスト競争力 最大課題を「コスト競争力」に置いたということは、太陽光の導入目的が脱CO2や脱原発では なく、電気料金を下げることを目的にするという大変大きな方向転換です。 その方向転換に、弊社は大賛成です。 コスト競争力を高めるためには何が問題となるか? ①世界的には、再エネの導入が拡大しており、「他の電源に比較してもコスト競争力のある」 電源となって来ている。しかし、日本の再エネの発電(導入)コストは世界と比べると高い状況 にある。 (参照; 日本の再エネ導入コストは高いは本当か?) ②世界一高いといわれている日本の電気料金を世界のレベルまで、再エネの導入拡大で引き下げ ようということです。 ③「コスト競争力」のある電源とは、原発より安い電源という点である。言外には再エネ発電の 中で最もコストが安くなると予想されている太陽光発電が大量に導入できれば、原発を廃止出 来ますと聞こえる。 再エネが原発より安くなれば、「主力電源は再生可能エネルギー」となります。 我が国で再生可能エネルギーの80パーセントは太陽光です。地政学的にも我が国は太陽光が最 適です。したがって「太陽光発電を主力電源にする」と言っているのと同じです。 ④送電線網の追加費用や出力変動費用も低減させなければならない。 送電網追加の前に、弊社のハイブリッド・バッテリー・システム(HBBS)を使用して接続電圧を 4分の一にすると、送電線容量問題も大いに解消します。接続電圧を下げる工夫を最初に検討す べきである。報告書には電圧を下げることについての記載がないのは残念です。 ⇒⇒ 弊社のHBBSを使用すると送電線網の追加を抑えて、太陽光の大量導入が可能となります。 国民負担の大きいFIT制度はできるだけ早期に廃止すべきである。そのためには、 (1)FITに代わる新しい制度設計が必要である。 固定ではない制度、それは市場連動の制度である。買取期間だけは保障すべきである。 (2)エネルギー・マネジメント・システムの構築 EV・PHVや蓄電池等とも連携したエネルギーマネジメントを実現する必要がある。 弊社はその要望に応えるべく「ハイブリッド・バッテリー・システム(HBBS)」と「太陽光発電 保障システム(PVSS)」を研究し、特許を取得している。 「太陽光発電保障システム(PVSS)」 (3)立地制約のある電源の導入促進(後述) 後述します ★導入コストが諸外国と比べても高いのは、「小規模案件が極めて多いことが原因」としてます。 日本の産業用パネルは、50kW未満分割接続が極めて多いため、平均コストが高くなっていま す。下表は日本における太陽光発電所の規模別件数です。 すでに稼働中の産業用太陽光発電の総件数47万件中50kW未満は45万件と、実に96パーセント を占めている。したがって産業用の平均容量は61kWと驚くほど小さい。 中国やインドの太陽光発電所の容量は100MW~400MWと聞いている。日本の61kWに比べると 1500倍から6000倍の大きさである。 大量に物を買えば1個当たりの単価が安くなるのは世の中の常識。 パネルもその法則に当てはめて、1MW増えるごとに2パーセント値引きするとした場合、 100MWで価格は8分の一になり、200MWで57分の一になるのは、中学の数学を勉強したもの ならだれでも知っている。 ★太陽光発電用の土地はあるが、制約があって導入ができない場合に対しての立地制約等の リスクを軽減する仕組みを作り、導入促進を支援するそうです。 ★電力需要はあるが太陽光発電用の土地がないのも、立地制約といえる。その制約は中3社の 都会地電力に当てはまる。 ★中3社の再エネ化率が低いままでは、我が国の再エネ化率は高まらない。 ★土地のない中3社の電力を地方の太陽光で補充する考えが「地産都消」の考えである。 「地産都消」は立地制約解消という大構想である。 FIT制度が始まったころは、某エネルギー財団が地方自治体の再エネ担当者にけしかけて、盛ん に『系統容量増設』を訴える行為を行っていたが、今でも高名な大学教授が間違った計算で容 量不足を訴えている。 当報告書では容量不足は①局所的問題で、全体的な問題ではないと言っている。 重要なことは容量不足を解決した後は、出力抑制の問題がのしかかってくるということである。 残念ながら出力抑制の解決策を具体的に提案している対策が全くないことである。 弊社のHBBSを使用すると、太陽光発電が最大となる南中時の発電量(電圧)が、24時間放電で 4分 の一になる。これにより、系統接続の制約が大幅に解消できる。 系統増強の前に、接続容量を軽減させる方法を検討すべきではないだろうか? 弊社のHBBSを使用すると系統接続の問題を大幅に解決できる。 太陽光発電を系統に接続する場合、南中時の最大発電量を基準にして決められる。 HBBSを使用する場合は3分の一から4分の一の電圧で接続できる。 ★検討すべき課題 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ 課題に対して弊社のHBBSとPVSS課題に貢献できるかを解説します ①既存系統の最大限の活用 ②出力制御の最小化と公平性・予見可能性確保 ③系統増強のあり方 ④適切な調整力の確保 ★HBBSを使用した場合の接続方式と既存接続方式の設備利用率違い 太陽光発電を既存接続方式で接続すると、送電線の年間設備利用率は7% しかならない。 極めて無駄の多い接続方式である。 利用率計算式(=100万kW×8760時間×14%【太陽光設備利用率】/200万kW×8760時間) HBBSを使用すると送電線容量は4台の発電に対して20万kWで十分である。 設備利用率も24時間均等放電のおかげで高い利用率(70~80パーセント)となる。 HBBS使用で系統増設費用が節約できることは、経産省が求めている社会コスト全体を少なく する目標にぴったりと一致する。経産省の報告書には出力抑制を徹底的に解消する方法が明記されていないのは残念である。 せいぜい抑制するときは「公平」にしましょうという程度である。情けない。 出力抑制の徹底解消について明記していない理由は、おそらく経産省主導の「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」で実証したシステムがあるから、出力抑制は解消できると信じている 嫌いがある。実はこのシステムは全く使い物にならない。そのことは経産省自身も電力会社も分かっている。その根拠は、将来の出力抑制時間の見通し計算で東北や九州は1500時間と発表しているのを見てもわかる。 詳しくはオソマツな我が国の出力抑制対策 ‼ 発電した電気の60パーセントを捨ててしまう ‼に記述がある。ゆっくり参照してください。 ★それに比べると、弊社のHBBSは一切、出力抑制は発生しない。導入可能量は、理論的には無制限である。弊社のHBBSは特許出願中です。(特願2016-203951「蓄電池制御方法及び装置並びにそれを用いた蓄電装置」(出願日;平成28年10月17日) ★ハイブリッド・バッテリー・システムの機能概要 ・一つのソーラーパネルと一日の発電量を蓄電できる蓄電池(バッテリー)をセットにして導入す る。パネルで発電した電気全てを蓄電池に蓄電する。 ・蓄電池の容量はパネルの一日の発電量の1.33倍の容量を持つ。 ・蓄電池の個数は2個以上の任意の個数で、その容量の合計値は一日の発電量の1.33倍である。 ・夕方の決められた時間にその日の蓄電量を中央システムに報告する。中央は全蓄電量を集め て、翌日の稼働計画作成に渡す。 ・翌日の稼働計画が稼働開始する時刻に合わせて、蓄電池から24時間かけて毎時均等に放電す る。 ・前日分の24時間放電と当日の発電のための蓄電は同時に処理可能である。 ★太陽光発電の導入可能量は? ・HBBSを使用した時の太陽光発電の導入可能量は、理論的には無制限に導入可能である。 ・年間で需要の少ない5月の連休日の最低需要を24時間放電が超過しない程度まで太陽光を導入 したとすると、全日本で350GWとなる。その時必要蓄電池の容量は2,300GWが必要である。 ・350GWの太陽光を導入すると、太陽光だけで再エネ化率は48パーセントとなる。 ★東京電力の実需要に適応した場合の想定 ・東京電力の2016年の6か月の時間別需要量と24時間放電をグラフ化すると図3.5となる。 ・需要が最も少ない5月の連休日の最低需要を超えない程度に放電する(ピンク部分)と、再エネ 化率は48パーセントになる。 ・需要が最も少ない5月の連休日の最大需要を超える程度に放電する(イエロー部分)と、再エネ 化率は72パーセントになる。 ・その時、HBBSを使用していなかったとすると、南中時の需要26.6GWをはるかにオーバー する65.0GWの発電をしていなければならない。 ・その超過分を蓄電池に蓄電するとした場合、223GWhの蓄電池が必要となる。 ・223GWhの蓄電池を東京電力だけで投資するとしたら,約10兆円の投資が必要となる。 また、蓄電池のための土地として東京ドーム4000個分が必要となる。 導入後の想定図 ★HBBSを使用した場合の系統増強 蓄電池経由すると最大電圧が4分の一になるため、系統増設の必要性も4分の一になる。 また、太陽光発電は夜間は発電がなく、かつ南中時の数時間に発電が集中するため、系統設備の 利用率が低い効率の悪い設備投資である。 それに反して、HBBS使用の場合は24時間均等に高い利用率で系統を使用する。 ★「地産都消」(地方で生産、都会で消費)実現のための区間連携線の増強 日本全体の再エネ化率を高めるためには、電力需要の70パーセントを占める都会地の再エネ 化率に大きく左右される。 しかし、都会地には利用可能な安い空き地が少ない。都会地にとっては「空き地がない」は、 一種の立地制約である。 HBBSとPVSSを合わせて天気に左右されない「安定給電保障機能」を有効活用すると、「地産 都消」が実現できる。この実現には、区間連携線に常時大量に電気を送るための連携線容量の増 設が必要となる。増設費用は託送料金で回収する。託送料金分、都会の電気代は高くなるが地方 創生の観点から、それはやむを得ないだろう。 ★「地産地消」と「地産都消」の違い 「地産地消」とは「地方で作って地方で消費」ということである。別の見方をすると「地方は 地方の規模で我慢しろ」と解釈できる。 「地方の規模で我慢」するとしたら、上記図7.8の北海道は340万kWの発電で終わるはずだ が、「地産都消」を行うとしたら更に656万kWの発電をしなければならない。合わせると996 万kWの発電ビジネスが可能となる。 ★HBBS/PVSSの調整力Ⅰ ⇒⇒⇒ 太陽光発電は発電量予測を不要な電源となる HBBSを使用すると発電量予測は不要となる、同時に予測が外れた場合の緊急対応(調整力)も 不要となる。これは、HBBSの持つ調整力に他ならない。 ★HBBS/PVSSの調整力Ⅱ 太陽光発電は、供給域全体が雨や曇りでほとんど太陽光発電がない場合が発生する。 図7.5は東京電力の2016年10月と11月の太陽光発電の日別発電量のグラフである。 このグラフを見ると一日の発電量は多い日で36GWあるが、少ない日は数GWしかない。 発電量の少ない日のためにバックアップ電源(調整力)を稼働させて補充しなければならない。 弊社の特許技術PVSSの「安定給電保障・調整力保障機能」で、グリッド・ストレージから事前 に保障した量との差分を補充する。保障値がその日の発電量より多いときはグリッドストレージ から補充し、逆の場合はストレージに差分を保存する。図7.6は補充した後の姿で、赤色の部分 で一直線に並ぶ放電量となる。 ★調整力Ⅲ ⇒⇒⇒ 保障値(調整値)はいかにして決めるのか? 手順1 ⇒ 太陽光の発電量は日別では変化が大きいが、年間の発電量はほぼ同じである。 地球は毎年同じ軌道で太陽の周りを回転しているため、太陽から受け取る日射量は 毎年ほぼ同じ量である。 風力発電は、その年の風力が大きく異なるため、発電量を保障することはできない。 手順2 ⇒ 年間発電量はほぼ同じであるが、一日の発電量にはその地域独特のパターンがある。 冬至の頃は少ないが夏至のころは多くなる。日本では冬至と夏至の差は2倍程度ある が、緯度の高いドイツでは10倍から20倍の差が出る。差が大きい原因は緯度の問 題だけでなく、北欧固有の日射量の少なさが原因である。 日本の場合、地域特性があり、年間発電量に変化が見られる。例えば、豪雪地帯は冬 場の発電量が極めて少なく、梅雨の影響を受ける地域は梅雨時の発電量が少ない、な どなどその地域独自の差異が発生する。 保障値の設定は月単位に設定してもいいが、月の変わり目に保障値が大きく変化する と運用上問題が発生する危険性があるので、10日(旬)毎に設定する。また年の途中に 太陽光発電の導入が発生するので、年間の保障値は導入に合わせて変化させていかな ければならない。 図7.4は.東京電力の太陽光発電の実績から設定した1年間の保障値である。12か月 36旬が設定されている。 東京地区の特性を組み込まれている。つまり、6月、7月の梅雨の影響と9月の台風の 影響が組み込まれている。 図7.6の放電は、図7.4の10月と11月の保障値に基づいて放電量を調整している。 手順3 ⇒ 放電量の調整は事前に決めた保障値と当日の放電量を比較して行われる。放電量が 保障値より多いときはグリッドストレージに蓄電し、少ないときはグリッドストレー ジから補充する。1年間のグリッドストレージへの蓄電量の動きをシミュレーション したのが図7.7である。 年間最大蓄電量は142GWhであった。膨大な調整力である。 グリッド・ストレージは超大容量で膨大な費用が掛かる。 その費用回収のために他へのサービスが必要となる。 米国では既に新ビジネスが生まれている。(調整力市場) 日本ではリアルタイム市場として公募することが計画されている。 グリッド・ストレージに蓄電した電気を調整力として利用する。 (1)太陽光発電向けグリッド・ストレージ・サービス (2)揚水発電の代行サービス (3)風力発電向けハイブリッド・バッテリー・サービス (4)新電力向けアンシラリーサービス (5)電力系統全体のバランス支援サービス(長周期変動対応) (6)都市部の区間連携遮断時のバックアップ・サービス (7)水素ステーション向け液体水素提供サービス (8)電気自動車向け新サービス 政策課題をいかに解消したかについて、 「第5次エネルギー基本計画」はPVSSとHBBSで実現 をご参照ください。 | 2017年11月28日、総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会を開催し、2030年のベストミックスを議論した。この時の資料で、再エネを『主力電源に』と明記した。主力電源とは、基幹電源のこと。これまで講演などでは『再エネを基幹電源にする』と説明してきたが、経産省の資料に明確に書かれたのは今回が初めて」である。 |