(1)高額の蓄電池に投資しても利益は出るのか? (Ⅰ)一日の最大発電量を分析 (Ⅱ,Ⅲ)並行処理可能な 最大蓄電容量 (Ⅳ)系統接続のための 工事負担金計算 (Ⅴ)蓄電池を使用しない場合と使用する場合の比較 イ.現状の単価を適応した場合 ロ.将来の単価を適応した場合 (1)高額の蓄電池に投資しても利益は出るのか? (Ⅰ)一日の最大発電量を分析 (Ⅱ,Ⅲ)並行処理可能な 最大蓄電容量 (Ⅳ)系統接続のための 工事負担金計算 (Ⅴ)蓄電池を使用しない場合と使用する場合の比較 イ.現状の単価を適応した場合 ロ.将来の単価を適応した場合 ハ.入札制度を利用して11円の単価で入札した場合 | (ケース1)7000kWの発電所に対する投資効果分析 蓄電池収支計算手順(右図)に従って分析を進める。 (Ⅰ)一日の最大発電量を分析する。 7,000kWの発電所の1年間の日別発電量を(図1)で分析する。 一日の発電量が4万kWh以上になると発電量が多くなるという傾向にある。 (図1) (Ⅱ,Ⅲ)並行処理可能な最大蓄電容量を分析する。 蓄電池に必要な機能は蓄電と放電を並行処理る機能である。 弊社の特許出願中の技術を使用すると1.33倍で可能である。 1.33倍のついては 「ハイブリッド蓄電池システム」の効率を数理モデルで検証を参照下さい。 (図2) ①50,000kWh以上でカットの場合 カット分 2,758kWhは年間発電量の0.03%に相当、必要な蓄電池容量は 50,000kWhの1.33倍で66,500kWhとなり、蓄電池価格は3.8%の削減となる。 50,000kWhでカットすると、24時間放電では一時間当り放電量が2,083kWで 2,000kW超過のため、接続先は中間変電所のままである。 ②47,000kWh以上でカットの場合 カット分 46,569kWhは年間発電量の9.6%に相当、必要な蓄電池容量は 62,510kWhで、蓄電池価格は9.6%の削減となる。 47,000kWhでカットすると、24時間放電では一時間当り放電量が1,953kW となり接続先が配電変電所となり、工事負担金が大幅に軽減できる。 ③40,000kWh以上でカットの場合 説明省略 ④35,000kWh以上でカットの場合 説明省略 蓄電池容量を決めるには、実際の発電収支と絡めて蓄電池のコストを検討する必要が ある。収支の中でも最も大きな支出となる工事負担金がある。 まず、その工事負担金を求めなければならない。 工事負担金は、電力広域的運営推進機関が「送変電設備の標準的な単価の公表につい て」で工事費負担金に含まれる送変電設備の標準的な単価を公表している。 その単価表を使用して計算する。(電力会社も同じ表を使用している) 7000kWの太陽光は中間変電所に接続しなければならない。 47000kWhを24時間均等送電を行うと時間当たり送電量が2000kW以下の1,958kWに なるので配電変電所接続となる。 中間変電所は4,376ヶ所と少ないため遠距離になる確率が高くなる。また配電変電所は 6,700ヶ所と数が多いので距離が短くなる確率が高い。 中間変電所までの距離を5kmとし、配電変電所までを1kmとした。 計算結果 (図3) 現状の単買取価と導入コストの中で、蓄電池を使用しない場合と、使用した場合の20年間 の収支の比較を行う。 イ.現状の単価を適応した場合 平成29年度の産業用ソーラー発電単価21円/kWを適応した。 ソーラパネルの導入単価を20万円/kW、蓄電池単価をテスラの単価2万円/kWh とした。工事負担金については中間値の費用を使用する。 予測結果の比較 (単位;万円)(図4) 評価 ・蓄電池の費用は工事負担金の減額で賄えるので利益は20パーセント以上確保できる。 ・50000kWhでカットしても時間当り放電量が2000kW以上となるので、接続先は変わ らない。 したがって、工事負担金は蓄電池なしの場合と同じとなり、蓄電池コストと重複す るため利益が出ない。 ・20年間の最大利益額は40000kWhでカットの場合で99,132万円の利益が出る。 ・蓄電池なしの場合、資源エネ庁の受け付けは通るが、導入地域が地方電力の場合は接 続拒否になり、太陽光発電導入計画は全て計画倒れになる。導入地域が中央3社の場 合は、 導入の可能性が多少はあるが、導入しても、稼働し始めると出力抑制が頻発し て、計画通り に発電出来ない危険性がある。 ・蓄電池有りの場合、一切接続拒否は発生しないし、出力抑制も発生しない。 全て計画通りに発電し、収入が得られ、利益も確保できる。 ・蓄電池を使用すると接続可能量が無限大まで拡大できる。日本全体の再エネ化能率を 太陽光だけで70〜80パーセントまで高めることができる。 ロ.将来の単価を適応した場合 資源エネ庁が発表した2030年の目標総コスト7円/kWを買取価格に適応し、それに 応じて買取価格を20万円を3分の一の6.67万円として適応した。 蓄電池価格も3分の一0.667万円になれば黒字になるが、パネル並みに価格が下がる とは思えないので、1.2万円とした。 (注)将来にわたって出力抑制は一切発生しない前提で予測計算した。 実際には、出力抑制が発生するので、その場合の予測計算は 予測結果の比較 (単位;万円)(図5) 評価 ・将来太陽光の買取価格が7円まで下がっても、工事負担金は変わらないので、蓄電 池なしの場合は赤字となる (買取単価が下がると工事負担金分の利益確保が困難となる) ・接続変電所までの距離が遠い場合工事負担金も莫大となるので、蓄電池を使用する と工事負担金が少なくなり、蓄電池のコストを賄えるほどになる。 (ケース2)13,000kWの発電所に対する投資効果分析 (Ⅰ)一日の最大発電量を分析する。 13,000kWの発電所の1年間の日別発電量を(図1)で分析する。 一日の発電量が4万kWh以上になると発電量が多くなるという傾向にある。 13,000kWの発電所の1年間の実発電実績(図6)を使用して分析する。 (図6) (Ⅱ,Ⅲ)並行処理可能な最大蓄電容量を分析する。 蓄電池に必要な機能は蓄電と放電を並行処理る機能である。 弊社の特許出願中の技術を使用すると1.33倍で可能である。 (単位;万円)(図7) ①70,000kWh以上でカットの場合 70,000kWh以上でカットすると、カット分は 288,070kWhとなり、年間発電量 の1.8%に相当する。70,000kWhを蓄電するためには、重電と放電を並行処理さ せるために蓄電池容量は93,100kWhが必要となる。 この削減容量は、価格の23.0%の削減となる。 ②55,000kWh以上でカットの場合 カット分 1,531,370kWhは年間発電量の9.7%に相当、必要な蓄電池容量は 73,150kWhで、削減分は価格の39.5%の削減となる。 (Ⅳ)系統接続のための工事負担金計算 13,000kWの太陽光は1次変電所に接続しなければならない。 70,000kWhを24時間均等送電を行うと、時間当たり送電量が2,916kWとなる。 55,000kWhの場合は時間当たり送電量が2,291kWとなる。何れにしても2,000kW以上 となるので、接続変電所は中間変電所接続となる。 1次変電所は日本全体で661ヶ所しか無いため遠距離になる確率が高くなる。 また中間変電所は日本全体で4376ヶ所と、1次変電所より数が多いので距離が短くな る確率が高い。 1次変電所までの距離を10kmとし、中間変電所までを5kmとした。 (図8) 現状の単買取価と導入コストの中で、蓄電池を使用しない場合と、使用した場合の 20年間の収支の比較を行う。 イ.現状の単価を適応した場合 現在の産業ソーラー発電単価21円/kWを適応する。ソーラパネルの導入単価 を20万円/kW、蓄電池単価をテスラの単価2万円/kWhとした。 工事負担金については中間値の費用を使用する。 予測結果の比較 (単位;万円) (図9) 評価 ・蓄電池有りの場合もなしの場合も、20年間では利益が出ない。 ・蓄電池を使用しても、接続変電所が中間変電所のため工事負担金が重くのし かかっている。 ・蓄電池なしの場合は10km先の1次変電所に高圧で接続させるため、工事負担金 が高くなり利益を出すことは困難である。2億円近い赤字となる。 (蓄電池を使用しても5km先の中間変電所まで架空線を伸ばしている) ロ.将来の単価を適応した場合 資源エネ庁が発表した2030年の目標総コスト7円/kWを買取価格に適応し、それ に応じて買取価格を20万円を3分の一の6.67万円として適応した。 蓄電池価格も3分の一0.667万円になれば黒字になるが、1.2万円だと20年間の総 収入に対して「20年間運転維持費」程度の赤字となる。 予測結果の比較 (単位;万円) (図10) 評価 ・将来の単価7円にした場合は、蓄電池を使用しない場合も蓄電池を使用する場合も、 赤字となる。 ハ.入札制度を利用して入札価格を11円に設定した場合 2017年10月頃から、2MW以上を対象にして入札制度が試験的に導入される。 入札制度に移行すると、発電業者は価格を自分で決めることができる。 (ロ)で価格を7円に設定したが、蓄電池なしの場合も、蓄電池有りの場合も 利益を出す事は出来なかった。 そこで入札制度の価格決定権を利用して11円/kWhとして予測してみる。 予測結果の比較 (単位;万円) (図11) 評価 ・11円/kWhに設定すると、蓄電池有りの場合は、カット無しを除く全ケースで 利益は確保できる。 ・蓄電池なしでは、工事負担金が高いため利益が出ない。13円に設定すると辛う じて利益が出る。 入札制度のメリット 入札制度は価格競争を促進し、価格を引き下げる効果があると言われている。 しかし、日本の再エネの世界では別の効果があると、弊社は評価している。 すなわち 日本の太陽光発電は接続拒否だらけで申請しても稼働できる可能性は極めて少ない。 殆どの発電業者は新設は既に諦めきっている。 入札制度が成り立つのは、複数の入札者が存在しているからであるが、10月以降 実際に入札制度が始まっても入札者は殆ど無いと思われる。 そんな時に、蓄電池のコストを入札価格に上乗せしても競争相手のいない入札なら 落札される可能性は大である。 資源エネ庁は、太陽光発電の総コストはどんどん下がり続け、2030年には7円/kW と目標設定している。また世界の太陽光発電は、コストはどんどん下がり現時点で 日本円にして4円程度まで低下している。 将来日本の太陽光発電の総コストは7円以下になり、その価格に蓄電池のコストを 上乗せしても原子力発電の単価より安くなるのは間違いない。 また、上乗せしても現在の電気料金より安くなり、日本国民からは大歓迎される。 蓄電池を使うからこそ、日本国民に現在の電気料金を半額に出来るののである。 蓄電池を使わなかったら国民に電気料金を半額にすることなどは逆立ちしても出来 ない。もちろん、原発が全面稼働しても不可能である。 最後までご精読ありがとうございます。ご質問、ご感想、反論等 ozaki@smart-center.jpまで直接お送りください。 |
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