脱原発はIT主導で

提言 ;  『脱原発はIT主導で!それは日本から始まる』


  
            要旨:
               再エネで脱原発の実現には、「電気は貯めてから使用する」という発想の転換が必要となる。それは従来の
               電力系統運用にとらわれない「IT主導で」行うのがベストである。その成果は、地方創生と地産地消をも生み
               出し、かつグローバル展開と、多くのスティーブ・ジョブズ的起業家をも生み出す。

本論
1.   世界は「再生可能エネルギー(以下再エネ)で脱原発」へ向っている
   ドイツをはじめとする世界各国で自然エネルギーへの転換が進行している。日本でも12年7月から固定価
格買取制制度が導入され予想外の進展を示している。
   脱原発を再エネで実現するには、少なくとも原子力が1年間に発電したと同じ量を、再エネで発電出来なけ
ればならない。原発依存度50%の九州電力の場合、再エネの認定も一番多く、認定中の太陽光は95%を占
めている。九州全域の晴天率を考慮に入れると、太陽光の最大出力は3400万kWが必要となる。
   しかし、九州電力は9月24日、本年5月までに認定申請された自然エネルギーの容量が、1,787万kW
になり、ピーク需要を1割以上、上回ったため認定申請の回答を保留すると発表した。
   電気は、需要以上に発電すると、周波数が乱れたり、電圧が高くなり、大事故や大停電になると、中学時代
の理科の時間に教わった。つまり、発電出来ないのである。
  脱原発のためには、3400万kWが必要であるのに、その半分の1700万kW程度で接続拒否されてしまう
ようでは、再エネで脱原発は覚束ない。今回の1700万kWを接続させるために、小手先の方法で乗り切った
としても、本命である3400万kWは乗り切れないであろう。
   再エネで脱原発を実現するための根本的対策には、「電気は貯められない」を「電気は貯めてから使用する」
へと、常識の大転換が必要となる。エジソンが電球を発明して以来の大転換である。
2.脱原発に必要な新インフラシステムの要件
「電気を貯める」ためには蓄電池を使用する。10kW以上の発電は全ていったん蓄電してから送電する。
蓄電したとしても、電気の特性は同じであるから、「使う分だけ発電する」、つまり同時同量の原則は変えられ
ない。その「使う分」を事前に知っておくためには需要予想が必要で、その需要を満たすために、発電予想から
発電計画を作り、当日は需要量に合わせながら発電する手順は、全く同じである。
   新コンセプト移行後は、電力会社が翌日の発電計画作成時に、どこにどれだけ蓄電されているかを知っておか
なければならない。計画は、翌日と翌々日分を作るので、翌日と翌々日の蓄電量が必要となる。そのためには蓄
電量の予測、蓄電実績値管理が必須となる。予測は天気予報からの発電予測に他ならない。蓄電量を電力系統別
や配電変電所別等に把握したり、大規模発電所に対しては故障や保守点検での休止状態を管理しておく必要があ
る。予測対象の件数は、一電力会社あたり、30万件~100万件、また新規発電所も、月数千件の増設もあり
その登録作業等も膨大となる。日本全体の発電所を対象とするので、大規模なシステムとなる。電気供給信頼度
は高度のものが要求されるので、インフラシステム(仮称:スマートセンター)自体も予測信頼度やセキュリテ
ィーも高度なものが要求される。
3. 新インフラシステムはだれが作るべきか❓
    このように高信頼度が要求されるインフラシステムをだれが作るべきか?
まず、最初に考えられるのは電力会社である。だが最近の彼らの最大の願望は「原子力再稼働」で、再エネは
「不安定」で使い物にならないから「原子力」が必要と、予てから主張している。「蓄電池」を利用すると「不
安定さ」が解消されてしまい、再稼働を主張出来なくなるので、屁理屈をつけてインフラ作りに反対するはず。
   また電力業界は3年連続赤字で、債務超過直前にあり財政的余裕はない。また電力自由化や発送電分離で、系
統運用に投資した分は別会社の資産になる可能性が高いので、投資の優先順位を最下位に置くのは間違いない。
   更に、電力業界は、ITは専門外であるので、IT関係の技術力は極めて低い。過去20年間に電力業界の基幹
業務である料金システムの再構築に挑戦したが、悉く失敗した。失敗の中でも、A電力、B電力、C電力の失敗は
IT業界では有名である。
   また電力業界には共同でシステム開発を行うという発想が無いので、たとえ開発するとしても会社ごとに別々

に行い、開発や運用費が10社分重複し、膨大な費用となる。その費用は電気料金に加算されてしまうので、国

民の生活を苦しめることになる。


最近の国内は、脱原発派と再稼働派に二分されている。再エネ派と原発派である。電力社員に言わせると、
「電力会社が悪者にされている」と言い、かつ「何でもかんでも電力に押し付けられている」と被害者意識も強
い。特に、世界でも例のない太陽光95パーセントの再エネ導入という未経験の電力系統運用には、殊の外、困
惑しきりである。
電力会社と、再エネ推進は敵対関係にあり、このままで行くと永久に脱原発も、再エネ推進も実現出来ない。
敵対関係解消策として、電力会社と再エネ派の協力強化を、喫緊に実現すべきと提言する。
その協力として、IT業界主導でインフラシステム(スマートセンター)を構築し、電力会社は系統運用に専念
することを提案する。スマートセンターは電力会社向けのサービスだけでなく、家庭やソーラー販売業者へのサ
ービスも実行し、電力会社の開発費の軽減と、利益を再エネ拡大へ投資し、地方創生と電力自由化にも貢献する。 
4.インフラシステムの事業規模
国内電気事業の規模は18兆円であり、その中でも再エネによる発電量が全体の30~40%になった時は、
それを支えるインフラ事業(スマートセンター事業)として、数%のリターンは可能である。電気事業者以外に
も発電業者やパネル販売業者からの収入も見込めるので、少なくとも年商5000億円程度の経済効果は期待で
きる。
5.グローバル展開
   また、スマートセンターは、「安定化した再エネ導入」を熱望している諸国へ積極的に提案できる。
パネルと蓄電池を組み合わせるには、正確な蓄電予測が必要で、それには高信頼度の気象予報がベースとなる。
世界には、日本のアメダス気象観測のようなシステムが導入されている国は少ない。
したがって、それらの国々にはパネルと蓄電池に加えて気象観測機器や天気予報システムとスマートセンターを
合わせて、太陽光で脱原発を世界中に広めることが出来る。グローバル展開で国内の多くの関連産業を刺激する。
6.終わりに
   日本のIT業界は、大企業の下請けを主な業務としているため、スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、マーク
・ザッカーバーグを生んではいない。当提言は、彼ら以上の起業家を育て、その起業家が地方創生と、地産地消
を実現させ、グローバル展開で、スティーブ・ジョブズ以上の起業家を生み出す。

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