効き目がなかった経産省有識者の出力抑制解消策、九州本土の再エネの光が消え原子力が輝く


(2020/11/18)                                  経産省は、九州を意識して対策を打ち出している。
すなわち、連係線拡大、火力発電の対応、オンライン制御拡大、経済損失の調整の4種である。
しかし、その対策空しく、九州本土ですでに昨年より多く抑制が発生している。
このままでいくと、九州本土は承認済未稼働案件が稼働し始める数年後には、
主力電源化も未達の上、年間の抑制回数は昼が289回、夜が76回で、
太陽光発電業者の年間売電収入は90パー以上の減収となる。
倒産した太陽光発電業者の(しかばね)累々となる。
風力発電も昼と夜に抑制され、収入は雀の涙。風力発電業者も屍累々となる。


Ⅰ.九州本土の昨年と本年度の出力抑制発生状況比較

(1)昨年時と本年度の出力抑制実施回数比較
再エネ導入済み容量は昨年より100万kW増えている。
●19年度10月までの回数は32回、20年度10までに35回で経産省の改善策も空しく、僅かだが10月までで3回増加している。
●昨年は発生してなかった6月に2回、9月に1回発生している。将来に対して不気味な予感がする。
(図1.1)
 (図面をクリックすると拡大します)

 
(2)1発電所当たりの抑制回数
(図1.2)は抑制日ごとに九州電力が発表する「出力制御指示回数」報告書の9月27日のページである。報告書は制御ルール区分毎に、つ、発電所の電圧区分ごとに、9月末までの抑制回数が記載されている。9月27日時点で、特高と高圧のオフラインが13~14、オンラインが4~5回、と表示されている。
オフライン制御対象発電所には、前日の発電予測で抑制が必要と判断された場合にその日の夕方、抑制が発令される。
オンライン制御対象発電所には、前日の予測以上に抑制が必要と判断された時、当日に、発電停止が発令される。5回しか発令されなかった原因は、供給過剰になると予想した時、停止させる発電所の数を、安全性の観点から多めの発電所を停止させている。九州では100kWの停止が必要と判断されると、1.48倍の148kW分の発電所を停止している。従って、予想より実発電が多くなることは少ない。このオンライン制御方式は、公平性に欠ける点と、全発電所がオンラインになった場合、大きな問題になる。
              
                                                                                     (図1.2)
(出典)九州電力 (図面をクリックすると拡大します)



Ⅱ.経産省と有識者の「誤解だらけの改善策」

(1)「誤解だらけの改善策」
2018年の有識者会議で提案された出力抑制改善策は次の通りである。
①連係線拡大           本州への再生可能エネルギー送電量を105万キロワットから
                                135万キロワット前後へ2019年3月末までに容量拡大する。
②火力発電の対応    再生可能エネルギーを制御する前の段階の火力発電やバイオ
                                 マス発電の最低出力引き下げる。
③遠隔制御拡大        発電事業者サイドでの遠隔制御装置(オンライン制御)の設置
                                 促進する
④経済損失の調整    出力制御を大規模事業者に限定

(2)2019年と2020年の結果から見る「効果なし」の根拠
有識者会議で採択された改善策は、2019年4月以降に適応されたはずである。
改善策の①連係線拡大②火力発電の対応結果を、九電の電力需給実績からデーターを拾って表にしたのが、(図2.1)である。そこには4半期ごとの火力の最低出力と、連携線送り出した最大値を表示している。
★②火力発電の最低出力を下げる点では、一番抑制が発生した1Qを見ると、19年の最低出力は1337MWhであったのに、20年には1440と増えている。2Qでは、さらに増えて2331となっている。最低出力が改善されているとは判断できない。
連係線拡大の点では、19年の4Qで最大の3078MWhであったのに、20年の発電禁止の一番多い1Qでは、連携線の送電量は2644MWHと下がってしまっている。その原因追及は(3)でおこなう。
                                                                                                                (図2.1)
 (図面をクリックすると拡大します)

(3)経産省と有識者の「誤解」を指摘

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
誤解①連携線の容量を増やせば出力抑制が解消出来ると幼稚な誤解
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

連携線自体で供給過剰分を処理しているのでなく、連携線の先に供給力不足の所があり、そこに送り込んでいるのである。容量拡大は必要条件だが十分条件ではない。十分条件は供給力不足の所がある事である。
それを証明するのに、「19年の最大送電量は4Qの3078MWh(図2.1)になった。何故最大になったか?」を(図2.2)を使用して以下で説明する。
3078MWhになったのは、2020年2月25日の午前9時であった。その時の電力9社間を流れた送電量を各社の「電力需給実績」のEXCEL表(図2.4は5/11分 から該当時間の連携線の量を引き出して(図2.2)に当てはめた。

電力9社間でいつでも同時同量が成立している証拠               (図2.2)
(図面をクリックすると拡大します)

♦ (図2.2)では電力会社別にひとつのボックスを作った。ボックスには電力名とすぐ下にEXCELから取り出した連携線の値を置いた。赤字は送り出しを、黒字は取り込みを表している。
その下は送り出した場合と取り込んだ場合を電力名と量で表している。
自社分と他社分の差っ引きが赤字であれば隣へ送り出し、黒字であれば他所から取り込む。
九州から出た3078MWhの一部を中国が1814MWhを消費し、四国から来た分との差っ引きが赤2574になったので、隣の関西に送り込んだ。
同様な処理を関西でも行い、結果、赤1394になったので中部へ送った。
中部でも同様な処理を行い赤458になったので隣の東京へ送り出した。
東京自体は黒4870だったのでその分を東北からの送り込み4408で補充した。
中部からの赤458と東京の黒462で、誤差が+4MWhあるが、この誤差は送電ロス、周波数変換ロス、直交流変換ロスの集計値である。電力9社間で同時同量が成立していることが証明された。
別の計算でも確認できる。すなわち、供給過剰4社の合計値9248MWhと供給力不足の5社の合計値9252MWhの差は4MWhであるので、同様に同時同量が成立していると見なせる。
結論「何故、最大値3087MWhになったか?」
                Final Answer;「他地域で必要としていたからだ」
連携線容量を増やすと出力抑制が解消できるは、大きな誤解である。解消できる理由は不足しているところがあるからである。あくまでも、瞬間瞬間で電力9社間で、同時同量が成り立っていることが重要である。
経産省と有識者の大きな見落としは、全地域が供給過剰になった時、何所も引き受けられない事に気づいていない。それが原因で数年後には全発電業者は猛烈な出力抑制に襲われ、収入の大半を失い、全業者倒産と言う惨めな地獄に陥る気付いて居ない、且つ対策も取っていない。。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
誤解②火力発電の最低出力は簡単に下げられると、浅はかな知識を
           暴露している。下げる技術的方法を指導していない。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

「最低出力を下げる」とは言っているが、その具体的な技術的な指導が無い。
精神論で最低出力を下げられると思っているようだ。
最低出力が下げられないメカニズムを理解していないのではないだろうか?

(1)最低出力を下げれば、何故、出力抑制が少なくなるのか?
実際に九州電力で本年(2020年)5月11日に抑制されたデーターで説明する。
(図2.4)は九州電力が公表してい電力需給実績EXCELシートの5月11日の部分である。(図2.3)はそのシートから作成したグラフである。
抑制は午前8時から15時までで発生している。グラフ内の白い部分が抑制されたことを表している。EXCELシートでは「太陽光抑制」欄に表示されている。抑制された最大時は12時で抑制量1,762MWhであった。その時の火力発電は2,602MWhも発電している。同時刻に、抑制を避けるために揚水発電は1,639MWh、連携線は2,382MWhだけ働いている。
ここで疑問に思うのは、火力発電をその時刻に840MWhまで下げれば、抑制は避けられたのに、何故下げられなかったか?

                                                                                    (図2.3)
(図面をクリックすると拡大します)

                                                                                    (図2.4)
(図面をクリックすると拡大します)

  
(2)下げられなかった理由     
最近の火力発電機で性能の高いのは1基当たり最大60万kW程度だが、少し古い機器は20万~30万kWのものも多い。ここでは1基の能力を40万KWとしておく。
また火力発電装置の優れた能力に自動調整機能がある。負荷の程度に合わせて出力を調整する機能で、別名上げ代/下げ代と呼ばれ、50~60パーセント下げる能力がある。50万kWの発電機なら20万~25万kWに下げる事が出来る。

太陽光発電が大量に発電開始すると、午前8時頃から急激に太陽光の発電量が増え、正午には820万kWになるので、それに合わせて火力発電を下げなければならない。正午を過ぎると18時には太陽光が完全になくなるので、火力は18時までに580万kWまで高めなければならない。

当日は、需要予測で最大が19時で、5804MWh(580.4万kW)と予測されているので、出力40万kWの火力発電14基準備する。不足分は水力等で補うこととした。14基全てが下げ代ぎりぎりまで下げると、260万kWの出力計算された。

太陽光の急激な変化に火力を合わせなければならないが、その調整を人間の判断と手作業でやると、事故を発生させる危険性があるので、火力の調整機能にお任せするのがベストである。また太陽光には天気の急変で予定外の発電があり得るのでその激変にも、火力や水力や揚水発電などで対応しなければならない。

下げられなかった理由まとめ
★前日の夕方に、翌日の需要予測に合わせて各種発電装置の稼働計画を立てた。
計画は、最大需要に合わせて、火力発電の必要台数と運転時間を決める
最低出力は稼働中の発電装置の下げ代能力に依存する。
   太陽光の発電終了直後の最大需要量5804MWhに合わせて火力発電の必要装置は
   14基と決まり、14基の最低出力2600MWhが決まる。
下げる方法は、太陽光の発電終了直後の最大需要量を下げるか、発電装置を下
    げ代機能の大きい最新式の装置に全てを取替るしかない。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
誤解③オンライン制御は装置を付けた発電所だけ抑制回数が少なくなるが、全体の抑制量は変わらない。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

③遠隔制御拡大は出力抑制解消とは無関係な代物である。
これを導入するとオンライン制御を導入した発電業者の手間暇が多少少なくなることと、その業者だけ抑制量が少なくなるだけの話で、全体の出力抑制を少なくすることにはならない。
全くピント外れの対策である。恥ずかしい事だ。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
誤解④再エネの主力である太陽光発電の特性に対する対策が全くない。
(最大の見落とし)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

「臥竜点睛を欠く」とはこの事で、エリート集団である経産省や肩書だけ立派な有識者が提案した「抑制改善策」には、太陽光発電の特性から生じる弊害に対する効果的な対策が何一つ提示されていない。

最近電力会社が受け付けている再エネの接続申請はまだまだ勢いが強く、太陽光で5,000万kW、現在稼働量にほぼ等しい量が受け付けられている。これだけの量が稼働し始めると、出力抑制が頻発して再エネ化率が導入量の割に全国平均で37.2パーにしかならない。出力抑制はあり得ないと固く信じられていたあの東京電力ですら年間225回も発生で、一つの発電所は140回も停止させられ、年間売電収入も倒産せざるを得ないほど減収する。

太陽光だけだったらそうなるのは分かっている、と言って最近は風力、特に洋上風力に流れ始めた。現在承認済みまたは検討申請を含めると10,000万kWが待機中である。この量は現在稼働中の28倍である。
風力なら大丈夫と考えるのは「素人の浅はかさ」である。風力は太陽光と道ずれに抑制対象となってしまう。風力発電は太陽光発電より出力制御になりやすい のである。
風力発電が効率よく発電するためには、まず先に太陽光の改善が必須となる。
それだのに、何ら有効な対策が出ていない。経産省や有識者たちは、まったく馬鹿な集まりではないか?
奴らに任せていたら日本は世界の恥さらしになってしまう。何とかせい。

と喚き散らしていたら、政界に通じたある男が私に向かって言った。
「お前こそ馬鹿だ」
「奴らはお前の言うことなどとっくの昔に気づいている」
「もし、それをやって太陽光が旨くいってしまったら困る大きなグループがあるのだ」
「有識者の顔ぶれを見たらわかるだろ」言って彼はそれ以上を何も言わずに消えて行った。
再生可能エネルギーが失敗するのをジーっと待っているグループがあるそうだ。


私はこれ以上詳しいことは書きません。あとは、御想像にお任せします。



風力発電に対する問題を記述してます。ご参照ください。
               道連れに全滅か?



最後までご精読ありがとうございます。ご質問、ご感想、反論等
ozaki@smart-center.jpまで直接お送りください。


Comments