2040年を見据えた新たな出力制御の提案
25年6月3日の第74回再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク 小委員会で、2040年度におけるエネルギー需給の見通し、『エネルギー自給率3~4割程度、太陽光23~29%、風力4~8%、水力8~10%、地熱1~2%、バイオ5~6%、原発2割程度、火力3~4割程度』を実現させるため に「新たな出力制御の必要性」を議論すると宣言された。
25年6月3日の第74回再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク 小委員会で、2040年度におけるエネルギー需給の見通し、『エネルギー自給率3~4割程度、太陽光23~29%、風力4~8%、水力8~10%、地熱1~2%、バイオ5~6%、原発2割程度、火力3~4割程度』を実現させるため に「新たな出力制御の必要性」を議論すると宣言された。
『新たな出力制御を弊社から提案』の要約
(2025年6月)
21年から出現し始めた出力抑制が、年々増加し、昨年24年度は全国計で424回発生した。25年度に入ってまだ2ヶ月だが、前年度を上回る勢いで増加している。発生の原因は①太陽光導入済量が16年設定量の1.5倍以上に増加した、②設定時に想定していなかった原発が23年度に10基996.8万kW稼働し始めたこと。 しかし、原因①②に対する抑制解消対策が全く無く、且つ、経産省は電力各社を結ぶ連携線の容量増加で解決できると、経く主張されていたが、全く効き目が無かった。
連携線と言えども同時同量は成り立っている。すなわち、送る量と受取る量が同じでなければならない。送る側は供給過剰の地域で、受取る側は供給力不足の地域である。23年度までは中央3社が受け取る側だったが、今年度に関西と中部が、閑散期に供給過剰になった。東京だけは年中供給力不足だったが、来年度には原発の再稼働が始まるので、一部は供給過剰側に変るはずだ。その時から抑制頻度は激増する。同時同量が成り立っている事から見ると、連携線容量を増やせば出力抑制が解消できるという事は、理論的に間違いであると断言できる。
日本列島は東経130度から145度(除く沖縄)に位置しているため、太陽が北海道の東端の根室の上空に来てから1時間後に、西端の九州平戸の上空に来る。つまり、日本列島は太陽光軌道の1時間の範囲にある。30年頃には北から南までこの1時間の間に供給過剰になる。その時は連携線が機能しなくなる。
正午の需用量を制限限界値と呼び、その値を超えると出力抑制が発生する。各地の受付中再エネ容量から季節別に正午の再エネの発電量を算出し、その値に揚水発電や原発などのベースを加えた値を各地の抑制限界値で割った値が1.0以上になると、供給過剰のため出力抑制が必要となる。
30年頃は日本全国1年中1.0以上となる。つまり、1年中供給過剰で、出力抑制発生状態に突入すると判断できる。洋上風力が本格稼働する40年頃の前に、太陽光で昼間は1年中出力抑制発生状態になる。
洋上風力本格稼働前の30年を迎えると、太陽光は16年設定の5.7倍、原発は更に8基794万kWが新たに稼働の可能性が有るので、抑制はさらに増加する。 30年頃の年間抑制回数は全国計2,037回発生と予測。多い地域は東北359回/年、九州335回/年、200回/年以上が四国、中国、北海道、東京で、北陸、中部、関西は100程度。抑制の結果、発電業者の売電収入は最大75パーセント減収と、事業継承は困難になり、倒産続出で、パネル放棄して夜逃社会となる。40年の前に我が国の再エネは崩壊する。
30年に向けての抑制解消策は、抑制発生の最大原因の太陽光に対して行う必要が有る。それは、上に伸びる太陽光の発電直後、系統に乗せる前に一旦蓄電し、発電終了後から24時間均等放電すると、南中時の最大発電量を3分の一以下の高さに縮小出来る。この縮小で、40年頃までの出力抑制はほぼ解消出来る。蓄電池は蓄電と放電を同時処理可能な機能開発が必要である。蓄電池費用は、抑制激増で売電収入激減の太陽光発電業者は倒産直前であるため、支払い不可能である。代わりに、太陽光の発電量が増える分、火力の発電量が激減するので、電力会社なら負担出来るだろう。電力会社が負担すれば、原発再稼働で地域住民からの協力が得られ易くなり、かつ、安定化による諸経費節約効果等が得られる。
全国の太陽光に24時間均等放電を適応出来たら、日本の再エネ化率は40年目標を30年頃に達成出来る。
30年過ぎに大量の洋上風力が稼働するが、その時太陽光の出力抑制が未解決であれば、風力も抑制に巻き込まれて共倒れになる。仮に、解決していても70~80パーセントは再エネと原子力と火力で一杯になっており、洋上が入り込む余地はほとんどない。何れにしても洋上は即死する。
洋上を生かす道は、発電即液化水素に変換して、専用パイプラインかトラック便で貯蔵タンクまで輸送する。貯蔵タンクからは電力のみならず産業用や運輸部門等に水素で供給する。水素も含めた新エネルギーシステムを世界に展開する。
重要事項(1) 瞬時瞬時、連携線といえども、同時同量が必須
"連携線容量拡大で抑制解消"は"再エネ潰の経産省陰謀"を証明
①23年1年間の全連携線の稼働実績
下図は23年1年間の電力会社毎の電力需給実績に掲載の需要量と連携線利用量を集計した表である。連携線の値が赤字は、供給過剰のため外部へ放出したことを、黒字は不足のため他社から取込んだ事を表している。赤の全電力合計値と、黒の合計値はほぼ同じ量(同時同量)で、差分の+2,158(3.4%)は、送電ロス、周波数変換ロス等で生じたものと思われる。この表が表している重要な事は、供給過剰量(赤)と不足分(黒)が同量である事、即ち連携線内で同時同量が成り立っている事を証明している事である。
受取側の中央3社の内、東京の受取量は60パーセント、原発全基停止中で供給力不足に陥った事が原因で外部に依頼している訳である。東京は原発事故で日本中に迷惑を掛けたが、再エネでは貢献していることになる。東京の不足のお陰で、東北は自社需要の半分の量を東京に供給し、大量に出力抑制から逃れている。九州も、東北並に連携線に乗せたかったが、再エネ導入最低の関西が、原発稼働が最多のため、供給力はほぼ間に合っていたので、九州からの支援は多くを必要としなかった。
30年までに再エネ、特に太陽光がGX(グリーントランス)に押されて2倍近く増加し、東京、関西、中部の原発再稼働で、供給力不足だった中央3社も、他所の支援は不可能となる。その時連携線は機能しなくなる。
②1年通しても同時同量が成り立っている。
前頁の表を連携線表記すると、下図のようになる。
下図は上表の連携線使用量だけを図式化したものである。図では電力会社毎に箱で表示し、電力会社名の真下にある数字が、電力各社の電力需給実績表に掲載された連携線欄の1年間の合計利用量である。数値が黒字であれば、不足していたため「外部から取り込んだ」ことを意味し、赤字であれば供給過剰で「外に放出した」ことを意味する。 例えば関西電力は6,859GWh不足であったので、外部から取込んだ。取込先は中国から22,980(以下 単位は省略)、北陸から102取り込んで不足分を補充し、余った16,223は中部へ送った。中部では中部の不足分14,837を関西からの16,223で補充し、残り1,386を東京へ、東京の不足分38,470は、東北と中部からの合わせた36,318で補った。東京の差分2,158(5.6%)は、送電ロス、周波数変換ロス、直行変換ロス等と考えられる。電力9社間で同時同量が成立していることが証明された。
供給過剰を受取れる所が在るから、連携線は機能している。
③24時間のどの時間も、電力9社間で同時同量
下図は23年6月4日の24時間に連携線に流れた電気は、同時同量が成り立っていることを証明した図である。常時プラス側だったのは、中央3社の東京、関西、中部で、マイナス側だったのは東北、九州、四国、北陸の4社、プラスとマイナスの両側に動いたのは北海道と中国だった。プラスの合計値とマイナスの合計値に各時間とも数パーセントの誤差は有った。
④24時間何時も、同時同量が成り立っている
24時間中の特定の時間、例えば12時に流れた量を図に表現したのが下図である。東京のところで3.8パーセントの誤差が有るのは、送電ロスや周波数変換ロス等であった。
⑤連携線容量拡大は、出力抑制解消に役立たなかった
6月4日に6電力で出力抑制が発生した時、連携線は能力一杯に使われていただろうか? 連携線に乗せられた量が連携線容量の何パーセントを使われたか、下の表にまとめた。最大利用率が79.4%、最低は3.8%。連携線の容量を増やせば抑制が解消出来るというは甚だしい誤解である。
⑥経産省の陰謀(1)「連携線容量拡大で抑制解消」
連携線容量拡大で、出力抑制が解消出来ると大嘘を、
まことシャカに公開((23/3/14)「再エネ出力制御見通」)
何の説明もなく「系統対策結果抑制率が改善できるとしている。
⑦ 経産省の陰謀②「海底ケーブル連携線で抑制解消」
東京も数年後には1年のほぼ全日、供給過剰になる。
そんな時、東京も、他所の電気を受取る余裕はない。
国税6~7兆円を無駄遣いするな‼
レジリエンス(resilience)とは、「回復力」「復元力」「耐久力」「再起力」「弾力」などと訳される言葉で、「困難をしなやかに乗り越え回復する力(精神的回復力)」を意味するそうだ。簡単に、平凡な言葉で言えばバックアップ力だ。
地震などの大震災で送電線の鉄塔がバッタバッタと倒れて、連携線が使えなくなった場合に、海底ケーブルの連携線なら使えるだろうと、甘い期待で海底にケーブルを引こうとしている。バックアップを強化する前に、本格的に抑制解消に努力すべきである。
重要事項(2) 北海道から沖縄まで、正午同時に、太陽光で最大発電
①1:30~12:30に北から南まで南中時になる
日本列島は東経130度から145度(除く沖縄)に位置しているため、太陽が北海道の東端根室の上空に来てから1時間後に、西の端の九州平戸の上空に来る。つまり、日本列島は太陽光軌道の1時間の範囲にある。実際に、下図右は2020年5月3日の電力各社の電力需給実績から作成したグラフである。このグラフを見ると、沖縄以外はほぼ同時刻に最大発電量になっている。
ドイツやフランスは陸続きの隣接国が7~8か国もあり、供給過剰分を隣接国に引受て貰っているので、出力抑制が極めて少ない。我国は陸続きの隣国が存在しな事が抑制多発の原因の一つになっている。
②EU(欧州連合)の東端と西端は、時差が6時間もある
物・人・資本・サービスの移動の自由が保障されているEU(欧州連合)の東端と西端の間は経度で80度近くあり、太陽が動く時間に換算すると6時間になる。東端が日没になっても西端はやっと正午となるので、一斉に最大発電になる事は無い。EU27国の面積は日本の11倍、人口は日本の3.5倍、経済力も2.8倍も有るため、電力需要も遥かに多くなる。
重要事項(3) 30年頃、全国一斉に、1年の内の大半が
太陽光で供給過剰
①地域別季節別に、正午の供給過剰となる需要量
供給過剰と判断される正午の需要量を、地域別季節別に、電力各社の需給実績から調査した。4月~6月を春、7月~9月を夏とし、土、日、祭日を除く平日の正午需要の平均値を、その期間の抑制限界値とした。期間の最大値ではないことにご注意ください。東京は4,600万kWを超えないと、夏の過剰と判断しないが、北陸は400万kWで過剰となる。同じ東京ででも、春は3,280万kWが限界地となる。
受付中には検討申込と承認済が有るが、その内検討申込は、接続不可能の判定で全面的に停止となる事が有るので、予測には使用できない。承認済は3年以内に稼働するので、信頼度は高い。30年の容量予測で、太陽光は接続済+承認済×2.5、風力は接続済+承認済、その他はバイオの接続済み+承認済×2で計算した。計算結果を見ると再エネの全容量は、現在(25/1)の1.54倍、太陽光は1.75倍になる。30年になっても太陽光の占める率は70パーセントもあり、太陽光対策が重要である。
②2030年頃の再エネ種別毎の容量想定
受付中には検討申込と承認済が有るが、その内検討申込は、接続不可能の判定で全面的に停止となる事が有るので、予測には使用できない。承認済は3年以内に稼働するので、信頼度は高い。30年の容量予測で、太陽光は接続済+承認済×2.5、風力は接続済+承認済、その他はバイオの接続済み+承認済×2で計算した。計算結果を見ると再エネの全容量は、現在(25/1)の1.54倍、太陽光は1.75倍になる。30年になっても太陽光の占める率は70パーセントもあり、太陽光対策が重要である。
③倍率=(供給量÷最大需要)を求めるまでの手順とその結果
ステップ①;太陽光と風力の季節別発電量を各地の実績を参考にして、再エネ出力を季節別に計算する。
太陽光と風力の単位当たり発電量は、地域と季節によって大きく異なる。地域の需給実績から、季節別に調整する。例えば、東京の太陽光は、夏の発電量は冬の2倍になる。しかし、風力は、夏に最低の発電量で冬の3分の一位に落ち込む。
ステップ②;火力最低出力、揚水発電(マイナス値)、原発出力を再エネ出力に加算する。
各社の実績から、火力の最低出力、揚水発電、原発の出力を設定する。
東京の場合、1,381-500+370 = 1,251となる。
ステップ③;地域別季節別抑制限界需要量をステップ①+②で割って倍率を求める。
下の計算結果表を見ると、関西と沖縄のピーク日以外の全てで1以上の倍率となっている。1を超えているという事は供給量が限界需要、即ち供給過剰超えと成っていることが分かる。尚、全社率の求め方は、全域の供給量の合計値÷全域の限界需要で求めたもので、1を超過していれば日本全体で供給過剰だと判断できる。30年頃は平日晴天日は1年中供給過剰となり、需要の少ない土日や休日は、平日よりもやや多めに、供給過剰になると判断できる。
30年頃には、北から南まで、需要の少ない春秋は勿論、需要の多い夏と冬の正午でも、再エネで需用を超えて供給過剰になる事が証明された。
④倍率の意味する天気の内容
倍率は電力会社の供給全域が快晴の場合を想定して計算しているので、供給域の一部が曇りや雨であると、再エネ発電の供給量は少なくなる。少くなったとしても高倍率であると供給過剰になる。
その倍率と供給過剰の状態を倍率で表示した。
倍率が2.0倍以上になると全域が悪天気でも、供給過剰になる事を意味している。太陽光は雨の時は出力が少ないが、風力はお構いなく供給過剰になることも有るので、要注意である。
⑤現在と、30年の稼働をグラフで確認
再エネの中で60パーセントを太陽光が占める我が国の2030年頃には、少々の悪天候でも、太陽光で需要ラインを数倍も超過する。
30年に向けて伸びるのは、太陽光の需要を超えた部分!!
重要事項(4)太陽光第2特性"24時間放電"で南中時の最大発電が
3分の1~4分の1に激減
①発電所毎、発電直後に蓄電、発電終了後、24時間均等放電
太陽光発電所毎に、発電した一日分を送電前に蓄電し、発電終了後に24時間かけて均等放電すると、1時間当たりの放電量は、南中時の最大発電量の3分の1~4分の1になるという、特性がある。日照時間が多い夏至の頃は3部の1で、冬至の頃は4分の1になる。例えば右図Step1曲線(白線)は最大値が2400万kWで24時間放電では847万kW、Step2(赤線)では最大が7,922万kWで、24時間放電では2,683万kWとなっている。Step3の最大値は12,475、1時間当たりの放電量は4,294万kWとなる。
実発電量に適応してみよう。東北の22年4月1日から6日までの実績に対して、30年頃の予測値で作成したグラフを見ると、6日間の内4回ほど需要ラインの3倍位供給過剰になっている。30年頃の正午は、北から南まで一斉に供給過剰で、連携線が機能しないので、全て抑制となる。東北の太陽光の全てに蓄電池を接続させ、24時間均等放電したのが下図のグラフになる。太陽光に対する出力抑制は皆無となる。日本全国の太陽光に24時間均等放電を適応すると、正午の供給過剰が解消され、連携線機能が使えるようになる。均等放電のもう一つの利点は太陽光の出力を事前に把握でき、且つ安定出力になるので、火力やその他の発電を大幅に下げ、手作業が激減する事が出来る。★パワコン不要、工事負担金大幅減、売電収入の安定化★火力燃料費大幅減、工事費用無しに送電線容量3倍増、抑制処理費大幅減、★地政学的に再エネに不向きな日本を、根本的に再エネ向きに改善
注意喚起(1)再エネ崩壊に向かっている我が国の再エネ環境
注意喚起① 効き目が無かった出力制御対策パッケージ
★出力抑制最大原因太陽光発電対策(タケノコシンドローム)が全く存在してなかった
★連携線容量拡大で解決可能と誤った知識に振り回されていた
★再エネの発電特性、地政学的弱み、将来発生する大問題などの研究不足
注意喚起② ; 出力抑制激増でオンライン制御の効果は激減
オフライン制御では、日の出から日没まで発電を停止しなければならない。しかし、オンライン制御なら、超過する時間だけ、電力会社から指示が来た時刻から、停止解除の指示が来るまでの僅かな時間だけ停止すればよいので、停止時間は非常に短い。停止しなくていい間は、発電がので、売電収入が稼げる。
しかし、超過率が多くなると発電開始直後から初で終了間際まで抑制させられるので、発電停止時間も多くなり、オフライン制御とほぼ同じくらいの停止時間になって仕舞う。高い金を払った効果が無くなってしまう。
その時に経産省に騙されたと騒いでも、誰も相手にしてくれない。騙された、あんたが馬鹿なのよ、....で終わり。
注意喚起③ ; 火力の最低出力を20%まで下げられない理由は
夕方のピーク対応が必要のため
抑制量を少なくするには、供給過剰時間帯の火力の最低発電量をゼロまで下げられるなら下げてしまうのがベストであるが、ゼロまで下げてしまうと調整力不在となり、需要や供給の変動に合わせるのが難しくなるので、ゼロには出来ないとしてももっともっと下げろという事で、せめて20パーセントまで下げる目標を経産省指示をした。
(1日の火力の最大出力を100パーセントとし、最低出力の最大の何パーセントかで表示)
実際に、電力会社の系統制御担当者は何処まで下げたか、その実績を見てみよう。
出力抑制の必要が無かった東京電力の場合、25年4月17日の最大出力は4種の火力合わせて11,530MWh、最低出力は4種合わせて23,189MWhだった。最低出力の最大に対する割合は49.7パーセントだった。
九州電力の場合、抑制の発生した2023年4月26日~28日までの4日間の最大と最低と最低の率は、26日が4,195MWh 2,371MWh 56.5% で、27日は4,232MWh 2,352MWh 55.6%で、28日は 3,839MWh 1,925MWh 50.1%だった。
東京も九州も、最大出力と最低出力の比率は50%以上だった。
最大出力はどの電力を見ても夕方の夕食を準備する18時が最大ピーク時間である。また、前日の内に需要予測を行って、翌日18時の最大需要量が分かっているので、その日の正午の供給量は、火力発電機の下げ代一杯までしか下げられない。下げ代は現在の火力発電機では50%であるので、50%までしか下げられない。これ以上下げると夕方のピークに必要な電気を供給出来ない事になる。
最近の経産省は火力の最低出力を「新火力発電では30%まで下げよう」と変更し始めた。
新しい発電機を作るなら下げ代を30%まで下げられるような発電機を創ろうと言い始めている。
現在の下げ代50%の発電機は100年以上の時間をかけて発電機メーカーや電力会社及び大学関係の方たちの努力で開発されたものである。簡単に30%まで下げられる発電機が出来るならとっくの昔に作られていたであろう。
新火力が出来たとしても、全発電機を新型に更新するのに何年掛かるのか??
東京電力には13火力発電所が有り、そこには合計84基の発電機がある。新下げ代機能を持った発電機に変更するとしたら全ての発電機を更新しなければならない。その更新期間は何年掛かることやら...‼‼
数年かけて全機を新下げ代機能に更新できたとしたら、その効果は??
下げ代30%の発電機に全機変更できたとした場合、どれだけの効果が出るのか??九州電力の4/26~4/28の場合で計算してみよう。26日~28日の最低出力が1,258、1,269、1,925となる。その効果は以前と比べると
1,112、1,082、773だけあるが出力抑制が全部解消されたわけではない。効果分だけ抑制量が少なくなっただけで、最大抑制量が4分の1から5分の1減少しているだけである。発電業氏にしてみれば全抑制を解消して欲しいと望んでいるのに、たったのそれだけかと、憤りたくなるだろう。
30年に向けて再エネの稼働量、特に太陽光の稼働量は現在の2倍程度まで増加する。増加すると抑制量も劇的に増加する。その増加に対して、火力発電の下げ代を苦労して30%程度まで下げたとしても、それは全体の抑制量からしたら雀の涙程度にしか過ぎない。この程度だったら日本の再エネは崩壊してしまう。30年までに本格的に抑制解消策を打ち出さなければならない。今の経産省には、全面的に解消する能力も意欲もなさそうだ。それが一番の問題である。
注意喚起④ ; 供給過剰分を一時保存で抑制解消と言いながら...
蓄電池設置の変電所を設置と他が...
容量が小さすぎて使い物ならず
2016年に、東北と九州に供給過剰対策として蓄電池を設置した変電所を開設した。東北は南相馬変電所に4万kWhで敷地面積8,500平方メートル、サッカー場1面相当。九州は豊前変電所に30万kWhで敷地面積14,000平方メートル、サッカー場2面相当であった。
しかし、九州では2023年4月26日~28日の供給過剰分が2,088万kWh 2,078万kWh 1,833万kWhもあり、供給過剰量の100分の一程度しか蓄電できず、全く使い物にならなかった。
注意喚起(2)系統用蓄電池大量導入でも、出力抑制は解消出来ず!!
需要超過電力を一旦蓄電し、超過解消後、放電するために系統上に設置された蓄電池を系統用蓄電池と読んでいる。果たして系統蓄電池で抑制は解消出来るのか?結論から言うと、解決不可能で、これに投資した企業は大損を被るのは間違いない。理由の説明の前に系統用蓄電池の受付状況を説明する。
2025年5月末に受付けている系統蓄電池の全国合計が13,600万kW、内、既に接続済が154万kWである。突出しているのが東北で、受付中が4,544万kW、うち接続済が120万kWである。一方、東北の再エネ接続済みは合計で1,217万kW、うち太陽光が941、未接続だが受け付けている東北の合計が8,069万kWで、内、太陽光が960万kWとなっている。この受付状況から2030年頃の東北の容量を予測すると、太陽光1,353万kW、風力990万kW、その他452万kWとなった。
解決不可能であることを下図「東北電力 南相馬変電所と九州電力 豊前変電所」と「東北電力 2030年頃、予想」のグラフを例に説明する。
解決不可能理由の①;25/5現在東北が受け付けている蓄電池容量は4,556万kWであるが、これだけの蓄電池を設置するための敷地は、南相馬変電所の例から換算するとサッカー場1,200個以上の敷地が必要になる。
2030年頃の太陽光の導入容量は1,353万kWと予想している、これは南中時の発電量だが平均1日に5時間は発電するので一日の発電量は6,500万kWhが必要になる。通常抑制処理は前日に短期予報などから発電予測や需要予測をもとに実施しているが、予測はずれや天気の急変などで大幅に外れる事が有るので、安全率を考慮に入れて多めに抑制している。その安全率は九州電力の場合は50パーセント程度が採用されている。その安全率を含めると東北の30年頃に必要な蓄電池容量は10,000万kWが必要となる。これだけの容量が無ければ東北の抑制は完全には無くならない。
この容量に必要な蓄電池敷地は、南相馬変電所の例から換算するとサッカー場2,500個以上が必要になる。2040年には太陽光だけでも3割は増えるのでサッカー場3,000個となる。
理由の②;2030年頃になると日本全国は出力抑制だらけになる。中でも東北は一番多く、年間359回、毎日が抑制日となる。しかし、再エネ化率は30パーセント以下と惨めな結果で、24時間中半分の12時間以上が抑制処理時間帯となり、供給過剰分を必死の思いで買い取り、夜間には買い取った電気を売りに出したいのだが、その時間帯は需要が少ない上にベースロードの原発や火力が稼働している為、電力会社はなかなか買い取ってくれない。売れ残ってしまうと翌日蓄電池は一杯で買取できない、結局1ヶ月間にビジネス出来た日は数日しか無く、膨大な蓄電池と土地代の支払いが出来なくなり、経産省に騙されたと、泣き言を言いながら夜逃げせざるを得なくなる。
理由③;将来、太陽光による出力抑制が解消されると、供給過剰分が無くなるので、蓄電池に蓄電する過剰電氣がなくなり、系統蓄電池の存在意義が無くなる。洋上風力も発電直後に液体水素に変換すると出力抑制の心配も皆無となる。その時は系統蓄電池の必要性は完全になくなる。
その時、経産省を恨んでも、騙された方が悪いと世間からの笑い者になって、終わり。
注意喚起(3)30年目標の再エネ化率は達成できず、悲惨な状況になる
我が国の再エネは崩壊し、技術大国が世界の笑い者になる
(1)2030年頃には現在受付中の再エネが稼働し始める。
★★ 現在の2倍近い太陽光が稼働し始める ★★
(2) 太陽光の増加で日本全国一斉に、1年中、供給過剰になる
★★ 供給過剰で、連携線が機能しなくなる ★★
(3) 毎日出力抑制発動、再エネ崩壊
(4)30年の目標再エネ化率(36%~38%)は達成できず、
予想外の抑制率で発電業者は事業継承が困難になる。
(5)パネルローンの支払いが15年掛かるが、
ローン支払後は利益10パー確保が困難になる。
次 章 以 降 の 目 次
Ⅰ.再エネ制御の現状と、将来の課題等
(1)23年、24年抑制実績と抑制原因
(2)2040年目標達成に必要な再エネ制御対策
(3)理想的再エネ制御に必要な再エネ特性など
(4)日本列島、北から南まで一斉に供給過剰の時は、連携線は機能せず
(5)経産省の陰謀①「連携線容量拡大で抑制解消」
(6)経産省の陰謀②「海底ケーブルの連携線で抑制解消」
(7) 30年頃に、太陽光が原因で、正午近辺で、全国一斉供給過剰になる
(8) 全国一斉供給過剰になると、連携線機能せず
(9) 北海道から沖縄まで、日本列島は、11:30~12:30に一斉に、最大発電となる
(10)系統用蓄電池大量導入で、出力抑制は解消されるか?
Ⅱ.太陽光が原因の抑制完全解消策
(1)第2特性、「24時間均等放電で、南中時最大発電量が3分の1~4分の1に激減。」
(2)何故、24時間放電、その効果は?
(3)24時間放電の蓄電池容量はどの程度必要か?
(4)24時間均等放電で、一番得するのは電力会社
(5)HBBSコストは電力が増資対応で、その増資に系統用蓄電業者は投資
(6)24時間放電で自給率拡大
(7)原発稼働の電力会社に、HBBS費用負担義務化を‼
Ⅲ.大量稼働の洋上風力対策
(1)22年度の東北電力の稼働実績
(2)2030年頃の東北電力の稼働状況シミュレーション
(3)東北の全太陽光にHBBS導入時の2030年頃の東北の稼働状況
(4)35年頃に大量の洋上風力が稼働し始めた時の東北の稼働状況
(5)洋上風力稼働時期の、稼働環境
(6) 出力抑制未解決のまま、洋上風力稼働の場合
(7) HBBS導入で、出力抑制解消されていた場合
(8) 洋上風力の抑制解消対策
(9)洋上風力稼働をキッカケに水素社会の実現
Ⅳ.電気エネルギーの脱炭素化を実現
(1)太陽光と風力の年間の発電特性
(2)太陽光と風力だけで電力需要を満たすには!
(3)数日続く悪天候に耐える
(4)★ これがグリッド・ストレージだ ★
(5)脱炭素化を実現させる新系統制御室
Ⅴ.新エネルギーシステムを世界に展開
(1)24時間放電で自給率拡大
(2)大量稼働の洋上風力は発電、即、液化水素へ
(3)火力発電廃止後は、グリッドストレージ・システム構築へ
(4)日本の再エネ・システムを世界に展開
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