電灯契約のお客さんが消えて行く

 自由化とグリッド・パリティで電力会社の顧客離れが加速している
1.ガスの自由化でガス会社が
電力の顧客を奪い始めた

























2.ガス会社はどこまで東電の
顧客に食い込んでくるだろうか?
































3.太陽光発電が「電灯契約」の顧客を奪っていく





















4.グリッドパリティが
顧客を奪っていく



















5.産業用顧客も離れている
        東京ガスは、東電より月600〜1,000円安いメニューを発表した。
        昨年4月の自由化スタート時の値下げ率に比べると大幅値下げである。最近は、この程度の値
        下げは東京ガスだけでなくほかにも数社が発表しているが、東京ガスはガス器具点検と称し
        て家庭に直接はいり込んで、財布を握っている主婦を説得している。
        主婦にとっては、ハンコを押すだけで同じ電気を同じ品質で、同じ口座からの引き落としで
        毎月千円近く、年間で1万円も安くなるならと、喜んで即、その場で契約している。
        実にうまい売込方法である。
        既に511万件(2019/1末現在)契約したと電力広域的運営推進機関発表している。

                                                                                    (出典)東京ガスHPより

        東電も、逆にガスとのセットで宣伝しているが、価格面で見劣りするし、売込の点でも、社
        員が直接家庭に乗り込んで主婦に頭を下げるようなことはしていない。買いに来るのを待っ
        ているだけの営業のように見える。

        東京ガスの供給域は東電の供給域から山梨県と静岡県を除いた地域で、お客さま件数は
        11,398千件である。千葉県の松戸市近辺にガスを供給している京葉ガスがある。7月から電気
        の販売もするそうだ。お客さま件数は912千件である。東京ガスと併せると12,310千件で、東
        電の家庭用お客様の半数である。


        京葉ガスも東京ガスと同様に、ガス器具点検時に直接そこの主婦を説得するだろう。給与も
        年金も上がらない時節柄、同じ電気で品質もサービスも同じで、ハンコひとつで月千円も下
        がるならと、躊躇う事なく契約すると予想できる。
        家庭のお客さまが100万件減っても、4兆円の売上には2.5パーセント程度の影響しかないが、
        経常利益は1,000億円少なくなる。毎年5,000億円の経常利益を目標にしている東電にとって
        は致命傷である。

         家庭用太陽光発電の導入量が増えると、東電の電灯収入が減る。経常利益に大きく響く。
        理由①;太陽光の発電量が多い日も少ない日も、自己消費から先に消費する。その分、
                        東電の電気の 消費は減少する。



        理由②;現在稼働中の家庭用発電70万件の年間の料金収入減少分は
                            減少額 = 70万台 × 3.8kWh × 30円/kWh × 365日 = 291億2700万円
                                            3.8kWh は1台の一日当たりの自己消費量
                                            30円/kWh は従量電灯Bの3段目単価
                        将来家庭用の太陽光件数が2倍、3倍と増えると収入減少分も2倍、3倍と増え、
                        金額換算で年間1,000億円近くになるのもそう遠くはない。


        買取期間終了後の買取価格が電力会社の単価より安くなると、買取期間終了した家庭は、
        発電した分の殆どを自己消費するようになる。(「グリッドパリティ」の成立)

                減少額 = 70万台 × 18.0kWh × 24円/kWh × 365日 = 1,103億7600万円
                                18.0kWhは1台の一日の発電量から自己消費を除いた量
                                24円/kWhは従量電灯Bの平均単価
        2012年に開始したFIT認定制度開始前から買取制度を利用していた家庭は、19年に買取
        期間が終了する。(「2019年問題」)終了後の対応選択肢の一つとして、家庭用蓄電池を
        使用して、発電分すべてを自己消費することが流行しそうである。

        12年のFIT制度を利用した家庭用は、10年間の期間終了が22年から始まる。
        現在の家庭用FIT単価は28円/kWhであるが、29年度は24円/kWhが約束されている。30年
        度以降は22円以下になるが、24円以下になると、電力会社から電気を買うより自分で発
        電した分を消費する方が家計に有利となる。
        資源エネ庁は太陽光発電の総コストを30年までには7円/kWhになると予測している。ま
        た、蓄電池価格も、テスラ自動車は20年までに1キロワット時100ドルにすると発表して
        いる。(蓄電池パリティ)20年以降は戸建てのかなり多くのお客さんは電力会社の電気では
        なく自宅で発電し蓄電した電気を使う方向に切り替わるであろう。
        2兆円強の電灯収入の多くの部分を失うことになるだろう。

        顧客離れは電灯契約の「家庭」にとどまらす、電力契約の「産業用」にも拡大する。

        現在「産業用」の大口顧客はピーク需要を抑えるために蓄電池を使用しているところが
        多いが、「グリッド・パリティ」と「蓄電池パリティ」が実現すると本格的に顧客離れ
        が進む。工場の屋根には太陽光と蓄電池を設置し、本格的に離脱が始まるのは確実であ
        る。

        東電「新々総合特別事業計画」では毎年5,000億円利益確保を約束しているが、 「自由化
        の進展」「グリッドパリティ」「蓄電池パリティ」が大きく足を引っ張ると予想される。
        利益を出すどころか毎年赤字が続くであろう。数年後には赤字が貯まって2度目の倒産に
        なるのは間違いない。
        生き残るには、東電も早期に原発より安くなる太陽光発電を大量導入すべきである。


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