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太陽光発電の大量導入が難しい理由(タケノコシンドローム現象)

太陽光発電は太陽が真南に来た時に最大となる。
最大となると電力需要量を、太陽光の発電量が超過してしまう。
その超過量は、導入量に比例してどんどん成長する。
(タケノコシンドローム現象;弊社造語)
超過した量は、カットせざるを得ない。(出力抑制)

















































 
    
Ⅰ.知っておこう太陽光発電特性
    ❤❤  太陽光発電の特性を知らずして、導入するべからず  ❤❤❤  


(1)特性1; タケノコシンドローム現象

 太陽光発電の発電量は太陽が真南に来る南中時が最大の発電量となる。
 太陽光発電の導入量が増えると増えた分だけ、南中時の発電量が増える。決して横には広がらない。ただひたすら上に伸びるだけだ。増え続けると、需要と言う天井を突き抜けてしまう。まるでタケノコのようだ。タケノコは1日に30センチ伸びると言われている。(以下、タケノコシンドローム;弊社造語)
需要を超えると出力を抑制しなければならなくなる。抑制すると太陽光の大量導入は出来ない。大量導入が出来なければ、再エネ化率は頭打ちとなり、高い率は望めなくなる。コップに水がいっぱいになると、その後水を注いでもコップの水は増える事は出来ない。

タケノコシンドローム現象(図1.1)
                                  


(2)特性2;30パーセント、3倍特性

太陽光発電はその時の需要量を超えて発電する事は出来ない。(図1.2)のステップ1は閑散日の南中時の需要と、太陽光の南中時の発電量が一致した時の図である。その時の太陽光が一日に発電する量(緑色)は、閑散日一日の電力需要の約30パーセントとなる。その時の再エネ化率は30パーセントと言う。

        次に、小学校高学年程度の算数の問題に移ろう。
図1.2の需要曲線で囲まれた面積(         色に囲まれた部分)に等しい太陽光発電量はどのステップか?   
正解はステップ3の双曲線である。この双曲線の頂点は、需要曲線12時の需要量の2.5倍になっている。この発電曲線は晴天日の姿である。雨や曇りの時は、南中時の発電量はるかに少ない値である。弊社は、南中時の需要の約3倍の発電量が必要であると言っている。
一日の電力需要の全てを太陽光発電だけで賄うには、南中時の需要の3倍の発電量が必要である。

しかし、30パーセント以上に太陽光の発電量が増えると、出力抑制で発電禁止となる。それだのに、主力電源化しろと言っている。全く矛盾に満ちた要求である。従って、太陽光だけで主力電源化にするには、需要の2倍、3倍の太陽光発電を、出力抑制にならずに導入できるアイデアが必要である。世界中を見てもまだその技術は無い、しかし、弊社にはある。それがHBBS(後述)だ。            
        
                                                (図1.2)



(3)特性3;3~4分の一特性

晴天日の発電量をいったん蓄電池溜め、発電終了後に24時間かけて均等放電すると、1時間当たり放電量は南中時の最大発電量の3分の一から4分の一になる。夏至の頃は3分の一で、冬至の頃は4分の一に4なる。
(図1.3)は3種類の太陽光発電に対して、その一日分を24時間均等放電した時の放電量をグラフにしたものである。なお、発電量は夏至に近い日の発電実績であるため3分の一になっている。
一番少ない発電量ステップ1(白実線)の南中時の最大発電量は約2,500万kWh、24時間均等放電時の放電量は847万kWh(白点線)ステップ2(赤実線)の南中時の最大発電量は約7,922万kWh、24時間均等放電時の放電量は2,683万kWh(赤点線)ステップ3(黒実線)の南中時の最大発電量は約12,675万kWh、24時間均等放電時の放電量は4,294万kWh(黒点線)


                                                                        (図1.3)



(4)特性4;一日の発電量は365種類特性

一つの太陽光発電所の一日当たりの発電量は、1年間で365種類あると言っても過言では無い。つまり、日々の発電量はそれぞれ異なり、決して同じ量になることは殆ど無いと言う事である。
その発電量を多い順に並べると緩やかなS字曲線となる。(図1.4)

①出力抑制は発電量の多い日に発生する
地域全域が晴れの時は出力抑制になりやすい。全域が悪天気であれば出力抑制には成り難い。晴れの時は発電量も多くなるので、出力抑制は発電量の多い時に発生する確率が高い。したがって、出力抑制で売電収入がどれだけ減少したかを計算するとき、その点を考慮に入れておかなければならない。例えば、年間90回発電停止した時は、収入減は90÷360=25パーセント減ではなく、(図1.4)のグラフの左から90回と見たほうがいい。90の欄には38パーセントとなっている。38パーセント減の意味である。この38パーセントは最大値と考えるのが妥当であろう。

HBBS(後述)用の「最適一日の発電量」は、必ずしも最大値ではない
一日の発電量を蓄電池に溜める場合、全ての発電量をためる必要がある。従って、蓄電池の容量は最大発電量を収容できる必要がある。しかし、その最大発電量は1年に1回有るか無いような容量を準備することは、投資効率の観点から無駄である。
投資効果を最大にするには、売電収入と蓄電池価格やメインテナンス費用などを計算に入れて、最大値を見出す必要がある。

                        一日の発電量を降順に並べた図                     (図1.4)



 Ⅱ.風力発電には出力抑制は発生しないのか?

        風力は太陽光より出力抑制になる確率は大きい。

理由1.太陽光が供給過剰になると、共犯として風力も出力抑制の対象となる。

            太陽光が発電する昼間は風も必ず吹いている。風力が極めて少ない時もあ
            るが、風力の発電は僅かであっても存在している。
            現在東京では供給過剰にはなってないが、近いうちに導入を予定している
            太陽光のすべてが発電し始めると、ほぼ全日供給過剰になる。その時は風
            力も驚くほど導入されるので、太陽光に合わせて風力もほぼ毎日出力抑
            制の対象になる。(図1)

                                   太陽光が供給過剰になると風力も          (図1)
(図面をクリックすると拡大できます)


理由2.夜間、特に深夜は電力需要は昼の半分以下になる。しかし、深夜にも
               ベース電源は止まらないので、再エネの余地は少なくなる。(図2)
               それに反して、風力は昼より夜間のほうが強いことが多いで、発電量が
               多くなる傾向がある。
               
               図2は東京電力の2019年度の需給実績から、季節別時間別需要量を表示
               したものである。これを見ると需要が最大となる夏ピーク期の最大需要
               量は、15時ごろに発生した5543万kWhであった。その日の最低需要は、
               早朝の2971万kWhである。需要の少ない6月の最大需要は約4000万kWh
               であったが、最低はピーク日とさほど変わらない2590万kWhであった。
               5月ゴールデンウィーク期間は最大値がピーク日の半分以下である
               に、最低はピーク日より少し下回るだけだ。
               ここで言いたいことは、1年を通して最低需要は早朝時間帯に同程度の
               量であると言うことである。
               ところが、常に発電しているベース電源の発電量が2000万kWh程度あ
               る。昨年1年間の最低発電量は1355万kWhであった。
               そのベース電源の上に風力の発電が上乗せされるので、簡単に最低需要
               を超過することになる。

                                夜間は需要が少ない上にベース電源あり      (図2)
(図面をクリックすると拡大できます)




       

             Ⅲ.地政学的にも日本は出力抑制にかかり易い?


日本列島は南北に長いが東西には狭い。アメリカは東と西も、南も北も膨大な距離がある。東海岸のニューヨークと西海岸のサンフランシスコには時差が3時間もある。日本は東も西も時差が無く同じ時間である。日本は北から南まで一斉に12時に成るが、米国は3時間ずれて12時になる。日本では太陽光の南中時は東と西では±30分程度の差しかない。だから北から南まで太陽光発電は最大値になり、一斉に供給過剰になる。米国は3時間の差があるのでニューヨークは南中時で最大発電になっていても、サンフランシスコは午前9時で太陽光発電はやっと始まったばかりで最大値になっていない。まだ余裕があるので東の供給過剰分を引き受ける余裕がある。

また同じ時計を日本では使っているので、工場が一斉に稼働開始し、一斉に電気を使い始める。米国は3種類の時計が有るので、少しずつずれて開始する、米国は全土が同じ時刻にピーク時になる事は無い。

ヨーロッパもロシアからポルトガルまで含めると時差が8時間ぐらいあり、米国も連携が非常に有効になっている。日本は、海に囲まれた孤立無援の国で連携しあう相手がいない。すべて日本だけで解決しなければならない。日本は地政学的にも出力抑制になりやすいのだ。だから、日本独自にでもその対策を真剣に考えなければならない。
 
西洋かぶれの似非評論家とか、想像力欠如で肩書だけの大学教授などは、何かと海外の事例を語りたがるが、再生可能エネルギーに限っては、外国の事例は全く役に立たないと言う事を理解していない。例えば、出力抑制は米国やヨーロッパには発生しないと言う事を理解していない。彼らは再生可能エネルギーの基本を理解していないのである。全く、馬鹿げた無能な連中である。
 

Ⅳ.情けない我が国の出力抑制解消策


1.「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」の概要
 (1) 実証事業の目的
            本事業では、一般電気事業者の送変電設備に接続する形で大型蓄電池を設置し、需給バラ
            ンスを改善することで再生可能エネルギーの受入可能量を拡大するとともに、蓄電池の大
            容量性を活かした系統制御への適用の可能性等について実証を行う。
               当システムを「長周期対応システム」と呼ぶことにする。

 (2)導入システムの概要
                南中時の需要超過分を系統上に設置された蓄電池システムに保存し、夜間の需要に利用
                し、翌日の発電開始時刻までには空にしておく。(図2.6)
               秒単位での応答特性を持つ蓄電池であること、また適正稼働率におけるシステム効率が
             70%程度以上であること。


(1)長周期変動対応蓄電池

  東北電力 南相馬変電所                         九州電力 豊前変電所

                (2016/2/26運用開始)  8,500            (2016/3/3運用開始)  14,000

                出力 4kW 容量 4kWh                     出力 5万kW 容量 30kWh

                NAS  リチウムイオン電池                           NAS(ナトリウム硫黄)電池



                        (2)連携線


 


                  
Ⅴ.欧米には出力抑制は発生しているか?









最後までご精読ありがとうございます。ご質問、ご感想、反論等
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太陽光発電の特性

特性Ⅰ.タケノコシンドローム
        太陽光の発電量は、導入量に合わせて
       上へ上へと伸びる。
        決して、横には広がらない。

特性Ⅱ.3倍特性
        一日の電力需要の全てを太陽光発電だ
        けで賄うには、南中時の需要の3倍の発
        電量が必要である。
        雨天、曇天を考慮すると4倍、5倍が必
        要となる。    
        夏場と冬場の発電量の違いも考慮すべ
        きである。


特性Ⅲ.4分の一特性
        晴天日の発電量を24時間かけて放電す
        ると、1時間当たり放電量は南中時の発
        電量の3分の一から4分の一になる。
        夏至の頃は3分の一で、冬至の頃は4分
        の一になる。




「出力抑制」は再エネ先進国であるドイツにはいまだ問題として発生していない。理由は、太陽光発電の全電力需要に対する比率が極めて少ないからで、比率が高まればドイツにも発生する可能性はある。
日本は、再エネの中でも太陽光発電の比率が極めて高く、真っ先に問題として発生した。
日本は世界に先駆けて「出力抑制」の問題を解決しなければならない。再エネ先進国だけ見ていては解決できない問題である。
ドイツのような国も、将来太陽光が増えると必ず発生する問題である。
「出力抑制」の問題を世界に先駆けて解決しておけば、日本の技術力を世界にアピールできる最高のチャンスである。






                

風が強くなれば発電量は制限なく増えるか?
        答えはNOである。風速25メートルまでは順調に発電量は増えるが、それ以上強くなる
        と、風車破壊の危険性から発電は停止する。最大発電量は風速25メートルの時となる。
        しかし、供給域内の全風力発電が一斉に最大発電になり、その発電量が需要を超す場合
        には、出力抑制が必要になることは在り得る。出力抑制は24時間の内のどの時間かは、
        分からない。
        全くの風任せである。

        図2は、日本で風力発電導入量が最大の東北の2017年5月の8日間の実績である。
        これを見ると風力発電には太陽光のような南中時がないことが分かる。また設備容量は、                1,046MWあるのに、通常は0~200MW程度の発電しか無く、最大でも600MWとなって
        いる。

                                                                                                            (図2)
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