(1)タケノコシンドローム現象 (2)再エネ化率を高めるには (3)風力発電には 出力抑制は発生しないのか? | 太陽光発電の発電量は太陽が真南に来る南中時が最大の発電量となる。 太陽光発電の導入量が増えると増えた分だけ、南中時の発電量が増える。 決して横には広がらない。ただひたすら上に伸びるだけだ。増え続けると、需要と言う 天井を突き抜けてしまう。(以下、タケノコシンドローム)需要を超えると出力を抑制 しなければならない。抑制すると太陽光の大量導入は出来ない。大量導入が出来なけれ ば、再エネ化率は頭打ちとなり、高い率は望めなくなる。 南中時の発電量がPV導入容量に比例して伸びるタケノコシンドローム現象 次に、小学校高学年程度の算数の問題に移ろう。 図1.1の需要曲線で囲まれた面積( 色に囲まれた部分)に等しい太陽光発電量はど のステップか? 正解はステップ3の双曲線である。この双曲線の頂点は、需要曲線12時の需要量の2.5 倍になっている。 この発電曲線は晴天日の姿である。雨や曇りの時は、南中時の発電量はるかに少ない値 である。 1か月間が晴天続きということは在り得ない。1年間で見ると梅雨の時や大雪の日もあ るので、南中時の平均的発電量は半分程度となる。実際の気象条件を考慮に入れて、年 間の太陽光発電量を年間の需要量と等しくするためには、太陽光発電の容量は、南中時 の需要量の4〜5倍程度でなければならない。(地域によって異なる) 4〜5倍程度の太陽光発電の導入が出来なければ、太陽光だけで高い再エネ化率は達成 できない。 風が強くなれば発電量は制限なく増えるか? 答えはNOである。風速25メートルまでは順調に発電量は増えるが、それ以上強くなる と、風車破壊の危険性から発電は停止する。最大発電量は風速25メートルの時となる。 しかし、供給域内の全風力発電が一斉に最大発電になり、その発電量が需要を超す場合 には、出力抑制が必要になることは在り得る。出力抑制は24時間の内のどの時間かは、 分からない。 全くの風任せである。 図2は、日本で風力発電導入量が最大の東北の2017年5月の8日間の実績である。 これを見ると風力発電には太陽光のような南中時がないことが分かる。また設備容量は、 1,046MWあるのに、通常は0~200MW程度の発電しか無く、最大でも600MWとなって いる。 (図2) | 太陽光発電の特性 特性Ⅰ.タケノコシンドローム 太陽光の発電量は、導入量に合わせて 上へ上へと伸びる。 決して、横には広がらない。 特性Ⅱ.3倍特性 一日の電力需要の全てを太陽光発電だ けで賄うには、南中時の需要の3倍の発 電量が必要である。 雨天、曇天を考慮すると4倍、5倍が必 要となる。 夏場と冬場の発電量の違いも考慮すべ きである。 特性Ⅲ.4分の一特性 晴天日の発電量を24時間かけて放電す ると、1時間当たり放電量は南中時の発 電量の3分の一から4分の一になる。 夏至の頃は3分の一で、冬至の頃は4分 の一になる。 「出力抑制」は再エネ先進国であるドイツにはいまだ問題として発生していない。理由は、太陽光発電の全電力需要に対する比率が極めて少ないからで、比率が高まればドイツにも発生する可能性はある。 日本は、再エネの中でも太陽光発電の比率が極めて高く、真っ先に問題として発生した。 日本は世界に先駆けて「出力抑制」の問題を解決しなければならない。再エネ先進国だけ見ていては解決できない問題である。 ドイツのような国も、将来太陽光が増えると必ず発生する問題である。 「出力抑制」の問題を世界に先駆けて解決しておけば、日本の技術力を世界にアピールできる最高のチャンスである。 |
何故困難 >