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[2020/12/14]   東京がクシャミしたら、東北が寝込んでしまった。再エネ主力電源化の話                                                                                 
                                                       東京電力の年間電力需要は東北の4倍近い。                                                                       
しかし、東京は全原発停止のため発電力不足に陥っている。
その不足分は年間需要の10%強であるが、その殆どを東北から補充している。
東北にとって東京に供給している量は、東北の全発電量の40%弱を占めている。
別の見方をすると、東北は40%近くも供給過剰であるにもかかわらず、
日本一の再エネ化率を達成し、しかも、まったく出力抑制が発生していない。
同じような環境の九州電力は、年間100回近くも出力抑制が実施されている。
東北は恵まれていた。
しかし、その恵みも、終わりに近づいた。
東京のクシャミで、東北が重傷で寝込んでしまう。
それは、何故か?


Ⅰ.東京電力の現状

(1)そろそろ近づいた出力抑制(2020年5月GWの東京電力の発電状況)

1年のうち最も電力需要の少ない2020年ゴールデン・ウィーク期間に東京電力の発電状況は、供給過剰直前の状態であった。
(図1.1)は2020年5月1日から7日までの発電状況である。これを見ると、太陽光発電が多い日の昼間は需要ラインぎりぎりに達していることが分かる。実は、東北からの連携線経由で供給される分だけ供給過剰となるので、その分だけ揚水動力を働かせて同時同量を達成しているのである。
しかし、東京は夜間に供給力不足となるため、東北からの供給を充てているが、それでも少し足りないので揚水発電を働かせている。

                                                                                (図1.1)


(2)東京電力と東北電力間の依存関係

①東京電力の2019年度の稼働実績
東京は全ての原発が停止中であるため、年間を通して供給力が不足している。不足分の殆どは東北から補っている。
(図1.2)は2019年度の東京電力需給実績を月別に集計したものである。
右端の連携線の欄の数字がの場合は、外部から補給していることを意味し、
マイナスの場合は供給過剰のため他社に送り出していることを意味する。
2019年度は外部から3,11億4,016万kwh(需要の11.0%に相当)を補強しているのが分かる。
また、月毎に同時同量が成り立っている。同時同量とは、
                    エリア需要=(原子力+・・+揚水+連携線)
を意味する。瞬時瞬時に成り立てば、月間も年間も成り立つのは当然である。

  (図1.2)


②東北電力の2019年度稼働状況
東京の単位は万kWhだが、東北はMWhであることにご注意ください。オリジナルデーターに忠実に表示してます。
ピーク月は東京が夏で東北は冬という違いがあるが、年間発電量は東京は東北の4倍近い量である。
連携線の欄がマイナスになっているので、供給過剰のため外に放り出していることを意味する。その量は、2019年度は2,925万6,647MWhを外部に放出し、全発電の40パーセント近くとなる。
そのほとんどが東京に送られていることは、 (図1.4)で説明する。
  (図1.3)


③電力9社間で同時同量が成り立っている
  (図1.4)は電力9社別に2019年の1年間に連携線を使用した量である。
これを見ると東北は外部へ送った量29,256万kWhの内1,779万kWhは北海道に送られ、残りは東京に送られた。東京は年間31,140万kWh不足していたが、その内27,477万kWhを東北から、残り3.663万kWhは中部から補給した。(以下省略)
  (図1.4)

同時同量を成立させるために、前日のうちに電力取引所で取引される。
供給過剰と思われる場合は、前日のうちに過剰分を引き受けてくれるところを取引所で探しておかなければならない。引き受け手がなければ、過剰にならないよう、発生元で出力抑制処理をすることになる
数年後には再エネの主力電源化と言う事で太陽光発電の大量導入が進み、南中時に一斉に供給過剰になる。その時は全電力会社ごとに抑制処理をしなければならなくなる。供給過剰になる頻度年間200日以上と驚くべき頻度である。
悲しむべきは、一斉に供給過剰になる対策は、経産省も電力会社も全く考えていない。日本の悲劇はそこから生まれる。



Ⅱ.来年春先には、東電も発電停止命令発動か?
 
(1)東京電力の再エネは、数年先に4倍近くになる。
東京電力の9月の受付状況(図2.1)の通りであるが、その中でも数年内に稼働確率が高いのは承認済分であるが、その量は太陽光は現在稼働中の量に近い。風力は10倍強の量である。承認済が稼働した後数年内に検討申込分がさらに増加した量で稼働する。

                                                                      (図2.1)
 
 (2)承認済が稼働すると本格的出力抑制が始まる。               
東京電力「不滅の伝説」もいよいよオシマイ

承認済みの太陽光が発電し始めると、太陽光だけで2,500万kWになり、現在と同様に東北からの連携線で送り込んでくる分も取り込めば、天気のいい日の昼間は、出力抑制が必要となる。 (図2.2)の中の白色部分は出力抑制となったことを意味している。7日間の内5日は出力抑制が必要となった。
夜間は風力が400万kW程度であるため、供給過剰にはならない。夜間は東北からの補給が必要である。
この出力抑制は、早ければ21年5月と思われる。

                            承認済み稼働後は出力抑制が必要となる   (図2.2)

 

 (3)昼間の供給過剰解消は、太陽光を止めるか?連携線を止めるか?
福島県と新潟県の特殊事情

 福島県と新潟県は東北電力の供給域であるので、その地域の再エネは無条件に東北電力の系統に接続せざるを得なかった。
しかし、両県には原発があるが、10年近く稼働していない。原発専用の高圧の送電線も全く使用されていない。
一方、東北は震災復興を願って盛んに再エネが導入されており、現在では日本一の再エネ化率も達成してる。また未稼働案件も多く、系統容量が不足状態にある。因みに、19年12月時点の県別再エネ受付量で1位が茨城県566万kW、2位が福島県515万kW、3位が北海道414万kW、4位が千葉県380万kW、5位が兵庫県348万kWとなっている。
そこで、対策として新再エネのうち新潟と福島に設置する業者は、東北か東京の系統を選択できるようになった。福島にあっても東京の系統に接続する場合は、東京の同時同量に従うことになる。従って、東京が供給過剰になると東京の系統に接続した再エネは出力抑制の対象になる。
東京が過剰になった原因は東北の過剰分を引き受けたからであるのに、東京電力に接続の発電所を止めて、東北に接続した発電所は生かすことになる。
東電は自分のお客は蔑ろにして、他所のお客を大切にすることになる。このやり方では、東京のお客の不満が強くなるのは当然である。
東京にとってのベストの対策は、東北からの連携線を昼間だけ受け付けないで、東京の発電所を優遇すべきである。

(4)昼の連携を止めれば、東京の供給過剰は解消できる。
  (図2.3)は太陽光が発電する時間帯は、東北からの送り込みを受け付けなかった場合の稼働図である。昼間の黒実線の連携線がゼロになっている。(白矢印の先)夜間は300万kWh前後が送り込まれている。
太陽光の発電に対して出力抑制が発生していないことも分かる。

                           昼間は東北からの連携線利用は停止する     (図2.3)

 承認済が稼働する時は、昼間だけ東北からの送り込み停止で出力抑制は回避できるが、さらにその数年後の検討申込分が稼働し始めるときは、昼も夜も東北からの送り込みを停止しても東京は出力抑制となってしまう。


Ⅲ.昼の連携無しで、東北が受ける影響は?

(1)現在、東北の再エネ受付状況
東京が昼間の東北からの送り込みを受け付けなかった場合、東北が被る影響はどれだけあるか?
そのシミュレーション前に、東北の現在稼働中と将来導入予定量を見てみよう。
現在稼働している量は合計で1,686万kW、東京の2,415万kWについで日本で2番目に多い。3番目は1,402万kWの九州である。東北の内訳は太陽光が620万kW、バイオが548万kW、水力が329万kW、地熱が27万kWとなっている。東北は太陽光の比率が33.8%と日本で一番少ない。ちなみに一番多いのは九州の71.2%で東北の2倍である。
既に承認されている量は太陽光が535万kW、風力が649万kW、その他が101万kWとなっている。全部稼働すると1,285万kWが追加され、現在稼働中容量の1.8倍となる。
承認に至っていないが検討が申し込まれているものの中で最大は風力で1,792万KWもある。すべてが導入されると風力は現稼働中の14.7倍、2,603万kWとなり
太陽光の2倍近くとなる。
                                                                        (図3.1)


(2)承認済が稼働した場合
東北にとって、送り出しが出来なくなった場合どの程度のインパクトを受けるか?
確実に導入が見込まれる承認済分は、3年の期限内に稼働し始めるので、それが稼働し始めるGW期間はどの程度の影響かをシミュレートした。(図3.2)
承認済みの量は、太陽光+535万kW、風力+649万kW、バイオ+87万kW、地熱+7万kW、水力+7万kWである。
出力抑制の方法は現在九州で行われている方式を採用した。
九州方式は、前日午前の天気予報を使用して、需要予測や再エネの発電予測を行い、出力抑制の必要性も計算し、夕方には該当発電所に発電停止を連絡している。多くの予測のもとに系統を制御しているので予測結果に対する信頼度が問題になる。そこで九州では、安全性を考慮して、停止すべき発電所が100件でも、148件を停止させている。従って、実際の発電量より抑制のほうが多いという珍現象が出ている。
(図3.2)5月GW期間の7日間の東北電力の稼働をシミュレーションし、グラフ化したものである。7日間の全日が供給過剰となり、出力抑制が頻発する。抑制率は90%以上となる。まさに、東京のクシャミだけで、東北は瀕死の重傷だ。


                 東北は昼は地獄、夜は稼ぎ時              (図3.2)


(3)半年間の稼働シミュレーション
需要の少ないGW期間は瀕死の重傷になったが、他の日はどうなるか?

①2020年4月から9月までの稼働実績を使用して、承認済が稼働した時の容量で再エネを発電させ、昼間は東京に送電しない形で稼働状況を計算した。
(10月以降は2020年度の実績がないため計算してません)

シミュレーション結果(図3.3
①再エネ化率は51.8%になる。半分は水力発電と地熱とバイオの貢献である。
②半年間で135回センター停止、個別発電所は60.2回停止させられる。(図3.4
③太陽光発電所の半年間の売電収入は49%の減収、風力発電は30%の減収となる。太陽光の発電業者の大半は倒産の確率が高い。風力も予定収入が30%減収するので経営は苦しくなる。
                                              (図3.3

④センター停止回数と個別発電所の停止回数。
4月~6月はほぼ毎日センターから停止命令が出される。
7月~9月は夏で需要が多いため、停止回数がやや少なく、3日に2日の停止なる。
個別発電所の停止回数は、昼間しか停止しないので太陽光と風力は同じ回数で、4月は16.4回、5月は17.8回、6月は10.3回の停止となった。
この停止により太陽光発電所は年間の売電収入を約半減するため、倒産の危機に突入する。屍ゴロゴロの状態になる。

                                         (図3.4





Ⅳ.東北で、検討申込の全てが稼働した時

今から2~3年内に承認済が稼働し、その後、現在検討申込の全て2,323万kWが稼働する。その時、現稼働中の3.1倍となるが、東北の稼働状況はどうなるか。

5~6年先に、東北を含めた9電力承認済と更に検討申込の全てが稼働し始めているとしたら、9電力の再エネ容量は現在の2倍、28,000万kWになっている。内訳は、太陽光が現在の1.9倍で11,000万kW、風力が現在の25.1倍の11,300万kWとなる。これだけが稼働し始めると、9電力中関電以外の8電力が、昼も夜も供給過剰になる。詳細は
をご参照ください。

5~6年先に対する新たな問題は、日本全域が供給過剰になることを、経産省も電力会社も再エネ機器メーカーも、もちろん発電業者たちも全く意識していないことだ。
意識していないから、対策も技術も、その影響度合も、何ら考えられていない。

全国が供給過剰になると、過剰分を引き受けるところが無くなるので、連携線で連携する意味が全く無くなる。従って、供給過剰時は自社内で、火力等の出力をぎりぎりまで下げ、揚水動力を目いっぱい働かせ、最終的には出力抑制頻発とならざるを得ない。また、風力発電が25倍も増えると、夜の発電禁止が激増する。連日、昼も夜も狂気じみた発電禁止状態となる。

最悪は、全国が供給過剰になった時、まさか全発電業者が倒産に陥るほどになると、誰も考えようとしていない。

それでは、全国が供給過剰になった時、東北の影響度をシミュレーションする。
(図4.1)と(図4.2)は2019年度の東北電力需給実績を使用したシミュレーション結果である。

シミュレーション結果(図4.1
現稼働中の3.1倍を導入しても、再エネ化率は54.3%にしかならない。
    出力抑制が出始めた後、さらに再エネ導入を行っても、抑制として捨てられる
    だけだという弊社の主張が実証されただけである。
②年間で340回出力停止、個別太陽光発電所は206.7回、風力発電は314.1回停止
    させられる。(図4.2
③太陽光発電所の年間売電収入は76%の減収、風力発電も86%の減収となる。



    まさに東北は、発電業者の屍累々の状態になるが、悲しむべきは、
    電力会社は何ら腹を痛めないので無関心
    経産省は原発が見直されるチャンスと捉え、対策は一切取らない。

(図4.1


                        (図4.2





Ⅴ.救いの手はこれしかない

21世紀のコロンブスの卵、HBBSが供給過剰を解消




結論から先に


(1)太陽光だけにHBBSを適応で、5月GWの供給過剰完全解消
(図3.2)の稼働は(図5.1)に変化した。両図を比較しながら説明する。
太陽光の釣鐘状の発電は、翌日ゼロ時から24時間均等の放電になり、供給過剰
    は大幅に改善可能となる。(タケノコシンドロームの解消)
  (図5.1)の下部の薄青が、前日発電し蓄電した電気をHBBSからの放電である。
当日の発電実績値から翌日の時間当たり放電量を算出するので、放電日の天気
    の激変の影響を受けることはない。
前日に翌日の稼働計画作成時に、需要予測に対して太陽光の放電量を組込むの       で、火力発電の最低出力を思いっきり下げる事が出来る。
水力も流水式以外は必要な分だけ発電を止める事も行う。
昼、東京へ送れない分は揚水動力をフルに回転させる。また、東北地区にある
    J-Power社の全揚水動力も使用する。
風力にはHBBSは適応しないが、太陽光の効果による影響で風力も抑制が少な
    くなる。

                                                                            (図5.1


(2)年間の再エネ化率も73.7% 達成、しかも出力抑制完全解消

★年間通して太陽光の出力抑制は解消する。                                                               太陽光発電業界は、出力抑制で解消した分を、12円/kWhで計算すると1兆4千
   億円の収入増、減価償却期間   17年間で23.9兆円収入増となる。(HBBS投資  
コスト以上の効果が出る)                                                                               
★風力発電の場合、出力抑制減少で増加する発電量は6,442GWhである。             
    36円/kWh とすると年間2,319億円増加し、17年間にすると3兆9千億円の収入増
   となる。風力発電はHBBSに投資しないのに、太陽光のお零れを貰って収入が増
えるのは、驚きだ。                                                                                             
                                                                                        
 再エネ化率が増えた分だけ火力の出力が減少した。                                            
    東北の場合、13,379GWh減少した。減少した分を燃料費で換算する。火力発電
    の場合使用する燃料で単価大きく異なる。石油の場合約30円以上、天然ガス
   は13.7円程度、石炭は12.3円程度と大きく異なるが、ここでは平均値21.0円を採用する。                                                                                          
   21.0円で計算すると燃料費は2,810憶円減少する。減少分は経常利益に直接反映
出来る。                                                                                                               
   東北の経常利益は震災以降暫く赤字で苦しんだが2年後から黒字に転換し、2015年に最高の1,199億円を達成したが、その後5年間は右肩下がりで2019年度は  
    550億円しか達成出来ていない。そんな経営環境で、2,810億円利益が増えると 
    となれば、 普通の経営感覚の経営者なら飛びつくはずだが、なかなか決断しな     いのは、東北の地域性か?                                                                                     
   しかも、HBBSの投資は電力会社ではなく太陽光発電業者であり、電力会社に
   とっては系統増設費用が少なくなることや、予測や出力抑制に絡んだ事務処理
    コストが少なくなる等、コスト面でも大いに効果があるにも関わらず何ら電力
   トップは動こうとしない。彼らの頭の中は、原発再稼働で一杯で他のことを考
    える余裕はないのだろう。情けない。                                                                       
                                                                                                                   (図5.7



Ⅵ.技術解説


(1)出力抑制の真犯人はタケノコシンドローム


タケノコシンドロームとは

太陽光発電(以下太陽光)の導入量が増えると、太陽が真南に来る南中時の発電量が上へ上へとどんどん増える。 (図6.1)その現象を「タケノコシンドローム」(弊社造語)と言う。
まるでタケノコが成長するかのようである。
成長したタケノコは閑散日の電力需要も、平均日の需要も、最終的にはピーク日の需要も、軽く越してしまう。
タケノコの頭が平均日の南中時需要量と同じになった時、一日の発電量と同日の電力需要量の比率は30パー程度となる。それを再エネ化率30パーという。30パーを超えて発電しても、供給過剰となり、発電したものは捨てざるを得ない。従って太陽光だけで30パーを超えることはあり得ない。つまり、再エネの主力電源化は太陽光だけでは不可能である。
不幸なことに、太陽光の下に原発や水力またはバイオなどが流れると、太陽光は底上げされるので、30パー以下でも供給過剰になる。その現象は九州電力でしっかりと現れている。

                                                                                (図6.1


②知っておきたい「太陽光の4分の一特性」

    太陽光の一日の発電量の合計値を蓄電池にため終わった後、24時間かけて均等放電するとした場合、時間当たりの放電量は晴天日の南中時最大発電量の3分の一から4分の一になる。3分の一は一日の発電量が最大となる夏至の頃で、4分の一は発電量の少ない冬至の頃である。

この特性をうまく利用すると、いろいろな面で効果が出る。詳細は次章で説明する。

    その他の太陽光について知っておかなければならない特性があるが、紙面の都合で割愛します。是非、下記のサイトをアクセスしてください。

    知っておこう太陽光発電の特性を



(2)21世紀のコロンブスの卵
「ハイブリットバッテリーシステム(HBBS)」


「誰でも西へ航海すればアメリカ大陸に行き当たるのだから、アメリカ大陸の発
見は大した業績ではない」と言われたコロンブスは、相手にを立ててみろと応じた。                                                                                                  
  太陽光発電は導入量が増えると上へ上へと伸び、平均日の需要も、ピーク日の需要も越えて、供給過剰となり超過部分を切り捨てざるを得なくなる。切り捨てるために悲劇が生じる。                                                                             
令和のコロンブスは、縦に伸びるタケノコを横に寝かせた。横にしたら何も問題が無くなった。皆が気付かなかっただけのこと。ただそれだけのこと。

HBBSのシステム構成
(図6.2)はHBBSのシステム構成の図である。
1つの太陽光発電装置に、1組の蓄電池を接続させる。
1組とは任意の数の蓄電池で構成され、接続された発電装置の一日当たりの発電量を収容出来る容量が必要である。

蓄電は発電装置で発電したものを、直接電力系統に送電せず、一旦、蓄電する。
放電は、前日に発電した量をその翌日の午前ゼロ時から、24分の一づつ均等に24時間かけて放電する。
24時間均等放電すると、時間当たり放電量が南中時の最大出力の3分の一から4分の一の高さになる。
放電開始時刻は、翌日の系統制御開始時刻(通常は午前ゼロ)で、終了時刻はその24時間後になる。   (注)自己消費を行う発電装置には適応できません。
翌日、前日分を24時間かけて放電するので、翌日の発電に対する蓄電と前日の放電が重なることになる。ハイブリッドの言葉を使用した理由がそこにある。

特に重要なポイントは、毎日決まった時間に中央給電指令室(センター)にその日の発電量を知らせる。センターではその発電量を使用して翌日の系統制御計画を作成する。これによりセンターではHBBSを使用している太陽光発電に対する発電量予測は不要となる。
(注)20年9月14日現在ではHBBSはいまだ製品化されていません。製品化に乗り出すメーカーを募集してます。
                                                        (図6.2


②HBBSのもたらす効果

効果①南中時の最大発電量が3分の一から4分の一になる事の効果が大である。
           ★太陽光発電は需要を超過することが極めて少なくなる。
           ★HBBSを適応しない風力まで効果がある。すなわち、太陽光の合計値は
               昼の需要超過が減少する。
           ★系統接続電圧大幅減で、系統容量増設に等しい効果がでる
                ●電力会社は太陽光のための系統増設コストを軽減出る
                ●発電業者は系統接続工事負担金が大幅減となる
           ★天気に左右される問題が、HBBS使用で大幅減となる
                ●快晴と豪雨時の南中時の発電量の差がHBBS使用で少なくなる
                ●前日発電分を翌日放電するので、その日の天気の変化は影響受け無い              
効果②発電終了時にその日の発電量を知らせるので、センター側で太陽光の発電
           予測が不要となる。
           ★センター側は予測業務の不用化で、予測業務コスト削減
           ★発電予測信頼度の不安からくる対応が不要となる
                    ⇒出力抑制時に、多目に(48%増し)太陽光発電所を止めている

効果③一日での太陽光発電量急増、急減に対応せる火力発電操作が不要となる。
   (図6.3
           ★待機発電の減少(火力発電は完全停止せず空焚きで待機している)
           ★太陽光の急変が皆無のため、火力の最低出力を大きく下げる事が可能と
              なる。(HBBSの隠味)
                      ⇒下げた分で、再エネの導入量を拡大できる
                                                                        (図6.3


効果④出力抑制対応の業務不要となり、センター運用コスト大幅減となる。
           ★抑制予測、停止通知、抑制履歴管理等のセンター業務から解放される
           ★発電業者にとっては予測可能な発電の安定収入となる

効果⑤再エネの中でも導入・運用コストが最低の太陽光大量導入が可能となる。
           ★発電業者の倒産無しで、再エネの主力電源化を実現、更なる拡大が可能
           ★「カーボンニュートラル」実現に避けて通れない道となる

効果⑥HBBSを使用した発電所は、使用しない発電所より高利益が得られる。


令和のコロンブスは縦に伸びる太陽光を
横に寝かせただけのものである。



(3)風力発電は太陽光より出力抑制になりやすい

理由1.太陽光が供給過剰になると、共犯として風力も出力抑制の対象となる。

            太陽光が発電する昼間は風も必ず吹いている。風力が極めて少ない時もあ
            るが、風力の発電は僅かであっても存在している。
            現在東京では供給過剰にはなってないが、近いうちに導入を予定している
            太陽光のすべてが発電し始めると、ほぼ全日供給過剰になる。その時は風
            力も驚くほど導入されるので、太陽光に合わせて風力もほぼ毎日出力抑
            制の対象になる。(図1)

                                   太陽光が供給過剰になると風力も          (図1)
(図面をクリックすると拡大できます)


理由2.夜間、特に深夜は電力需要は昼の半分以下になる。しかし、深夜にも
               ベース電源は止まらないので、再エネの余地は少なくなる。(図2)
               それに反して、風力は昼より夜間のほうが強いことが多いで、発電量が
               多くなる傾向がある。
               
               図2は東京電力の2019年度の需給実績から、季節別時間別需要量を表示
               したものである。これを見ると需要が最大となる夏ピーク期の最大需要
               量は、15時ごろに発生した5543万kWhであった。その日の最低需要は、
               早朝の2971万kWhである。需要の少ない6月の最大需要は約4000万kWh
               であったが、最低はピーク日とさほど変わらない2590万kWhであった。
               5月ゴールデンウィーク期間は最大値がピーク日の半分以下である
               に、最低はピーク日より少し下回るだけだ。
               ここで言いたいことは、1年を通して最低需要は早朝時間帯に同程度の
               量であると言うことである。
               ところが、常に発電しているベース電源の発電量が2000万kWh程度あ
               る。昨年1年間の最低発電量は1355万kWhであった。
               そのベース電源の上に風力の発電が上乗せされるので、簡単に最低需要
               を超過することになる。

                                夜間は需要が少ない上にベース電源あり      (図2)






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