太陽光発電導入に比例して

バックアップ電源も増やすのか?

太陽光発電導入量が増えると、

使用頻度の低いバックアップ電源が増え、

天気の急変に対応させるための火力発電機の空焚きが増える。

だから、太陽光発電や蓄電池のコストが安くなっても全体としてのコストは下がらない。

・・・・ と言って電力会社は再エネ推進に反対している。

電力会社の主張は本当に正しいのか?

        1.バックアップ電源とは?空焚きとは?


まずはバックアップ電源の定義から始めよう。

        「太陽光発電が発電しているときは不必要だが、発電していないときに発電する電源」と定義する。揚水発電でも他電力連携でも火力でも水力でも原子力でもよい。

        次に「空焚き」は、急に立ち上げることが出来ない火力発電装置を、発電命令が出たら

        すぐに発電できる状態で待機させることを言う。車のエンジンをかけた状態で発車を待っている状態と同じである。実発電量が予測発電量より少ない場合に、不足分を待機している発電装置の発電で補う。

        

2.発電実績


実際の発電実績を見て、どの程度バックアップ電源が必要であるかを調べてみる。

        東京電力の昨年1年の実績グラフでは分かりにくいので10月と11月の2か月分だけを抜き出したグラフは下図である。

        昨年1年の実績グラフはヨーロッパ人は傘を差さない。何故?   を参照ください。

        発電実績(下図) を見ると、発電量の多い日は一日当り30GWh以上有るが、極端に少ない日は10分の一以下で、3GWh未満の発電量である。少ない日は、30GWh程度をバックアップ電源に頼るしかない。(東京電力の場合、一日当りの総発電量は600〜800GWhであるで、太陽光発電の占める率は最大発電日で5パーセントから6パーセントの占有率である)

(出典)東京電力HPより発電実績をローディングして作成


3.フランスの発電実績


        降水量が少なく穏やかな気候のフランスの太陽光発電実績(下図)と比較してみよう。

        東京と同じ10月と11月を見ると、フランスでは発電量が極端に少ない日は無かった。

        フランスでは傾向値に近似した変動だけである。

        従ってフランスではバックアップ電源の必要性は感じない。

        (フランス電力はフランス全土に電気を供給しているので、一日当りの総発電量は2000GWh以上である。太陽光発電の占める率は最大発電日で1パーセント以下の占有率であるので太陽光発電量が少々ぶれても無視できる。またフランスには陸続きの隣国が7か国もあり送電線で密に連携されており、毎日大量の電力が相互に連携している。太陽光発電が急減しても隣国から簡単に支援してもらえる環境にある)


4.天気実績


        10月の東京電力供給域の天気はどうだったのか?

        気象庁の「過去の天気実績」から、天気を観測している気象台8ヶ所の正午の天気を調査した。8ヶ所とは静岡の三島市、山梨県の甲府市、東京、埼玉県の熊谷市、千葉県の銚子市、茨城県の水戸市、栃木県の宇都宮市、群馬県の前橋市である。(正午に天気観測をしていない熊谷、水戸、宇都宮の3ヶ所は15時観測のデータを使用した)

極端に少なかった10月3日、17日、28日の天気は殆どの気象台が雨を観測している。

快晴又は晴の多い日の12日、15日、20日、24日、26日は発電量は多かった。

        結論 : 全域が雨のため発電量が殆ど無い日が月数回はあるため、バックアップ電源は必須である。太陽光発電と同じ容量の発電機が必要である。

フランスでは全国が一日中雨のため発電が殆ど無いということは発生していない。

                    従って、フランスではバックアップ電源は必要ない。



  5.空だきの必要性


        瞬時瞬時に「同時同量」を守る上で、予測と実績に差が有ると調整機能を働かせなければならない。予測が実績より多い場合は待機中発電機を稼働させる。逆に少ない場合は稼働中発電機の下げ代機能を働かせて出力を下げる。。

      10月と11月の2ヶ月の予測と実発電の差分を時間別に並べると下図になる。

        2か月間で予測が実発電より多かった最大値は2.8GWで50万kWの発電機6台を急に稼働開始した。逆のケースも2.8GW少なかった。発電機5台を急遽停止した。


(出典)東京電力HPより発電実績をローディングして作成

        太陽光発電導入量が増えると予測誤差値も大きくなる。その誤差を調整する発電機の台数も多くなる。空焚き発電機の容量も同様に増やさなければならない。

しかし、弊社の

太陽光発電保障システム(PVSS)

を使用すると、

バックアップ電源も空焚きも不要となる。



不要となる理由(1)

実発電量から翌日の計画作成

稼働日前日に発電した発電実績から24時間放電量を計算し、翌日の予測需要量から放電量の差分を求めて、翌日の稼働計画作成処理に渡す。

       翌日の稼働では、太陽光発電は予測ではなく昨日の実績から作成されているので、予測誤差が発生する理由は全くない。

        誤差が全く無いため、待機発電や空焚きは全く不必要となる。



不要となる理由(2)

給電保障機能が保障値通りの給電を行う

        事前に約束(保障)した値と、実発電量の差分を調整して保障値に一致させて放電する。

        事前に決めた保障値通りに給電した結果、下図のようになる。

日々の発電量が保障値を超過しているときは超過分をグリッド・ストレッジに保存する、逆の場合はグリッド・ストレッジから補給する。

        発電量が極端に少なかった10月3日、17日、28日、11月19日、24日も20GWが給電されているのでバックアップ電源は不要であることが分かる。

                        詳細は  ⇒⇒   給電保障 ― ― ― 何故保障できるのか?

「保障値はどのように決めるか? 」  ⇒⇒   保障値(ライン)はいかにして決めるか?

「グリッドストレージの容量はどれだけ必要か?」は  ⇒⇒    保障の実施とグリッド・ストレージ容量の関連シミュレーション

を参照ください。

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