1年でたったの1.3パーセント上昇の再エネ化率。


これじゃ主力電源化は30年先。

2021/6/21   その前に、原発再稼働で、出力抑制激増で再エネ業界壊滅。


原発再稼働の前にやるべきことは?


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Ⅰ.2020年の発電実績から見えたこと


(1)日本全体の経済が16年連続で落ち込んでいる


★★★★ 今年も不況で、電力需要落ち込み、出力抑制多発か?★★★★ 


経産省発表の「一次エネルギーに占める電力の比率 」によると、日本の1次エネルギ消費は2005年をピークに、その後16年間右肩下がりを続けている。

下がり続けている理由は、グローバル化で、日本の工場が海外に出て行ってしまった結果であると、弊社は推定している。


       16年連続で右肩下がりの日本のエネルギー消費量(図1.0)     

(2)最近の電力需要も確実に右肩下がりである

★★★★ 今年も、電力需要は1.4%落ち込み、出力抑制多発か?★★★★


弊社は電力会社が公表している電力需給データを用いて各年度の再エネ化率等を計算した。

その結果は下記の通りである。


2020年度の日本国内全需要量は、2019年度に比べると1.4%減少している。 東北除く8地域は対前年度の需要は減少、最大は中国電力で2.3%減である。2019年度も対前年比2.4%減少している。このまま需要が落ち込むと出力抑制発生に悪影響を及ぼす。今年はコロナの関係から経済活動が落ち込むので、電力需要も確実に落ち込む。需要が落ち込むと供給過剰状態になりやすいため、出力抑制増加の危険性が増す。要注意である。                

2020年度の日本国内の全需要量(注)に占める自然エネルギーの割合は、前年の18.0%から19.3%に増加した。(注)発電量ではない点にご注意。2030年に実現を目指すエネルギーミックス水準:電源構成比率22~24%は、昨年の実績通りに進展すれば後2年~4年で実現することになる。2020年度における太陽光発電の割合は、前年の7.4%から8.5%に増加し、VRE(変動する自然エネルギー:太陽光および風力)の割合は8.3%から9.5%に増加した。バイオマス発電(1.5%)の年間発電量は前年から1.5割、風力発電(1.0%)および地熱発電(0.3%)も1.5割程度増加しているが、水力(含大型)は前年からほぼ横ばいだった。化石燃料による火力発電の年間発電量に対する割合は前年の75.1%から76.6%に増えた、原子力発電は前年の7.3%から4.3%に減少した。                 我が国は再エネを主力電源にすると宣言している。主力電源と言うならば、再エネ化率は50%以上が必要だが、1年に1%程度の上昇では50%以上になるには30年掛かってしまう。2050年の実現である。                                しかし、再エネ化率30パーセント前から出力抑制が激増して、50パーセントになるには、現在の系統技術では不可能に近いことも実証されている。欧州では、すでに自然エネルギーの年間発電量の割合が30%を超える国が多くあり、デンマークは84%に。VRE(変動する自然エネルギー)の割合もデンマークの55%を筆頭に20%を超える国が多くある。EU全体の2030年に向けた高い自然エネルギー導入目標と合わせて各国では中長期的な高い導入目標を掲げおり、自然エネルギー100%で電力供給を目指す国もあるが、これらと比べて日本の2030年の導入目標24%はとても低い。中国でも自然エネルギーの割合は水力発電を含めて全発電量の26.4%に達しており、風力発電が5.5%、太陽光発電も3.1%になり、VRE割合(8.4%)が原子力の4.8%を大きく上回っている。

(3)導入された再エネ容量内訳と今後の増加予定内訳

★★★★ 昨年は552万kW増、再エネの主力電源化は30年先  ★★★★ 


2020年度1年間の日本全体の再エネ導入量は552万kW(図1.4)、増えた再エネ化率はたったの1.3パーセントで、やっと19.3パーセントになった。承認済み容量が5,891万kWと、検討申込が10,906万kWを合わせると、16,797万kWあるが、1年間で552万kWの導入速度で行くと30年は掛かる。

(図1.4)は、電力会社別に、20年2月から21年1月までの1年間に増加した容量と、2月時点で承認されている種別毎の容量内訳である。

                                                               


現在と将来の電源別容量内訳と電力会社別容量内(図1.4)

                                                            

(4)出力抑制は九州だけ、その頻度は、前年より少、何故?


  ★★★★  九州の容量は94万W増加しているのに   ★★★★  


①九州電力の場合


2019年度の抑制回数は74回、2020年度は60回。(空振りの回数は含まず)しかも、容量は1年間で94万kW増加しているにも拘わらずである。少なくなった原因は、20年の原子力発電量(21,744GWh)は前年(30,880GWh)より大幅に少なくなっているからである。(図1.6)を見ると毎月20年の方が原発の発電量が少なくなっているのが分かる。


                    2019年度と2020年度の抑制月別回数比較  (図1.5) 

原発の稼働がほぼ毎月前年度より少なかった。 (図1.6)

②九州以上に供給過剰の東北と四国、北陸に出力抑制は?


★★東北電力★★


  実は、既に大量の供給過剰、参考までに5/1~5/7(図1.7)を見ると、7日間全日が需要ライン(赤破線)を超えている。その超えた分を連携線に乗せて外部へ放出(黒実線)しているのも分かる。過剰分は需要の50パーセント近くになっている。

しかし、出力抑制にならないのは、供給過剰分も混在した形で外部へ放出し、その放出された量で東京の供給量不足分を補っているから、出力抑制を行う必要が無かった。

(東北と東京は2社間の協定を行い、電力取引所経由無しで行っている)


東北電力                                                 (図1.7)

★★四国電力★★(図1.8)

四国も、5/1~5/7の連日が、需要ライン(赤破線)を超えて供給過剰となっている。出力抑制にならないのは、供給過剰分も混在した形で関西へ送電し、関西の不足分を補っている。

(四国と関西は2社間の協定を行い、電力取引所経由無しで行っている)

                                

    四国電力                                                        (図1.8)

★★九州電力★★(図1.9)


では何故九州にだけに、出力抑制が発生しているのか?

それは、一言でいうと、供給過剰分の受取り手が無かったと言う事である。その証拠をお見せします。

(図1.9)は九州電力公表の需給実績である。2020年5月17日を抜き出した。その日は出力抑制が発生している。その日の供給過剰の最大が発生する12時の需要は8,020MWh(以下単位は省略)で、供給の合計値は10,835だったため2,815だけ過剰になる。

停止量をどのように割り付けするか?

発電所の停止量をできるだけ少なくするには、連携線と揚水発電に多くを割り付けるのがベストである。連携線への割り付け量は前日に電力取引所の入札で決定される。その入札結果、1,472しか引受て貰えなかった。(図1.9)の12:00の連携線の欄が1,472になっている。連携線の容量は2,700あるので、容量一杯引受て貰い且つ揚水発電も能力一杯の2,400発電出来ていたら、その日は殆ど停止する必要なかったはずである。しかし、現実は太陽光は1,976、風力は発電の全量49が停止となった。                   

                                         (図1.9)

Ⅱ.原発再稼働で、電力連携総崩れ、

抑制地獄に落込

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(1)2020年の実績から見た電力間連携


 (図1.1)の右端にある連携線の数値だけに着目して、その関連を図形化したものが(図2.1)である。図中では電力会社毎に箱で表示し、電力会社名の真下にある数字が(図1.1)の連携線の数値である。数値がであれば、不足していたため外部から取り込んだことを意味し、赤字であれば供給過剰のため外に放出したことを意味する。

例えば関西電力は18,683GWh不足であったので、外部から取り込んだ。取り込み先は中国から19,761(以下単位は省略)、北陸から3,172であったが不足分を補充したので残り4,250は中部へ送ったことを意味する。

関西を支えたのは九州、中国、四国についで北陸が支えた。

日本の電力消費の三分の二を占めた中央三社(東京、中部、関西)が原発の殆どを止められたため、供給力不足に陥った。その不足分は、地方の電力4社で支えた。その2020年の一年間を支え合った構造を図形化したものが(図2.1)である。


西側から流れた電力と東から流れた電力が東京と中部間でドッキングするが、中部から-1,281で東京から1,279で差が2GWhあるが、この誤差は1年間の送電ロス、周波数変換ロス、直交変換ロスである。1年間でこれだけだからロスは極めて少ないと言える。(図1.1)の連携線の合計欄が-3となっているのは小数点以下の四捨五入の関係である。



連携線を利用して一年間電力間連を流れた電力量携      (単位;GWh)(図2.1)


(2)原発再稼働が本格化する


2020年末で稼働中の原発は、関西の高浜原発と大飯原発、九州電力の玄海原発と川内原発だけであった。2019年12月までは四国の伊方原発も稼働していたが、発電差し止め命令が出てから1年半近く停止していた。                                              今年の3月ごろから原発の再稼働認可が出始めた。それをまとめた表が (図2.2)

である。新たに許可が出た発電所だけを説明する。             

まず、東北の女川原発2,3号機で、出力は82.5万kW×2機となる。

次いで東京の柏崎刈羽の6,7号機で既に1年以上前から許可は出ていたが、東京電力のチョンボで自らが、稼働させたいとは言えない状況にある。稼働すれば、2機合わせて271.2万kWとなる。

関西電力の現在稼働中原発は高浜原発3、4号機(87.6万kW×2)、と大飯原発3、4号機(118万kW×2)で合計411.2万kWである。新たに運転許可が出たのは美浜原発3号機(82.6万kW)と高浜原発1,2号機(82.6万kW×2)で合計247.8万kWが

追加され、全部合わせると659万kWが稼働することになる。

四国電力の伊方3号機は2019年12月まで稼働していたが、広島高裁の運転差し止め命令が出てから稼働していなかった。しかし、2021年3月に突然「差し止め停止取消」が出た。近い内に再稼働するものと思われる。

   


                          我が国の原発稼働状況            (図2.2)

①関西電力が再稼働した場合

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★★★ 地方電力からの支援が不要となる  ★★★


新たに運転許可が出た関西の3原発とこれまで稼働していた高浜と大飯の合計出力659万kWの1か月間の出力は、稼働率80パーセントとして

      (※)659万kW × 0.8 × 24時間 × 30日 =  45,550GWhとなる。

2020年度の関西電力の稼働実績(図2.3)をみると、毎月連携線を利用して外部から取り込んだ年間合計量18,683GWhと、関西の原発で発電した15,508GWhとの合計は34,191GWhであるが、新規の発電量(※)より遥かに少ない。

つまり、新たに稼働する原発とこれまで稼働していた原発を合わせると、これまで支援して貰っていた地方の電力は不要となると言う事である。


(図2.3)

★★★ 高下駄を履いた途端、出力抑制の世界に突入  ★★★


原発のことを別名「ベースロード電源」と言い、その時の需要や、天気などに左右されない形で使用される。グラフを描くときは最下部に描かれる。(図2.4)

原発の発電量相当分だけ火力の発電量を減らすのだが、火力は最低出力を維持しなければならない。維持した後に再エネ等の出力がその上に乗せられる。

(図2.4)は2020年4月の関西電力の実績データに対して新原発の発電量を押し込んだ後、火力の値を調整した後をグラフ化したものである。

これを見ると原発は火力とほぼ同量で、大きな高下駄となっている。原発と火力で75パーセントを占める。再エネ部分はたったの25パーセントだ。

゛原発再稼働=再エネの主力電源化放棄"を意味する。

最悪は、原発の下駄を履いても需要量は変えられないため、その他の電源が入り込む余地が少なくなる。その結果、1か月間で18回も供給量が需要量を超過する。超過分は揚水発電で対応したが、対応しきれなく出力抑制となるのが4回ほど発生した。

電力9社中出力抑制発生の可能性が一番少ないのが関西電力だったが、原発再稼働で九州電力並みに出力抑制が発生する環境になる。

(図2.4)

②東京電力の原発が再稼働した場合(図2.4)


東京電力の原発のうち柏崎刈羽の6,7号機271.2万kWが再稼働すると、その2機の発電機だけで1か月間の発電量は

        135.6 × 2 × 24 × 30  = 195,264万kWh

となる。この原発の発電量は、連携線で受け入れている量の4分の3に相当する。更に、稼働中の6割に相当する承認済再エネが数年以内に稼働し始める等で、原発再稼働の時には東北の支援は不要になる。

(図2.4


柏崎刈羽の2機が稼働し始めても、高下駄を履いたため背が高くなったとは言えない程度である。精々、裸足だったのがゴム草履をはいた程度の高さである。

しかし、東京は日本一の再エネ導入量で、且つ既に承認済で未稼働が、現在稼働中容量の6割近くを抱えている。2~3年以内に、承認済の殆どが稼働し始める。

つまり、原発稼働の頃に再エネ発電量も現在より6割程度多くなっていると言える。その両者の発電量を合わせると、東京には出力抑制は有り得ないと思われていたにもかかわらず、出力抑制地獄に、まっ逆さに落ち込むのである。

(図2.5)は2020年4月の東電が公表している電力需要実績データーに対して、連携線で東北から送り込まれる量をゼロにし、代わりに原発2機分270万kWを追加し、承認済に検討申込の一部が稼働することを想定して、太陽光を+2,385万kW、風力を+1,864万kW、バイオを+471万kWを追加し、時間毎に同時同量を火力の最低出力などで調整した結果のグラフである。

(図2.5)を見てわかるのは、1ヶ月の内22回も供給過剰で発電禁止命令が出される。この発電禁止で、太陽光の場合1ヶ月の発電量が42パーセント、風力は17パーセント減少する。発電量が減ると当然売電収入も減ることになる。

    (図2.5)

 ★★ 承認済も稼働して、再エネは主力電源になれたか? ★★ 


4月1ヶ月のデーターで見る限りでは、再エネ化率は40パーセント台で主力電源には、まだまだである。再エネ化率は増えないが、出力抑制で捨てられる分だけはどんどん増え始める。太陽光の場合、発電した分の半数近い43パーセントが捨てられる。

主力電源にするために再エネの導入量を増やしても、増やした分は供給過剰となって捨てられるだけだ。太陽光は諦めて、風力に切り替えても、(図2.5)を見る限りでは需要ラインと火力の間に余裕が無いので、捨てられる。

コップに一杯水が入ってしまったら、それ以上水を注ぎこんでも水はこぼれてしまうのは、小学生でもわかる事だ。






(3)原発再稼働で、支援していた地方電力が受ける影響




東京電力、関西電力を支えていた地方電力は、原発再稼働の影響をどの程度受けるか分析する。

 

①東北電力の太陽光と風力が受ける影響


東北電力は、需要の40パーセント近く超過発電にも拘らず、出力抑制を実施する必要が無かったのは、過剰分も合わせて外部の東京と北海道に送電することが出来たからである。(北海道へは送電量の0.6パーセントにすぎないので、今後は無視します)東京への送電がなくなれば、その分だけ火力の発電を減らせばよいので何も問題にならないのでは。しかし、沼の水を抜くと予期しなかったワニが出たりするので要注意である。

「沼の水を抜く」とは、東北電力が行っていた東京電力の支援をやめる事、即ち、東京電力向け送電を止め、その分の火力発電の出力を落とすことである。

沼の水を抜くと同時に、東北自体も原発の再稼働が有るので、新たなワニを放出し、かつ新たな再エネ、少なくとも承認済み分だけを沼に放出し、沼の状態を観察してみる。

水を抜いて分かる事は、東電向け送電の中にどの程度、東北の供給過剰分が含まれていたかである。


★★ 東北も原発稼働 ★★ 


女川2、3号機が稼働すると一日当たりの発電量は82.5×10×2×24 = 39,600MWh

となる。

 ★★ 承認済も稼働 ★★ 


21年2月末の再エネの承認済が1,715万kW(稼働中容量とほぼ同量、即ち2倍になる)内訳(単位省略)  太陽光;525  風力;649  バイオ ;525  水力;7  地熱;9

が稼働開始する。


沼の水を抜くと・・、出るは、出るは、・・・出力抑制だらけ


水抜きの手順は、東北電力需給実績の連携線の欄の送電量を同時刻の火力出力から引き算し、残数が火力の最低出力以下であればその値を最低出力に変更する。最低出力は太陽光の発電終了2、3時間後の最大需要の半数とする。最低出力を設定して、その時刻の同時同量の値がマイナスになると供給過剰を意味する。         

更に、水力発電も総動員していたらしく、毎時1500~2000MWhも供給していた。再エネの小水力は止められないため、大型水力を止める。毎時500MWhまで

落とす。                                                                                                                  

 水を抜いた結果、出るは、出るは、何と昼のワニが28匹、夜のワニが11匹も出たのである。30日中28回の発電停止日となることである。(図2.6)                                                                        

供給過剰に対処するには揚水発電か、調整可能な電源の出力を下げるなどで行う。東北の場合、揚水発電所は新潟県南魚沼郡湯沢町にある奥清津第二発電所の出力46万kWだけであるので、46万を超えると出力抑制発動となる。26日中全日が46万越えであった。供給過剰対応として通常は連携線を使用して、東京電力に処理を引き受けてもらう方法もあるが、前述したように東京は東北以上の供給過

剰であるため、引き受ける事は不可能である。                  

J-Power社の揚水発電所が東北に福島県南会津と新潟県南魚沼にあり、それぞれが100万kWで合計260万kWの能力がある。J-Power社は元々国営の会社で全国の電力会社の発電を支援する目的で作られている。従って、交渉次第ではその能力を使用させてもらえる可能性は高い。J-Powerの揚水を使用出来たら19回の出力抑制が10回程度に納まる。発電業者にとっては大変喜ばしいことである。

J-Powerの揚水発電を使用するとなればそれなりの費用が発生する。その費用を発電業者から回収するわけにはいかないので、東北電力の自腹となるだろう。東北にとっては自腹で支払うのは納得いかないであろう。J-Powerを使わなければ出力抑制で発電禁止にしてしまっても法律に違反するわけではないので、抑制を選ぶだろう。電力会社にとっては、発電業者を守るより原発を守る事の方が大事だか 

ら・・・。                                                                                                                              

    沼の水を抜いたら出るわ出るは・・昼のワニが28匹、夜が11匹  (図2.6)    

②四国が受ける影響


★★  四国の沼にもワニはウジャウジャいるか?  四国沼の水抜 ★★ 


四国電力も、自社発電の50パーセント近くを関西に送電していた。その送電を止めて、火力の出力もその相当分を減量する、即ち沼の水抜きをすると、出るわ出るわ供給過剰のオンパレード。30日中、27回の供給過剰である。

20年4月は広島高裁の原発差し止め命令で原発は稼働していなかったので、沼の水抜をしてもこの程度で収まっている。原発が稼働していれば、(図2.8)の状態になる。



現在          (図2.7)

原発再稼働働直後に沼の水を抜いたら出るわ出るは・・・・ワニが27匹       

      四国のワニの牙はますます大きく成長する    

「ワニの牙が大きく成長する」とは、


四国の原発が稼働し始めても・・・・供給過剰になる回数はほとんど変わりがな

いが、飛び出ている牙がもっと大きくなる。

(図2.7)と(図2.8)を比較すると明確に分かるが、回数は同じだが、飛び出している牙が大きくなっている。10MWの牙が50MWの牙になったという感じである。牙が大きくなると、一回の出力抑制で停止する発電所の数が多くなる。一つの発電所から見ると、年間の停止回数が多くなることを意味する。発電業者にと

っては、死活問題である。

「牙が大きくなる」ことを弊社は「タケノコシンドローム」と命名している。タケノコは一日30センチ成長すると言われている。太陽光発電の導入量が増えるとどんどん成長する。しかも、最大発電時間は太陽が真南に来る南中時で、南北に長いが東西には狭い日本列島は、殆ど同時刻に北から南まで一斉に南中時になる。一斉に供給過剰になるのである。

日本は、地政学的にも太陽光には向いてないと言えるかもしれない。従って、日本独自の太陽光対策が必要である。経産省や研究者たちはそのことに気づいていない。お粗末。



③日本全国が一斉に供給過剰になった時の再エネ化率


地政学的に太陽光発電に向いていない日本が、一斉に原発の再稼働が始まり、また再エネの主力電源化に向けて再エネの導入が増える来年か再来年には、電力9社は、南中時近辺で供給過剰になる。その時は過剰分の処理を他所に頼むわけにいかないので、一斉に出力抑制が始まる。その時の電力9社の再エネ化率と、年間の出力抑制率(発電禁止になる率)計算した結果が、(図2.5)である。

弊社は再エネ化率が30パーセントを超えると、太陽光の釣り鐘状の発電曲線の性質から、急激に出力抑制が増えると主張してます。その30パーセントは、原発や地熱、バイオなどが無い時で、それらがあるとその分出力抑制激増時期が早まると指摘してます。今後は、10パーセントや、20パーセントでも出力抑制激増を覚悟しなければならない。

(図2.5)

④代表的な3地域の出力抑制で停止させられる回数


激増とはどの程度増えるかを、シミュレートしたものの代表3件が(図2.6)である。

北海道は洋上風力最適地と煽られ、電力需要は日本一少ないことをすっかり忘れ、現在稼働中の30倍の風力が導入された結果、風力発電は1年間に428回も発電禁止となる。昼も停止、夜も停止で400回以上となる。

東電の傘の下で一度も供給過剰になったこともない東北の太陽光は、年間340回も停止させられる。大震災以上の震災が再び東北を襲うのだ。停止しない日は台風の日か、大雪で東北全域が荒れ模様の日。これだけ止まっても、東北電力にはバックアップがあると、素知らぬ顔、全く発電業者の生死には無関心。

世界一の東電は需要量が世界一なので供給過剰などなりませんと、自信過剰の東京電力も、ここまで酷くなるとは「想定外」。バタバタと発電業者の屍の山が築かれていく。屍が築かれても東京電力の腹が痛むわけでもないので、せっせと残り原発の再稼働に励むだけ。


(図2.6)

Ⅲ.原発再稼働の前にやるべきこと


(1)太陽光発電にHBBS導入する

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ここまでの説明で、原発再稼働は再生可能エネルギーの導入に大きな影響を与えることが分かった。供給していた地方電力も、供給を受けていた中央3社も、再エネ導入に大きな影響を受けることが分かった。

政府は、2018年7月3日、中長期的なエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」を4年ぶりに改定し、太陽光や風力など再生可能エネルギーを「主力電源化」すると閣議決定した。原発はエネルギー安定供給を支える「重要なベースロード(基幹)電源」と位置づけつつ「依存度は可能な限り低減していく」としている。


しかし、原発稼働が増えると再エネ導入に大いに影響があることが分かった。だからと言って、弊社は原発稼働反対とは言わない。原発と再エネが共存出来れば問題ない、と弊社は主張している。

問題は、再エネ拡大を止めて原発再稼働だけを進める事には反対である。原発再稼働拡大の前にやるべきことがある。やるべきことをやらないと再エネ業界は壊滅する。壊滅した後、「想定外」だと言っても、そんな責任逃れは許されない。絶対に。

それでは、「やるべさ事」とは何か?

やるべきこととは、タケノコシンドロームが原因の供給過剰を根絶出来るようにすることである。



HBBS導入効果


上に伸びるタケノコをHBBSで横にすると、太陽光は供給過剰にならなくなる。

風力発電は、集中発電時間が無い事と、24時間発電のため太陽光の3倍以上の

コストが掛かる。風力発電にHBBSを適応しなくても、太陽光に適応効果の影響で、風力の供給過剰も少なくなる。

尚、HBBSは自己消費の太陽光発電には適応できないことにご注意。

(HBBS導入効果の計算では全ての太陽光に導入したものとして計算している)



(2)HBBS導入効果

①東北電力の場合


上に伸びていたタケノコが横に寝たために、需要ラインを超える事はなくなった。26匹いた太陽光を狙うワニは根絶出来たが、風力を狙ったワニは多少残っている。風力を狙ったワニが残る理由は、需要ラインと太陽光発電の間に、風力が入る余地が残ってないからだ。火力発電を全面的に停止しても、風が強いの日の

風力を受け止める事は出来ない。

HBBS使用したため、再エネ化率は70パーセント以上を達成し、再エネの主力電源化が実現した。出力抑制で停止する回数は、太陽光はゼロになった。

風力発電の停止回数は、前述のように多少減少は有ったが、まだまだ改善の余地は残っている。例えば、発想を変えて、発電禁止命令が出た日は、液体水素作成に切り替えるなどの対策が必要である。


(図3.1)

②四国電力の場合


27匹のワニも完全に消え、出力抑制は太陽光も風力もゼロ回、再エネ化率も75パーセントと最適な環境となった。この時点の再エネの導入量は太陽光;271万kW、風力;26万kW、バイオ;15万kW、水力;84万kW、地熱;0 であった。

将来、再エネ導入量が少々増えても、出力抑制激増には成り難い。何故なら、HBBS使用すると、太陽光は一日の発電量の24分の一しか背の高さが伸びないから。しかし、風力は需要の少ない夜間に大量の発電を行う特性があるので、夜間の抑制が増えるだろう。


(図3.2

  ③東京電力の場合


東京電力の発電量は日本全体の3分の一、地方電力7社の合計値に等しい。日本全体の再エネ化率を高めるには、日本一大きい東京の再エネ化率が高まらなければ、何にもならない。小さな地方電力が頑張ってみてもたかが知れている。           東京電力の全ての太陽光にHBBSを導入すると、東京の再エネ化率は51パーセントになった。出力抑制は太陽光にはゼロ回、風力は昼は7回、夜は6回であった。 

HBBS導入して1年間の稼働を計算した結果と、HBBS使用しなかった場合の比較表 が(図3.4)である。                                                                                             (図3.3)

1年間の東京電力の需要実績を使用して、承認済と検討申込の全てが稼働した時と、使用しなかった時の2ケースをシミュレーションした。その結果を(図3.4)にまとめて掲載した。

HBBS使用しないと再エネ化率は32.7パーセントにしかならない。ならない原因は太陽光も風力も40パーセント強が発電禁止になるためである。

HBBSを使用すると再エネ化率は51.3パーセント、即ち再エネが辛うじて主力電源と言える所まで来た。また、太陽光に対しては発電禁止はゼロ回で、HBBSを使用しない風力まで発電禁止回数が激減した。激減の理由は、第一に、昼間は太陽光が供給過剰にならないので風力もその影響を受けたため。第2は、天気に左右される太陽光が天気に左右されなくなったため、火力の最低出力を思い切り下げる事が出来るようになり。その分風力の発電余地が増えたことによる。

また、再エネの発電が増えたため火力の発電が激減した。この激減により電力会社は燃料コストを大幅に減少できた。


HBBS有と無しの比較                                 (図3.4)

HBBS効果を金額に換算してみる。(図3.5)


太陽光発電は出力抑制がゼロになったため、有効発電量が18,950GWh増えた、

増えた分を金額換算(12円/kW)すると、年間で2,274億円、耐用年数の17年間では3兆8,657億円になる。この金額はHBBS購入費用より圧倒的に多い。

風力はHBBSへの投資はゼロであるのに、有効発電量が30,497GWh増えた、

増えた分を金額換算(36円/kW)すると、年間で1兆979億円、耐用年数の17年間では18兆6,626億円になる。

東京電力は再エネ化率が上昇する分、火力の出力が28,515GWhだけ下がった。

その分を金額換算(21円/kWh)すると、毎年5,988億円となる。東京電力は福島原発事故の損害賠償を支払うために毎年5,000億円の利益を出し続けると国に約束した。しかし、現実は2,000億円も出せていない状況である。早めにHBBS導入を推進して国との約束を果たすべきである。


現在の補助金制度であれば、HBBSのコスト負担は太陽光発電業者とHBBSメーカーに押し付けることになる。HBBS効果を受けられる風力発電業者や電力会社および脱炭素を公約している国を含めて、コスト分担が可能な制度を早急に実施するよう要望します。



    HBBS有と無しの金額換算    (図3.5)

   ④関西電力の場合


日本で一番原発頼りの関西電力、原発依存度約40パーセントもあり、再エネの導入余地が極めて少ないが、HBBSのお陰で出力抑制だけは回避できた。

しかし、再エネ化率は24パーセントで打ち止め。出力抑制回数ゼロ回だけが、せめてもの慰めか。

関電の原発再稼働本格化で電力間の電気の流れが大きく変わる。特に西日本においてである。その変化でこれまで出力抑制とは縁遠かった四国や北陸が抑制地獄に落ち込む。責めてもの罪滅ぼしに関電はHBBS導入に主導的役割を果たすべき

である。

(図3.6)

⑤HBBS導入後の発電禁止回数


HBBS導入前の回数(図2.6)と比較してください。

(図3.7)

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一日も早いHBBS導入のご決断を要望いたします。


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