何故、日本にだけ、タケノコシンドローム現象が

発生するのか?

日本では「地域独占時代」の亡霊が足を引っ張っている

日本は、電力会社が10社あり、それぞれの地域を独占で、事業展開をしていた。

電力10社のうち7社は地方を供給域とし、残り3社は都市部を供給域としている。3社は中央3社とも言い、その中で東京電力は関西と中部の2倍の供給量である。地方電力7社の年間発電量は東京電力1社にほぼ等しい。(図1.17)

電力各社は自社供給域内の需要と供給のバランスを保ちながら電力供給を行っている。

(図1.17)

(参考)

(1)「タケノコシンドローム」とは?

太陽光発電の導入容量が増えると、南中時の発電量は上へ上へと伸びて行く。決して横には広がらない。タケノコは一日に30センチ伸びる。猛烈な勢いである。伸びきった「タケノコ」は、「天井」(需要)を突き抜ける。 突き抜けた「タケノコ」は切らざるを得ない(出力抑制)

(「タケノコシンドローム」は弊社が作った造語です)


(2)日本の電力間連携とドイツとフランスの他国との系統連携の違い

日本の電力会社間系統連携を図8.24を示した。日本の連携の特徴は、北の北海道から南の九州まで縦の連携である。九州から東京に電気を送るとしても中国、関西、中部を経由しなければならない。何処か一か所でも障害とか超過密状態に陥っていたら、意図した通りに電気は送れない。 また地域間連携線の連携容量が小さい。このため、

地域ごとに需給バランスのチエックをせざるをえない。 日本は「芋づる連系」である。(疎結合)



それでは、ドイツとフランスの他国との系統連携がどのようになっているかを見てみよう。

まずフランスは、図8.22のように周辺国6か国、イギリス、ベルギー、ドイツ、スイス、イタリア、スペインと系統連携している。(蜜結合)

ドイツは、デンマーク、スエーデン、ポーランド、チェコ、オーストリア、スイス、フランス、ルクセンブルク、オランダの9か国と系統連携している。

独仏は、お隣さんが6ヶ国ないし9ヶ国もあるので、連携の効果が大きい。日本ではお隣の国とは海で隔てられており連携されていない。更に、国内で電力会社間の連携は1件から2件しかないため、連携による大きな効果は期待できない。


都会地と地方の年間発電量の比較

需要の少ない地方で、供給が需要を超過させないようにしようとすると、たちどころに出力抑制が必要となってしまう。        

日本もドイツやフランスのように国全体の需要に対して、国全体の太陽光発電が一斉に発電した場合、図1.18を見てもわかる通り、年間で最低需要日の需要すら超過しな い。

従って、2016年1月で受け付けた分では、ドイツやフランス並みに出力抑制の心配をする必要はなくなる。

電力10社のピーク日の需要の合計値と全国の太陽光が一斉発電した場合を想定日本を一本化した需給制御を行うためには、電力9社の系統制御コンピューターの統合と電力系統のさらなる連携強化が必須である。

資源エネ庁の発送電分離後の計画では、需給バランスチエックの統合化は全く考えていない。

統合化をしても、日本列島の縦長の構造を考えると、統合のメリットが皆無で、かつ不安定さが増すからである。(右蘭参照)

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