再エネの主力電源化」は「国策詐欺」だった

❤  ❤  ❤  ❤  再エネを潰せば、原発が戻って来る ❤  ❤  ❤  ❤  

最近閣議決定でGX(グリーントランスフォーメーション)推進が決まった。この決定で、太陽光発電が、従来想定以上に導入される見込みが濃厚となり、加えて現在稼働中の4倍以上の原発再稼動で、ベースを底上げし、供給過剰激増、再エネを静かに潰す仕掛けは出来た。

再エネを静かに潰す仕掛け

(仕掛1)2030年の再エネ化率達成時、出力抑制頻発で太陽光終了

仕掛2)2030年以降に本格稼働の洋上風力も、総崩れ

(仕掛3)再エネが潰れたら、原発再稼動しか無くなる


再エネの主力電源化も脱炭素も国策詐欺の餌食になって仕舞う。

「国策詐欺であることを認識せず、再エネに投資している国民に責任がある」

国策詐欺であることを報道しないメディアにこそ、最高の責任を‼

Ⅰ.出力抑制発生の現状(2023年4月)

(1)電力会社別出力抑制実施状況

2022年度に出力抑制が実施された地域は、九州が最大の80回だった(前日の夕方に翌日の実施予告が出されが、翌日になって取り消された分を含めると151回)、次いで中国17回(空振りを含めると23回)、四国13回(23回)であった。(北海道、東北、中部、沖縄の抑制はテスト的??か事故か、は不明の回数であった)

最も驚いたのは、関西の抑制である。22年度も終わり近くの3月に4回も抑制されていた。関西は需要の割に極めて再エネが少ないので、当分は有り得ないだろうと信じていた。関西は九州より原発依存率が高いので、再エネが入り込む余裕が少なくなっていることが原因であろう。

2023年度に入るや、いきなり9地域で出力抑制が発令された。その回数は、4月30日までの30日間に、最大地域で九州の25  回であった。短期間にこれだけの抑制回数は、今後ますます拡大されることを示唆している。

東京には抑制が発生していない。東京は再エネ導入量が1,870万Kwと日本一であるが、電力需要も最大であるため、供給過剰にまでは至っていない。沖縄は再エネ導入量が極めて少ないが、揚水発電や連携線などの調整力が無いので、供給過剰、即、抑制とせざるを得ない環境にある。

2030年に向けて、再エネ導入量が増える事と、原発再稼動が激増することで、出力抑制の頻度は、極めて多くなる。東京と関西は供給過剰分の受け皿となっていたが、受け皿の一つの関西の皿が壊れてしまったので、今年度以降は抑制が激増することが予想される。激増により、発電業者の売電収入が激減し、事業継続が困難になるであろう。

(2)現在(2022/12)稼働中の電力各社別再エネ容量

2022年12月現在、電力各社で稼働している再エネ種類別容量は下表の通りである。日本全体で、117GWあり、その内太陽光が68GWで、全体の58.3パーセントを占めている。風力は僅かで5GWにしか満たない。

太陽光の導入量の多いのは東京で、1,817万kW有り、東京の再エネの67.6パーセントを占めている。東京の風力は極めて少なく43万しか無い。太陽光に次いで多いのは水力で500万も有り、水力では全電力中トップである。

(3)受付中の電力各社別再エネ容量

まだ稼働はしてないが電力会社が受け付けている再エネ種別毎の容量は下表のとおりで、太陽光で受け付けている容量は約45GWあり、稼働中容量の70パーセントに相当する。受付中は、2種類あり、承認されたものとまだ承認に至っていないものの2種類である。風力は受け付けたが未だ承認されていないのが89GWもあるが、承認されたのが23GWと極めて少なく、承認済の4分の一程度である。未承認の風力が多いのは洋上風力で申請してるためである。日本全体で未承認風力は89GWも有り、承認済と合わせると112GWと膨大である。現在稼働中容量に相当する。

承認されると太陽光の場合は3年以内に稼働させるので稼働に至る確率は高い。しかし、承認前の検討申込のものは承認されない危険性が有るので。将来の見込み件数に入れる事は避けた方がいい。。

(4)2030年頃の再エネ容量の予測

2022年から2030年まで8年あるから、太陽光に関しては3年以内に稼働させる承認済が3回繰り返されると見なした。風力は工事期間が長いので1回のみと見なした。従って2030年頃の再エネ容量は、次の計算式で求めた。

太陽光の場合;;現容量+承認済X3

太陽光以外;;現容量 + 承認済X1

(5)稼働中現場つと2030年までに稼働可能性の高い原発

2030年までに、多くの原発が再稼動する。原発はベースロードとして稼働するので、太陽光や風力は、高下駄を履かされた状態になるので、需要ラインを超える確率が極めて高くなる。

現在稼働中の原発は、電力3社、9基、796万kW。2030年に稼働が検討され始めたのが「運転終了」以外の19基、3,229万Wとなる。現在稼働中の4倍の原発が稼働することになる。

原発の再稼動が再エネ導入に与える影響は、ベースが増えて供給過剰になり易い事の他に、連携線を使う意味が無くなることが大きい。現在、連携線を利用して供給力不足を補っているのは東京と関西の2社である。中部は、再エネ導入量が比較的多いので時々不足するが、大半は供給過剰状態で、他社に送り出していることが多い。関西は、原発再稼動で不足量が半減するので、連携線依存率が大幅に減少する。

東京は原発の再稼動を待たなくても自社の太陽光の導入量が圧倒的に多いので、2030年頃には供給力不足から抜け出して、逆に過剰状態になる。原発が増えれば、増々供給過剰になり、他所の過剰分を引き受ける余裕は完全になくなる。

Ⅱ.基礎知識

♦  ♦  ♦  ♦  経産省も知らない大切な重要知識  ♦  ♦  ♦  ♦ 

(1)同時同量は、瞬時瞬時に、電力9社間で成り立っている

下図は2021年5月3日の12時に電力9社間の連携線に流れた量を示した図である。電力会社名の下の数字がは供給過剰で外に出て行った量を、字は不足のため外から取り込んだ量を表している。関西と東京は不足により外から取り込んでおり、それ以外は赤になっており、過剰のため外に放出したことを示している。

九州を出た1,49MWh(以下、単位省略)は中国と四国の分と合わせた2,808を関西に送る。関西では北陸から470と合わせた分から関西の不足分2,453を横取りして余った825を中部へ送る。中部の過剰分691を合わせた1,516を東京へ送る。

東京では東北と北海道からくる3,316と中部からの1,516を合わせた4,832を東京の不足分4,830を補充する。ここでは差額2が生じるが、これは東京と中部間の周波数変換のロスと考えられる。

この図からも分かる通り、電力9社間で確りと同時同量が成り立っていることが証明できた。この時点では、東京と関西は地方電力の供給過剰分の受け皿であったが、関西の原発本格稼働で、受け皿の一部が壊れ始めた。今後はその崩壊が進み、受取れなくなり地方の抑制が増える事になる。東京は原発は稼働していないが、再エネ、特に太陽光の導入慮が日本一であるため、東京自身が正午時点に供給過剰になるであろう。その時は東京も受け皿崩壊となる。

来年、2024年春先から出力抑制のオンパレードとなるのは間違いない。


(2)北から南まで一斉に、正午に、太陽光発電は最大発電となる

  ♦  ♦  ♦  ♦  全国一斉に、同時刻に、供給過剰となる  ♦  ♦  ♦  ♦ 


日本列島は南北に長いが、東西には狭い。

日本列島は東経130度から145度(除く沖縄)に位置している(下図左)ため、太陽が北海道の東の端の根室市の上空に来てから1時間後に西の端の九州平戸の上空に来る。つまり、日本列島は太陽光軌道の1時間の範囲にある。実際に、(下図右)は2020年5月3日の電力各社の電力需給実績から作成したグラフである。このグラフを見ると、沖縄以外はほぼ同時刻に最大発電量になっている。(東京と四国は単位が万kWであるが他は全てMWである)

全ての地域が供給過剰と言う事は、(1)の連携図で9電力全て赤字になるという事だが、全て赤だと過剰分を引き受けるところが無いので、9電力全体で同時同量を成立させる事は出来ないことが、簡単に理解できるでしょう。

Ⅲ.2030年頃に、1年の殆どの日が、供給過剰になる

 ♦ ♦ ♦ ♦  全国で同時刻に、連携線が使えなくなる  ♦ ♦ ♦ ♦

(1)電力各社の南中時の、季節別、最大電力需要量

電力会社が公開している2021年度の電力需給実績から、各社の季節別に、12時の最大需要を調査した。最大需要は12時でない場合もかなりあったが、12時の最大値を探したことを強調しておく。

東京や関西などは夏が最大需要であるが、北海道と東北と北陸は冬がピークである。東京の最大値は関西と中部の2倍で、東北や九州の4倍、四国、北陸の10倍で、北海道の12倍、沖縄に至っては35倍となっている。

全地域で5月閑散日の最大需要は、夏または冬の最大需要の半分以下である。その時期は、全地域で供給過剰になり易い環境になっている。

(2)太陽光も、風力も、季節と地域によって、発電量が異なる

太陽光於風力の発電効率は季節によって異なる。太陽光は6月の夏至の頃が最大で、12月の冬至の頃は最低となる。しかし、6月は梅雨のシーズンの為、雨や曇りで発電量が落ちる地域が多い。しかし、北海道は梅雨が無いので本来通りに発電出来ている。...等々、地域別季節別に発電能力を調整する必要がある。

風力は夏が極端に少なく、冬から春先にかけて発電量は大幅に増加する。最低月と最大月に2~3倍の差が生じている地域もある。

(3)ベース電源と調整力を入れて最終出力を求める

供給過剰になる原因のベースになるのは、火力の最低出力と原発の出力だが、それを減少させるものとして揚水発電が効いてくる。原発は現在すでに稼働許可が出ているものだけに限定したが、これ以上増える可能性は極めて大きい。

(4)地域別、季節別再エネ最大出力を求める

2030年頃の再エネ種別毎の想定容量に対して、季節ごとの発電量を計算に入れ、ベースを加えた結果の供給量を算出した。この供給量が、各地の需要を超えているかどうかを次に試算する。

(5)地域別、季節別に、供給過剰量を算出する

各地の再エネ容量から季節別発電能力を調整した後、ベース部分を加えて季節別最大発電量を算出し、季節別最大需要を差し引いて差分を求める。差分がだと、供給過剰を表し、は供給力不足を意味する。だから、即、他所の地域からの応援を依頼するのではなく、自分の火力や水力で補給すればよい。補給できない場合に他所からの支援を頼まざるを得なくなる。の場合は、即、連携線を使って他所に処理を依頼するか出力抑制として発電停止を命令しなければならない。

春と秋の平均日と5月閑散日は全地域が黒であるので、日本列島は北から南まで供給過剰であるから、全域で出力抑制となる事は容易に理解できる。

冬ピーク日は関西(-144)と北陸(-175)が赤(合計-319)だが、その赤は、中部(203)と四国(177)で補給できる。残りの黒の地域は出力抑制として処理せざるを得ない。

夏は、7月、8月、9月の3か月92日だが、東京や関西や中部で、冬のピーク日の需要量を超える日数は20日程しかない。たったの20日だけ抑制されなかったからと言っても、大して御利益もないだろう。

(6)供給過剰分は、需要量の何倍であるかを求める

供給過剰量はどの程度の過剰か?

倍率が高い程、悪天候でも供給過剰になる事を意味している。倍率は供給過剰量 ÷ その時の需要量で求める。

倍率1.0は全域が晴れの時に供給過剰になる、一部が雨など降れば過剰にならない。2.0は一部の地域が雨になっても過剰になる確率は高い。3.0以上は全域が土砂降りでも確実に過剰となる。

北海道、東北、中国、四国、九州は、5月の連休は、全域が土砂降りでも供給過剰になる。全く救いようのない状態だ。

Ⅳ.2030年頃の東北電力の稼働想定

(1)5月の稼働状況

2,030年頃の東北電力の稼働状況を予想する。

予想方法は、2021年度の電力需要と気象条件が全く同じ状態で再現されたとする。ただ、異なるのは稼働する再エネの容量が大幅に増えただけ。具体的には、東北電力の2021年度電力需給実績の時間ごとの再エネの発電実績に対して、再エネの伸び率を再エネ種別ごとに乗じて、再エネ発電量を求める。求めた結果の5月の角状況をグラフ化したのが下図である。

5月の全日が抑制日となった。再エネ化率は29.6パーセントにしかなっていない。実際に発電所に停止命令を出す時、安全性を考慮して、100ヶ所を停止させるときは、150ヶ所を停止させている。。その結果太陽光と風力は全発電所が底止となって仕舞った。抑制率100パーセントの理由である。


(2)天気実績

供給過剰量が最低の日と、最大の日の東北地方の天気の実績を調べて見よう。東北電力管内にあって天気を観測している気象台14か所が観測した結果を日別にまとめた。

過剰量の少なかった3日間、19日、21日、27日を見よう。19日の御前9時は殆どが曇りで2か所は雨が降っていた。12時には4か所が雨になりそのほかは曇りだった。21日は1個所以外は雨だった。ほぼ全域で雨であるのに供給過剰になる典型的な日であった。供給と需要の倍率は3日とも 1.3 倍以上であった。

過剰量が多かった3日間、4日、6日、8日は全域が晴れまたは快晴であった。供給と需要の倍率は最大が4.06倍で最低が3.36倍であった。


)年間発電状況

5月1ヶ月間は全日供給過剰になって仕舞ったがほかの月はどうだろうか?

1年365日の内、340日が供給過剰になった。しかし、再エネ化率は33.4パーセントにしかなっていない。発電可能な量の88.7パーセントが発電禁止になって仕舞ったからだ。風力は70.5パーセントの発電禁止である。

脱炭素化だ!!やれ太陽光だと煽られて、再エネ拡大に投資したが、予定した収入の10パーセント程度しか得られず、必死に藻掻くも発電業者の殆どが倒産してしまう。これを国策詐欺と言わず、何というのか??

Ⅴ.(仕掛1)2030年頃、出力抑制頻発で太陽光終了

💀💀💀💀 発電収入激減で発電業者を倒産させろ 💀💀💀💀

2030年頃の東北電力は1年間に何度出力抑制が発生するか??シミュレーション結果東北は、太陽光が340回、風力が昼と夜間に停止させられるので557回の停止となる。太陽光がひと月の全日停止となるのは5月、11月、12月、3月である。

1回の発電禁止が出ても全発電所を止めるわけではない。供給過剰分だけ止めればよい。従って年間340回停止命令が出たとしても、一つの発電所に対する停止回数は、340回よりも少なくなる。太陽光の場合206.6回の停止だった。

供給過剰は、天気の良い日に起こり易い。発電量が多くて稼ぎのいい日に限って、発電停止になる。206.6回も停止させられると発電量の多い日からの206.6回なので。売電収入も大幅に減少する。弊社の計算では76パーセント近い減少と見ている。

76パーセントも売電収入が減少してしまったら、発電事業の継続は困難になる。間違いなく、倒産するであろう。

東北以外の地域で。年200回以上も出力抑制が発生するところが、6地域もある。これらの地域の発電業者は事業継続が困難になるであろう。

Ⅵ.(仕掛2)2030年以降に本格稼働の洋上風力も総崩れ

💀💀💀💀水が溢れているコップに更に、水を注いでも水は溢れるだけだ💀💀💀💀

洋上風力の後期は長く10年ほどかかると言われている。現在、国内で導入中の洋上風力は2030年過ぎに本格稼働することになる。

2030年頃には日本全国1年の内ほとんどの日が供給過剰になっている。例えば、下図は東北の1週間の稼働図であるが、1週間全日が供給過剰になっている。そんな東北も洋上風力が現風力の20倍、4000万kWが稼働することになる。その時の稼働想定図が、下段のグラフである。下段のグラフなら小学生でも想像できる。洋上風力のほとんどすべてが出力抑制で捨てられるのは、馬鹿でも想像できる。

馬鹿でも想像できるのに、何ら対策を取ろうとしていないし、議論すらされていない。洋上風力発電業者自身で予想すべきだが、何ら心配することなく工事を進めている、自ら地獄に飛び込んでいる。

専門知識や将来のデータを把握している経産省や電力会社も、何ら警告も出していないし、対策も取ろうとしていない。

否、そんなことはとっくの昔に知ってはいるが、再エネを潰すために黙っているだけだよ。それが、国策詐欺と言われる理由だ。

Ⅶ.(仕掛3)再エネが潰れたら、原発再稼動しか無くなる

♦ ♦ ♦ ♦  再稼動の前にやるべきことが有る  ♦ ♦ ♦ ♦  

Ⅷ. ♦ ♦ ♦ ♦  国策詐欺に対抗して、抑制解消  ♦ ♦ ♦  

 ❤  ❤ 再エネ崩壊を狙っている経産省にとって迷惑な解消策 ❤  ❤ 

対抗策①  ♦ ♦ ♦ ♦  上に伸びるタケノコを横に寝かせる  ♦ ♦ ♦ ♦

♦ ♦ ♦ ♦ 原発再稼働前に最初にやるべきこと  ♦ ♦ ♦ ♦ 

全ての太陽光発電に蓄電池(HBBS//PVSS)を導入し、発電した電気は一旦蓄電池に保存し、翌日ゼロ時から24時間かけて均等放電する。太陽光の出力抑制無しで、再エネ化率70~80パーセント程度まで高める事が出来る。

太陽光の抑制解消に合わせて風力も大幅に抑制解消され、その結果、火力の発電量が減少し、大きな経済効果をもたらす。

2030年頃の東北電力の場合、HBBS等の導入で太陽光発電が出力抑制解消で、発電量が1年間で12,124GWh増加、火力は13,009GWhGWh減少する。その効果をそれぞ家の単価で20年分を金額換算すると太陽光(12円/kWh) は2兆9千億円、火力は5兆4千億円となる。蓄電池コストは、必要容量は一日の発電量に対して蓄電と放電を同時処理に必要な容量を考慮の上計算すると、約3兆3千億円となる。

蓄電池コストをだれが負担すべきか?

蓄電池コストは太陽光発電で得られる売電収入の約半分に相当する。パネル購入費や導入費や維持費を含めると太陽光発電業者が負担するのは困難であろう。

火力発電を行う電力会社にとっては火力の燃料費が軽減される効果以外に、太陽光発電を接続させる系統の容量が3倍状に増える事や、出力抑制の予測や事後処理必要なコストが皆無になるなどの効果が大きい。結果、経常利益も大幅改善され、自社株の価格が上がり、電力自由化での価格競争もやり易くなる。

結論からすると、「再エネを主力電源にする」と公約している電力会社が蓄電池のコストを全面的に負担すべきである。

対抗策  ♦ ♦ ♦ ♦  洋上風力は発電後、即、液化水素に!! ♦ ♦ ♦ ♦

通常のやり方で系統に乗せようとすると、すぐに出力抑制の対象となり殆ど発電が許されない状態になる。それを避けるには、同時同量の計算対象から外すために発電した電気は系統に乗せずに直接液体水素に変換(下図)して、後でトラック便か船便で輸送する手段を取るべきである。電力系統で運ぶなら、需要の少ない時間を限定して送電することも可能であるが、系統に乗せるには供給不足の地域発生を待たなければならないが、日本全国供給過剰の為、系統に乗せるのは望み薄である。

(注)発電即液化水素へ転嫁の必要性を予見した某企業は、この方式の研究を開始している。



対抗策

   ♦ ♦  本格的脱炭素には、電気は貯めてから使うが必須!! ♦ ♦

(1) 再エネだけで電気を供給するには何が必要か?

①1年間の「電力需要と再エネ出力を一致」させると

経産省ご推奨の「供給過剰分切り捨て方式」で、再エネ化率を高めようとすると、切り捨て部分の方が多くなり、再エネ化率は高くならないだけでなく、発電業者が経済的にも採算の取れない状態になってしまう事を説明する。

説明を分かりやすくするために、太陽光と風力だけに限定して、他の者は一切省いた東京電力のデーターを使用する。

東京電力の電力需要は夏と冬にピークが来て、春と秋は需要は少なくなり、特に5月のゴールデンウィーク期間は最低需要になるのは、毎年ほぼ同じパターンである。

一方、太陽光発電は6月の夏至の頃を最大とし、12月の冬至の頃が最小となる。地球は太陽の周りを一定軌道で好転しているため、太陽からのエネルギーは毎年ほぼ一定である。途中梅雨の季節や台風の季節には、その年によって多少の変化はあるが、一年を通すとほぼ一定の量で発電している。

一方、風力発電は春や冬は風は多いが、夏はかなり少なくなるというパターンで吹いている。ただし、太陽光に較べると、年によっては発電量が大きく変化する点では異なる。

以上の条件で、東京の1年間の電力需要を太陽光と風力だけで、供給した、すなわち、年間電力需要=年間太陽光発電+年間風力発電になるように、現在受け付けている承認済と検討待ちの半分が稼働したとして作成したグラフが、(下図.上)である。ただし、風力は陸上風力の発電効率を適応している。このグラフから分かる事は、年間では需要と供給は一致しているが、夏のピークと冬のピークには供給不足となり、1月~6月までは供給過剰となる。供給過剰の時は出力抑制として捨て去り、不足のところは何処かから供給してもらうか、火力発電を稼働させなければならない。その結果、再エネ化率は90パーセントにしかならない。

そこで再エネ化率100パーセントを目指して、8月の不足のところを再エネで供給させるために、8月の需要 = 太陽光+風力になるまで全体を底上げしたグラフが、真ん中の(下図.中)である。全体が底上げされたため、供給過剰分が極端に増える。風力の捨てられた量は、227TWhもあり、年間需要279TWhの81パーセントに相当し、 風力発電の68パーセントが無駄に捨てられることになる。捨てられる分を15円/kWhで計算すると、毎年3.4兆円になる。年間売り上げ6兆円弱、経常2000億円前後の東京電力がこんなに沢山、出力抑制として捨ててしまうのを黙って見ているだろうか?もし黙って見ている様な経営者だったら、経営者失格と言わざるを得ない。経産省の制御方式では、毎年3.4兆円、しかも、風力発電の68パーセントも捨てることになる。こんなに捨てて、経営の無駄をまき散らして、最適な制御方法だと言えるのか??言ってるのは経産省だけだろ。

それに対して、効率良く再エネ化率を高める方法を考えよう

需要=供給が成り立っていた最初のグラフ(下図上)で、供給過剰になった分をグリッド・ストレージ(以下、GS) と称するところに保存し、不足な時にそこから取り出して供給すれば、年間の同時同量が成り立つ。つまり、捨てる部分が無い状態で再エネ化率100パーセントを成立させる事が出来る。そのためには、GSにどれだけの量が保存されるだろうか?その時のグラフが(下図下)である。最大27.6TWhの保存量となる。東京電力の1ヶ月の需要量に相当する。

再エネ化率を100パーセントまで持って行くのに、経産省の主張する「切捨て方式」の制御を採用すると、膨大な無駄が発生する。その無駄は、地方電力の年間需要の殆どを賄う事が出来るほどの量である。無駄を生じさせないで再エネ化率を高めていくには、「貯めてから使う」方式に切り替えていくべきである。貯めるための費用は、捨てる予定だった電気の有効利用で、たったの1年で採算は取れるはずだ。


(図上)(図中)(図下)

(2)巨大な蓄電池は可能か?

蓄電は複数個所に分けて蓄電する(図Ⅸ.1)

電気スタンド

EV時代にはEV車向けの電気(ガソリン)スタンドが必要だ。現在ガソリンスタンドは東電管内だけで7千ヶ所有るそうだ。1スタンドで毎日300車に500km走行分の電気を提供すると、1スタンド当り50MWh程度の蓄電池が必要となる。東電管内だけで一日当たり350GWhの蓄電量となる。

電気の充電時間は通常は8時間くらいかかるが、高速充電であれば30分程度で出来るそうだ。1台当たり30分掛けて、営業時間12時間に300台に充電するためには、25台が一斉に駐車できるスペースが必要となり、電気スタンドと言うより駐車場と言う感じになる。土地代の高い都会地でこれだけのスペースを確保するのは困難であり、且つ採算を取るのも困難であろう。

それに代わる対策として、蓄電池の標準化を進め、蓄電池の種類を大型、中型、小型の3種類ぐらいに限定してどのメーカーの車でも共通して使用できるようにする。電気スタンドでは充電サービスを受けるのでなく、既に蓄電しているバッテリーと数分間で交換するサービスを提供する。すでにこのタイプのサービスは、2輪車では一部メーカーが実施している。

スタンド側は、空のバッテリーに8時間かけて満タンになるまで充電する。1バッテリーに8時間かかるため、8時間で200台の車にサービスするには、常時200台の充電したバッテリーが在庫として持っておく必要がある。従って、1スタンド当り400台分の蓄電能力(100MWh)が必要と計算できる。東京電力管内で最低でも700GWhの蓄電能力が必要となる。


★フロントステーション

現在の配電変電所に相当する。東電の配電変電所は1000ヶ所は有る。配電変電所の役割は二つある。一つは需要家に電気を供すること、二つ目は発電所からの電気を受け止める事である。


★ミドルステーション

配電変電所より上位の変電所、中間変電所、1次変電所、超高圧へな電諸島を総称してミドルステーションと呼ぶことにする。東電管内だけで1000ヶ所有るそうだ。このステーションの役割は二つある。一つは電気を液体水素に変換して、変換された水素を貯蔵タンクに保存することと、2つ目は、適切なタイミングでたまった水素を電気に変換して電力系統へ送り込むこと、の役割がある。


★バックヤードステーション

旧火力発電所跡地15ヶ所を液体水素専用貯蔵タンクの保存場所とする。他所の地区との輸出入はこのステーションからトラック便または船便で行う。


グリッド・ストレージ構成(図Ⅸ.1)