出力抑制の解消で蓄電池コストはお釣りがくる
蓄電池を使用しない発電所は出力抑制で利益が出ない。
蓄電池を使用した発電所は、たとえ、
FIT価格が下がってもしっかりと利益が出せる。
資源エネ庁が発表した出力抑制の頻度の見通しによると、年間1,500時間以上の抑制になると発表している。
詳細は出力抑制の見通しを資源エネ庁が発表を参照ください。
エネ庁の発表は電力会社が行う抑制時間であって発電所から見た時間ではない。発電所から見た抑制時間は、電力会社発表の数分の一になるが、環境の変化でその時間も大きく変わってくる。
その環境とは
①原発再稼働の影響
②蓄電池を使用しない太陽光発電の導入拡大
③南中時の電力需要の落ち込み(省エネ、節電、家庭用太陽光拡大、・・・)
④蓄電池使用の太陽光発電をベース電源として導入拡大
の影響を受けて、発電所から見た抑制回数も年々増加する。
抑制回数が増えた場合、現在の系統接続方式で利益は出るのだろうか?
高額の蓄電池を使用しても、利益を確保できるのだろうか?
発電所規模別に蓄電池を使用した場合と、使用しない場合の20年間の粗利益をシミュレーションする。
①シミュレーション・ケース設定(2MW以上の産業用のみをシミュレーションする)
FIT買取単価は現在の18円が、徐々に下がって35年までに5円になる。
パネルと蓄電池もFIT価格に対応して下がっていく。
太陽光の導入拡大と原発再稼働で出力抑制回数も増えていく。
シミュレーション・ケースを図5.1のように設定した。
(図5.1)
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②シミュレーション結果(2030年のFIT価格7円のケース)
★蓄電池を使用しない場合
・年50回の出力抑制と系統接続負担金の影響で、125MWの発電所までは利益が
出ない。
・純利益はを出すためには更にコストがかかるので、粗利益率が20パーセント
以上は必要と思っていたほうが良い。20パーセント以上あるのは250MW
以上の発電所となる。該当発電所は現時点で1ヶ所しかない。
★蓄電池を使用する場合
・出力抑制が皆無であることと、パネルと蓄電池をセットで導入することと、
系統接続負担金が安くなることで、すべての規模の発電所が黒字となる。
(図5.2)
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③全ケースの粗利益だけを取り出す(図5.3)
★蓄電池を使用しない場合
・FIT価格が18円であれば、8MW以上の発電所なら辛うじて黒字は可能である。
・FIT価格が15円では、売電収入が減るだけでなく、出力抑制がさらに増えて
売電収入が減る。系統接続負担金は現状と同じ金額であるため粗利益は大きく
減少する。純利益を確保するためには粗利益は売電収入の20パーセント以上
が必要であるため、85MW以上の規模の発電所しか対応できない。認定受付中
で85MW以上の発電所は19件しかない。
・FIT価格10円以下になると全ての太陽光発電は、粗利の時点で赤字となる。
★蓄電池を使用する場合
・全規模の発電所で粗利益も、純利益も確保可能である。
(図5.3)
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④発展所規模別の粗利益のグラフ化
★蓄電池(HBBS)を使用しない場合(図5.4)
・工事負担金が7.8億円~83.3億円と膨大である。
・出力抑制のために収入減が発電所規模に比例して大きくなる。
・出力抑制の影響は最初は少ないがだんだん大きなる。年20回の抑制では100MWの
発電所までは赤字になる。
・100MW以上の発電所は粗利益は黒字であるが、利益率では最大規模の480MWの発電
所でも20パーセント以下であるため純利益で黒字になるかは疑問である。
・今後導入予定の太陽光発電は、蓄電池(HBBS)無しでは不幸を招くだけである。
(図5.4)
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★蓄電池(HBBS)を使用した場合(図5.5)
・全規模の発電所で20年間の粗利益は黒字となる。
・工事負担金が0.5億円~26.3億円と4分の1から10分の一と極めて少ない。
・パネルと蓄電池を一体化した効果から導入コストが大幅に少なくなった。
・出力抑制は全く発生しない。
・発電所規模が大きくなると粗利益率も大きくなる。スケールメリット単価
の適応効果が大きい。
・将来は蓄電池を使用した大規模発電所だけが生き残っていくと予想できる。
(図5.5)
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東京電力供給域の太陽光発電には出力抑制はあり得ない・・・って本当?
⇒⇒ リンク
電気料金を下げるためには、FIT制度のための負担金を廃止すべきである。
しかし、廃止すると発電業者にとっては、利益確保が困難となる。
昨年(2017年4月)から、産業用は入札制度が導入された。
入札制度は、発電業者にとっては価格競争で業者選定で不利になるとの不安があるが、
逆にみると価格決定は発電業者側にあると、前向きに捉えれば利益も出しやすくなる。
前述のシミュレーションでは蓄電池を使用しても小規模発電所は利益が少ないので、
入札価格を数円高くすると黒字の確保も可能になるものがある。数円高くしても現在
の価格よりはるかに安いので、国民にとっては電気料金が安くなるというメリットが
得られる。
大いに入札制度を活用すべきである。
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Ⅶ . 入札制度の利用