上に伸びる「タケノコ」を横に寝かせて供給過剰解消!!                 この解消で一番得するのは電力会社!!          積極的にタケノコ対策実施の電力は、自由化を勝抜けられる

2030年頃の我が国の再エネは、現在の2倍程度に拡大される。

その内の6割が太陽光のため、タケノコシンドローム現象が大発生し、

伸びきったタケノコで、日本全国、ほぼ全日、天井(需要)が突き抜けられる。

北から南まで同時に天井崩壊となるため、連携線の効果は発揮できず、

発電禁止が頻発する。その頻発で、売電収入激減で、発電業者は倒産となる。

この解決は、各パネルにHBBSを導入し、上に伸びるタケノコを横に寝かせるしか無い

即ち、発電した1日分をHBBSに一旦蓄電し、翌日、24時間かけて均等放電する。

この方法で太陽光の抑制は皆無、風力も激減、火力も発電量激減、

再エネ化率も70~80パーセントに高まる。

問題は、そのHBBSコストをだれが負担すべきか?

太陽光、風力、火力のHBBS効果を夫々の単価で金額換算すると火力が最大、

電力会社は、更に、系統容量3倍拡大効果や、太陽光の発電予測不要や、

抑制処理不要などで、コスト削減効果が大となる。

早めに対応の電力会社は、価格競争も有利に勝ち抜け、

世界のエネルギ情勢に左右されず、原子力依存から抜出し、最大の貢献をするだろう。

Ⅰ)2030年頃の再エネ発電状況

(1)出力抑制回数最多と予想される東北電力の発電状況

①2021年度電力需給実績から2030年頃を予測

2021年度の電力需要と発電実績に対して、原子力を新たに稼働させ、2030年の予想再エネ伸び率を    乗じて新発電量を算出した結果が(図Ⅰ.1)である。まるで伸び切ったタケノコの林立である。

太陽光の発電量が、需要ライン(赤破線)を大幅に、かつ、全日、超えている。(タケノコシンドローム)

(図Ⅰ.1)

全発電量と需要の倍率の最高は、5月4日の4.06倍、2番目が8日の3.42倍だった。これらの日は、 東北の全域が雲一つない晴天日であった。(図Ⅰ.2)

反対に最少の日は、5月19日が1.35倍、21日が1.36倍、27日が1.33倍の需要超過である。(図Ⅰ.2) と(図Ⅰ.3)はこの3日間の天気を、東北の13気象台が9時、12時、15時の観測値である。

全供給域で一日中雨だった5月21日でも、供給過剰になった。この状態は、火力を最低出力まで下げ、且つ揚水発電を能力一杯まで働かせた後の値である。但し、連携線は利用していない。利用しなかった理由は後述する。     

                               (図Ⅰ.2)                                           (図Ⅰ.3)

②東北の年間再エネ化率は?

東北の年間の再エネ化率は38.7パーセントにしかなっていない。しかし、2030年の目標36~38パーセントは達成。それでいいのか?問題は、経産省審議会で全く議論されなかった出力抑制が、太陽光は73.7パーセント、風力が62.1パーセントも発生している。つまり、太陽光発電業者は売電収入の73.7パーセント、風力は62.1パーセント減収するという事である。これだけ減収となれば「発電業者は即死する」しかない。

(図Ⅰ.4)

③東北の年間センター停止回数340回で、月別の内訳は(図1.5)である。

月別のセンター停止回数は(図Ⅰ.5)で、昼は太陽光と風力が対象になるが夜は風力だけが停止させられる。1回のセンター停止で予測信頼度を補う目的で多めの発電所が停止させられる。1発電所の停止回数は個別停止回数欄を見ればよい。太陽光は207回も停止、風力は昼と夜の停止となるので314回にもなる。

(図Ⅰ.5) (図Ⅰ.6)


④太陽光発電業者の年間売電収入はどれだけ減少するか?

太陽光の一日当たりの発電量は大小さまざまである。発電量の多いものから順に並べると(図Ⅰ.7)のようになる。緩やかなS字曲線が出来る。出力抑制は天気の良い日に限って発令されることが多いので、年間の売電収入に対する影響が大きい。つまり。100回停止の量を(図Ⅰ.7)の右端から取ると10パーセント程度の影響しかないが、左側から取ると40パーセントの影響となる。

(図Ⅰ.7)

⑤2030年以降の新たな問題

★洋上風力総崩れ

2030年過ぎには現在導入作業中の洋上風力が本格的に稼働し始める。しかし、昼間は既に太陽光で供給過剰である為、洋上風力の稼働余地が無い。夜間は需要が少なく、殆どが抑制対象となり、洋上は即死となる。

★再エネ化率停滞

2030年までに、コップは水で一杯になる。更に水を注いでもコップの水は零れるだけ。再エネの主力電源化も脱炭素社会もこの後、導入拡大しても実現出来ない。世界中からの物笑いの国に陥るだけだ。

(2) 発電量予測手順

電力各社が公開している電力需要実績の実績値を使用して下記の手順で予測。

①再エネ種別毎に伸び率(=新容量÷現容量)(図Ⅰ.8)を該当電源の発電量に乗じる。

②時間毎に同時同量になるよう火力と揚水発電で調整

③連携線は日本全国で正午頃に供給過剰のため使用できない。過剰分は全て抑制となる。

④需要実績、天気実績を反映している為、予測結果の信頼度は極めて高い。

(図Ⅰ.8)



(Ⅱ)2030年頃、連携線が使えなくなる理由

(1)太陽光発電が供給過剰の最大犯人 

 理由① ;「タケノコシンドローム現象」 

太陽光の導入容量が増えると、発電量は南中時を目指して、上へ上へと伸びて行く。   決して横には広がらない。タケノコは一日に30センチ伸びる。猛烈な勢いである。     (図Ⅱ.1)        

伸びきった「タケノコ」は、「天井」(平均日)を突き抜け、更に伸びると、屋根(ピーク日)も突き抜ける。 突き抜けた「タケノコ」は切らざるを得ない(出力抑制)

理由②;地政学的にも供給過剰になり易い

日本列島は東経130度から145度(除く沖縄)に位置している(図Ⅱ.2)ため、太陽が北海道の東の端の根室市の上空に来てから1時間後に西の端の九州平戸の上空に来る。つまり、日本列島は太陽光軌道の1時間の範囲にある。実際に、(図Ⅱ.2)は2020年5月3日の電力各社の電力需給実績から作成したグラフである。このグラフを見ると、沖縄以外はほぼ同時刻に最大発電量になっている。(東京と四国は単位が万kWであるが他は全てMWである)

欧米の東端と西端は、時差が3~4時間あるので、全国一斉に最大発電になる事は無い。

(図Ⅱ.2)

理由③;連携線の基本的役割は電力9社で瞬時、瞬時に同時同量

電気は瞬時瞬時、供給量と消費量が一致しなければならない。同時同量と言う。同時同量は一つの電力会社内だけでなく、連携線で結ばれた9社間で成り立っている。沖縄は連携線で連携されてないので、ここでは省略している。            

(図Ⅱ.3)は2021年5月3日12時に連携線を流れた電力量を表示したものである。図中では電力会社毎に箱で表示し、電力会社名の真下にある数字が電力各社の電力需給実績表に掲載されていた同時刻の連携線欄の数値である。数値が黒字であれば、不足していたため外部から取り込んだことを意味し、赤字であれば供給過剰のため外に放出したことを意味する。

例えば関西電力は2,453MWh不足であったので、外部から取込んだ。取込先は中国から2,808(以下単位は省略)、北陸から470取り込んで不足分を補充したので、余った825は中部へ送った。中部では中部の過剰分691と関西からの825を合わせた1516を東京へ、東京の不足分4830は東北からと中部からの合わせた4832で補った。ここで+2だけ多いがこれは周波数変換ロスと考えられる。電力9社間で同時同量が成り立っていることが証明された。

甚だしい誤解は、「連携線の容量を増やせば、供給過剰が防げる」との幼稚な誤解である。全地域が供給過剰になった時、連携線の容量を増やしても何ら意味が無いことを確り理解して貰いたい。

(図Ⅱ.3)

(2)2030年頃、昼、全国一斉、ほぼ全日、供給過剰

①地域別、季節別に正午の電力需要最大値実績調査

電力各社の発電実績から季節別に、正午の最大需要量を調査した。

(図Ⅱ.4)

③太陽光と風力の発電能力を会社別・季節別に設定する

太陽光は本来なら夏至の頃が最大で、冬至の頃が最小となるが、梅雨や降雪の影響を受ける。風力は夏少なく冬と春に大となる(図Ⅱ.6)。各社の1年間の実績値に対し、日数と導入済み容量で調整し、各社の別季節別発電量を計算する。

(図Ⅱ.6)

④火力最低出力、原子力、揚水発電量を組み込む

ベースロードとして火力の最低出力と、原子力を加えて揚水発電で調整する。

(図Ⅱ.7)

⑤季節別最大出力計算結果

季節別発電量に火力と原子力等のベース(図Ⅱ.7)を加えて最大出力を算出する。

(図Ⅱ.8)

⑥季節別供給過剰量算出

供給過剰になっているかを判定するために、最大出力(図Ⅱ.8)と最大需要(図Ⅱ.4)の差を求めた。差がプラスは過剰、マイナスなら不足である。結果は夏と冬のピーク日に、一部でマイナスだが、全体合計でプラスとなるので、日本全体は供給過剰と判定できる。

(図Ⅱ.9)

⑦供給過剰は需要の何倍か?

過剰分はその時の需要に対して何倍程度であるかを算出する。倍率が高いと、少々の悪天候でも太陽光発電で過剰になる事を意味している。関西と沖縄以外は、少々天気が悪くても供給過剰になると読み取れる。日本全国、ほぼ1年中供給過剰であることが証明された。


(図Ⅱ.10)



(Ⅲ)これしかない「タケノコシンドローム解消策」

★★★★   上に伸びるタケノコを横に寝かせる    ★★★★

(1)太陽光発電特性「晴天日一日の発電量を24時間かけた均等放電で、南中時の最大値は3~4分の一に減少する」を適応

晴天日の発電量を一旦蓄電池に保存し、発電終了後のゼロ時から、24時間かけて均等放電すると、1時間当たり放電量は南中時の最大値の3分の一~4分の一になる。夏至の頃は3分の一で、冬至の頃は4分の一である。

(図Ⅲ.1)は3種類の太陽光発電に対して、その一日分を24時間均等放電した時の放電量をグラフにしたものである。なお、発電量は夏至に近い日の発電実績であるため3分の一になっている。

一番少ない発電量ステップ1(白実線)の南中時の最大発電量は約2,500万kWh、24時間均等放電時の放電量は847万kWh(白点線)、ステップ2(赤実線)の南中時の最大発電量は約7,922万kWh、24時間均等放電時の放電量は2,683万kWh(赤点線)、ステップ3(黒実線)の南中時の最大発電量は約12,675万kWh、24時間均等放電時の放電量は4,294万kWh(黒点線)となる。何れも、24時間均等放電量は南中時最大値の3分の一になっていることが証明された。


(図Ⅲ.1)

(2)上に伸びるタケノコを横に寝かせるシステム装置

①基本機能

★パネルで発電した電気を直流のまゝ蓄電する(パワコン不要)                                                                                    ★蓄電池は複数個を結合し、結合容量は一日の発電量を適切に処理可能な容量とする。                                         ★毎日決められた時刻にセンターへその日の発電量を知らせ、午前ゼロ時から均等放電を開始する。                 ★HibridBatterySystem(HBBS)、PhotoVoltaicsSecurity System(PVSS)と命名。

②HBBSの蓄電と放電を並行処理を行うに必要な蓄電池容量(図Ⅲ.4)

(図1)前日の発電量を24分の1した量でコンスタントに放電する。発電は日の出から日没まで行う。                      (図2)前日蓄電した量は24時間かけて均等量づつ減少し、24時間後にゼロになる。当日の蓄電量は日の出と       ともに少しづつ増加し、日没時に最大値に達する。                                                                                                     (図3)前日分と当日分の合計量の変化をみると、16時頃に最大値の1.33になる。


(図Ⅲ.4)

③PVSSの蓄電池の使われ方

2つの蓄電池を持ち、一つは蓄電用、他は放電用とし、午前ゼロ時に役割を切り替える。蓄電は自己消費しなかった分を蓄電する。放電は前日蓄電分を24時間かけて均等放電とする。蓄電池容量は自己消費の無い年間一日の最大発電量とする。

(3)蓄電池コストと売電収入の関係

❤❤❤❤ 1年間の発電実績(図Ⅲ.5)から容量とコストを推定する  ❤❤❤❤

①13000kWの実績(図Ⅲ.5)から売電収入を推測する

1年間の発電量 16,425MWh   1年間の売電収入(12円/kW) 19,710万円     20年間の売電収入   394,200万円     1万kWのパネルの20年間の売電収入 30.3億円/万kW 

②蓄電池コスト

使用する蓄電池はNAS蓄電池として2.4万円/kWhで計算した。

1.3万kW時の蓄電池容量(6万kWh×1.33) 79.8MWh   1.3万kW時の蓄電池コスト(2.4万円) 19.2億円   1万kWのパネルの蓄電池容量 61.4MWh   1万kWのパネルの蓄電池コスト 14.7億円/万kW


(図Ⅲ.5)

蓄電池コストは、20年間の売電収入の約半分に相当する。    これでは投資効果は極めて困難?

(4)電力会社別2030年頃の全太陽光に他する蓄電池費用

電力会社別に必要な蓄電池の容量とそのコストを計算した。

合計20兆円規模の事業となる。

(5)東北電力の全太陽光発電に蓄電池適応後の稼働

全太陽光にHBBSまたはPVSSを適応した場合の5月の稼働は、(図Ⅲ.7)のようになる。                            太陽光に対する抑制は一切発生していない。風力の有効分は大幅に増えたが、抑制も少し発生している。


(図Ⅲ.7)

(図Ⅲ.8)蓄電池効果が出たため1年間の再エネ化率は74.7パーセントまで高まった。再エネが伸びた分、火力の出力が39,860GWhから13,264GWhへと減少し、脱炭素化へ大いなる貢献をした。連携線欄の供給過剰が1,160GWh発生しているが、これだけの量なら自社の水力12,075GWhの10パーセント減らせばよいので連携線を利用する必要はない。


(図Ⅲ.8)

蓄電池適応前の稼働状況は(図Ⅰ.4)に記しているので、蓄電池適応後と確りと比較して戴きたい。

(補足) ♦♦♦♦ 経産省の「需給バランス改善事業」がデタラメの説明  ♦♦♦♦  

補足1.経産省の「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」の概要

需要を超えた昼の再エネ分を、電力会社の変電所に設置された蓄電池にいったん保存し、夜間の需要に対して供給し、翌日の供給過剰時までに消費して、蓄電池を空にしておくことで「需給バランスを改善する」と言う方針で東北と九州に大規模蓄電池を設置した。(2016年2月)

バラン維持構想の下に過剰分を保存する蓄電池を東北と九州に設置した。

東北電力 南相馬変電所            九州電力 豊前変電所

   出力4万kW 容量 4万kWh         出力 5万kW 容量 30万kWh       NAS  リチウムイオン電池       NAS(ナトリウム硫黄)電池          敷地面積  8,500㎡         敷地面積  14,000㎡         (2016/2/26開始)                 (2016/3/3開始)


補足3.超過分を夜間中に消化するほどの需要が存在しない。

需要超過量19,380万kWhを消費するには、それだけの需要が必要だが、翌日の日の出までの需要は6,178万kWhしか無い。超過分の3分の一しか消費できない。経産省の論理的詰めが極めて甘く、まるで詐欺に賭けようとしてるとしか思えない。

補足2.経産省のこの事業は、2030年頃には全く改善効果が無い

2030年頃の5月の稼働(図Ⅰ.1)で、倍率が最大4.06倍の稼働に対して、この変電所はどの程度抑止効果が有るか検証してみる。  

5月4日の需要超過量19,380万kWhを蓄電する為には4,845倍(19,380÷4)の容量が必要、その容量には、敷地は41㎢必要だ。この広さは東京山手線内側面積約63㎢の6割に相当する。蓄電池価格を2万円/kWhとすると3.9兆円となり、この金額は東北電力の年間売上高の2年分に相当する。

蓄電池の容量が約5000倍必要とは、全く話にならない。経産省の洞察力とはこの程度である。東北電力はこの蓄電池使用を諦めて、希望者に譲るため公募懸けているが、全く売れないそうだ。

補足4.連携線の容量拡大しても、供給過剰は解消できない。

最近の経産省は5/4の超過分は連携線で処理できると誤解しているが、それは不可能であることを「(Ⅱ)」で説明したので、確りと学習して欲しいものだ。

(Ⅵ)太陽光発電業者が受ける直接効果

❤ ❤ ❤  太陽光発電に蓄電池を組み合わせる事で削減されるコスト  ❤ ❤ ❤  

(1)パワーコンディショナーが不要となる

パネルで発電された電気は直流で出力されるので、直流のまゝ蓄電する。直交変換はパワーコンで行っていたのでパワコンは不要となる。変換ロスも発生し無くなるので、その分発電量が増加する。パワコン費用はパネル全体票の20から30%を占めていたのでその分だけコストも安くなる。                                                              また変換ロスも無くなるので発電量もその分増える事になる。その増分は10パーセント程度と言われている。

(2)系統接続工事負担金が大幅縮小される

太陽光の系統接続変電所は、最大出力(容量)を基準(図Ⅵ.1)にして決められている。24時間かけて均等放電すると南中時の最大値は3~4分の一に減少するので、接続変電所もワンランク下の変電所に変わる。                   ワンランク下がると変電所の数が多くなる。多くなると変電所までの距離が短くなる事が多い。距離が短くなると工事負担金も大きく減少する。工事負担金電力計算は広域的運営推進機関の「送変電設備の標準的な単価」 (図Ⅵ.2)使用する。

(図Ⅵ.1)

広域的運営推進機関の単価表    (図Ⅵ.2)

①工事負担金の計算事例ーー変電所までの距離ーー


発電所から各変電所までの距離を設定する。


(図Ⅵ.3)

②接続変電所別の工事負担金

60MWの発電所で、HBBSを使用しない場合は超高圧変電所接続であるので、工事負担金は、(図Ⅵ.4)を見ると49.3憶円であるが、HBBSを使用しても接続変電所は同じ変電所であるため負担金は26.3億円となる。  しかし、60MWの発電所で、HBBSを使用しない場合は49.3億円であるが、HBBSを使用する場合は接続先が1ランク下の1次変電所となるので、負担金は13.2億円となる。36.1億円安くなる。

(3)スケールメリット単価適応で単価が大幅にダウン

物を大量に買うと購入単価は安くなるのは世の中の常識。蓄電池の場合も同じことが言える。太陽光パネルの容量はピンからキリまである。小は4kWから大は50,000kW以上がある。それらの容量を8種類に分類しその区分毎に単価を決める。その単価は区分毎に割引率を5~10%として設定すると、一番大きな区分の単価は半分近い単価になる。

(図Ⅵ.5)

(4)出力抑制による収入減が皆無

蓄電池を使用すると大量に売電収入が激減するが、蓄電池を使用するとそれが全く発生しない。

(Ⅴ)蓄電池コストはだれが負担すべきか?

(1)太陽光、風力、火力が得られる直接効果の金額換算

蓄電池使用で増加または減少した発電量を、IT買取単価もまたは公表されている火力の単価で計算とした結果、なんと火力が最大効果を生み出している。東京電力では太陽光の効果が、風力より少ない最低の額であった。20年間の額は東京も東北も、系統下の全蓄電池のコストより大きな額である。蓄電池コストを太陽業種だけに負担させることは、極めて大きな不公平を生み出すことになる。


(図Ⅳ.1)

(図Ⅳ.2)

(図Ⅳ.3)

東京電力は自社の系統に接続された全太陽光の蓄電池のコスト6兆3866億円を負担すると、火力発電の燃料費が13兆1397億円節約できる。                                東北電力は3兆3398億円の投資で5兆4638億円の燃料費の節約となる。

太陽光だけに蓄電池を適応したにも拘らず、風力と火力発電にも効果が出ている。しかも、最大効果は火力発電で、太陽光は最小の効果でしかない。

全太陽光に必要な蓄電池コストを、火力の効果だけで十分に補えるほどである。

(Ⅵ)系統制御を行う電力会社が得るHBBSのその他の効果

(1)間接効果

★系統接続の最大発電量が、蓄電池を使用すると3分の一以下になるので、系統容量を3倍に拡大したのと同じ効果となる。

★火力発電は全て事前の計画通りに発電出来るので、火力発電の安定運転が可能と成り、かつ最低出力を思い切り下げ事が出来る。

★太陽光発電所から毎日の夕方にその日の発電量を知らせて来るので、天気予報を使用した太陽光の毎日の発電量予測が不要となる。

★天気の急変等で発電量が急変が有っても気にすることなく系統運転ができる。

★太陽光発電に対する前日の発電予測は不要となるため予測作業関連のコスト削減が可能と成る。

★太陽光発電に対する出力抑制が皆無となるため、抑制予測や抑制処理や抑制実績管理など一連の作業が皆無となる。

コスト削減等で得られる利益を電力自由化後激しくなった価格競争の原資として利用し、価格競争に打ち勝ち、且つ利益率の向上に努める事が可能と成る。

(2)電力会社蓄電池コスト負担で可能となる電力会社の新たな挑戦

①電気料金単価を値上げする事なくとも、経常利益を高める事が出来る。利益が出れば自社株価が高くなり、経営に好影響をもたらす。

②利益が大きくなれば、その利益で電気料金を下げて、他電力会社との価格競争を有利に展開できるようになる。

③蓄電池コストを負担すれば、更に再エネ接続が増え、利益も益々増加する。

④太陽光の出力抑制を解消せずに再エネ拡大を続けても、増えるのは発電業者の犠牲ばかりで、再エネ化率はほとんど増えない。技術大国の評価も失い、世界の笑い者になるだけである。


天気に左右されて不安定な再エネを使い熟すには

「電気は貯めてから使う」と発想の転換が必要である。

その第一ステップが「縦に伸びるタケノコを横に寝かせる」であった。

第2ステップが「洋上風力は即、液化水素転換」

第3ステップは「冬の余剰分を夏に使う」ためにグリッド・ストレージの導入

最後のステップは「マイクロ・グリッドへの移行」である。




(参照)スマートセンター (smart-center.jp)