世界の再エネ化率競争で大きく遅れている日本、

足を引張っているのは

東京電力さん、アナタですよ!!

                                                   経済産業省資源エネルギー庁の資料によれば、2016年には水力を含む

                                        再エネ化率は、工業国ドイツで30.6%、日本と同じ島国のイギリスでも、

                                        25.9%もの再エネ化率を占めている。

                                        一方日本は、16.4%にとどまり、水力を除いた再エネ化率は8.4%しかない。

                                        現時点では、日本は再エネの導入で世界の後進国となっているのだ。

(2019/6/19掲載)

1.どこの電力会社が遅れているか?


    2018年1年間の電力会社別に調査した結果が図1である。

    日本全体の再エネ率は8.4パーセント、大型水力を含めても16.4パーセントしか達成していない。

再エネ化率が一番進んでいる地域は、東北地区で15.7パーセント、わずかの差で2番が九州地区で、15.1パーセントあった。

大型水力を含む再エネ化率でも東北がトップで、2位が北海道で25.1パーセントだった。最下位は東京で9.9パーセントしかない。

     この表を見る限りでは出力抑制が発生したのは九州だけで他の地域には発生していないことが分かる。発生はしていないが、地域間連携で発生を抑えていたのも読み取れる。連携線の欄がマイナスの場合は超過分をどこかの他電力に送り込んだことを意味し、プラスの数字は受け取ったことを意味している。ただし、一部に、出力抑制とは無関係に、例えば九州地区に九電以外の発電所がありそこの電気を関西まで送っている場合もある。東北と四国と九州は他電力に送電しているので出力抑制が発生しているか、または発生直前であるかもわかる。

                                                                                                 (図1)

(出典)電力各社のHPから需給実績をダウンロードし、弊社が集計した。

2.日本全体の再エネ化率を高めるためには!!

    電力会社毎に大型水力を含まない再エネ化率を30パーセントに高めたとした場合、日本全体の再エネ化率はどれだけ高まるかを表した表が(図2)である。

    例えば、再エネ化率8.9パーセントの北海道が30パーセントに高めると日本全体の再エネ化率は0.8パーセント高まって8.4が9.2パーセントになる。地方の北海道、東北、北陸、中国、四国のすべてが30パーセントになると、日本全体は6.1パーセント高くなり14.5パーセントになる。

    地方が頑張ってもこの程度だが、東京1社が30パーセントになると、8.1パーセント高まり16.5パーセントになる。中央3社が頑張ると16.1パーセント高くなり24.5パーセントになる。

    日本全体の再エネ化率を高めるのに地方が頑張っても高が知れている。矢張り、中央3社、特に東京電力さんが頑張らなければならない。

    逆を言うと、現在、世界のレベルから大きく出遅れているのは、中央3社、特に東京電力さんが足を引っ張っているとしか言えない。

                                                                                       (図2)

(出典)弊社作成

3.30パーセント以上の再エネ化率は、論理的に達成不可能である

        日本では需要超過分は切り捨てる方式を採用している。

    太陽光発電を主としている日本では、切り捨てる方式が原因で、再エネ化率の30パーセント以上は、論理的に達成出来ないことを証明する。

    (1)需要曲線と発電曲線の関係

      1日24時間の電力需要を太陽光発電で賄うとした場合、つまり1日24時間の電力需要量 = 太陽光の1日の発電量とするためには、晴天時に南中時の発電量が電力需要量の3倍近い発電量が必要である。図3では、赤破線の需要曲線で囲まれている24時間の電力需要は100,352万㎾hである。その需要の中で南中時の需要量は5,013万㎾であった。

その需要量を賄える太陽光の発電は,青地の曲線に囲まれた部分でその量は103,045万kWhで、電力需要を賄える量である。

重要なのはその太陽光発電の南中時の発電量が12,675万kWで、南中時の需要量5,013万㎾の2.5倍になっていることである。

                                                                                        (図3)

     需要を超過しないように発電すると、橙色の曲線になる。その曲線で囲まれた量は40,753万kWhとなる。この量は一日の需要量の40パーセントしか満たさない。

つまり、この場合再エネ化率は40パーセントが最大値になる。

      この発電曲線は発電量が1年の中でも最大に近い夏至の時期を想定して計算しているので、やや多めの数値になっている。平均的な日を基準にすると30パーセント程度とみるのが妥当である。

最大の問題は、わが国では、太陽光発電では70パーセントを捨て、0パーセントを採用する「出力抑制」政策を採用していることだ。

      この政策が、問題であることすら、お国の担当者たちは気づいていないのではないか?

早く気づいて、「発電したもの全てを生かす」政策に切り替えてほしいものである。

            

(2)出力抑制との関係

            九州本土で行われている出力抑制の方法

    ①前日のうちに、翌日の発電予測を行い、供給量が明日の需要を超過するとかどうかをチェックする。超過していれば、超過分相当の発電を中止させる。

     ②発電当日、発電停止を命じられた発電所は午前8時から16時まで発電を中止する。

実際に出力抑制を実施している九州本土の3月1か月の実績と、導入量が2倍になる3年後を予想し計算した再エネ化率を見てみよう。(図3)3月1か月の再エネ化率は25.0パーセントであった。

太陽光導入量が2倍になる3年後の再エネ化率を計算すると、わずか2.3パーセントUPの27.3パーセントにすぎない。

                                                                                                (図3)

            九州本土の実績からも、再エネ化率30パーセント以上は達成できないことが実証された。

(3)発電コストとの関係

       経産省は次期エネルギー長期計画作成に当たって、再エネを主力電源にすための最大の課題は「コスト競争力」を高めることであると宣言した。

      宣言しておきながら発電の70パーセントを捨てる政策を採用している。

      わが国には、太陽光で発電したものは全部生かせる技術があり、経産省もその存在を知りながらあえて無視してます。無視する理由がわかりません。おそらく原発推進の安倍晋三に忖度した結果だと思います。

            こんな日本でいいのですか?

            

現在の需要超過の切り捨て方式では日本の再エネ化率は、

絶対に30パーセント以上にはならない。

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