ヨーロッパ人は傘を差さない。何故? 


1.ヨーロッパでは傘は不要だ!


どうして?


  理由は傘を差さねばならないほどの雨が降らないからです。

少々の雨なら我慢すればよい。いつも傘を持ち歩くことから解放される方が得だ。


本当に雨は降らないのか?

1年間12ヶ月の降水量をヨーロッパの主要都市と、日本を代表して東京と比較してみよう。

ヨーロッパは、どこでも月50ミリ以下である。50ミリと言うと日本で1時間ほどの降水量である。

ヨーロッパには、台風も梅雨も集中豪雨もない。

ヨーロッパでも地中海に面したアテネやマドリードやリスボンはもっと降水量が少ない。

そこの6月から9月は10ミリ以下の降水量で、

この4か月間は日の出から日没まですべて「晴れ」である。

この期間は天気予報の必要性は全くなさそうである。


それに比べると日本(東京)は雨が多い。多い月は200ミリから300ミリも降る。

また、日本の月別降水量はその年によっ違ってくる。

梅雨の時期に雨の多かった年とか少なかった年とか、まちまちである。

また、地方毎に降水量が大きく異なる。

日本の雨の多い地方では、

「弁当忘れても傘は忘れるな」とか「1週間に10日降る」とか、

雨の多さをやけ気味に伝えている。

東京地区は日本の中でも降水量の少ない地域で、もっともっと降水量の多い地域が存在する。また地域ごとに降水量は季節別に大きく異なる。代表的な都市の1年間の降水量を下図で表示した。

雨の多い地域は一番が鹿児島で、2番目は高知県である。

降水量の多さが太陽光発電にどのような影響を与えているだろうか?

   発電実績を入手した国について説明する。


(1)フランスの場合

  フランス全体を見ても極めて降水量は少ない。降水量の少ないフランス全土で発電した太陽 光発電の1年間の発電量は下図の通りである。

  フランスの太陽光発電の特徴を理解するには、日本の東京電力の発電と比較しながら眺める と理解し易い。

(2)日本の場合

   東京電力の発電実績は2016年4月1日からの1年間だが、フランスの実績は2015年12月15日 からの1年間であることにご注意ください。また16年4月時点では太陽光発電の移行済み容 量は8.6GWであったが、同年12月には9.7GWに増加している。17年3月の容量は不明。

   フランスと東京電力の2つの実績比較から分かる事


        ①日々の発電量

            ・フランスは前日発電量と当日発電量に大きな差が無い

                前日の天気が快晴で翌日は雨が降ったとしても30〜40パーセント程度の差しか発

                   生していない。しかも、これほどの差が発生する頻度は、年数回と極めて少ない。

                   この程度の差なら発電装置の調整機能や隣国との連携で対応可能であるため、毎日発

                   電量予測で準備する必要は無い。

                   一日中雨のため発電が殆ど無いようなことは発生していない。そのような事態を考慮

                   したバックアップ電源を準備しておく必要は無い。

            ・東京電力の前日発電量と当日発電量に大きな差が有る

                   前日の天気が快晴で翌日は雨が降った場合、100パーセント近い差が発生してい

                   る。しかも、これほどの差が発生する頻度は、極めて多い。


        ②最小発電量

            ・フランスの場合年間を通した平均値から大きく外れることなく発電している。

                   大雨が一日中降ったために発電量が殆ど無かったということは無い。

            ・東京電力の場合、年間を通した平均値から大きく外れ、発電量がゼロに近い場合がた   びたび発生ている。日中の殆どが雨だったために、大量導入の太陽光発電が発電量   が殆ど無かったということがたびたび発生している。

                   このような事態に対応するため、大量の太陽光発電が導入された後も、火力発電など

                   で発電できる体制いわゆるバックアップ電源を準備しておかなければならない。



(3)ドイツの場合

    ①日々の発電量と最小発電量


           フランスとほぼ同様であるが、バラツキはフランスよりやや多めである。


    ②夏至の頃と冬至の頃の発電量の差


           冬至の頃の一日当たりの発電量は10.4GWあったが、夏至の頃は254.9GWであった。

           冬至の頃の発電量と夏至の頃の倍率は25倍になる。

           フランスの同倍率は10倍程度、東京は2倍以内である。

          ドイツでの太陽光発電の最大の課題は冬の発電量が夏の20分の一しかないことであって、

  その対応策の一つとして冬に発電量の多い風力発電に力を入れざるを得ないのである。

  何故、ヨーロッパでは冬至と夏至に差が出るのかは

        「何故、ドイツやフランスではタケノコシンドロームが問題になっていないのか?

           に記述してます。ご参照下さい。



降水量の少ないヨーロッパでは、雨傘は無くても問題なし。

日本では雨傘はもちろん、長靴もレインコートも必要である。

太陽光発電についていえば、ヨーロッパでは発電量予測が無くても

太陽光発電の大量導入は問題無く行える。


降水量の多い日本で太陽光発電を大量に導入するには、

精度の高い発電量予測又はそれに対応した技術が必要である。

それが無いと、系統運用で大事故を引き起こす危険性が満ちている。


東京電力はその対応技術をしっかりと確立しているかを、

日本で、太陽光発電の発電量予測が原因で大事故を起こす

予測と実績から説明してます。ご参照下さい。







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