太陽光発電を無制限に導入できる
社外秘情報
接続拒否の原因を作った「接続可能量」は、
「ハイブリッドバッテリー」の導入でどれだけ増えるか?
1.太陽光発電大量導入に対するよくある誤解
①送電線の容量を増やせば接続量は増える
⇒FIT制度開始当初、真っ先に申請が殺到した北海道電力が、系統容量不足で接続不可能と発言したために、その後、各地の電力会社へ系統容量増設の要望が殺到した。そのため、接続拒否は容量不足が原因だと思い込んでいる人たちが多くなった。
資源エネ庁が指定した計算手順のどこを見ても、系統容量についての言及は
ない。つまり、系統容量を増やしても接続容量は全く増えないことが分かる
②電力会社間連携線の容量を増やせばよい
⇒再エネ先進国のドイツで再エネ導入が上手く行っている理由は、ドイツと周辺諸国との連携が豊富だから日本も電力会社間の連携容量を増やすべきだとの意見が、ドイツかぶれの論客や学者から多く出ていた。
資源エネ庁の計算手順では検討断面を電力需要の最低日である5月のゴールデンウィークとしている。この期間は北から南まで休日で需要が最も少ない日となっており、且つこの期間は太陽光発電が非常に多い季節である。
この期間は日本全国で電気が余っており、連携線を使用してどこかに電気を送っても、どこも対応できない状況である。
連携線容量を増やせば接続量が増えるとの主張は全く間違っている。
③日本は太陽光に偏り過ぎている
⇒日本の再エネは太陽光が90パーセント以上で、風力は5~6パーセントしかない。ドイツでは風力が34パーセントで太陽光が19パーセントであった。確かに、日本はドイツに比べると太陽光に偏り過ぎていると言える。
しかし、それには理由がある。
第一の理由は、ドイツは風力に適しており、太陽光には適していないからで、逆に日本は風力には適さないが太陽光には適しているからである。
2.接続可能量の計算根拠
2014年10月、資源エネ庁は地方電力7社を集めて下記の手順で太陽光発電の
接続可能量算定を依頼した。その算定手順を簡単に説明する。
(1)計算手順
ステップ1;接続可能量算定の検討断面の決定(評価対象とする時点の決定)
⇒ 1年間で最も電力需要の少ない5月ゴールデンウィーク日を選ぶ
(出典)九州電力発電実績
ステップ2;検討断面における需要想定の決定
⇒ 5月ゴールデンウィーク期間の24時間電力需要を予測する
ステップ3;検討断面における想定出力等の決定(一般水力、原子力、地熱)
⇒ 24時間止まることなく発電する電源(原子力、流水式水力、地熱発電)をベース電源とし て優先的に扱う
ステップ4;再エネの導入量に応じた想定出力等の決定
⇒ 太陽光、浮力、バイオマスなどの再エネの発電を時間別に予測する。
ステップ5;現状制度における需給解析(火力発電の抑制、揚水運転、30日間の再エネ出力抑反映等)
⇒ 総発電量が需要を超過する量を揚水運転や他電力連携や出力 抑制で対応出来る量を求める。
(出典)資源エネ庁「再エネの接続可能量の算定方法について」より
(2)計算後、設定された「接続可能量」
算定手順に従って算定された各社別認定容量は下表の通りである。
その容量に対して、2017年3月末時点でエネ庁が受け付けた容量と、すでに稼働中の容量も合わせて
表示している。
既に電力7社の接続可能量の倍が受け付けられ、稼働中の容量も接続可能量に近づいている。
(3)発電実績
2016年4月で稼働していた九州電力の容量内訳は下表の通りであった。
受け付けられた容量の合計は721万kWで、接続可能量819万kWに近づいている。
(4) 稼働状況の分析
九州電力の2016年5月4日の稼働状況は下の図2の通りである。稼働状況をを分析する。
電力需要は赤の破線で表示しているが、早朝から18時まで供給量が需要を超過している。特に、正午近辺の10時~13時までの超過量が大きい。
超過分に対応するため、まず、火力の出力がその時間帯に大きく下げられ、かつ、揚水式を過度している。それでも超過している分を他電力に送電している。
18時過ぎは供給不足になるため揚水発電を稼働させている。
原子力発電は24時間均等に1780MWづつ発電している。
3.大量導入妨害の真犯人
太陽光発電の大量導入を妨害する最大の犯人は太陽光発電の特性にある。
その特性を十分にわきまえなければ、真の大量導入は出来ない。
その特性は、右の欄に掲載してます。
太陽光発電の特性を踏まえた上で、世界初の大量導入技術を開発した。
発電した一日分の電気は一旦蓄電池に保存する。
発電終了後、センター側の給電司令室に発電(蓄電)量を知らせ、
センター側で24時間放電量を使って翌日の稼働計画作成する。
翌日の稼働開始と同時に、前日発電分を24時間かけて放電する。
当日発電分は同じ蓄電池に蓄電する。
4.導入量を増やす世界初技術
(ハイブリッド・バッテリー・システム;HBBS)
ハイブリッド・バッテリー・システム(HBBS)のメリット
①発電時、系統上に直接給電しないので、発電量が需要量を超すことは無い。
すべての太陽光は接続可能となる。接続拒否は無くなる。
②発電終了頃に一日の発電量を教えるので、発電予測が不要となる。
発電予測と実績が食い違うことが無いので、その対応も不要となる。
③予測と実績が食い違う時のための火力発電所の待機運転いわゆる「殻炊き」が不要となる。
④接続しても晴天時に需要超過の恐れがあるときの出力抑制も皆無となる。
従って、天気通りの発電が可能となる。
⑤太陽光で発電した電気は4分の一の電圧で系統上に乗せる(ベース電源)ので、大量の太陽光発電導入のために特別の系統増設の必要は無
5. ハイブリッド・バッテリー・システム(HBBS)の使用で、
どれだけ大量導入出来るのか?
(1)論理的導入可能量
HBBSには放電時の需要超過に対応する機能が備わっているので、理論的には導入量に制限は存在しない。無制限に導入可能である。
ただし、放電量が需要を超過したときの対応が取れることが必要条件である。
需要を超過したときの対応とは、揚水式発電や他電力連携や超過分を蓄電できる蓄電池(グリッド・ストレッジ)が備わっていることなどである。
(2)現実的導入量
とりあえず、現実的な解決策として、年間最低需要日、5月のゴールデンウィークの 最低需要以下の放電を行う容量を最大値として定義しておく。
(図4.9は、2016年1年間の総需要に対して、最低需要月5月の最低需要を超過しないように放電すると仮定した図である)
図4.9は東京電力の2016年1月~6月末までの時間別電力発電実績(黒線)に対して、 HBBSから24時間均等放電した場合の想定図である。
(図4.9)
(3)新旧接続可能量の比較
ハイブリッド・バッテリー・システムを使用すると、理論的には導入量に制限は 存在しない。無制限に導入可能であるが、ここでは現実的導入量として、時間当り 放電量が最低需要日の最低需要を超えない程度に制限した場合の導入量で比較すると、下表となる。
地方電力7社が設定した接続可能量の7倍が導入できることになる。
(4)再エネ化率
その時の再エネ化率を求める。
①時間当り2000万kWで放電の場合(ピンク色)
太陽光発電による再エネ化率 ⇒ 48%
必要な蓄電池容量 ⇒ 638GW
②時間当り3000万kWで放電の場合(黄色)
太陽光発電による再エネ化率 ⇒ 72%
必要な蓄電池容量 ⇒ 935GW