電力設備投資コスト削減のメリット

(1)蓄電池への投資


①蓄電池(HBBSとグリッド・ストレージ)は発電業者負担のため、電力会社の負担は不要である

PVに付設するハイブリッド・バッテリーシステム(HBBS)は発電業者負担、グリッド・ストレージはアンシラリー・サービス業者負担である。

また、高圧のPVを設置する場合、50kW未満の低圧に分割する「低圧敷地分割」のニーズも半減するので、電力会社の負担も軽減する。

(註:「低圧敷地分割」は14年3月に禁止になった)

②長周期変動対応への投資は不要である

太陽光発電で、その時の需要を超過している部分を一旦蓄電池に蓄電して、太陽光発電終了後の時間帯、例えば夜間に消費する方式を言う。(図2.6)

現在九州電力、中国電力、東北電力などで実用化試験を行っている。東北電力は、NEDOの「電力系統出力変動対応技術研究開発事業」として受託し、16年2月に営業運転を開始した。

この超大型蓄電システムで、い陽光発電の需要超過分をどの程度吸収できるだろうか?

東北電力の場合、系統上に接続した蓄電池の容量は4万kWhであるが、この容量はピーク日ピーク時の時間当たり発電量1,300万kWの0.3パーセント程度にしか過ぎない。また、蓄電池の設置スペースは8,500m2(90m×90m)、蓄電池だけでコストが100億円掛かったそうだ。

PVSS方式を導入すると、長周期変動対応は不要となるため、電力会社が個のための蓄電池に投資する必要は無くなる。


(2)送電設備、連携線設備


③地方のベース電源化のための送電容量の増設は不要

ベース電源としての容量は最低需要日以下の電気を供給することにしている。

最低需要日対応の送電線容量はどこの電力会社も設置済み。対応出来ない送電線しかもっていない所は在り得ない。配電変電所以下の高圧配電線の増強はPV導入が多いところに一部発生することは在りえる。しかし都会地支援のための送電線増強は必要。その費用は託送料金で賄える。

④送電容量増設費は託送料金で稼ぐので、自己資金は不要となる

総括原価方式時代に送電線の設備投資をする場合、コストに利益がついてくるということで安心して設備投資が出来た。

しかし、自由化時代にはそうはいかない。

また、発送電分離で送電部門は独立した別会社になる。別会社になると、今度は送配電会社自身で利益をどのようにして確保するか、売り上げをどのようにして拡大して行くかが課題となる。

そんなところに地産都消ということで、地方で発電した電気を都会地まで届けるという商談が舞い込む。これは願ってもないチャンスだ。それも毎日24時間でかつ総発電量の70%という大量のものを送電する。且つその託送料金だけで、地方から都会地に送電するための増設工事費が十分に賄えて、且つ利益が40%も出る。しかも、25年間という長期間に亘ってである。

新しい送配電会社は喜んで飛びつくはずだ。


(3)バックアップ電源


⑤PV拡大に合わせてバックアップ電源導入は不要となる

PV拡大容量に合わせて、梅雨時のような長期悪天候に備えてバックアップとして火力発電それに反して、PVSSは安定給電保障の契約通りに約束した給電量を、たとえ梅雨のような時でも保障するので、バックアップは不要である。

PVSSが保障できる理由は、PV導入容量拡大に合わせて、グリッド・ストレージを利用したアンシラリー市場が育ち、数か月の悪天候にも耐えられる量が確保されているからである。


⑥ピーク対応のための低稼働率の発電所増設は不要となる

独占権を供給義務と交換した地域独占時代は、何が何でも自社の設備で供給しなければならないという意識が強く、数週間しかない夏場のピークを乗り切るために、稼働率の低さに目をつぶって設備投資を続けてきた。

今後の完全自由化時代には、利用できるものは利用するとの意識変化の下に、ピーク時はアンシラリー市場から買えるものは買うという行動に出る。アンシラリー市場でも数か月分の電気をグリッド・ストレージに貯蔵しているので、要望には十分に対応できる。今後は稼働率の高いものにのみ投資するようになる。

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