電力会社は太陽光大量導入に反対、その理由は?
『買い取った電気はすぐ捨ててしまうのが、電力会社にとっては最も効果的だ』
・・と、発言するほど電力会社は太陽光導入に反対している。
その反対理由をしっかりと聞いて分析してみよう。
(ほんの少しの太陽光発電なら導入すると電力会社は主張している)
反対理由1.
大量導入すると発電予測の誤差値が大きくなり、系統運用上大きな事故に発展する。これ以上の導入は反対である。
太陽光や風力のような天気に左右される電源を電力系統に接続させる場合は、前日の内に天気予報から時間別に発電量を予測し、翌日はその予測と実発電を比較しながら誤差を穴埋めして制御している。図5.3は東京電力の昨年4月の予測値と実発電値の差額だけを表示したグラフである。
このグラフのプラス域は予測値が実発電値より多かった場合で、マイナス域は逆の場合である。
(出典)東京電力の「FIT特例契約者の発電計画の実績公表」データから弊社編集
誤差の中でも最大の誤差が発生した日は5月4日(図5.1)と7月5日(図5.2)だった。前者は実発電が予測値より4.48GW超過した。後者は実績値が予測より4.28GW不足した。両誤差は火力発電10基に相当する。
(出典)東京電力の「FIT特例契約者の発電計画の実績公表」データから弊社編集
この誤差は近い将来どの程度に広がるか?
FIT認定受付で2016年3月時点で稼働中の容量は9.75GWである。受け付けているが、現時点では未稼働の分は12.20GWで、この未稼働分が全部稼働したとすると21.95GWと2.5倍にが稼働することになる。単純に考えて誤差も2.5倍に拡大すると考えるのが妥当である。
2.5倍に拡大した10GWの誤差が実際の系統制御の中でどの程度の影響を受けるか?(図5.4)
5月ゴールデンウィーク期間の電力需要は1時間に20GWから25GW程度あるが、その需要に対して10GWの予定外の誤差は需要の半分に等しく、50万kWの火力発電装置20基分に相当する。
反対理由2.
この誤差に対応出来なければ、系統制御の大事故となる危険性が十分にある。世界初の再生可能エネルギー導入による大事故となる。
予測精度が低いままでは太陽光発電の大量導入は極めて危険である。
大量導入前に予測精度を高めておくことが必須である。
弊社は、発電予測が不要となる世界で最初の技術を発明しました。
それが「太陽光発電保障システム(PVSS) 」です。
大量導入すると天気の急変に備えるための待機運転の『空焚き』量が増える。
予測誤差に対して緊急対応をするために、火力発電機をたえずアイドリング状態(空焚き)で待機させている。現在、東京電力では10基程度絶えず『空焚き』している。
太陽光の導入量が増えると待機数も増えてくる。問題はこの待機のためのコスト振替が出来ないことである。東京電力の場合、FIT認定受付済みで未稼働分13GWが稼働した場合は合計25基ほどの『空焚き』となる。
弊社は、『空焚き』が不要となる(世界で最初の)技術を発明しました。
それが「太陽光発電保障システム(PVSS) 」です。
供給域全域が雨で太陽光発電が殆ど無い時のためのバックアップ電源を用意しなければならない。
(1)日本とヨーロッパの1年間の太陽光の発電量の違い
バックアップ電源が必要かどうかを議論する前に、日本の太陽光環境の特徴を理解しておくべきである。日本を代表して東京電力の1年間の太陽光発電の実績を掲載した。
ヨーロッパを代表してフランス電力の1年間の発電実績を掲載する。
東京電力は4月1日からの実績で、フランスは12月15日からの違いにご注意ください。
★東京電力の場合の特徴
特徴①一日当たりの発電量にバラツキが大きい
発電量の少ない日と多い日の発電量に差が激しい
特徴②夏至の頃と冬至の頃の発電量の差が2倍程度しかない。
東京電力の1年間の発電
★フランス電力の場合の特徴
特徴①一日当たりの発電量にバラツキが少ない
発電量の少ない日と多い日の発電量に差が少ない
特徴②夏至の頃と冬至の頃の発電量の差が4~5倍もある。
フランスの1年間の発電実績
何故、東京とフランスに差が出るのかの詳細は
ヨーロッパ人は傘を差さない。何故? を参照ください。
(2)日本とヨーロッパの太陽光の日別発電量の違い
日別発電量の詳細を10月と11月の2か月について東京都フランスを比較してみよう。
★東京電力の場合
10月と11月の2か月間で、一日の発電量が殆ど無かった日が4回あった。
10月は17日と28日、11月が19日と24日の4回である。
気象庁気象台で天気を観測している気象台が東京電力管内に8ヶ所ある。
その気象台が正午に観測した天気を見ると17日は7ヶ所が雨で1ヶ所が曇り
だった。28日は5ヶ所が雨で3ヶ所が曇りだった。11月の19日と24日につい
ては8ヶ所すべてが雨だった。
★フランス電力の場合
フランスでは2か月間に極端に発電量が少なかった日は無かった。
12月の冬至の日が1年の内で最小発電日であるため、その日に向けて発電量が徐々に少なくなっている。
★東京電力には発電量が殆ど無い日が有るが、フランスにはゼロに近い日が無い理由
理由1.フランスは雨量が少ない。
月平均50ミリ程度で、日本の10分の一以下。
雨のため発電出来ないほど一日中雨が降り続けることが無い。
理由2.フランスの発電実績はフランス全土(55万平方キロメートル)に導入された発電であるが、東京電力は東電管内(4万平方キロメートル)と、フランスの14分の一という狭い場所での発電である。
日本の1.5倍のフランス全土が雨になることは極めて少ないが、フランス
の14分の一しかない東電管内全てが雨または曇になる確率は極めて高い。
ヨーロッパでは月平均降水量が50ミリ程度と極めて少ない上に、梅雨や台風や大洪水が無い。また需要と供給のバランス制御は国全体をまとめて行っているため、国全体の太陽光の発電が制御の対象としている。国全体で、太陽光発電が無いということは極めて少ない。
従って、ヨーロッパでは太陽光発電が増えても太陽光発電用のバックアップ電源は必要としない。
日本では、日本を10分割した狭い地域単位に需給制御を行っているので、発電量が全く無い時のためのバックアップ電源を電力会社毎に用意しておく必要がある。
弊社は、バックアップ電源が不要とする世界で最初の技術を発明しました
それが「太陽光発電保障システム 」の「安定給電保障機能」です。
太陽光発電が大量に導入されると原子力発電が不要となる。不要になると核燃料資産がゼロになり、債務超過に陥る。
反対理由4.
使用済み核燃料は再処理を施せばまた使用することが出来るため、資産価値ありと認められている。
その価値は、膨大なものです。東京電力では1兆円近いこともあった。
原発を持っている全電力会社の資産価値を内訳は下の表のとおりです。
現在停止している原発は、再稼働はしませんと発言したら、その瞬間資産価値は無くなる。価値がなくなるとほとんどの電力会社は債務超過に陥り、会社経営は困難となる。
だから、電力会社は、口が裂けても「原発は停止します」とは口が裂けても言えない。
核燃料の資産価値問題は、太陽光発電保障システムでは解決できない。
政治や経産省や電力業界全体で解決すべきテーマである。
原発を使い続けたとしても、5~6年先には太陽光発電は原発より発電コストが安くなる。また電力自由化が進んだ現在、高い電気を売っている電力会社はお客様が離れて行く。行きつく先は倒産しかありえない。
参照 ⇒⇒ 電灯契約のお客さんが消えて行く
頭の柔軟な電力会社の経営幹部をそろえた電力会社は、早めに太陽光発電に切り替えて行く。頭の固い経営幹部が牛耳っている電力会社は、電力価格競争に敗れ、消えて行くことになる。
最後までご精読ありがとうございます。ご質問、ご感想、反論等
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