系統運用の簡素化と運用コスト削減のメリット
弊社の「太陽光発電保障システム」と
「ハイブリッドバッテリーシステム」は
太陽光発電を天気に左右されない形で大量導入出来る。
太陽光大量導入は、電力会社にこそ一番のメリットがある。
1.系統運用上にこそ最大のメリット
①翌日分の発電予測不要となる
翌日分稼働計画作成時に、翌日分の発電予測量から翌日需要量との差分に対して、既存発電所の稼働計画を作成しているが、PVSS下のPV装置(蓄電池を併設したPV)に対しては、当日の蓄電量から割り出した翌日の放電量を使用して稼働計画を作成するので、PVSS下のPVに対する発電量予測は不要である。(蓄電池を付設していないPVに対しては発電予測は必要)
②予報が食い違った場合の対応不要となる
前日の天気予報から予測した量を基準にして系統運用する場合、天気予報が外れて発電量が大きく変動する危険性がある。太陽光の導入量が増えるとこの差分も大きくなり、危険度も急激に増える。
この差分を早めに発見して事前に対応しておく必要がある。
そのために、当日の雲の動きを人工衛星で観測し、スーパーコンピューターで1、2時間後の雲の動きをシミュレートし、稼働計画を微調整するなどの大掛かりな仕組みを作っているが、PVSS下のPVの発電量は、発電後の蓄電実績から割り出して翌日の稼働計画を作成しているので、予報との食い違いなどは発生しない。
③太陽光発電を安定化した電源として利用できる
a.晴れと雨天の発電量の変動幅が3分の一になる(給電保障機能無しの場合)
晴れた時は7,900MW発電する太陽光が、雨の時はほとんど発電しない。雨の時の発電量を 確保するために、火力発電装置を準備しておかなければならない。火力発電1基の発電能 力を500MWとすると、16基に相当する。
電力系統制御は、前日に翌日の天気予報から翌日の需要量と太陽光の発電量を予測し、その差分を火力発電などで補完する制御を行っている。
翌日の天気が晴れの予報で、発電予測が7,922MWと予測していても、突然天気が変わって雨になることもあり得るため、火力発電が直ぐに代行できるようにするため待機運転をしている。その待機運転の火力発電の能力は7,922MWで、基数にすると16基総統が裏側で発電している。
24時間放電方式にすると、1時間当たりの放電量が2,683MWになる。火力発電装置の5基程度になる。天気の変動が有っても火力発電装置5基程度で十分である。直接送電方式に比べると24時間放電方式の方が天気の変動に対しても遥かに安定していると言える。
(注)PVSS研究のきっかけは「タケノコシンドロームの解消」ということであったが、実は、「タケノコシンドローム」が発生していない、つまり「需要を供給が超過」していない場合にも、大いに効果があるのである。
⇒太陽光発電の大量導入が難しい理由(タケノコシンドローム現象)
ここでいう「系統運用上のメリット」とは、そのような「タケノコ」がまだ大きく育っていない環境でもメリットがあるということで読んでいただきたい。
(註)「PVSS下のPV」とは、蓄電池を付設しているPVのこと。蓄電池を付設していないPVに対しては、PVSSは制御しないので、発電予測は必要となる
短周期対応
b.天気に左右されない一定量を給電する(給電保障機能有りの場合)
確かに太陽光発電は、晴れた時は発電量は多く、雨の日は非常に少ないのは事実である。
特に日本は、梅雨があったり台風があったり炎暑があったり、太陽光発電は非常に不安定である。
ヨーロッパの天気と比べると日本ははるかに天気が不安定である。ヨーロッパの降水量は毎月平均50ミリ程度で且つ台風は発生しないし、洪水になるほどの大雨がほとんどない、したがって毎日が晴れで天気予報の必要性は極めて少ない。
ヨーロッパに比べると日本は天気の変化が激しい。したがって太陽光発電の発電量の変化は 激しい。日本における太陽光発電の発電実績を参考程度に掲載する。
愛知県の家庭用の発電実績である。晴れた日には一日25kwh以上の発電量があるが、雨の日は5kWh以下である。一週間に一度は雨の日が有るほどの不安定さである。
PVSSを導入すると、給電保障機能が働いて、事前に決めた保障値通りに、電力系統上に給電される。(給電保障参照)
給電保障機能のメリット
・天気に左右されない発電量が系統上に給電される
・1年分の日別発電量(給電量)が事前に分かる
・大地震や大洪水で数ヶ所の大規模太陽光発電が停止
しても発電量(給電量)に変化はない
④蓄電池を併設したPVに対する出力抑制の対応が不要となる
15年2月から九州電力の種子島で出力抑制が始まり、午前9時から16時までPVの発電は停止させられた。出力制御は発電業者にとっては断腸の思いであるが、実は電力会社にとっても後ろ向きの仕事でかつ、膨大なコストと工数を投入せざるを得ないのである。
電力会社は事前に翌々日の天気予報と需要予測から発電が需要を超過するか否かを判断し、出力容量による区分( 10kW未満、〜50kW未満、〜500kW未満、500kW〜)毎に異なるルールを適応しなければならない。また対象PV装置毎に実際に適応した出力抑制時間を管理し、それが30日ルールか、360時間ルールのいずれが対象となるか見極め、超過時間の補償額を計算し・・・・。抑制時の結果をインターネットで連絡するか、インターネット機器が据え付けられていないところには電話連絡するとか…。
PVSS下のPV装置に対しては、一切出力制御をする必要が無いので、それに要するコストと手間が省ける。PVSSが一番効果をもたらすのは電力会社に対してである。
⑤短周期変動対応不要となる
PV装置を電力系統に直接接続すると、雲の動きなどに合わせて発電量が小刻みに変動するため、系統接続の電圧が激しく変動する。この変動を吸収させるための蓄電池を導入しているが、PVSS下では発電後HBS経由で送電するため短周期変動は発生しない。
⑥長周期変動対応不要となる
昼間に需要を超過した発電分を夜のピーク時にシフトさせる長周期変動を、特別な大掛かりの仕組みで対応させているが、PVSSを導入した場合は、発電後24時間かけて放電するので、PVSSそのものが長周期変動対応になっている。PVSS導入後は長周期変動対応は不要となる。
⑦内燃機関のアイドリングタイム不要となる
天気に左右される不安定な再エネ発電のため、立ち上がりまでに長時間かかる内燃機関発電装置を数十基も長時間アイドリングして無駄にエネルギーを消耗している。
PV装置導入量が増えれば増えるほどアイドリング装置数は多くなる。
しかし、PVSS下のPV装置に対してはすべて蓄電実績から計画を立てているので、PVSS下のPV装置に対する無駄なアイドリングは全く不要である。
⑧大型PV装置障害発生時でも系統運用に影響は受けず、緊急対応不要
地震や台風で突然大型PV発電装置に障害が発生して、当分の間放電量が急減するとなっても、系統運用者の緊急対応不要である。何故ならPVSSでは事前に取り決めた供給量は給電して貰えるからである。(安定給電保障)
PVSSの方では、外部のグリッド・ストレージに蓄えられている電気を利用して、不足分を補うようにしている。
⑨需給計画作成時にPVSS下のPVに対する長期予測不要
電力会社の系統運用部門は3種類の計画を作成している。毎日の夕方に作成するのは翌日と翌々日の需給計画で、毎週木曜日には翌週と翌々週の、毎月25日には翌月と翌々月の需給計画を成している。その時担当者泣かせは再エネの供給計画である。 翌日と翌々日の計画は何とか天気予報などで予測は可能だが、翌週や翌々週、翌月や翌々月の計画となればお手上げである。
PVSSでは数か月または1年先まで正確な供給量を日別に提示可能である。また、PV発電所の新設、廃止などがあっても数か月間は元の数値で供給し、適当な時期を見計らって保障値を変更すればよい。
⑩原発と太陽光発電の共存が容易になる
原発が稼働し始めると、原発が発電した分はベース電源として最優先に取り扱われる。
従って、原発が稼働し始めると、太陽光をはじめとした再エネの発電部分は原発の上に乗せるため、南中時の発電量が需要を超過する確率が高くなる。
九州電力を例にして説明する。
九州地区で、16年1月現在で受け付けている太陽光の容量は1,815万kWであるが、この分の全てが稼働しても、需要の最低の閑散日以外は、晴天日と言えども、出力抑制を出さずに、全太陽光の発電は、揚水動力や他電力連携などを活用しながら可能である。(図9.1)
しかし、川内原発と玄海原発が稼働し始めると470万kWが追加されるため、南中時の太陽光発電は平均日同時間の需要量を1000万kWほど超過してしまう。(図9.2)
これだけ超過すると出力抑制を発動せざるを得ない。晴天日だけでなく曇りの日も抑制となる。九州では、九州の原発全てが再稼働すると全太陽光は雨の日以外は発電出来なくなる。
原発が動いたため太陽光が締め出されたとなれば、「原発反対」の声は増々高まって、安心して原発稼働に九州電力は集中できなくなると危惧している。
それに反してPVSSを使用していれば原発と太陽光は共存可能である。
しかも、太陽光が現在受付の2倍程度に増えても、何ら出力抑制を発することもなく、天気通りに太陽光は発電出来る。(図9.3)
(PVSS支配下に無い太陽光は出力抑制の対象となる)
太陽光と原発が共存できれば、原発40年ルール適応までの我慢ということで、原発再稼働への反対も少しは鎮まるのではないだろうか?
それに反してPVSSを使用していれば原発と太陽光は共存可能である。
しかも、太陽光が現在受付の2倍程度に増えても、何ら出力抑制を発することもなく、天気通りに太陽光は発電出来る。(図9.3)
(PVSS支配下に無い太陽光は出力抑制の対象となる)
太陽光と原発が共存できれば、原発40年ルール適応までの我慢ということで、原発再稼働への反対も少しは鎮まるのではないだろうか?
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