出力抑制激増、再エネ大崩壊(中編)
その原理を現状の出力抑制から学び、
抑制実績を踏まえて、対策を提言❣❣
出力抑制激増、再エネ大崩壊(中編)
その原理を現状の出力抑制から学び、
抑制実績を踏まえて、対策を提言❣❣
中編;このままでは30年頃に太陽光崩壊
中 編 目 次
Ⅱ.1 30年頃の再エネ稼働環境
Ⅱ.2 将来の再エネ稼働の高精度予測手法
Ⅱ.3 30年頃の予測結果、出力抑制激発
Ⅱ.4 洋上風力本格稼働後に、壊滅的出力抑制出現
(注)①経産省は「出力抑制」を「出力制御」と表現が、我々は「出力抑制」と表現する。
②「太陽光発電」、「風力発電」を単に「太陽光」、「風力」と呼ぶことにしてます。
Ⅱ.1 30年頃の再エネ稼働環境
(1)30年頃までに発生する再エネ関連事項概要
①まだまだ続く新規再エネ導入
★受付中再エネの稼働開始
現在121GW稼働、うち太陽光が74GWで、6割を占めているが、各電力会社が受付ている未稼働の再エネが185GWもある。これらが全て稼働すると現在稼働中の2.5倍の容量になる。これだけ増えると出力抑制も激増し。再エネは持続不可能となって仕舞うのではないか?心配だ。
★GX(グリーントランスフォーメーション)
グリーントランスフォーメーション(GX)とは、気候変動の主な要因となっている温室効果ガスの排出量の削減と経済成長の両立を実現するため、経済社会システムの変革を目指す取り組み。GX推進で予想以上に再エネ導入が進むと予想される。
②新たに7基、原発再稼働
★既に稼働中10基(996.8万kW)に加えて、
24年の夏以降に再稼働する方針
「電力需給のひっ迫」が最大理由
現在稼働中の原発を参考までに挙げておく。
九州の全発電量に対する原発率は37.4%も占めており、再エネの稼働余地が極端に少なくなっている。関西は日本で最大の原発稼働のため、他社の供給過剰分を引受量が、東京の6分の一、中部の半分となり、中央3社の中でも最低の量となった。
再稼働する予定の原発7基は設置変更許可を取得しているが、そのうち高浜1、2号機、女川2号機、島根2号機は、再稼働までに安全対策工事の実施が必要となっている。柏崎刈羽6、7号機はテロ対策の不備が問題となり、東海第二は避難計画の不備を理由に水戸地裁が運転差し止めを命じており、ともに地元の同意が得られず、再稼働の見通しが立っていない。
福島第一原発の事故から10年が経っても、廃炉問題が解決する見通しが立たないなかで原発の再稼働を進めるのは、国として「原発の安全性」に向き合っているとはいえない。福島第一原発事故の被害を目の当たりにした住民が、事故が起こった場合を考えて地元の原発の再稼働に同意しないのは賢明な判断だろう。
一方、「第6次エネルギー基本計画」には、21年時点で約1万9,000tの使用済み燃料が存在し、管理容量の約8割に達していることが記載されている。解決されない使用済み燃料の後始末の問題を棚上げしたままで原発の再稼働を進めても、問題を未来に先送りしているだけだ。まず、今ある使用済み燃料の問題を解決することを優先すべきではないだろうか。
原発再稼働について、見落としがち、既に見落とされている、重要なことがもう一つある。それは、原発が稼働すると、再エネが稼働しにくくなる点である。それは現在稼働している九州や四国の実例で証明できる。
原発再稼働の時は、再エネが稼働できる対策を採ってから実行すべきである。
(2)GX(グリーントランスフォーメーション)
基本方針
♦♦♦ 分野別、今後10年間の行動指針 ♦♦♦
(3)電力各社季節別最大電力需要実績(2021年度)
供給が需要を超えると抑制//各地の季節別最大需要を知る
供給過剰になる事を説明するには、まず南中時(正午)の需要量がいくらであるかを知る必要がある。
需要量は、地域毎、季節毎に異なる。一番需要の多い地域は、東京で、その量は関西と中部の需要量を合わせた量にほぼ等しい。関西と中部を較べると中部の方がやや多い。 地方電力は7電力有るが、7電力の合計が東京電力1社に相当する。地方電力で一番小さい電力は沖縄だが、沖縄は1県単独だからやむを得ない。沖縄に次いで小さい電力は北海道。北海道は東京の12分の一程度の需要量のため、出力抑制にかかり易い。北海道と東北と北陸は年間の最大需要は冬である。他の電力は夏がピーク月となる。
一日24時間の内のピーク時間は、中央3社は夏場だけは昼の一番熱い時間だが、その他の季節は夕方の17時とか18時である。中央3社以外は夏でも、夕方の17時か18時がピークとなる。
(4)晴天日の再エネ出力と需要の倍率
♦♦♦ 事前に出力抑制発生を簡易に予測する ♦♦♦
①供給過剰の程度を事前に知る
出力抑制は、供給量の合計値が需要量を超えた時に発生する。
供給量の合計値は、再エネの出力に加えて、原発や火力の最低出力を含み、かつ揚水発電で調整した値である。
再エネの出力は天気によって大きく異なる。特に、供給域の全域か、一部かによっても異なる。そこで、再エネの出力と需要の倍率が大きければ大きいほど、供給域全域が悪天候でも供給過剰になる。また、全国一斉に過剰になると、太陽光中心の日本では、同時刻に供給過剰となり、連携線が機能しなくなる。
過剰率は2フエーズ分ける。第1フエーズは、太陽光中心の30年頃とし、第2フエーズは、風力中心となる35年頃と分ける。
②再エネを含む供給量と需要の倍率を求める手順
手順① まず、30年頃と35年頃に稼働するであろう再エネ容量を求める。
30年頃は現在稼働中容量に承認済容量を2.5倍を加えて算出。2.5倍するのは承認済は承認後3年以内に稼働させる事と、30年までに6年の期間が有ることと、将来はGX(グリーントランスフォーメーション)の推進で導入量がもっと増えるだろうとの読みから承認済を2.5倍にした。
検討申込の容量は現在導入済みの1.5倍の184GWもある。その内65パーセントが風力発電で、現在稼働中風力21倍の容量120GWもある。
★★★ 第1フェーズ (30年頃) 太陽光が主力 ★★★
30年頃に稼働するであろう再エネ容量を計算
太陽光の場合 ; 地域別に現在導入済み容量 + 承認済み容量×2.5
風力とバイオの場合 ; 地域別に現在導入済み容量 + 承認済み容量
★★★ 第2フェーズ (35年頃) 洋上風力が主力 ★★★
35年頃に稼働するであろう再エネ容量を計算
太陽光の場合 ; 地域別に現在導入済み容量 + 承認済み容量×3.0
風力とバイオの場合 ; 地域別に現在導入済み容量 + 承認済み容量 + 検討申込分容量
手順② ベースロード(原発)、火力最低出力、調整力(揚水発電)を追加
2030年までに原発の再稼働が計画されているので、現在審査中の物も稼働するとして計上した。火力の最低出力は夕方のピーク時間の半分を火力で補給する考えで計上した。揚水発電の効果も計上する。
手順③季節別再エネ最大出力を求める。
再エネの1年間の発電量は季節と場所によって異なる。例えば太陽光は夏至の6月が最大で、冬至の頃は最小となる。但し6月は場所によっては梅雨のため雨が多く、太陽光の発電量は減少する。しかし、北海道は梅雨が無いので6月が最大となる。陸上風力は夏は最低で、冬から春先に大量に発電する。下図は電力会社の電力需給実績から、弊社が調査編集したグラフで、月別に万kW/日の発電量である。このグラフを使用して各社の季節別発電量を求める。
★★★ 第1フェーズ (30年頃) 太陽光が主力 ★★★
(太陽光、風力、その他は30年頃の容量を意味する)
東北夏ピーク日の計算;太陽光× 0.84+風力×0.53+その他×0.5+ベース電源
東北の冬ピーク日の計算 ;太陽光× 0.6+風力×1+その他×0.5+ベース電源
東北の春平均日の計算 ;太陽光× 1.0+風力×0.78+その他×0.5+ベース電源
東北の秋平均日の計算 ;太陽光× 0.72+風力×0.83+その他×0.5+ベース電源
★★★ 第2フェーズ (35年頃) 洋上風力が主力 ★★★
(太陽光、風力、その他は35年頃の容量を意味する)
東北夏ピーク日計算;太陽光× 0.84+風力×0.53+その他×0.5+ベース電源
東北の冬ピーク日計算 ;太陽光× 0.6+風力×1.0+その他×0.5+ベース電源
東北の春平均日計算 ;太陽光× 1.0+風力×0.78+その他×0.5+ベース電源
東北の秋平均日の計算 ;太陽光× 0.72+風力×0.83+その他×0.5+ベース電源
手順④再エネが需要を超過する量を求める
★★★ 第1フェーズ (30年頃) 太陽光が主力 ★★★
計算式 ⇒ 30年頃の該当再エネ最大出力 - 該当最大需要
夏ピーク日に供給力不足の地域が4か所あるが、過剰な地域から補充すると余りが出る程である。つまり、日本全体を見ると夏も冬も供給過剰である。
★★★ 第2フェーズ (35年頃) 洋上風力が主力 ★★★
計算式 ⇒ 35年頃の該当再エネ最大出力 ― 該当最大需要
35年頃になると夏ピーク日に東京も供給過剰になる。夏ピーク日に全国を通すと東京の1.5社分、関西の3社分の供給過剰である。このころには風力が本格的に稼働するので。夜間にも抑制されたり、雨の日でも風が吹くので昼間に供給過剰になる。
手順⑤(ファイナル・ステップ)供給過剰量は需要の何倍かを表す(計算結果)
需要と供給の倍率1.0以上は需要超過、1.0未満は不足を表す
★★★ 第1フェーズ (30年頃) 太陽光が主力 ★★★
30年頃の夏ピーク日は東京と中部と関西で不足しているが、日本全体では過剰となっている。東電の場合、冬ピーク日の4,500を超える日数は15日しか無かった。
計算式 ⇒ 手順④の該当最大出力 ÷ (3)の正午の最大需要
★★★ 第2フェーズ (35年頃) 太陽光が主力 ★★★
35年頃の東北と北海道は、雨の日も風の日も、夜も昼も抑制だらけで、発電業者の夜逃げ頻発。中國や九州もほぼ同じ。東京も年300回近い抑制。あちこちで暴動発生。
技術大国の日本が、再エネ失敗で世界の笑い者になって仕舞う。
(5)倍率の意味する天気の内容
倍率は電力会社の供給域が全域快晴の場合を想定して計算しているので。供給域の一部が曇りや雨であると、再エネ発電の供給量は少なくなる。少くなったとしても高倍率であると供給過剰になる。
その倍率と供給過剰の状態を倍率で表示した。
倍率が2.0倍以上になると全域が悪天気でも、供給過剰になる事を意味している。
太陽光は雨の時は出力が少ないが、風力はお構いなく供給過剰になることも有るので要注意である。
(6)30年頃の倍率から全国の出力抑制発生予想
★快晴日には、夏も冬も、需要のピーク日に、供給の過不足を合わせると、過剰状態にある。全社合計の率の値が1.1であるので、全社の正午の供給量が全社需要量より1割多い事を意味している。東京の1.0と四国の1.0は需要に10倍の開きが有る、それを意識して眺める必要がある。
★冬は全社率が2.1であるので、一部の地域の天気が崩れていても日本全体で供給過剰になる。
★春は関西と北陸以外の地域が2.0以上であるので、悪天気でも供給過剰になる。
★春の5月のGW期間は電力需要が最低となるので、土砂降りの悪天候でも全国一斉に供給過剰となる。
★地域別で最大倍率は東北で、2.0~4.1である。4.1は全供給域が一日中土砂降りの雨でも供給過剰になる。
★35年頃には昼も夜も、朝から土砂降りでも供給過剰となる。再エネ地獄そのものになる。
(7)30年頃の4月1ヶ月の発電予想
(2021/4天気実績から予測)
①東京電力(4月は25回供給過剰)
最大需要東京も、連日、供給過剰、受取余裕無し、非供給過剰日は5,13,14,17,29の5日、全域が雨の29日は揚水発電で調整し、辛うじてセーフ。
②関西電力(4月は16回供給過剰)
太陽光発電導入最小の関西も、連日、供給過剰、全域雨(29日)ても、原発と風で、供給過剰だったが、揚水で調整して辛うじてセーフ。
③東北電力(4月は30回供給過剰)
再エネ最大導入の東北の過剰量は、東京の需要(30GWh)を遥かに超える。東京は受入れ不可能。
④九州電力(4月は28回供給過剰)
東北の次に多い過剰量、原発が押し上げている。
太陽光が少ない時は風が吹くので、いつも供給過剰。
(8)中央3社も、ほぼ全日、南中時に供給過剰
中央3社(東京、関西、中部)が供給過剰になる
最大の問題は、連携線で受取り手がいなくなること。
連携線経由でも同時同量が成立っている事は既に説明したが、そのことを再確認する。下図は昨年(23年度)1年間に日本の電力会社が連携線を利用した量を集計した表である。データーは各電力会社が公表している電力需給実績に出ている値を1年間集計した合計値である。連携線の値が赤字は、供給過剰のため外部へ放出したことを、黒字は不足分を他社から取り込んだ事を表している。赤の全電力の合計値と黒の合計値はほぼ同じ量(同時同量)で、多少の差分は送電ロス、周波数変換ロス等で生じたものと思われる。
受取側の中央3社の内東京が受取量の60パーセントだが、30年頃には東京が供給過剰になるため受取出来なくなる。
関西も中部も可なりの供給過剰になるので、日本全体としては連携線は機能しなくなる。
東京は供給過剰になり得ないと思われていたが、30年頃には年200回以上の出力抑制となり、太陽光も風力も年間20パーセント以上の抑制で売電収入が激減する。関西も中部も他所の過剰分を受取るほどの余裕は無くなる。
これだけ出力抑制が発生するのに、再エネ化率は26.4パーセントにしかならない。目標の36~38パーセントには程遠い。
東京に供給していた再エネ発電所の出力抑制が始まる。
発電業者はパネル購入に15年ローンを組んで毎月返済に苦労している。毎月の売電収入からローン返済支払後の利益に10パーセント確保が難しいそうだ。
抑制率が10パーセントを超えると、利益確保は困難になる。年間の抑制率19.7パーセントでは利益確保は不可能である。
30年以降は増々抑制率は高くなる。35年に向けて赤字幅はどんどん大きくなるだけだ。
Ⅱ.2 将来の再エネ稼働に対する高精度予測手法
(1)予測方法概説
電力会社の過去の電力需給実績に、将来の予想可能な事象を組込み、再エネの伸び率を乗じて、時間毎に同時同量を成立させながら、出力抑制を実施し、需要と供給のシミュレーションを実施する。
♦♦ 電力需給実績の概要 ♦♦
需要と同時同量の電源別発電量と太陽光と風力の抑制量と揚水と連携線利用量(下図参照)
電力需給実績のデーター量 = 365(366)日 × 24時間 = 8,760(8,734)行
♦♦ 当手法のメリット ♦♦
① 現実に近い予測結果が得られる
② 予測結果の分析如何では、膨大種類の結果を得られる
⇒ 抑制回数、抑制率、再エネ化率、........
電力需給実績
(2)予測手順
手順①;使用する需要実績年度の再エネ容量と予想する年度の予想再エネ容量の倍率を求めて置く
手順②; 倍率を倍率を該当実績値の全てに乗じる
手順③;原発やその他の清再エネが将来に稼働する場合はその時間当たり発電量を実績に追加する
手順④;時間毎に需要から新発電量の合計値を差し引きする。結果の値とその時間の火 力の出力を合わせて新火力とする。
手順⑤;新火力の出力が最低出力より少ない値は最低出力値に置き換える。
手順⑥;⑤最低出力に置き換えたあとの過剰分を揚水発電で吸収しても吸収しきれない場合は、連携線経由で供給力不足の地域に送電するのだが、30年頃はほぼ全日他所も供給過剰になっているので連携線は使用できない。
手順⑦;⑥過剰分を太陽光と風力に割振る前に、安全率(九州電力は48パーセント)を乗じ、太陽光と風力の発電量に比例して割り振る。
手順⑧;月別、電源別に集計、集計後、再エネ化率、抑制回数を集計する。
2030年頃の導入容量から年間の抑制回数を弊社の手法で計算した。
電力10社中、年200回以上停止は6社で、2社も現在の九州並100回となる。
需要規模の割には再エネの導入が少ない関西も95回の抑制となる。
沖縄は揚水発電も連携線もないため、供給過剰、即、抑制となるため、再エネの導入は抑えているものと思われる。
Ⅱ.3 30年頃の予測結果、出力抑制激増
(1)2030年頃の電力各社別月別出力抑制回数
電力10社中6社が、昨年の九州の136回より多い200回以上の抑制回数となった。最多は東北と九州で、359回と335回。最少は、沖縄を除いて関西、83回である。
抑制率も膨大で、東北の太陽光で77.8パーセント、風力が74.6パーセントと、事業継承は不可能な値である。ローン支払い後、10パーセントの利益確保は困難な中で、沖縄以外は赤字となる。
(2)30年度目標36~38パーセントは不達成!
太陽光の容量は70GWから131GWへ1.8倍に、風力は5GWから44GWへ8.4倍に増強されたのに、国全体の再エネ化率は22.7パーセントから31.6パーセントと、8.9パーセントしか伸びていない。国の30年達成目標の36~38パーセントは達成できず、儚く討死である。
しかし、伸びたのは出力抑制で、太陽光が31.06パーセント、風力が37.28パーセントと激増している。これだけ抑制されると、再エネに投資しで利益を上げることは儚い夢に終わってしまう。
(3)30年頃、最悪は東北と九州
★ ★ ★ ★ 東 北 電 力 ★ ★ ★ ★
①東北電力のエネルギー環境
東北電力は日本の中でも、九州電力、中国電力3社で、中堅どころの地域となっている。年間総発電量で比較すると、東北は東京の3分の一、関西、中部の半分の規模である。しかし、東京は震災以降全原発停止で供給力不足となり、周波数の同じ東北の支援に頼り切りになっている。
昨年(23年度)の需給実績を見ると、東北は総需要の43パーセントを東京に送電していた。東北は原発が停止中の東京に大量に送電するために、再エネの力を大いに利用していた。東北は本来なら供給過剰で出力抑制頻発の筈だったが、東京が受け取るという事で、殆ど抑制する必要は無かった。東北の23年度の出力抑制回数は14回と僅かだった。再エネ化率は41.3パーセントだった。
②30年に向けて東北の再エネはどれだけ増えるか?
30年頃に東北で稼働するであろう再エネ容量を計算する。
受け付けている案件に2種類あるが、その内承認された量を2.5倍して稼働中に加算する。加算結果、太陽光は2.7倍、風力は5.0倍になる。水力はFIT対象の水力とNon-FItがあるが、現在稼働しているのはNon-FItの水力であるため予測の対象外とする。
30年までに女川2号機が稼働することになっているので予測に組み込むことにした。
③再エネ容量は増加したのに、何故、再エネ化率は落込む?
♦ ♦ ♦ 41.3% ⇒ ⇒ ⇒ 39.5% ♦ ♦ ♦
23年版の東北電力需給実績を使用して30年頃の稼働をシミュレーションした。結果は下図の通り。
出力抑制が1年間に359回発生し、太陽光の発電に対して77.8パーセント、風力に対して74.6パーセント抑制された。
1年間の再エネ化率は39.5パーセントだった。23年度の41.3パーセントより1.8パーセントも悪くなった。原因は、23年度の41パーセントと日本一の値であったのは、東北の総発電量の40パーセント以上を連携線経由で東京に送電していたが、30年頃には東京も供給過剰になり東北と北海道の支援が不要になった。東北と北海道はその分を出力抑制に回さざるを得なくなった。
このままで行くと今後再エネをいくら増やしても、再エネの主力電源化も脱炭素も出来ないことになる。
穴の開いたバケツにいくら水を入れても、水は下に漏れ落ちるだけで、水は貯まらいのは当たり前だ。
再エネ化率は伸びないのに抑制率だけ高まる最大の理由は、22年までは供給過剰分を需要の大きい中央3社に送って、3社の供給力を補充して貰っていたが、その中央3社、特に東京が供給過剰になって仕舞う。
④再エネ化率が伸びない理由をグラフで確認
理由①;30年頃の東北は需要と供給の倍率が2倍から4倍になっている。これは供給全域が可なりの雨でも太陽光で供給過剰になる事を意味している。この現象は1年の殆どの日に当てはまる。
理由②;下図は30年頃のシミュレーションした結果をグラフ化した図で、この図を見ると連日需要ライン(赤破線)を遥かに超えている。需要ラインは7~9GWであるが、太陽光と風力の供給量は25~30GWの値を示している。
理由③;実際に停止する発電所を決める時、安全率を考慮に入れ多めに停止させている。九州では48%増しの停止となっている。安全率を入れると需要ラインを遥かに超えることになる。その結果、4、5月の再エネ発電量はゼロになった。
⑤発電業者にとって、どれだけ発電停止になるか?
30年頃の東北の抑制により個別発電所が停止させられる回数を説明する。
4月、5月は全太陽光が発電禁止され、61日間完全停止になる。10月は2日だけ発電が許された。出力抑制は天気のいい日に限って発令されるので、年間の売電収入の減り方は単純計算より多くなる。弊社の計算では最大90パーセントの減収となり、30年頃には、発電業者の夜逃げ始まると予測している。
経産省や電力会社は再エネが潰れれば原発しか無いと、ニコニコ顔で原発再稼働に力を入れ始めるだろう。
★ ★ ★ ★ 九 州 電 力 ★ ★ ★ ★
①九州電力のエネルギー環境
九州は東北と同じで、中央3社の次のグループに属しているが、九州の特色は原発が稼働し、40パーセント近くが原発稼働になっている事。その分、再エネ稼働の余地が少なくなり、出力抑制が多く、23年度は1年間で136回と日本で一番多い地域となった。
年間の抑制率は太陽光が8.6パーセント、風力が3.3パーセントとパネルのローンを払っている発電業者にとっては非常に厳しい環境であった。
年間の抑制率が太陽光で8.6%、風力で3.3%であったが、多い月は4月の26.2%、5月の23.7%となり、ローン返済で10%を超えると利益を出すのが困難になり、発電業者の不安が高まるばかりだった。
九州の1年間の再エネ化率は28.7パーセントにしかならなかった。
九州電力は原発稼働の前に抑制解消対策を取るべきであった。取るべき対策は後編で記述する。
②30年頃までに、九州の再エネはどれだけ増えるか?
30年頃に九州で稼働するであろう再エネ容量を計算する。受け付けている案件に2種類あるが、その内承認済を2.5倍して稼働中に加算する。加算結果、太陽光は1.7倍、風力は7.1倍になる。
③再エネ容量は増加したのに、何故、再エネ化率は増えない?
28.7% ⇒ 29.1%
太陽光は1.7倍、風力は7.1倍と増えたのに、再エネ化率は0.4%しか増加していない、内訳をみると太陽光の有効電力は13,456GWhから9,335GWhと減少し、抑制量は1,265GWhから15,733GWhと激増した、7.1倍に増えた風力は730GWhから2,015GWhと増加したが、抑制量も3,356GWhと134倍増加した。
抑制量が増えた分、抑制率も増えた。太陽光の抑制率は62.8%、風力は62.9%となった。
再エネ化率は伸びないのに抑制率だけ高まる最大の理由は、22年までは供給過剰分を需要の大きい中央3社に送って3社の供給力を補充して貰っていたが、その中央3社、特に東京が供給過剰になって仕舞うからだ。
④再エネ化率が落込む理由をグラフで確認
理由①;30年頃の九州は需要と供給量の倍率が1.8倍から4倍である。これは供給全域が可なりの雨でも太陽光で供給過剰になる事を意味している。この現象は1年の殆どの日に当てはまる。
理由②;下図は30年頃のシュミレーションした結果をグラフ化した図で、この図を見ると連日需要ライン(赤破線)を遥かに超えている。需要ラインは7~9GWであるが、気太陽光と風力の供給量は最大で30GWの値を示している。
理由③;実際に停止する発電所を決める時、安全率を考慮に入れ多めに停止させている。九州では48%増しを停止させている。安全率を入れると需要ラインを遥かに超えることになる。その結果、4、5月の再エネ発電量はゼロに近くなった。
⑤発電業者は、どれだけ発電停止になるか?
年間を通した抑制率は太陽光も風力も62パーセントと、ローン返済期間には完全に赤字になる。最大に抑制された月は10月で90パーセントの抑制率で、次いで4月、5月の84~87パーセントと最悪である。
この状態では、30年頃には、発電業者の夜逃げが始まるだろう。
経産省や電力会社は再エネが潰れれば原発しか無いと、ニコニコ顔で原発再稼働に力を入れ始めるだろう。
再エネ大嫌いの電力会社も、再エネ崩壊を諸手を挙げて喜ぶことだろう。
(4)発電業者は利益を出せるか?
発電業者は投資目的で太陽光発電事業を始めている。投資が目的だから、利益をしっかり確保することが最大の関心事である。
通常、太陽光発電事業はパネルの購入はローンを組んで支払っている。ローンは15年で組まれているそうだ。15年間は。利益は10パーセント程度だが、FIT制度では20年間は売電して貰えるので、16年目から20年までは返済が無いので、収入=利益となるそうだ。
下図は2015年ら始めた太陽光事業の収入と利益の関係を図式化したものである。黄色はローンの支払で、ピンクは利益を表している。黄色の下のピンクは、ローン支払後の利益10パーセントを意味している。
発電業者はこの15年間に利益が確保できるかが最大の関心事になっている。天気のいい日が続くと10パーセントの利益確保は可能だが、雪が積もったり、台風シーズンは困難である。赤破線は固定価格買取で買ってもらった時の売電収入を意味している。固定価格で買い取ってもらっていれば、15年後の5年間は大量の利益が転がり込んでくる。
1MWの太陽光発電所を2015年から29円で開始していた場合、ローン支払15年間は毎年400万円の利益で、ローン終了後の5年で2億円の利益が得られることになっていた。しかし、昨年23年度の出力抑制実績から推測すると、返済期間に400万円だった利益が80万円程度に減額になった。これは年間平均値だが、抑制率の高い4月、5月、10月、3月は赤字の可能性が高い。更に問題は、30年に向けて抑制率は高まり、九州と東北は年間通して77.9と62.8パーセントの抑制率となる。 ローン返済完了と同時に来るのがパワコンの寿命切れだ。期待していた利益は全くの期待外れとなったので新しいパワコンに買い替える余裕は出ない、買い替えなければ発電量も落ちるので、今後発電が継続できない。発電出来なければ、パネルを廃棄しなければならないが、その費用も出せない。それなら早めに夜逃げするしかない。
30年頃には、業者の夜逃げが増え、社会問題になるだろう。結局再エネは経産省が仕組んだ陰謀だったのか‽再エネが潰れれば、原発で脱炭素するしか無くなるからだ。
Ⅱ.4 洋上風力本格稼働後に、壊滅的出力抑制出現
太陽光で抑制だらけの後は、やはり抑制
①大量の風力が稼働開始する
②全ての洋上風力稼働後、手が付けられないほど供給過剰となる
電力需要の7~8倍の風が吹き始める
③目立なかった地域も猛烈な出力抑制となる
23年度の抑制回数14回だった北陸も、
35年過ぎには192回の抑制となる。
その時再エネ化率は63.5パーセントまで高まるが、抑制率も高く、太陽光で31.2パーセント、風力で30.8パーセントと、発電事業の利益は全くでない状況に陥る。
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