出力抑制の犯人はタケノコシンドロームだった

(2018/11/20)                    

離島の種子島で4月に20回、九州本土で10月以降すでに8回の抑制があった。

2年以内に、九州本土で発電している発電業者は

売電収入の20パーセントが減ることになる。

悲しいことに、我が国政府には、

『需要超過分を殺す政策』しか、

アイデアが無い。技術大国なら、

『需要超過分を生かす政策』

世界に示すべきである。

忖度で生きることしか考えない官僚たちには、

『タケノコシンドローム』が理解できてい無い。

悲しむべきは官僚の不勉強さと、考える力の欠如である。

(1)接続拒否の真犯人

     

出力抑制を引き起こす真犯人は、電力会社や経産省の怠慢ではなく、太陽光発電が

            持つ特性そのものである。

           その特性とは、太陽が真南に来る時間(南中時)に最大の発電量となる。

           その南中時の前後2時間を含む合計5時間に、一日の発電量の60パーセントが発電される。

           (晴天日の場合)

            また、太陽光発電の導入量が増えると、南中時の発電量を中心として上にどんどん伸びる。

決して横には広がらない。(図1.1)

            この現象を弊社は「タケノコシンドローム現象」と呼んでいる。

            このタケノコシンドロームが出力抑制を生み出す原因を作った真犯人である。

            この真犯人を早急に逮捕しない限り、出力抑制は無くならない。


(図1.1)

タケノコは、真昼の太陽を目指して上へ上へと伸びて行く

(太陽光発電の導入量が増えれば増えるほど、太陽が真南に来る南中時の発電量が増え続け、遂には需要を超えてしまう。需要超過分は、同時同量を守るため、切り捨てざるを得ない)

詳細は、

何故、ドイツにタケノコシンドローが無いのか?

詳細は、

何故、日本にだけ、タケノコシンドローム現象が発生するのか?

需要の4倍も、5倍も必要になると主張する人は誰もいない。

学者も、ドイツ被れの評論家も、経産省のお役人も、誰一人主張していない。

再エネ化率を高めるためには、需要を遥かに超える発電を受け入れることが一番重要である。

しかし、誰もそのことに気づいていない。

その実現方法を誰も議論していない。この実現が無ければ、太陽光を大量に導入することなど出来る訳がない。

  (2)再エネ化率を高めるに必要なことは?

 厄介なことに、太陽光だけで再エネ化率を高めようとすると、タケノコシンドロームを受け入れざるを得ない。

最低需要である5月ゴールデンウィークの正午の閑散日需要を超えないようにするためには、図1.2の場合2,485万kWに抑えなければならないが、閑散日一日24時間の全需要を太陽光だけで供給するためには図1.1ではステップ2の発電が必要となる。そのステップ2の南中時の発電量は7,922万kW必要である。この値は、閑散日正午の需要 2,485万kWの   3.2倍となる。

            

 ピーク日一日の需要に対しては、ステップ3の正午の発電量は12,675万kWが必要となる。正午需要の2.6倍必要である。

太陽光については全て晴天日の発電量として計算しているが、一か月が全て晴天日であることは、日本ではありえない。実際の天気を考慮に入れて、一か月の需要を太陽 光だけで供給しようとするともっと多く、4.0倍とか5.0倍の容量が必要となる。

(3)間違った我が国の太陽光政策


太陽光の導入量を増やすためには、需要を超過する発電を受け入れる技術が必須である。

しかし、我が国は需要超過分を捨ててしまう政策をとっている。出力抑制である。

この出力抑制は捨ててしまう量が60パーセントで利用する部分が40パーセントという、極めて不経済な政策である。  

 技術大国と世界から認められている日本が、こんな不経済なやり方をやっているようでは技術大国の評価も消えてしまうだろう。


タケノコシンドローム対策はこれしかない。

ーーー需要超過分を生かす技術―――

        全ての太陽光発電は蓄電池と一対にして導入する。


発電した電気は一旦蓄電池(ハイブリッド・バッテリー・システム;HBBS)に保存する。

現在、接続拒否も受けずに無事に稼働に漕ぎつけた10kW以上の太陽光発電所は42万ヶ所、25Gwに達している。これらの発電所は、九州の種子島などの離島を除いて、全ての発電所は出力抑制の制約も受けずに順調に稼働している。

しかし、原発は2ヶ所267万kWしか稼働ていないが、残りの17ヶ所が発電し始めると合

計4200万kWの供給力となる。原発の発電量分だけ、太陽光の発電量が減少する。現在何の問題もなく発電していた所も、出力抑制が要求されて発電出来なくなるところが続出する。

例えば、九州本土で川内原発178万kWが発電中で、太陽光は638万kW稼働している。

しかし、玄海原発292万kWとバイオ発電が稼働し始めると、太陽光発電が発電出来る量は570万kWに減少する。電力需要が現在と同じと仮定しても、現在発電している量より68万kW減量しなければならない。それは出力抑制ということで発令される。

現在問題なく発電出来ているからと安心してはいられない。

平和に暮らしていた家庭の床下からも、タケノコがニョキニョキと伸びてきて、生活を破壊してしまう。安心はしていられない。

(4)『出力抑制」を避けるのは、この方法しかない


   発電終了後、24時間かけて時間当り放電量を均等にして、電力系統に放電する。

        蓄電池(HBBS)は同時に蓄電と放電を並行処理できる機能を持っている。

  蓄電池に必要な容量は一日当たりの最大発電量 × 最適率(弊社の特許技術のため秘密)

タケノコの高さは、3分の一から4分の一になり、需要より低くなる。

そのため、接続拒否されることなく、天気通りに発電出来る。

ステップ3の一日の発電量(南中時発電量12,675万kW)(黒実線)を24時間均等に放電すると、時間当り4,294万kW(黒点線)で、南中時最大発電量は2.95分の一となる。ステップ2は南中時7,922万kW(赤実線)で、一日の発電量は閑散日の一日の需要量(青)に等しい。一日の発電量(赤実線)を24時間かけて放電(赤点線)すると、ステップ2も南中時最大発電量は2.95分の一となる。

ステップ1は、太陽光の最大発電量でも閑散日の需要を超えないようにしている(白実線)ため南中時は2,683万kWで、24時間放電の時間当り放電量は847万kW(白点線)となり、南中時最大発電量の3.2分の一となる。(白点線)


    伸びきったタケノコは、蓄電池を使用することによって3分の一の高さに軽減される。

        この軽減により、需給バランスを崩すことは大幅に解消される。

        経産省は出力抑制解消を目的として、九州電力と東北電力で行っている

        「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」はタケヤリでミサイル 

        を落とす程度の、オソマツな代物です。


        電力社員も経産省担当者も「使い物にならない」と判断している向きがある。

何故、そう判断したか?それは、実証事業が本格運用を開始し始めた後の2017年10月に、資源エネ庁の第12回系統ワーキンググループが、電力会社別に出力抑制時間を計算し、発表した。

その計算結果を見ると年間の出力抑制時間を東北は1,559 時間、九州電力は1,513 時間としている。本システムは出力抑制を解消するはずだったのに全く効果がないと証明している。

         700億円近い税金を使いながら、この「ていたらく」である。

                         詳細は  ⇒⇒  オソマツな出力抑制解消システム

  

  九州電力で、川内と玄海の両原発が稼働した後、

    太陽光はどの程度稼働できるのか?

   ご安心ください。

24時間放電方式を採用していれば

「出力抑制」はゼロ・パーセントになります



  HBBS/PVSS導入前

現在稼働中の分は、春と秋の閑散日近辺では出力抑制が要求される。

                        認定受付多分が稼働し始めると、1年間を通して晴天日だけでなく

                        曇天日も出力抑制が出されて発電はさせてもらえない。

                        1年を通して発電収入は殆ど無いと思われる。


(6)どの程度「出力抑制」は無くなるのか?

(5)経産省で実証実験中の「出力抑制解消システム」


太陽光に関して、日本が先進国になれるチャンスだ❢❢❢

蓄電池のコストは発電業者負担を想定してます必要な機能(HBBS機能)

    ・全日発電分を24時間かけて放電と、当日分の発電が同時並行処理できること。

    ・1日に発電出来る最大発電量2日分を蓄電できる容量が必要

    ・2日分の容量は、×2ではなく、2より少ない率で対応出来ること。

もう一つの接続拒否が怖い を読む

   HBBS/PVSS導入後

                        ハイブリッド・バッテリー・システムを使用して24時間均等放電する

                        ため、南中時に供給が需要を超過することは無くなる。

                        また、放電量が早朝の時間帯や閑散日の一日の需要を超過することが

                        在り得るが、PVSSの需給保障機能が働いて、需給バランスを崩すこ

                        とは無い。

                        従って、出力抑制が全く無いため、無制限に太陽光発電は導入可能と

                        なる。

  (7)PV発電業者にとってのメリットとデメリット  

  

    ①PV発電業者にとってのメリット

                    a.認定受付された発電所は全て接続が認められる(接続保障)

                            認定申請で受け付けられた発電所は、接続拒否が認められている3つの

                            要因の内「費用負担をしない場合」と「送電可能量超過の場合」以外の

                            「供給量が需要を超過の場合」で接続拒否になることは無い。

                            「土地はある、パネルもある、資金もある。だけど接続できない」と

                            言ってボヤク発電業トップは皆無となる。

                    b.天気通りに発電出来る(発電保障)

                            一旦系統接続した発電所は、出力抑制を受けることなく天気通りに発電

                            出来る。年間1億円の売電収入を見込んでいた発電所は、見込み通りの

                            1億円の収入を毎年得ることができる。

                            見込み通りの収入が得られると分かれば金融機関も安心して協力してく

                            れる。

                            全てが計画通りに事業展開が可能となる。

                    c.系統接続の工事負担金が安くなる。

                        発電装置を電力系統に接続する場合、出力電圧別に接続先が決まっている。

                        容量2,000kW以上は送電線に接続し、それ以下は配電線に接続することに

                            なっている。(接続ルール参照)

                            一般的に送電線は数が少ないため遠距離接続となり、接続費用が数億円に

                            なることが多い。配電線はすぐ近くに配電変電所があるので接続費用は安

                            い。                                                                       

                            HBBSを使用すると電圧が4分の一になるので、送電線接続が配電線接続

                            に代わることが多い。

                                    詳細は ⇒⇒ 系統接続工事負担金大幅減少

       ②PV発電業者にとってのデメリット

                     a.蓄電池コストが増える

                         現在の蓄電池は高価格だ。kWh当り20万円程度である。しかし、蓄電池価

                            格もどんどん下がっている。昨年テスラ自動車が発表した家庭用蓄電池は

                     kWh当り3.5万円であった。産業用は大量に使用するため単価が下がるので、

                            テスラ自動車の単価は2万円程度と推定できる。

                            将来、蓄電池価格が大幅に下がるのは間違いないが、それ以外にもコスト

                            を下げることが出来る。

                                   ①蓄電池とパネルの一体化でコストが下がる。

                                          例、パネルと蓄電池を直列結合でコンバーターが不要となるなど

                                    ②系統接続電圧が4分の一になるため系統接続工事負担金が大幅に

                                        下がる。

                                    ③出力抑制完全解消のため天気通りの発電収入が得られる。

                                    ④大規模導入が可能になるため、スケールメリット価格が適応され

                                        利益が出やすくなる。

                            詳細 ⇒⇒ 出力抑制解消のための高額蓄電池コスト問題を解決する

                    b.蓄電池設置スペース確保が問題となる

                            蓄電池の将来価格は下がるが、設置スペースはさほど変化がないものと思

                            う。また、現在稼働中の発電所には設置スペースの余裕はないことから、

                            蓄電池設置のために2階建てが必要になると推定している。

蓄電池を下に置き、その上にパネルを設置する。新しい太陽光発電所の姿。

実は、電力会社が一番得をする。

            一般電気事業者(電力会社)にとってのメリット

            メリット①前日に天気予報からの発電予測が不要となる

            メリット②当日、予測と実際の誤差に対応する必要が無くなる

            メリット③出力抑制のための事前処理や事後処理が不要となる

            メリット④太陽光発電接続のための系統容量を増やす必要性が激減する

            メリット⑤天気に左右されない電源として太陽光発電をベース電源に利用できる

            メリット⑥電力会社自身は何ら設備投資無いのに大量の太陽光発電が導入できる

                        詳細 ⇒⇒  実は、太陽光大量導入で一番得するのは電力会社

に掲載してます。

   

最後までご精読ありがとうございます。ご質問、ご感想、反論等

ozaki@smart-center.jpまで直接お送りください。