現在、どの程度の出力抑制が発生しているか? 九州本土では!!
(2021/11/27)
現在、九州本土では、太陽光が1,060万㎾、風力が63万㎾が導入されているが、
2021年度は昨年11月26日に比べると11回も多い61回の発電禁止となっている。(空振りを含めると116回)
21年度1年間で100回程度(空振りを除く)になると推定できる。
更に、3年後には新たに太陽光127万㎾、風力1,180万㎾が増加するが、
(1)3年後の23年度は、211回の発電禁止となる。
個々の発電所は、太陽光と風力発電所は99回の禁止となる。
(2)発電業者の売電収入は太陽光で40パーセント、
風力は30パーセントの減収となる。
(3)全ての発電業者は、年間売電収入大幅減収で、
殆どの発電業者の倒産が多発する。
(4)九州本土の新規導入に掛かる1兆円近い民間資金が,
ドブに捨てられたと同じになる。
(5)3年後には日本全国で、74万件の発電所が九州と
同じ状態に陥る。全国でドブに捨てるのは10兆円近い。
(6)このままでは「再エネの主力電源化」は国が首謀者と
なって国民を騙す「国策詐欺」になってしまう。
世界に向けて我が国の技術力の無さを宣伝することにもなる。
(7)緊急対策として、まず太陽光と風力の新規導入を停止させ、
本格的出力抑制解消対策が確立出来るまで、原発はすべて停止すべきである。
(8)そのためには、内閣は総辞職し、経産省を立て直し、「エネルギー計画」のやり直しを行うべきである。
Ⅰ.九州本土の昨年と本年度の出力抑制発生状況比較
(1)昨年時と本年度の出力抑制実施回数比較
●再エネ導入済み容量は昨年より100万kW増えている。
●19年度10月までの回数は32回、20年度10までに35回で経産省の改善策も空しく、僅かだが10月までで3回増加している。
●昨年は発生してなかった6月に2回、9月に1回発生している。将来に対して不気味な予感がする。
(図1.1)
(図面をクリックすると拡大します)
(2)1発電所当たりの抑制回数
(図1.2)は抑制日ごとに九州電力が発表する「出力制御指示回数」報告書の9月27日のページである。報告書は制御ルール区分毎に、且つ、発電所の電圧区分ごとに、9月末までの抑制回数が記載されている。9月27日時点で、特高と高圧のオフラインが13~14回、オンラインが4~5回、と表示されている。
オフライン制御対象発電所には、前日の発電予測で抑制が必要と判断された場合にその日の夕方、抑制が発令される。
オンライン制御対象発電所には、前日の予測以上に抑制が必要と判断された時、当日に、発電停止が発令される。5回しか発令されなかった原因は、供給過剰になると予想した時、停止させる発電所の数を、安全性の観点から多めの発電所を停止させている。九州では100kWの停止が必要と判断されると、1.48倍の148kW分の発電所を停止している。従って、予想より実発電が多くなることは少ない。このオンライン制御方式は、公平性に欠ける点と、全発電所がオンラインになった場合、大きな問題になる。
(図1.2)
Ⅱ.経産省と有識者の「誤解だらけの改善策」
(1)「誤解だらけの改善策」
2018年の有識者会議で提案された出力抑制改善策は次の通りである。
①連係線拡大 本州への再生可能エネルギー送電量を105万キロワットから
135万キロワット前後へ2019年3月末までに容量拡大する。
②火力発電の対応 再生可能エネルギーを制御する前の段階の火力発電やバイオ
マス発電の最低出力引き下げる。
③遠隔制御拡大 発電事業者サイドでの遠隔制御装置(オンライン制御)の設置
促進する。
④経済損失の調整 出力制御を大規模事業者に限定
(2)2019年と2020年の結果から見る「効果なし」の根拠
有識者会議で採択された改善策は、2019年4月以降に適応されたはずである。
改善策の①連係線拡大と②火力発電の対応結果を、九電の電力需給実績からデーターを拾って表にしたのが、(図2.1)である。そこには4半期ごとの火力の最低出力と、連携線送り出した最大値を表示している。
★②火力発電の最低出力を下げる点では、一番抑制が発生した1Qを見ると、19年の最低出力は1337MWhであったのに、20年には1440と増えている。2Qでは、さらに増えて2331となっている。最低出力が改善されているとは判断できない。
★①連係線拡大の点では、19年の4Qで最大の3078MWhであったのに、20年の発電禁止の一番多い1Qでは、連携線の送電量は2644MWHと下がってしまっている。その原因追及は(3)でおこなう。
(3)経産省と有識者の「誤解」を指摘
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誤解①連携線の容量を増やせば出力抑制が解消出来ると幼稚な誤解
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♦連携線自体で供給過剰分を処理しているのでなく、連携線の先に供給力不足の所があり、そこに送り込んでいるのである。容量拡大は必要条件だが十分条件ではない。十分条件は供給力不足の所がある事である。
それを証明するのに、「19年の最大送電量は4Qの3078MWh(図2.1)になった。何故最大になったか?」を(図2.2)を使用して以下で説明する。
♦3078MWhになったのは、2020年2月25日の午前9時であった。その時の電力9社間を流れた送電量を各社の「電力需給実績」のEXCEL表(図2.4は5/11分) から該当時間の連携線の量を引き出して(図2.2)に当てはめた。
電力9社間でいつでも同時同量が成立している証拠 (図2.2)
♦ (図2.2)では電力会社別にひとつのボックスを作った。ボックスには電力名とすぐ下にEXCELから取り出した連携線の値を置いた。赤字は送り出しを、黒字は取り込みを表している。
♦その下は送り出した場合と取り込んだ場合を電力名と量で表している。
♦自社分と他社分の差っ引きが赤字であれば隣へ送り出し、黒字であれば他所から取り込む。
♦九州から出た3078MWhの一部を中国が1814MWhを消費し、四国から来た分との差っ引きが赤2574になったので、隣の関西に送り込んだ。
♦同様な処理を関西でも行い、結果、赤1394になったので中部へ送った。
♦中部でも同様な処理を行い赤458になったので隣の東京へ送り出した。
♦東京自体は黒4870だったのでその分を東北からの送り込み4408で補充した。
♦中部からの赤458と東京の黒462で、誤差が+4MWhあるが、この誤差は送電ロス、周波数変換ロス、直交流変換ロスの集計値である。電力9社間で同時同量が成立していることが証明された。
♦別の計算でも確認できる。すなわち、供給過剰4社の合計値9248MWhと供給力不足の5社の合計値9252MWhの差は4MWhであるので、同様に同時同量が成立していると見なせる。
♦結論、「何故、最大値3087MWhになったか?」
Final Answer;「他地域で必要としていたからだ」
♦連携線容量を増やすと出力抑制が解消できるは、大きな誤解である。解消できる理由は不足しているところがあるからである。あくまでも、瞬間瞬間で電力9社間で、同時同量が成り立っていることが重要である。
♦経産省と有識者の大きな見落としは、全地域が供給過剰になった時、何所も引き受けられない事に気づいていない。それが原因で数年後には全発電業者は猛烈な出力抑制に襲われ、収入の大半を失い、全業者倒産と言う惨めな地獄に陥る気付いて居ない、且つ対策も取っていない。。
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誤解②火力発電の最低出力は簡単に下げられると、浅はかな知識を
暴露している。下げる技術的方法を指導していない。
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「最低出力を下げる」とは言っているが、その具体的な技術的な指導が無い。
精神論で最低出力を下げられると思っているようだ。
最低出力が下げられないメカニズムを理解していないのではないだろうか?
(1)最低出力を下げれば、何故、出力抑制が少なくなるのか?
実際に九州電力で本年(2020年)5月11日に抑制されたデーターで説明する。
(図2.4)は九州電力が公表してい電力需給実績EXCELシートの5月11日の部分である。(図2.3)はそのシートから作成したグラフである。
抑制は午前8時から15時までで発生している。グラフ内の白い部分が抑制されたことを表している。EXCELシートでは「太陽光抑制」欄に表示されている。抑制された最大時は12時で抑制量1,762MWhであった。その時の火力発電は2,602MWhも発電している。同時刻に、抑制を避けるために揚水発電は1,639MWh、連携線は2,382MWhだけ働いている。
ここで疑問に思うのは、火力発電をその時刻に840MWhまで下げれば、抑制は避けられたのに、何故下げられなかったか?
(2)下げられなかった理由
最近の火力発電機で性能の高いのは1基当たり最大60万kW程度だが、少し古い機器は20万~30万kWのものも多い。ここでは1基の能力を40万KWとしておく。
また火力発電装置の優れた能力に自動調整機能がある。負荷の程度に合わせて出力を調整する機能で、別名上げ代/下げ代と呼ばれ、50~60パーセント下げる能力がある。50万kWの発電機なら20万~25万kWに下げる事が出来る。
太陽光発電が大量に発電開始すると、午前8時頃から急激に太陽光の発電量が増え、正午には820万kWになるので、それに合わせて火力発電を下げなければならない。正午を過ぎると18時には太陽光が完全になくなるので、火力は18時までに580万kWまで高めなければならない。
当日は、需要予測で最大が19時で、5804MWh(580.4万kW)と予測されているので、出力40万kWの火力発電14基準備する。不足分は水力等で補うこととした。14基全てが下げ代ぎりぎりまで下げると、260万kWの出力計算された。
太陽光の急激な変化に火力を合わせなければならないが、その調整を人間の判断と手作業でやると、事故を発生させる危険性があるので、火力の調整機能にお任せするのがベストである。また太陽光には天気の急変で予定外の発電があり得るのでその激変にも、火力や水力や揚水発電などで対応しなければならない。
下げられなかった理由まとめ
★前日の夕方に、翌日の需要予測に合わせて各種発電装置の稼働計画を立てた。
★計画は、最大需要に合わせて、火力発電の必要台数と運転時間を決める。
★最低出力は稼働中の発電装置の下げ代能力に依存する。
太陽光の発電終了直後の最大需要量5804MWhに合わせて火力発電の必要装置は
14基と決まり、14基の最低出力2600MWhが決まる。
★下げる方法は、太陽光の発電終了直後の最大需要量を下げるか、発電装置を下
げ代機能の大きい最新式の発電装置に全てを取替るしかない。
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誤解③オンライン制御は装置を付けた発電所だけ抑制回数が少なくなるが、全体の抑制量は変わらない。
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③遠隔制御拡大は出力抑制解消とは無関係な代物である。
これを導入するとオンライン制御を導入した発電業者の手間暇が多少少なくなることと、その業者だけ抑制量が少なくなるだけの話で、全体の出力抑制を少なくすることにはならない。
全くピント外れの対策である。恥ずかしい事だ。
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誤解④再エネの主力である太陽光発電の特性に対する対策が全くない。
(最大の見落とし)
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「臥竜点睛を欠く」とはこの事で、エリート集団である経産省や肩書だけ立派な有識者が提案した「抑制改善策」には、太陽光発電の特性から生じる弊害に対する効果的な対策が何一つ提示されていない。
最近電力会社が受け付けている再エネの接続申請はまだまだ勢いが強く、太陽光で5,000万kW、現在稼働量にほぼ等しい量が受け付けられている。これだけの量が稼働し始めると、出力抑制が頻発して再エネ化率が導入量の割に全国平均で37.2パーにしかならない。出力抑制はあり得ないと固く信じられていたあの東京電力ですら年間225回も発生で、一つの発電所は140回も停止させられ、年間売電収入も倒産せざるを得ないほど減収する。
太陽光だけだったらそうなるのは分かっている、と言って最近は風力、特に洋上風力に流れ始めた。現在承認済みまたは検討申請を含めると10,000万kWが待機中である。この量は現在稼働中の28倍である。
風力なら大丈夫と考えるのは「素人の浅はかさ」である。風力は太陽光と道ずれに抑制対象となってしまう。風力発電は太陽光発電より出力制御になりやすい のである。
風力発電が効率よく発電するためには、まず先に太陽光の改善が必須となる。
それだのに、何ら有効な対策が出ていない。経産省や有識者たちは、まったく馬鹿な集まりではないか?
奴らに任せていたら日本は世界の恥さらしになってしまう。何とかせい。
と喚き散らしていたら、政界に通じたある男が私に向かって言った。
「お前こそ馬鹿だ」
「奴らはお前の言うことなどとっくの昔に気づいている」
「もし、それをやって太陽光が旨くいってしまったら困る大きなグループがあるのだ」
「有識者の顔ぶれを見たらわかるだろ」言って彼はそれ以上を何も言わずに消えて行った。
再生可能エネルギーが失敗するのをジーっと待っているグループがあるそうだ。
私はこれ以上詳しいことは書きません。あとは、御想像にお任せします。
Ⅲ.承認済と検討申込が稼働した時の出力抑制予測
(1)承認済と検討申込の容量 (図3.1)
★九州電力で現在稼働中の再エネ合計量は1,402万kW、内訳は太陽光が998万kW、風力が59万kW、バイオ135万kW、水力186万kW、地熱24万kWである。
★未稼働の中の承認済が567万kW、内訳で主なものは太陽光が327万kW、風力が144万kWで太陽光はまだまだ伸びるようだ。承認済が稼働すると、現稼働中と合わせると1,969万となり、現稼働の1.4倍となる。
★接続契約申込が合計で505万kW、内訳で主なものは太陽光が120万kW、風力が368万kWで徐々に風力が伸びそうである。これが稼働すると2,474万になり、現稼働の1.76倍になる。
★契約申込前の接続検討申込が1,469万kW、内訳で主なものは太陽光が136万kW、風力が1,236万kW、風力がビックリするほど多くなる。これが稼働すると3,943万になり、現稼働の2.81倍になる。
★果たしてこれだけ導入して、まともに動くか?
主力電源は当然達成し、発電業者の売電収入もきちんと得られるのか?
まさか発電業者の屍(しかばね)が九州全土にゴロゴロとならないでしょうね。
(2)シミュレーション結果
承認済と契約申込と検討申込の全てが稼働して現稼働の2.81倍になった時の稼働状況をシミュレーションした。
結果(図3.2)
●年間のセンター停止回数は、昼は289回、夜は76回。昼の停止は太陽光と風力が対象となるが、夜は太陽光は発電していないので、風力だけが対象となる。従って、風力は昼と夜の合計で365回となる。
●一発電所に対する停止回数は、太陽光が181回~182回となる。年間売電収入は最大68%程度の減収となる。風力は最大62%程度の減収。両発電業者の倒産続出と思われる。まさに、屍(しかばね)ゴロゴロ状態となる。
●再エネ化率は、38.0%にしかならない。主力電源化には程遠い。
主力電源化が出来なければその先の脱炭素社会など夢のまた夢。国民を騙すのもいい加減にせい、菅首相知ってましたか? 国策詐欺だけはやめろ!!!
●主力電源になれない理由は、太陽光の場合発電したもののうち半分以上の52.1%が、風力は31.5%が捨てられるからである。
●主力電源になれないもう一つの理由は、原子力が38.0%、火力が35.7%、合計73.7%が、再エネ導入の壁になっているから。
国と電力会社は原発を守ることが最大課題・・・・、良かったですね守れて。業者を殺してでも守る、御立派。
(図3.2)
Ⅳ.出力抑制真犯人「タケノコシンドローム」と
21世紀の「再エネ界のコロンブスの卵」
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(1)出力抑制真犯人「タケノコシンドローム」
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太陽光発電(以下太陽光)の導入量が増えると、太陽が真南に来る南中時の発電量が上へ上へとどんどん増える。 (図4.1)その現象を「タケノコシンドローム」(弊社造語)と言う。
まるでタケノコが成長するかのようである。
成長したタケノコは閑散日の電力需要も、平均日の需要も、最終的にはピーク日の需要も、軽く越してしまう。
タケノコの頭が平均日の南中時需要量と同じになった時、一日の発電量と同日の電力需要量の比率は30パー程度となる。それを再エネ化率30パーという。30パーを超えて発電しても、供給過剰となり、発電したものは捨てざるを得ない。従って太陽光だけで30パーを超えることはあり得ない。つまり、再エネの主力電源化は太陽光だけでは不可能である。
不幸なことに、太陽光の下に原発や水力またはバイオなどが流れると、太陽光は底上げされるので、30パー以下でも供給過剰になる。その現象は九州電力でしっかりと現れている。
知っておきたい「太陽光の4分の一特性」
太陽光の一日の発電量の合計値を蓄電池にため終わった後、24時間かけて均等放電するとした場合、時間当たりの放電量は晴天日の南中時最大発電量の3分の一から4分の一になる。3分の一は一日の発電量が最大となる夏至の頃で、4分の一は発電量の少ない冬至の頃である。
この特性をうまく利用すると、いろいろな面で効果が出る。詳細は次章で説明する。
その他の太陽光について知っておかなければならない特性があるが、紙面の都合で割愛します。是非、下記のサイトをアクセスしてください。
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(2) 21世紀のコロンブスの卵
「ハイブリッドバッテリーシステム(HBBS)」
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「誰でも西へ航海すればアメリカ大陸に行き当たるのだから、アメリカ大陸の発
見は大した業績ではない」と言われたコロンブスは、相手に卵を立ててみよと応じた。
太陽光発電は導入量が増えると上へ上へと伸び、平均日の需要も、ピーク日の需要も越えて、供給過剰となり超過部分を切り捨てざるを得なくなる。切り捨てるために悲劇が生じる。
令和のコロンブスは、縦に伸びるタケノコを横に寝かせた。横にしたら何も問題が無くなった。皆が気付かなかっただけのこと。ただそれだけのこと。
①ハイブリッドバッテリーシステム(HBBS)のシステム構成
(図4.2)はHBBSのシステム構成の図である。
1つの太陽光発電装置に、1組の蓄電池を接続させる。
1組とは任意の数の蓄電池で構成され、接続された発電装置の一日当たりの発電量を収容出来る容量が必要である。
蓄電は発電装置で発電したものを、直接電力系統に送電せず、一旦、蓄電する。
放電は、前日に発電した量を24分の一づつ均等に24時間かけて放電する。
24時間均等放電すると、時間当たり放電量が南中時の最大出力の3分の一から4分の一の高さになる。
放電開始時刻は、翌日の系統制御開始時刻(通常は午前ゼロ)で、終了時刻はその24時間後になる。 (注)自己消費を行う発電装置には適応できません。
翌日、前日分を24時間かけて放電するので、翌日の発電に対する蓄電と前日の放電が重なることになる。ハイブリッドの言葉を使用した理由がそこにある。
特に重要なポイントは、毎日決まった時間に中央給電指令室(センター)にその日の発電量を知らせる。センターではその発電量を使用して翌日の系統制御計画を作成する。これによりセンターではHBBSを使用している太陽光発電に対する発電量予測は不要となる。
(注)20年9月14日現在ではHBBSはいまだ製品化されていません。製品化に乗り出すメーカーを募集してます。
(補足説明)風力発電にはHBBSを使用しない理由
理由①風力発電には太陽光のような発電量が集中する南中時が無いため、
供給過剰を避けるという点での効果が少ない。
理由②一日の発電量は太陽光の場合は6~8時間程度だが、風力は24時間
発電する可能性があるため蓄電池の容量が膨大になり、コスト面で
の負担が大きくなる。
理由③太陽光だけにHBBSを使用しても、太陽光効果のおこぼれを貰って
風力まで出力抑制が減少する。
②HBBSのもたらす効果
効果①南中時の最大発電量が3分の一から4分の一になる事の効果が大である。
★太陽光発電は需要を超過することが極めて少なくなる。
★HBBSを適応しない風力と太陽光の合計値は昼の需要超過が減少する。
★系統接続電圧大幅減で、系統容量増設に等しい効果がでる
●電力会社は太陽光のための系統増設コストを軽減出る
●発電業者は系統接続工事負担金が大幅減となる
★天気に左右される問題が、HBBS使用で大幅減となる
●快晴と豪雨時の南中時の発電量の差がHBBS使用で少なくなる
●前日発電分を翌日放電するので、その日の天気の変化は影響受け無い
効果②発電終了時にその日の発電量を知らせるので、センター側で太陽光の発電
予測が不要となる。
★センター側は予測業務の不用化で、予測業務コスト削減
★発電予測信頼度の不安からくる対応が不要となる
⇒出力抑制時に、多目に太陽光発電所を止めている
効果③一日での太陽光発電量急増、急減に対応せる火力発電操作が不要となる。
★待機発電ロスの減少(火力発電は完全停止せず空焚きで待機している)
★太陽光の急変が皆無のため、火力の最低出力を大きく下げる事が可能と
なる。(HBBSの隠味)
⇒下げた分で、再エネの導入量を拡大できる
効果④出力抑制対応の業務不要となり、センター運用コスト大幅減となる。
★抑制予測、停止通知、抑制履歴管理等のセンター業務から解放される
★発電業者にとっては予測可能な発電の安定収入となる
効果⑤再エネの中でも導入・運用コストが最低の太陽光大量導入が可能となる。
★発電業者の倒産無しで、再エネの主力電源化を実現、更なる拡大が可能
★「カーボンニュートラル」実現に避けて通れない道となる
効果⑥HBBSを使用した発電所は、使用しない発電所より高利益が得られる。
Ⅴ.HBBS使用で承認済み稼働をシミュレーション
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「再エネ界のコロンブスの卵」HBBS使用結果
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★★ HBBS使用時の条件設定
●全太陽光発電所が使用する
①自己消費の発電所にはHBBSは適応できない
②現実的にはコスト問題等で、全発電所にHBBSの導入は不可能
特別注意⇒⇒遅すぎる蓄電池投入、出力抑制頻発で再エネ化率は上がらず、発電
★★ HBBS使用せずに稼働した場合のグラフは(図2.3)であったので、そのグラ
フと比較しながら説明します。
●前日発電したものが24時間均等量で放電される。
●(図2.3)では出力抑制が発生していたが、HBBS使用では発生せず。
●火力発電は、再エネ導入前と同じ形で稼働する。従って、火力に対する運
転は再エネ導入前と同じ要領で操作可能となる。
●天気の急変による影響は全く発生しない。
●火力発電等の稼働は、前日の夕方に太陽光の実発電量をベースとして計画
されているので、ピーク需要に対しても計画通りの火力発電を稼働でき
る。天気変動の影響は皆無となるので系統制御の安定度が高まる。多少の
需要変動は火力の調整機能で対応できる。たとえ調整困難になっても揚水
発電や水力発電で対応可能である。
●火力発電の最低出力の問題は何ら発生しない。好きなだけ下げればよい。
★★年間の稼働状況から
●再エネ化率54.7パーで主力電源となったといえる。
●太陽光には出力抑制が全く発生していない。売電収入も計画通りに獲得で
きる。発電業者の倒産の心配は完全に解消された。屍累々の心配は皆無。
●風力発電にはHBBSを使用しないが、太陽光で抑制がなくなる影響で、風力
まで抑制が激減する。
●抑制が55回発生し、一発電所は27回ほど発生するが、HBBS無の場合の226
回に比べれば、保険で補填できるので問題なし。
●出力抑制が減少した分を金額換算すると、太陽光を12円/kWhとすると年間
で1,270億円、耐用年数17年で2兆1594億円 。風力を36円/kWhとすると年
間で1,459億円、耐用年数17年で2兆4,808憶円 風力発電業者はHBBSへの投
資はしないのにお零れでこんなに得する。ちょっと不公平だ。
蓄電池使用は、使用しない発電所より大きな利益を生み出す 理由がここに
ある。他にも系統接続工事負担機が減少したり、太陽光にパワコンが不要
になったり、安心して大型発電所で大きなスケールメリットが出るなど、
HBBSへの投資は驚くほどのコスト効果が出る。
●日本全国でHBBSを使用するとほとんどの地域で供給過剰(出力抑制)が激
減するので、他社の過剰分を引き受ける余力が発生する。従って、風力の
55回の抑制はどかの地域に引き受けてもらえる可能性が高くなるので、殆
ど抑制にならないと期待できる。
★★電力会社にとってHBBS使用のメリット
●太陽光発電のための系統容量増設の必要性か大幅に減少する。
●毎日夕方にその日の発電量を知らせてもらえるので、発電予測に関連する
作業とコストが皆無となる。
●発電実績を使用するので、天気の急変による不安定さから解放される。
●出力抑制に関する作業とコストが激減する。
●HBBS無では、再エネの主力電源化も脱炭素化社会の実現も出来ないので、
世間から猛烈な非難を受けることが予想されるが、HBBSの使用でその非難
から逃れられる。
●HBBSを使用した時の火力発電の年間発電量が、HBBS無の場合よりも
3,945GWh少なくなった。石油を使用した時の火力の単価を35円/kWhで換
算すると年間1,381億円になる。
この金額は、最近5年間の経常利益が下降気味で500億円前後の九州電力に
とっては、喉から声が出るほど美味しい数字である。もうそろそろ原子力
から再エネに固い頭を切り替える時期ではなかろうか?
最後までご精読ありがとうございます。ご質問、ご感想、反論等
ozaki@smart-center.jpまで直接お送りください。