出力抑制回避が理解できる蓄電池投資の㊙情報

高額な蓄電池を使用しても、利益は出せる。

 逆に、蓄電池を使用しない発電所は、

出力抑制で徐々に利益が減少する。

再エネの主力電源化は、蓄電池が「カナメ」となる。

(1)すでに稼働している太陽光発電所の平均規模

        一般的に言えることだが大量に物を買えば、一個当たりの単価は安くなるのは常識である。

 太陽光発電についても同じことがいえる。

日本の太陽光導入コストは高いと言われているが、高い原因は太陽光の平均容量が小さいからである。

我が国のすでに稼働している産業用太陽光発電所の平均容量は、2017年9月の実績では、64kWと極めて少ない。原因は50kW未満の件数が48万件と全産業用の95パーセントを占めているためである。

50kW未満を除くと、すでに稼働中の産業用平均値はいきなり771kWとなる。

まだ稼働していない受付中の内、50kW未満を除く産業用の平均容量は、3,373kWと増々大きくなる。

 

(図1)

(2)近い将来稼働予定の太陽光発電所の平均規模

現在すでに認定受付済みで未だ稼働していない産業用太陽光発電の内、2000kW以上は917件と

少ない     が、容量は21GWもあり、50kW未満を除く未稼働分容量の78パーセントを占める。

            未稼働2000kW超過太陽光発電所の規模別分布状況は図2の通りである。

            最大は480MWで、平均は23MW(23,000kW)となっている。


                                                                                                                        (図2)


① 投資分析対象の発電所規模を決定する

     未稼働分の内78パーセントを占め、且つ系統への接続の工事負担金が膨大な2,000kW以上の発電所に蓄電池を使用した場合の投資分析を対象とする。

② 蓄電と放電の並行処理可能な蓄電池容量の決定

出力抑制を回避できる最大の理由は、南中時に集中する発電を一旦蓄電し、発電終了後24時間かけて均等に放電するため、南中時の最大発電量が3分の一から4分の一になり需要を超過することが少なくなるからである。

24時間放電すると翌日の発電とぶつかる。その為、放電と発電が効率的に並行処理できることが必須条件となる。

並行処理の簡単な方法は、2つの蓄電池を使用して一つは放電用でもう一つは蓄電用にし、日替わりで役割を交代させる方法である。この方法を使用すると、一日の最大発電量の2倍が必要となる。

しかし、HBBSでは任意の数の蓄電池を組み合わせて、一日の最大発電量の1.331倍の容量で放電と蓄電の並行処理を行うことが出来る。

      (特許第6408531号)「蓄電池制御方法及び装置並びにそれを用いた蓄電装置」)

(図3)では、24時間放電で前日に蓄電した量が24時間でゼロになる、一方、蓄電した蓄電側は日の出後徐々に蓄電量が増え、日没時に最大蓄電量に達する。その両者の変化を合わせると15時に最大値の1.331 になる事を表している。


                                                                                             (図3)

③ 一日の最大発電量の決定

一日の最大発電量の1.331倍が必要であることはわかったが、最大発電量をどのように決めるかが問題である。

太陽光発電の場合、一日の発電量は、たとえ晴天日であっても季節によってさまざまに変化する。実際の発電実績を発電量の多い順に並べると図4と図5のようになる。

この図を見ると年に数回の大量発電があり、反対に極めて少ない日もある。

その姿は「緩やかなS字カーブ」となっている。


                 13,000kWの場合                                                            (図4)

     7,000kWの場合                                                            (図5

    一日分の発電量を蓄電する蓄電池の適切な容量はどのように決めるべきか?

最大の発電量を得るために年に数回しかない最大値を選ぶか、それとも少し少なめを選ぶかは、投資効率の点で極めて重要である。

    7,000kWの場合を図6を使用して説明する。

①50,000kWh以上でカットの場合

カット分 2,758kWhは年間発電量の0.03%に相当、必要な蓄電池容量は50,000kWhの1.33倍で66,500kWhとなり、蓄電池価格は3.8%の削減となる。

50,000kWhでカットすると、24時間放電では一時間当り放電量が2,083kWで2,000kW超過のため、接続先は中間変電所になり、工事負担金が増える。

②47,000kWhでカットの場合

カット分 46,569kWhは年間発電量の0.5%に相当、必要な蓄電池容量は

62,510kWhで、蓄電池価格は9.6%の削減となる。

47,000kWhでカットすると、24時間放電では一時間当り放電量が1,958kWとなり接続先が配電変電所となり、工事負担金が大幅に軽減できる。

③40,000kWh以上でカットの場合 

カット分 251,234kWhは年間発電量の2.5%に相当、必要な蓄電池容量は53,200kWhで、蓄電池価格は23.1%の削減となる。

47,000kWhでカットすると、24時間放電では一時間当り放電量が1,667kWとなり接続先が配電変電所となり、工事負担金が大幅に軽減できる。


 ④35,000kWh以上でカットの場合                     

      カット分 681,523kWhは年間発電量の6.8%に相当、必要な蓄電池容量は 46,550kWhで、蓄電池価格は32.7%の削減となる。

35,000kWhでカットすると、24時間放電では一時間当り放電量が1,458kWとなり接続先が配電変電所となり、工事負担金が大幅に軽減できる。

(図6)

最終的には各種コストを考慮に入れてどのカットラインが最高の利益率を得られるかを決めなければならない。 

              

  (1)系統接続のための工事負担金計算

①太陽光発電は、太陽が真南に来た時に最大の発電になる。その最大発電量を基準にした電力系統への接続箇所が決まっている。(図7)2MW未満は配電変電所、または配電変電所以下の柱上変圧器に接続となる。

    2MW以上~10MW未満は中間変電所接続、10MW以上~50MW未満は1次変電所接続、50MW以上は超高圧変電所接続と決まっている。(図8)

                                                                                                                           (図7)

接続箇所の数は高圧になればなるほど少なくなる。         

      家庭用は柱上変圧器に接続であるがその変圧器は日本全国に1052万ヶ所ある。

どこの家庭も変圧器から100メートル以内で接続可能となっている。

逆に、最大規模の5万kW以上の接続箇所の超高圧変電所は日本に249ヶ所しかない。

各県に平均5ヶ所となり、そこまでの距離も20~30kmと推定できる。

                                                                                            (図8)

②接続変電所までの距離

 変電所までの距離は、件数が少ないと確率的に遠くなると言える。

                (そうでない場合もあるので要注意)

工事負担金を比較するために、仮に、変電所別に距離を設定する。

                                                                                                            (図9)

③負担金の計算

電力広域的運営推進機関の「送変電設備の標準的な単価」(図10)を使用してHBBS経由の場合と直接接続(直接接続)の場合を計算した。   

        単価は距離に比例するもの(架空線など)と、電圧に比例するもの(変電設備など)の2種類がある。

                                                                                                                   (図10)

      図11の見方は、同じ変電所に接続する場合でも、HBBS経由の場合とHBBSを使用しないで接続する場合の負担金の違いが分かる。

例えば、超高圧変電所への接続の場合、直接接続すると83.3億円かかるが、HBBS経由だと26.3億円しか駆らないので57.0億円削減できる。 40万kW以上の太陽光の 場合に当てはまる。(40万kW以上の太陽光は、HBBS経由で4分の一になっても10万kW以上であるため接続変電所に変わりはない。しかし、使用する機器の電圧が4分の一になるので機器のコストが安くなる)

10万kWから40万kW未満の太陽光の場合、HBBS経由だと接続変電所が一つ下の1次変電所接続となる。その場合の負担金は13.2億円となる。70.1億円の軽減になる。

                                                                                                      (図11)

    工事負担金計算のサンプル

負担金計算の詳細を7000kWのケースをサンプルとして説明する。

47000kWhを一日の最大発電量として選択すると、24時間均等放電の時間当たり送電量が2000kW以下の1,958kWになるので配電変電所接続となる。                

中間変電所までの距離を5kmとし、配電変電所までを1kmとした。

計算結果は図12の通りである。

蓄電池を使用しない場合の負担金は6.05~10.65億円であるが、蓄電池を使用すると 409~4,156万円となる。軽減額は6.01~8.13億円である。この軽減額は蓄電池コストに大いに貢献できる。

(図12)

   

          実購入費・実諸経費を考慮した最適蓄電池容量の分析

20年間の収入(買取価格18円/kWh)に対して諸経費を組み込み最終的な利益率を算出し、最適な蓄電池容量を決定する。  

ソーラパネルの導入単価を15万円/kW、蓄電池単価をテスラの単価2万円/kWhとした。工事負担金については中間値の費用を使用する。  

                                                                                                   (図13) 

・7000kWの太陽光の場合、投資効率のいい蓄電池容量は、35000のCutであることが分かる。欲張って大きな容量の50000を選ぶとほとんど利益は出ない事が分かる。

・蓄電池の費用は工事負担金減額の効果で、20パーセント以上の利益を確保できる。

・50000kWhの容量では時間当り放電量が2000kW以上のため、接続先は変わらない。したがって、工事負担金は蓄電池なしの場合と同じとなり、蓄電池コストと重複するため利益が出ない。

・20年間の最大利益額は35000kWhでカットの場合で、118,941万円の利益が出る。

 投資額に対する利益率でみると35000kWhでカットの場合が最大で利益率28パーセントである。

・蓄電池経由だと、太陽光の導入拡大が進んだり、原発が再稼働したり、省エネが進み電力需要が縮小しても、出力抑制は一切発生しない。安心して発電に専念できる。


発電業者にとっての効果

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