「節電」すると、出力抑制が拡大する
経産省は「エネルギー革新戦略」の中で
「2030年までに35パーセントのエネルギー効率改善」
を進めている。
改善の結果、需要の大きな東京電力にも出力抑制が頻発する。
(2018/6/26)
(1)電力需要は経産省のエネルギー戦略に沿って確実に減少している。
出力抑制は需要を供給が超過することによって発生するので、供給量の予測だけでなく、需要量の予測も重要になる。
日本の電力需要は2008年のリーマンショックの影響を受け、2010年以降、右肩下がりを続けている。(図9と図10)
下がり続けている原因を、弊社は下記のように推測している。
①グローバル化が進み電気を大量に消費する工場などが海外に転出した。
②少子化による人口減少で電力消費も落ち込んだ。
現在の人口は1億2,709万人、2050年には9,700万人と予測されている
③蓄電池やLED等の省エネ技術の普及拡大。
④太陽光発電の自己消費拡大
★FIT買取期間終了後の自己消費の増加
★RE100加盟企業増加により自己消費PV導入拡大
★FIT価格の値下げにより自己消費へ切換
下がり続けている原因は、今後も長く続くと予想されるので、しばらくの間は右肩下がりは継続される。
右肩下がりを先読みした経産省は、2015年7月に「エネルギー革新戦略」を発表している。それによると、「省エネルギーは石油危機後並の効率改善(エネルギー効率を 2030年頃までに35%程度改善)を実現し、再エネは現状の水準から2倍程度の導入拡大を見込むなど、野心的な目標を設定する」としている。
(図9)
図9ををみると2008年9月にリーマンショック発生後、2009年には世界中が大不況に陥り、日本もその嵐にドップリと浸かってしまった。
ショック後、2010年を頂点にして右肩下がりが始まり、10年近く下がり続けている。
沖縄を除く9社が同じように下がりになっている。中でも中央3社の下がり方が激しい。地方は、例外もあるが下がり方は少ない傾向にある。
(図10)
(2)省エネはさらに続く。
右肩下がりも近いうちに止まってほしいという願いが発電業者には強いと思うが、その思いとは真逆の「エネルギー革新戦略」で、2030年頃までには35パ程度まで下がっていく。
図11の08年から15年までの傾向曲線に従って、2027年の総需要量を192TWhと設定した。この値では2015年の28.6パーセント減で「エネルギー革新戦略」の目標には少し足りない。
(図11)
(3)需要曲線が大幅にダウンする
省エネが目標通りに達成できた後のピーク日需要曲線について考察する。
年間の総需要が減っていくという事は、一日当たりの需要も減っていくことである。
一日の需要曲線を見ると電気の使用量が多い時間と少ない時間がある。
省エネの効果は、使用量の多い時間には多く、少ない時間には少ないと考えるべきであろう。一日当たりの省エネ効果が、目標の効果に等しくなるように時間ごとに効率を設定した。図12はピーク日の需要曲線に対して改善効率を適応した。一日当たりの改善は32パーセントとなった。改善率の最大の時間は12時で、改善率は40パーセントで、改善量は1,798万kWhである。原発18基分に相当する。
この1,798万kWhが出力抑制に直接影響する。
(図12)
(4) 10年後の太陽光の稼働想定(出力抑制頻発)
10年後に太陽光が40GW稼働し、原発が毎時1,200万kW稼働し、電力需要が35パーセント減少した環境下の5月ゴールデンウィークの稼働は図13の通りである。
ピーク日と閑散ひの需要曲線は35パーセント減少したものを使用している。
東京電力の詳細は
⇒⇒ 東京電力供給域の太陽光発電には出力抑制はあり得ない・・・って本当?
に記述してます。
図13では需要減少のため、閑散日だけでなくピーク日の需要も超過してしまっている。超過分を揚水動力で消化しきれないため他電力会社にお願いしたくても、最大2,500万kWの大量を消化できる地方電力は存在しない。結局のところ、出力抑制となる。
夏ピーク日も冬ピーク日も超過するので、1年間の内、雨の日以外は全て出力抑制となる。超過量も閑散日に30GW、ピーク日に20GWであることから見ても、1発電所は2日に1回の抑制となると推測できる。
(図13)
(5)出力抑制完全解決(需要超過分の太陽光発電分の有効活用)
雨の日以外の毎日、出力抑制が発令される環境を完全に解決する方法は、世界中探しても弊社のHBBS/PVSSしか存在しない。
すべてのソーラーパネルはハイブリッド・バッテリー・システム(HBBS)と合わせて導入し、東京電力の中央給電指令室に導入した太陽光発電保障システム(PVSS)が、それらを制御しながら、昼間の需要を超過して発電した電気を夜間に有効活用し、天気に左右されない安定給電保障を実現する。
これにより出力抑制は完全に解消し、太陽光発電が安定化したベース電源として利用出来るようになる。
太陽光発電の安定化機能により、地方で発電した電気を天気に左右されずに約束(保障) 通りの量を都会に供給(地産都消)し、 都会の再エネ化率を、さらに高くすることが出来る。
それにより、地方は地産地消に加えて地産都消が実現できる。
最終的にはこれらの機能の拡大でエネルギー業界のダウンサイジングが始まり、業界の新産業革命に変化していく。
(図14)
(図14)の説明
太陽光発電分は一旦蓄電池に蓄電し、発電終了後の午前0時から、24時間かけて均等に放電される。(青帯)
時間当たり放電量は前日の発電量に左右されるが、安定給電保障期のが働いて事前に決めた量で調整されて日々の差が無くなる。
放電量が一日でも最低需要時間帯である早朝に、需要量を超過することがあるが、超過分はに、調整力であるグリッドストレージに保存される。
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