出力抑制激増、再エネ大崩壊

その原理を現状の出力抑制から学び、  

抑制実績を踏まえて、対策を提言❣❣

前編 ; 2023年の出力抑制激増の実績

中編   ;   このままでは2030年頃に太陽光崩壊

後編   ;   抑制完全解消、世界に展開


(注)①経産省は「出力抑制」を「出力制御」と表現が、我々は「出力抑制」と表現する。

    ②「太陽光発電」、「風力発電」を単に「太陽光」、「風力」と呼ぶことにしてます。

前編目次


Ⅰ.1 23年度の全国出力抑制発生状況

Ⅰ.2 何故、出力抑制激増か?

Ⅰ.3 連携線の誤解で抑制激増、再エネ崩壊の原因

Ⅰ.4 昨年(23年)の最多出力抑制発生日詳細分析

Ⅰ.5 発電業者にとって出力抑制は想像以上の影響

Ⅰ.1 23年度の全国出力抑制発生状況

(1)月別、地域別発生回数

2023年度全国の出力抑制で最多回数は九州の136回、前年の約2倍近い発生であった。九州に次いで多いのは中国で63回発生している。前年の4倍近い発生である。四国も43回と前年の3倍近い発生となった。

前日に予告として発表されたが翌日取り消しされた、いわゆる空振りだった回数が、九州の場合90回もあった、空振りも含めると九州は合計226回発電停止命令が出ていた。

日本全国の合計発生回数は312回、前年の2.5倍の発生である。経産省の懸命な抑制解消策実施にも拘わらずである。今後、再エネ導入量も増えるし、原発再稼働も増え、且つ電力総需要はバブル以降30年近くコンスタントに減少しているので、このままで行くと、出力抑制激増で、30年頃には発電業者の売電収入が激減し、発電の継続が困難になるだろう。

 主力電源化どころか、再エネが我が国から消滅していくだろう。

(2)日本全体の再エネ化率

      日本全体の再エネ化率は22.7パーセントしか達成できず。   前年22年の再エネ化率は21.7パーセントだったから、23年は僅か1パーセントしか向上していない。

この分では30年の達成目標目標の36~38パーセント達成は無理であろう。

(3)電力会社別の再エネ化率と抑制率の実績

地域別年間抑制率、最大は九州の太陽光が8.6%、 風力が3.3%。日本全体の再エネ化率は、中央3社、特に日本全体需要の3割を占める東京に足を引張られ僅か22.7%しか達成出来ていない。

再エネ化率トップは東北と北海道で、両社とも41パーセントを達成、東北は自社需要の43パーセントを東京に送電のお陰である。

23年度の世界の国々の再エネ化率と比較する。

先進7か国で日本は最下位、トップはカナダ68(略、パーセント)、ドイツ55、英国49、イタリア44、フランス28、米国23。

G7以外の主要国では、ニュージランド87、スペイン52、EU44、豪州38、 中國32、インド22、韓国9。日本22.7。(出典)「自然エネルギー財団」

再エネ化率の高い四国も関西に自社需要の43パーセントを送電しており、北陸は再エネ開始前から水力の発電が多く、23年も水力で27パーセント近くを達成しており、純粋な再エネは8パーセントにしか過ぎない。北海道の再エネ化率は41パーセントと高いが内訳は水力が16パーセントと比較的に高いが、目立っているのはバイオで、7パーセント近くを稼いでいる。太陽光と風力合わせて18パーセント程度、特に多いとは言えない。

(4)最多抑制九州、発電業者の収入激減か?

九州では7月以外は毎月抑制が発生していた。

再エネ化率は僅か28.7%、しかし原発は37.4%、太陽光の抑制率は8.6%、原発再優先の構図が丸見えである。

太陽光の月別発生率は4月の26.2%が最大、風力は5月の13.8%が最大であった。年間を通すと太陽光が8.6%、風力が3.3%であった。ぎりぎりで、ほんの少し利益が残ったか?

発電業者の不安『パネルのローンが払えない』

発電業者は投資目的で太陽光発電事業を始めている。

投資が目的だから、出力抑制で発電止められても、利益を確保できるかどうかが最大の関心事である。 

 通常、太陽光発電事業はパネルの購入にローンを組んで支払っている。ローンは15年で組まれているそうだ。15年間は利益が10パーセント程度だが、FIT制度では20年間は売電して貰えるので、16年から20年までは収入=利益となることを楽しみにしているそうだ。

下図は、発電事業を開始した年から15年間の収入と利益の関係を図式化したものである。ピンク色はローンの支払で、イエローは利益を表している。ピンク色の下のイエローは、ローン支払いした後の利益10パーセントを意味している。

発電事業開始年を2015年とすると、2023年は8年目に該当する。7年間は何とか利益確保出来たが、23年から出力抑制も激しくなり、年間通すと8.6%で利益は激減した。10%を超す月が4回も有り、中でも4、5月は26.2%、23.7&と大赤字だった。

15年目は2030年になるが、その頃は抑制も激増する。ローン完済後の5年間にどれだけ利益を捻出出来るか?非常に心配である。   もう一つの不安がある。パワコンの寿命は10年とか15年と言われている。15年とすると、30年頃にパワコン購入の資金を準備しなければならないが、その資金は利益の中から捻出する。出力抑制が増えると、捻出どころの話でなくなる。

(5)各地の再エネ導入済容量

2023年4月時点の我が国の再エネ導入量は、全種別合わせて116.4GWだった。

全容量の内、60パーセントが太陽光発電で、70.5GW。2番目に多かったのは水力で、20.3GWもあった。風力はバイオより少なく、5.3GWしか無かった。風力、特に洋上風力の導入には10年掛かるとのことなので、2030年過ぎに一挙に増える事になる。 

地域別でみると最多導入地域は東京で、27.7GWあった。

1年間で増加した再エネ容量(上表)は529万kW、そのうち太陽光が331万kWと63パーセントを占めており、当分の間は太陽光中心の再エネ導入になるので、太陽光の特性にマッチした抑制対策が必要になる。

太陽光に次いで多い再エネは、風力ではなく、意外とバイオだった。バイオが多かったのは、中部で116万kWと想定外の導入が影響している。

風力の導入が少ないのは、導入作業に10年も掛かる洋上風力のためで、現在各地で受け付けている風力の容量が120GWもあり、30年過ぎの抑制は風力が原因となるだろう。

水力と地熱がマイナスになっている地域が有るが、これは一旦稼働したが、採算が取れないなどの理由で発電停止したものと思われる。特に水力は全国で新規より停止の方が多かった。

導入量の多い地域は東京で、昨年1年間だけで114万kW導入され、その内、太陽光だけで104万kW、日本全体の31パーセントになる。この調子で増加すると、唯一抑制の無かった東京も供給過剰に陥るのは間違いない。

(6)地域別季節別の正午の最大需要量(万kWh)

出力抑制は供給量が需要量を超過するからであるので、地域毎に季節別の最大需要量を把握しておく必要がある。

最大需要は東京の夏で、日本全体の3分の一を占め、北海道の12倍になる。北海道と東北の最大需要は冬期で、他の地域は夏がピークとなる。

北海道の夏の需要は東京の12分の一、しかし再エネ導入済み容量は5分の一、つまり需要の割で見ると、北海道の方が東京より約2倍以上も多い事になる。

Ⅰ.2   何故、出力抑制が激増したか?

 ★  効き目無し、経産省の抑制解消対策  ★★★

(1)役立たずだった系統用蓄電池

需要ラインを超過した分を一旦蓄電池に保存してから、夜間にその電気を使用することを狙って九州と東北に、2016年に大型蓄電池を変電所に設置した。容量は東北が4万kWh、九州が30万kWh。敷地面積が東北は8,500平方メートルでサッカーフィールドとほぼ同じ、九州は東北の2倍近い広さである。

実際に発生した九州の供給過剰量

折角作られた蓄電池の118倍の過剰量が有った。実際の運転で使用されなかった(と思われる)理由は、用意された蓄電池容量があまりにも少なすぎたからである。実際、九州の4月8日の抑制量(下図)は3,553万kWhで、用意された蓄電池容量のこれだけの容量を準備するとしたら敷地面積はサッカー場240個分の広さが必要になる。全く、非現実的な話である

(2)効果が無かった連携線容量拡大

6月4日に6電力で出力抑制が発生した時、連携線は能力一杯に使われていただろうか? 連携線に乗せられた量が連携線容量の何パーセントを使われたか、下の表にまとめた。最大利用率が79.4%、最低は3.8%。連携線の容量を増やせば抑制が解消出来るというは甚だしい誤解である。

中國は太陽光が724MWh抑制されているが、連携線にまだ余裕が在るにも拘らず、送られなかった。

 経産省の系統ワーキンググループは抑制解消として、連携線増強計画にやたらと力を入れているが、その計画は全く意味の無い事を、23年の結果から学んでほしいものである。

また、某エネルギー財団も馬鹿の一つ覚えで、系統を増やせば脱炭素が可能になると、財団主催のセミナーなどでまことしやかに主張しているが、しっかり勉強して欲しいものだ。

(3) 火力の最低出力下げは効果無、停電発生するだけ!

経産省の『火力最低出力50%を20%に下げる』目標は不可能

火力の最低出力と言うのは、一日の最大出力に対して火力の出力を何パーセントまで下げられるかと言う意味で使われている。通常電力需要が最大になるのは、夏の昼のピークを除くと夕方の18時とか19時がピークになる。 

 火力発電の調整能力とは、需要の変化に合わせて自動で出力を調整できる機能で、「上げ代下げ代」という。通常「上げ代下げ代」は50%が限度と言われている。

下の4/8の九州は夕方の最大が4369MWで、南中時はの火力は2466MWhだった。56.4%下げている。20%まで下げると夕方のピークに供給出来なくなり、大停電となって仕舞う。

(4)『原発再稼働』に対する対策無し

23年度には3地域で10基、1,000万kWの原発が稼働していた。それに対する対策は皆無だった。

九州と関西の原発は需要量に対して約4割を占めているので、その分だけ再エネの稼働余地が少なくなっていた。

①原発再稼働が原因で供給過剰に陥った(九州の例)

九州電力で4月26日12:00の実績値は需要9,094MWh(以下単位略)、原発出力3,877で、太陽光抑制 4,981  風力抑制 216となった。4月27日の需要8,815に対して原発出力4,089 で、太陽光抑制 4,115  風力抑制 56となった。

②原発稼働が無ければ抑制も無かった(九州の例)

(1)の実績に対して、原発出力をゼロにし、欠けた分を火力で補う。但し、火力の最低出力はその日の夕方のピーク時の需要の半分程度とする。その時の供給過剰分は揚水と連携線の実績値以下とする。計算結果のグラフは下図の通りである。原発の稼働が無かったら、抑制も無かったことが証明された。

③原発再稼働の前にやるべきこと

❤❤ 縦に伸びる太陽光と横に広がる原発の共存を可能べきだ ❤❤

太陽光は導入量が増えると南中時を中心として上へ上へと伸びる。決して横には広がらない。一方原発は一旦稼働し始めたら故障か保守点検に入るまで、一定の出力で24時間均等に発電する。従って原発の出力分だけ再エネの最大値を押し上げるので太陽光は供給過剰になり易い。

現に九州と関西でそのことは証明された。

だからと言って原発を止めるべきだとは言わない。

 少なくとも、共存しやすくすべきだ。

そのためには電力会社のコスト負担で「タケノコ狩り」(後述) を、原発再稼働前に実施すべきである。

❤❤  調整力の無い原発の限界を考慮に入れた対策が無い  ❤❤  

需要変動に対する調整力を持てない源発だけで、需要を100パーセント満たすのは不可能である。精々30~40パーセントが限度である。残りは再エネで供給せざるを得ない。原発推進派は良く心に留めて置くべきだ。

原発大国のフランスの最近の原発稼働率は、40パーセント程度である。フランスは陸続きの隣接国が6か国あるので、供給過剰になると隣接国に大量に流すことによって調整している。隣接国に流す時間当たりの量が最大で、日本の夏ピーク時の全国合計値より多い。

日本は原発再稼働に対しては、再エネを痛めつける事で調整力を確保している。恥ずべきことである。

(5)供給過剰最大原因、「上に上に伸びる太陽光」、対策無し

供給過剰発生『主たる原因』に対する対策全く無し

太陽光の特性に、「導入容量が増えると、発電量は南中時を目指して、上へ上へと伸びて行く。決して横には広がらない」と言う特性がある。これは風力にはない特性である。まるでタケノコの様である。(「タケノコシンドローム」と命名)

伸びきった「タケノコ」は、「天井」(平均日需要)を突き抜け、更に伸びると、屋根(ピーク日需要) も突き抜ける。       突き抜けた「タケノコ」は切らざるを得ない。出力抑制発生の原因の全てが、このタケノコシンドロームである。出力抑制解消には、このタケノコ狩りが必須となる。

しかし、我が国の対策にはタケノコ狩りの計画が全く存在しない。23年度に稼働した太陽光は70GW程度であったが、現在、電力各社が受け付けている太陽光が53GWもおり、それが稼働する30年に向けて伸びるのはタケノコだけで、増々抑制率が高まるのは間違いない。

九州電力では既に原発が稼働している。全発電量の40パーセントを原発が占めており、その分、再エネの稼働余裕が少なくなり、4月1ヶ月間で20回の抑制となった。 

もし、九州が事前に「タケノコ対策」を取っていれば、上に伸びるタケノコの高さが3~4分の一になり、抑制は発生しなかった筈だ。タケノコ対策を不採用の23年の再エネ化率は28.7パーセントにしかならなかったが、対策を取っていれば、大幅に向上できる。この対策で、発電業者は売電収入の安定化が得られ、系統制御を行う電力会社は火力発電の燃料費を大幅に激減できる。 

詳しい事は後編の『再エネ・システムの構築で世界に展開』で述べます。

タケノコ対策後の再エネ化率 ⇒  39.3% + 37.4%(原発)

太陽光と風力の抑制率   ⇒  0.0%

(6)30年過ぎに洋上風力稼働、対策無し

      昼中心の抑制が夜間にも発生 

悪天候の昼間でも抑制発生

現在導入作業中の洋上風力は、30年過ぎ頃に順次稼働し始めるそうだ。電力各社が受け付けている風力発電の容量は下図の通りです。受け付けているが検討待ちの物と、検討後、導入が承認されたものと2種類ある。電力10社合わせると検討待ちが95.5GW、承認済が31.2GWと合わせて126.7GWと、現在稼働中風力の22倍の容量が稼働することになる。

30年過ぎに現在受付中と承認済の全てが稼働したとすると、太陽光が126GW、風力が132GW、その他が52GW稼働することになる。構成比率でみると太陽光が40.5%、風力が42.5%と僅かだが風力が多くなる。

しかし、一日の発電量で比較すると、風力は一日24時間発電するが、太陽光は昼間だけの12時間程度すると、風力発電量の方が圧倒的に多くなると推定できる。                                              30年過ぎの昼間は太陽光でほぼ毎日供給過剰、夜間は元々需要の少ない上に原子力と火力の最低出力で埋まっており、風力が入り込む余地はほとんどない。

そんな風力の稼働に対して対策が全く考えられていない。残念ながら。洋上風力は発電と同時に倒産と言う事になる。

大量の洋上風力稼働の結果、8日間連続の供給過剰になり、風力発電の殆どが出力抑制の対象になる。

(7)主力電源化や 脱炭素は可能か?

需要変動、気象変動に対する調整力は原発には不可能 

 需要変動、気象変動に対する調整力は原発には不可能

脱炭素で上から下に流れる電気の流れが変わる。誰が如何に制御するのか?

完全再エネ化には、変動する需要と、変動する再エネの出力を、年間通して供給出来なければならない。

そのためには大容量の貯蔵機能と調整能力が必須である。

Ⅰ.3 連携線の誤解で抑制激増、再エネ崩壊原因

電力系統、連携線の誤解が出力抑制多発の最大原因

代表的な誤解

★海底ケーブル等使用で新たな連結種類増加で抑制解消は可能

★送電線の容量増やせば、出力抑制解消可能

★経産省と電力会社が連携線拡大するので出力抑制は発生しない

(1)日本は地政学的にも出力抑制多発地

①陸続きの隣国が存在しない

ドイツは、デンマーク、スエーデン、ポーランド、チェコ、オーストリア、スイス、フランス、ルクセンブルク、オランダの9か国と陸続の隣国が有り、系統連携している。

フランスは、周辺国6か国、イギリス、ベルギー、ドイツ、スイス、イタリア、スペインと系統連携している。独仏は、お隣さんが6ヶ国ないし9ヶ国もあるので、供給過剰になってもどこかの国に過剰分を消費して貰えるため、抑制が発生する事が無い。  それに比べて我が国は陸続きの隣国が無いので、供給過剰になったら、国内だけで処理しなければならない。

下図はドイツが隣接国と電力の輸入と輸出を、23年の上半期に行った実績をグラフ化した図である。

日単位の輸出量と輸入量を表している。輸出の最大値は0.3TWh、輸入は0.3TWhであった。このドイツの輸出入量と日本の季節別最大需要量と比較してみよう。このドイツの輸出入量と日本の季節別最大需要量と比較してみよう。ドイツの輸出入最大値0.3TWhの半分、である。つまりドイツは隣国と一日当たりのやり取りが、日本の全需要量の倍の量である。

九州が23年1年間に連携線に送り込んだ量は、1日平均0.01~0.04TWh程度であったことと比べると、ドイツの伝送量は九州の20~30倍に該当する。日本もドイツ並みにどこかに伝送できれば抑制は発生しないだろう。

(出典)自然エネルギー財団「ドイツに見る原子力発電フェーズアウト効果」

九州の4月と5月の連携線利用量   4月    370,742MWh(370GWh)

  5月    373,412(MWh)(373GWh)

②日本列島は、一斉に太陽光発電が南中時になる

日本列島は東経130度から145度(除く沖縄)に位置しているため、太陽が北海道の東の端の根室の上空に来てから1時間後に、西の端の九州平戸の上空に来る。つまり、日本列島は太陽光軌道の1時間の範囲にある。実際に、下図右は2020年5月3日の電力各社の電力需給実績から作成したグラフである。このグラフを見ると、沖縄以外はほぼ同時刻に最大発電量になっている。     (東京と四国は単位が万kWであるが他は全てMWである)     欧米の東端と西端は、時差が3~4時間あるので、全国一斉に最大発電になる事は無い。

          ③30年頃までに稼働の再エネは6割が太陽光のため、 

全国同時刻に供給過剰になり、連携線は役立たず

30年頃稼働する容量を予測し、その容量で晴天日の発電量を地域特性を考慮して、季節別に予測した結果と、正午の需要量との倍率を纏めた結果が下表である。

数が1.0を超えると供給過剰である。これを見ると夏ピーク日以外は1.0を越えているので全国一斉に供給過剰になる。夏は中央3社は1.0以下であるが、他の地域が1.0を超えているので、全国を通すと1.1となり、供給過剰である。

(2)連携線使用、前日に、「電力広域機関」で公開入札

連携線利用希望は前日の12時までに、「電力広域機関」に提出する。12時から2時間かけて入札され、電力会社間の送る側と受取る側と量が決められる。

(3)前日の作業手順

(4)当日の作業手順

(5)連携線経由で、電力9社間で同時同量が成立        

同時同量は、不足のところを過剰のところが補給する

電力各社の2023/6/4の電力需給実績に掲載されている連携線の数値を、24時間分並べてグラフ化したのが下図のグラフである。数値はプラスとマイナスが有る。プラスは、その電力会社が供給力不足で他社から補ったことを意味し、マイナスは供給過剰で他所に送り出したことを意味している。24時間の全部がプラスだったのは東京と関西と中部で、マイナスは、東北、北陸、四国、九州であった。プラスとマイナスの両方となったのは北海道、中国であった。24時間のいずれの時間のプラス側の合計値とマイナス側の合計値は等しい。すなわち、同時同量が成り立っているのである。23年度1年間の電力10社の年間合計で見ると、連携線でプラスの電力は関西、中部、東京の3社で、その内東京が60パーセント、中部が23パーセント、関西が10パーセントだった。この結果から、東京が年間通して供給過剰になると日本全体は受け取り手がいなくなるので、連携線が機能しなくなることが分かる。

(6)瞬時瞬時、電力9社間で同時同量

下図は2023年6月4日12時に連携線を流れた電力量を表示したものである。図中では電力会社毎に箱で表示し、電力会社名の真下にある数字が電力各社の電力需給実績表に掲載されていた同時刻の連携線欄の数値である。数値が黒字であれば、不足していたため外部から取り込んだことを意味し、赤字であれば供給過剰のため外に放出したことを意味する。 

例えば関西電力は1,986MWh不足であったので、外部から取込んだ。取込先は中国から2,585(以下 単位は省略)、北陸から264取り込んで不足分を補充したので、余った863は中部へ送った。中部では 中部の不足分185を関西からの863で補充した後の残り678を東京へ、東京の不足分3,550は東北と中部 からの合わせた3,414で補った。ここで+136だけ多いがこれは周波数変換ロス等と考えられる。電力9社間で同時同量が成立していることが証明された。                                                                        昨年東京電力の発表によると、供給力不足から、近い将来、部分的だが出力抑制が発生すると発表している。結果、全国の出力抑制は急増すると予想できる。         

上の図は1時間に限定した連携線の使用量を表しているが、年間の連携先使用量は下の表で表している。年間を通してみると、やはり東京電力が一番供給力不足となっており、全不足量の6割は東京電力である。2番目は中部で全使用の25パーセントを占めている。中央3社の内、関西は原発稼働中のため不足量少ない。この不足分は高浜原発が近々中に稼働し始めるので、不足は完全解消するであろう。東京も原発再稼働等で不足解消する。

上の表を連携線表記すると、下図のようになる。1年通しても同時同量が成り立っている。

太陽光は、北から南まで、正午近辺で、一斉に供給過剰になる。しかも、1年の殆どの日に、供給過剰である。

一斉に供給過剰になると、連携線の効果が無くなる。

Ⅰ.4 昨年(23年)の最多出力抑制発生日詳細分析

昨年(23年)6月4日(日)に、日本列島の電力7社で、出力抑制が発生した。経産省は予てから連携線を働かせば、出力抑制は解消出来ると主張していた。

しかし、一斉に7社も、連携線が機能していなかったのだ。

(1)太陽光は6月が最大発電、最低は12月

年間を通して1日当りの発電量が多いのは6月の夏至の頃、少ないのは12月の冬至の頃。また6月は南中時の発電量も最大となるので、供給過剰になり易い月でもある。

下のグラフは、各電力の発電実績から一日の万kW当たりの月別の発電量をグラフ化した物である。風力の夏は極めて発電量が少ない、多い月は冬から春先にかけてで、また昼より夜の方がやや多い、晴れの日より雨の日の方が多くなる。

(2) 休日は平日より供給過剰になり易い

週末は平日より電気の使用量が少ない。昼の最大少量が2~3割少ない。従って、出力抑制も休日は発生し易くなる。

 関西電力の平日と休日の実績を見ると、6月4日(日)の正午の需要は13.5GWhであったが、平日の16.3GWhより2.8GWhも少なかった。

(3)最多出力抑制日(6/4)の発電状況

電力会社毎にその日の発電状況をグラフ化した。

そのグラフを見れば、需要と抑制発生の状況や、電源別の発電状況や、揚水動力や連携線の使用状況が目で確認できる。

火力の発電量が各社とも、太陽光の発電終了直後の夕方のピーク時に、一斉に増えているのも分かる。この事が原因で、火力の最低出力を夕方ピークの半分以下に出来ない理由である(ピークへの供給は上げ代機能で対応)。

抑制発生(白地)と連携線(黒線)の関係も見届けて欲しい。

(4)出力抑制は何故発生した?

全電力が、実は、供給過剰。その内、7電力は抑制処理を行い、残り2社は抑制処理には至らなかった。

沖縄の離島のシステムが将来の本土の姿

Ⅰ.5 発電業者の売電収入はどれだけ減るか?

(1)停止すべき発電所の数の決定ルール

供給過剰は需要曲線(赤点線)を超えた部分(黄矢)過剰部分で発電停止してもらう部分です。発電停止すべき量は、全体(赤矢)に対する超えた分(黄矢)の最大の率になる。導入されている全太陽光が100MWだとすると、停止すべき量は100MWに、その最大の率を乗じた量になる。停止は日の出から日没までとなる。

(1)の作業は前日に行われる。需要予測から始めて、天気予測や発電予測を行い、最後に供給過剰の予測となる。予測は前日で、実施は翌日。そこには予測外れや天気の急変も生じる。それを避けるために安全率を導入する。つまり、停止する量を多めに採る。九州電力では48%増しを実施している。100件止めるところを148件止めている。(48パーセント増し)

(3)太陽光発電に対して供給過剰率が67.5%を超える日は、"全"太陽光発電所は停止になる。

過剰率が67.5パーセントの時、安全率を48%とすると、0.675×1.48 = 1.00となり、全てを停止することになる。実際に、30年頃の東北の稼働状況をシミュレーションしていたら、4月と5月の2カ月連続で67.5%を超過したため、4月と5月の2カ月は太陽光と風力発電がゼロになって仕舞った。

(4)出力抑制が発生し始めた後、新たに導入された太陽光発電は、抑制されるだけである。

昨年(23年)の九州の4月、5月の抑制回数は20回と、24回だった。それが30年頃には、太陽光が1.7倍の1,769万W、風力が7.1倍の420万kWになると、抑制回数は28回と29回になる。       月当りの抑制回数は差程の伸びではないが、抑制量は強烈な伸びで、1,140MWhが15倍の15,733MWhと激増する。逆に有効分は4,121MWh激減する。                                                                再エネ化率は全く伸びず、28.8%から29.1%にしかならない。太陽光の再エネ化率だけを見ると、容量拡大したにも拘らず15.9%だったものが11.0%と下がっている。

東北も30年頃には大量に太陽光と風力が導入されるが、抑制ばかり増えて、実質的な再エネ化率は、逆に減少するという、想像を絶するような結果になって仕舞う。東北の太陽光は現在811万kW稼働しているが、30年頃には2203万kWと増加する。しかし、抑制される量が膨大で23,162万kWhもあり、有効分は僅か6,585万kWhしかない。                                                            太陽光だけの再エネ化率は13.6%から8.3%へとダウンする。苦労して導入したのに、再エネ化の妨害していることになる。導入を直ちに停止することが、再エネ化への貢献かも知れない。

(5)原発稼働で底上げされた分、供給過剰になり易くなるので、出力抑制が多くなる。

原発で底上げされた分だけ抑制対象分が増えるのは当然の事  ❣ ❣ 

(6)オンライン制御は有効か?

オンライン制御の第一の目的は発電を止めたり、再会する作業をいちいち人間の手でやらず、電力会社の制御に任せようとすることで、抑制自体が少なくなることは無い。ただし、一つの発電所から見るとほんの少し発電が許されるメリットはある。しかし、そのメリットは抑制率が多くなればなるほど、少なくなることを心得ておく必要がある。

           (7)出力抑制は天気のいい日に限って発生するので、年間の売電収入は、計算以上に悪くなる。

出力抑制が発生するのは天気のいい日に発生することが多い。(稼働する量が増えると悪天気の時にも発生する)  

陽光発電所の一日分の発電量を多い順に並べると下図のような緩やかなS字曲線が描ける。多い方からの100個と、少ない方からの100個の面積は圧倒的な差がある。

多い方からの120個は1年分の面積の49%になるが、少ない方からだと16%程度である。出力抑制による売電収入の減り具合は、単純計算より多くなることに注意する必要がある。

このまま「中編このままでは2030年頃に太陽光崩壊」へお進み下さい

スマートセンター - 出力抑制激増、再エネ大崩壊(中編) (smart-center.jp) 

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