いよいよ始まった再エネ崩壊
東京除く9地域で出力抑制が始まった!!
しかし、崩壊の認識無し、 対策無し、 報道無し
2030年頃の年間出力抑制回数は
最多の東北で年340回、殆どの地域で年200回以上
太陽光と風力発電業者の売電収入は70パーセント近くの激減となる
2030年以降本格稼働予定の洋上風力発電も
昼間は太陽光に付き合わされて出力抑制になり
夜間は元々需要の少ない中で火力と原発が独占している為
殆どが出力抑制となり、売電収入は殆ど無し
洋上風力は稼働開始と同時にやむなく倒産
その後の再エネの新規導入は出力抑制の山を築くだけ
再エネ化率40パーセント近辺で『再エネで脱炭素化』は討死となる
頼みの綱の原発だけでは脱炭素化は40パーセント以上不可能
恐ろしい事に、この将来の悲劇的姿を
経産省も、発電業者も、学者達も、メディアも
この恐ろしい将来の悲劇を、全く気付いていない
技術大国"日本"の名声は、脱炭素化と共に消えて行く
サヨナラ~~~技術大国日本
Ⅰ.「崩壊が始まった」ことすら、報道されていない!!
(1)22年は3地域の抑制が、23年に入るや9地域に拡大
①日本全国の抑制実績
昨年(2022年度)、出力抑制が頻繁に実施されていた地域は九州、中国、四国の3地域であったが、 今年の春分の頃から、東京を除く全地域で抑制が実施され始めた。(図Ⅰ.1) 1年間で増加した再エネ容量が一番多い地域は東京で、太陽光発電(発電は省略)1,870万kW、 その他再エネが900万kW、合計2,790万Wとなっている。東京は今のところ抑制は無いが、増加量の勢い からすると、来年度当りから抑制が発生すると予想される。 (図Ⅰ.1)
①九州の抑制詳細
何故、日本全体に抑制が増えたかを分析する前に、九州の4月、5月の抑制回数を前年の2カ月と比較 (図Ⅰ.2)してみる。前年の抑制回数は17と7回の合計24回、今年は43回と2倍である。1回の抑制で 実際停止させられた発電所は7~25%であったが、今年は49~60%で、実際個別発電所の停止回数を 見ると前年6回から今年25.8回と4倍の停止となった。増加原因は原発出力が4倍になったからである。
(図Ⅰ.2)
(2) 何故増えたのか、九州の稼働状況(図Ⅰ.3)で説明する。
3月の3日間は連続して供給が需要(赤破線)を超え、これを解消させるため、連携線と揚水発電と火力の 下げ代が調整力として働いているが、昼の一部が出力抑制となっている。最大抑制日の3/28の12時の 抑制量は、3,859MWh(以下、単位省略)、内訳は太陽光で3,793、風力で66であった。原子力が ベースとして毎時3,200流れ、残り6,000で再エネに対応していることが、抑制頻発の最大原因である。 九州は関西に次いで2番目に原発の稼働が多い。原発の量は電力需要に対して34%占めている。 また原発はベースロードとして稼働するので、太陽光は底上げされてその分だけ需要ラインの超過の危険性 に近づく。原発が稼働していなかったら、3/27からの3日間は抑制が発生しなかったと容易に想像できる。 もう一つの要素に安全率がある。この安全率とは、実際の抑止量より多めに停止させることをいう。九州では 48%増しの安全率を採用している。例えば、1,000の抑制が必要となると、実際の抑制は1,480停止 させている。この安全率の48パーセント増しが無かったら、この3日間の抑制は無かったと計算できる。
第3の要素として揚水動力と連携線の効果がある。 九州の揚水動力の設備能力は最大で2,500MW、九州↔中国間連携線の最大容量は3,100MWある が、実施量は揚水が1,348MWh、連携線が2,418MWhしか無かった。連携線と揚水動力の能力が フルに発揮していれば、抑制は必要無かったが、実際には、遥かに少ない連携線の使用量だった。少な かった理由は、受け入れ側の関西が、12時の受け入れ可能量が2869MWhしかなく、その容量は既に 四国と中国に一部割り当てられている為、九州は2418MWhしか受け取れなかったことが原因である。 日本全域で再エネ導入量は増加している、特に太陽光の増加が大きく、全域でほぼ毎日の昼に供給過剰 に陥り、連携線に頼る率が激増する。しかし、受け手側の中央3社も供給過剰になるので、いくら連携線の 容量を増やしても、連携線の機能は果たせなくなる。さらに、原発の稼働が増えるので、供給過剰も増え、 連携線の無機能化が早まるのは当然である。
最後に、疑問点として火力発電の最低出力を何故もっと下げられないのかという点が残る。 (図Ⅰ.3)を見ると出力抑制が発生した時点では火力発電も稼働している。例えば、3/28の抑制量は 太陽光と風力合わせて3,859MWhであるが、この値は安全率の48パーセント増し後の量だから、実際は 2,607MWhであったはず。その時の火力の出力は2,875MWhであったので、火力の出力をゼロまで落と せれば、供給過剰を免れたはずである。何故、停止出来なかったのか? 停止してしまうと、夕方18時や19時のピーク需要に供給できなくなるからである。夕方のピーク需要量に 供給するために火力は6,000MWhの供給をしなければならない。15時に停止して、18時に供給すると なると発電機にスイッチONして安定供給まで3時間しかない。通常火力発電装置はスイッチONにしてから 供給開始には、停止の仕方も色々あるが、最短で4~6時間、長いもので20時間かかる。短時間で供給 開始するために発電は止めないで上げ代/下げ代機能で行うと、短時間で供給が可能である。通常、その 機能は50%程度、つまり、ピーク需要が6,000であればその半分の3,000まで下げて待機している。
九州と東北は同じ規模の電力であるのに、何故、九州の方が抑制が多いのか?
4月、5月の2カ月で発生した抑制回数は、九州が43回、東北は9回である。この差はどこから来るのか? 九州と東北は年間の電力需要は九州が84TWh、東北が81TWhでほぼ同じ、導入済み太陽光と風力と バイオの合計は九州が1,582万kW、東北が2,015万kWとやや東北が多い。しかし、抑制量は九州が 3569MWhと圧倒的に多い。九州は原発稼働で、再エネが入り込む余裕が無いため抑制が多くなった。 東北は原発停止中で、かつ、過剰分を東京が受け取っている為、抑制する必要が無かったのである。
(3)何故無言、『将来の出力抑制激増』に!!
2030年頃の再エネ容量の予想は「Ⅱの30年頃」で述べるが、今年の抑制発生実績を見ても30年頃は 極めて危険なくらい抑制が発生する。経産省や電力会社や関連団体に、弊社は警告してきた。 しかし、経産省初め、いずれの団体も何ら反応しない。経産省大臣には直接公開質問もぶつけたが、まともな 回答は無かった。その後、経産省は連携線容量拡大すれば抑制は解消出来ると、国民を騙し続けている。 経産省役員はエリート大学を首席で卒業した秀才揃いの筈だが、何故、国民を騙すのか? 実は秀才たちは、こうなる事はとっくの昔からわかっていた。が、彼らは、それをあえて無視した。無視すれば、 再エネは勝手に潰れて行く。潰れれば、「ヤッパし、原発しか無いよね❢」と言って、原発再稼働を声を大に して叫べる。もうすでに、原発再稼働を叫び始めている。
電力会社にも数回提言したが何の反応も無い。電力は「再エネは使い物ならない」と当初から言っていたが、 再エネが潰れても電力会社にとっては痛くも痒くもない。むしろ、使い物にならない再エネは早く潰れて欲しい と願っている。再エネ関連機器のメーカーや販売施工業者は、売りたい一心で将来の危機などには耳を貸し たく無いのだろう。自称エネルギーコンサルタント達は、無能故解決策が無いので黙り込んでいるだけだ。 そんな環境の中で将来の危機を声高に叫ぶのは弊社だけで、それだけ責任が重いと自覚している。
Ⅱ.「数年後、ピーク日も、再エネ過剰」に目を覚ませ!
♦ ♦♦ 「30年頃の再エネは、各地域で需要超過が激増」に無頓着 ♦ ♦ ♦
(1) 現在の再エネ容量
①現在稼働中の再エネ容
1年前の22年3月の全地域容量、太陽光=6,538万kW、風力=480万kW、バイオ=1,797万W、 水力=2,030万kW、地熱=64万kW、合計10,909万kWであった。それが1年後には合計で 11,570万kWに増加している。年間で661万Wの増加、率にして6.1パーセント増であった。 23年2月時点で稼働している再エネの中で最も容量の多いのは、太陽光で全体の6割を占めている。 地域で一番導入量の多い地域は東京で2,765万kW、2位が東北の、2,015万kWである。 昨年の抑制回数の一番多かったのは九州であるが、九州の再エネ容量は東京の約半分の1,578万kWで あるが、太陽光の占める率は72.9パーセントと非常に多い。この多さが過剰の源となっている。
(図Ⅱ.1)
②現在受付中の再エネ容量
現在受付中のものは2種類がある。一つは検討申込でもう一つは承認済の2つである。検討申込しても 承認されなかったため、急に1000万kWも減少した前例が有り、検討申込の数値は信用出来ない。承認 済の数値が急変することは殆ど無い、信頼性の高い数値である。承認済みのものは3年以内に稼働させ なければならない。風力の検討申込が多いのは洋上風力で稼働までに10年掛かるそうだ。
(図Ⅱ.2)
(2)2030年頃の再エネ容量推定
①再エネ容量と調整力とベースロード
現在申込の太陽光は5,500万で、現稼働中の6割に過ぎないが、30年までの7年間の間に新たな申請 がある事と、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進で、特に太陽光の導入が予想以上に進むと、 予想できる。風力の申込は現稼働中の20倍、11,000万もある。風力の80パーセントは洋上風力である ので稼働までに10年は掛かるそうだ。30年までに稼働する風力の大半は陸上と推測しておく。洋上の80 パーセントは北海道と東北に集中している。 現在各地で稼働している容量と受け付けている容量から、2030年頃の容量を想定する。 検討申込の信頼性は低いので、承認済容量を使用する。2030年までは8年間あり、その間3回の承認済 が繰り返されるだろうと見なして。2030年頃の容量は次の式で求めた。
2030年頃の容量 = 現容量 + 承認済容量×3
供給過剰を判定するためには、再エネの出力を底上げさせる火力の最低出力と原子力のベースロードが 大きく影響してくる。底上げとは反対に、揚水動力のように下げる機能もある。
(図Ⅱ.3)
②原発再稼働で供給過剰激増
また最近、原発の再稼動も急浮上し始めた。その計画によると、2030年に稼働する原発容量は、現在 稼働中容量の4.5倍、3,200万kW程度まで拡大される可能性が出て来た。これだけの原発が稼働すれ ば、震災前程度まで原発稼働率が高まり、再エネの稼働余地は少なくなる。
少なくなれば供給過剰になり やすくなるのは自明の理である。 原発と太陽光発電は相性が悪く共存は難しいことは九州と関西が証明している。
太陽光発電はその導入容量に比例して、南中時を目指して上へ上へと伸びていく。原発は一旦稼働すると一定の出力で24時間連続して発電する。いわゆるベースロードとなる。ベースの分だけ太陽光の南中時の発電量は多くなる。多くなった分だ需要ラインを超過する確率が高鳴る。供給過剰の危険性が高まる事になる。
原発の再稼動を声を大にして唱 えるなら、「原発と再エネの共存」が可能になるような対策を、事前に行うべきである。その対策とは、「上に伸 びるタケノコを横に寝かせる」こと、すなわち全ての太陽光に蓄電池を電力会社の費用で導入することを約束した後に、原発再稼働を実施すべきである。
(図Ⅱ.4)
★★★★ 原発の能力の限界 ★★★★
原発だけで脱炭素が実現できるのか‽言葉を変えると、原発だけで1年間の電力需要を満たす事が出来る のかと問いたい。答えは「NO」である。理由は原発には「調整力」が無いからである。「調整力」とは需要の 変化に合わせて、出力を調整する機能で、昼のピーク時には出力を2~3倍に増やし、夜間の閑散時には 出力をそれに合わせて大幅に落とす火力発電が持っている機能である。下のグラフは東京電力の1年間の需要を 24時間連続してグラフ化したものであるが、源発の安全な出力は年間最低需要、東京の場合は5月GW 期間の需要量より少なく、且つその間に火力の最低出力と地熱や水力等の止める事の出来ない発電も 考慮にして決めると、30~40%が限界である。フランスも九州も関西その程度の稼働である。
(図Ⅱ.5)
Ⅲ.このままでは、30年頃、ほぼ毎日、日本全国で供給過剰
(1) 地域別、季節別に正午の電力需要最大値実績調査
電力各社の発電実績から季節別に、正午の最大需要量を調査した。
(図Ⅲ.1)
(2) 太陽光と風力の発電能力を会社別・季節別に設定する
太陽光は本来なら夏至の頃が最大で、冬至の頃が最小となるが、梅雨や降雪の影響を受ける。 風力は夏少なく冬と春に大となる (図Ⅲ.2)。各社の1年間の実績値に対し、月日数と導入済み容量 で調整し、地域別季節別発電量を計算した結果が (図Ⅲ.2)である。これを見ると需要は夏より冬が多く 太陽光は春が多く12月は少ない、風力は夏最低、冬から春が多い。紙面の都合で4地域のみ掲載した。
(図Ⅲ.2)
(3) 季節別最大出力計算
季節別発電量に火力と原子力等のベース(図Ⅱ.3)を加えて最大出力を算出する。
(図Ⅲ.3)
(4) 季節別供給過剰量算出
供給過剰になっているかを判定するために、最大出力(図Ⅲ.3と最大需要 (図Ⅲ.1)の差を求めた。 差がプラスは過剰、マイナスなら不足である。結果は夏と冬のピーク日に、一部でマイナスだが、全体合計で プラスとなるので、日本全体は供給過剰と判定できる。 過剰分はその時の需要に対して何倍程度であるかを算出する。倍率が高いと、少々の悪天候でも太陽光 で過剰になる事を意味している。関西と沖縄以外は、少々天気が悪くても供給過剰になると読み取れる。 日本全国、ほぼ1年中供給過剰であることが証明された。 (図Ⅲ.5) (東京の23年3月の需給実績に(図Ⅱ.3)で求めた容量を適応し、30日間の発電量を算出した)
(図Ⅲ.4)
(5) 供給過剰は需要の何倍か?
過剰分はその時の需要に対して何倍程度であるかを算出する。倍率が高いと、少々の悪天候でも太陽光 で過剰になる事を意味している。関西と沖縄以外は、少々天気が悪くても供給過剰になると読み取れる。 日本全国、ほぼ1年中供給過剰であることが証明された。
(図Ⅲ.5)
東京も数年後の春は、タケノコだらけで、日本の再エネを全崩壊へ落とし込む。 (図Ⅲ.6)
(東京の23年3月の需給実績に(図Ⅱ.3)で求めた容量を適応し、30日間の発電量を算出した)
(図Ⅲ.6)
Ⅳ.経産省最大誤解「連携線機能」、出力抑制激増の原因
★★★日本全国が、正午近辺に一斉に供給過剰になったら連携線は役立たず★★★
(1)北から南まで同じ時刻に供給過剰になる
日本列島は東経130度から145度(除く沖縄)に位置している (図Ⅳ.1、左)ため、太陽が北海道の東 の端の根室市の上空に来てから1時間後に西の端の九州平戸の上空に来る。つまり、日本列島は太陽光 軌道の1時間の範囲にある。実際に、 (図Ⅳ.1、右)は2020年5月3日の電力各社の電力需給実績から 作成したグラフである。このグラフを見ると、沖縄以外はほぼ同時刻に最大発電量になっている。(東京と四 国は単位が万kWであるが他は全てMWである)
欧米の東端と西端は、時差が3~4時間あるので、全国一斉に最大発電になる事は無い。
(図Ⅳ.1 )
(2)同時同量は、電力9社間で成り立っている
電気は瞬時瞬時、供給量と消費量が一致しなければならない。同時同量と言う。同時同量は一つの電力 会社内だけでなく、連携線で結ばれた9社間で成り立っている。沖縄は連携されてないので、ここでは省略。 (図Ⅳ.2)は2021年5月3日の午前ゼロ時から翌日のゼロ時までの24時間、各電力会社の電力需給 実績の連携線欄に記載された数字をグラフ化 (図Ⅳ.2) したものである。別の表現すると連携線に流れた 量を時間別に表示したグラフです。 縦軸の正側は受電、負側は送電を意味する。 正側と負側の合計値は同じ量になっている。 東京と関西は常時正側、九州、東北、四国、 北陸は負側、北海道、中部、中国は正と負を 行ったり来たりしている事が分かる。
(図Ⅳ.2)
(図Ⅳ.3)は2021年5月3日12時に連携線を流れた電力量を表示したものである。図中では電力会社毎に箱で表示し、電力会社名の真下にある数字が電力各社の電力需給実績表に掲載されていた同時刻の連携線欄の数値である。数値が黒字であれば、不足していたため外部から取り込んだことを意味し、赤字であれば供給過剰のため外に放出したことを意味する。 例えば関西電力は2,453MWh不足であったので、外部から取込んだ。取込先は中国から2,808(以下 単位は省略)、北陸から470取り込んで不足分を補充したので、余った825は中部へ送った。中部では 中部の過剰分691と関西からの825を合わせた1516を東京へ、東京の不足分4830は東北からと中部 からの合わせた4832で補った。ここで+2だけ多いがこれは周波数変換ロス等と考えられる。電力9社間で同時同量が成り立っていることが証明された。 甚だしい誤解は、「連携線の容量を増やせば、供給過剰が防げる」との幼稚な誤解である。全地域が 供給過剰になった時、連携線の容量を増やしても何ら意味が無いことを確り理解して貰いたい。
23年4月から関西も一日中の供給過剰になった。結果、受け取り可能は東京だけで、東京も近い内に供給過剰になる。
(図Ⅳ.3)
関西電力は需要規模からすると太陽光の導入済み量が極めて少ない、例えば同規模の中部の半分の 導入量であるので、当分の間は供給過剰になる事は無く、ひたすら他所の受け皿になると思われていた。 しかし、最近は原発の稼働量が多く毎時500万kW近い出力、この量は需要に対して40パーセントを占め るので原発のMAXである。これまでは連携線で受取る一方であった関西が、供給過剰になり、放出側に 変わった。昼も供給過剰の為、本来は放出であるが、他所への影響が大きいので可なり無理をして昼は受 け側を演じていた。しかし、6月3日に無理がたたって自社で初の抑制処理を実施した。今後、原発の出力を落とすとは考えにくいので、関西の供給過剰は将来にわたって続くものと予測できる。その影響は日本全体にとって大きい。 実は関西は昨年にも数回抑制の報告があったが、これは四国電力が電気を供給している淡路島の実績だった。この淡路島現象は23年4月1ヶ月で15回もあった。3月末から原発の出力が5000に上げられ、連携線が日中も放出側に変った。原発出力がこの状態であれば受け取れるのは東京だけに限定 される。近い内に東京も負側に変る。全地域が負になれば。連携線の意味が無くなり、連携線の容量拡大 は全く意味をなさなくなる。経産省は何かというと、すぐに容量拡大でお茶を濁している。
Ⅴ.大量供給過剰に耐えられない、 経産省のお粗末な対策
♦♦♦♦ 経産省の無策が再エネの崩壊の最大原因 ♦♦♦♦
お粗末1.経産省の「大容量蓄電システム」は、 屁のツッパリにもならぬ
需要を超えた昼の再エネ分を、電力会社の変電所に設置さ れた蓄電池にいったん保存し、夜間の需要に対して供給し、 翌日の供給過剰時までに消費して、蓄電池を空にしておくこと (図Ⅴ.1)で「需給バランスを改善する」と言う方針で東北と九 州に大規模蓄電池を設置した。(2016年2月) (図Ⅴ.2)
(図Ⅴ.1)
今年(23年)4月9日の抑制された量37,775万kWhを豊前変電所に蓄電するとしたら、変電所の容量 を1,300倍にしなければならない。その広さはサッカー場が5,400個作れる広さである。30年頃は抑制量も 3倍以上になるので、この蓄電池も3倍とすると、その面積はサッカー場の1万5千個くらいの広さとなり、全く ナンセンスな話である。経産省のエリートが考える対策とはこんな程度である。情けない話だ。
(図Ⅴ.2)
お粗末2.経産省のオンライン制御も火力の最低出力改善も、タケノコ対策に効き目無し
オンライン制御は手作業が無くなるだけ、火力最低出力はほぼ効果無し、30年頃に全国で同じ時間に 供給過剰になる事に気づかず、連携線の役割を誤解しており、タケノコ対策など眼中になし。
お粗末3.洋上風力は見殺し
お粗末4.原発の能力に限界有り、再稼働前にやるべきことが有る
お粗末5.需要の変化と再エネ供給力の不一致に対して無策のため脱炭素は不可
Ⅵ.対策無し、30年頃抑制激発で発電業者倒産開始
(1)30年頃の5月の稼働状況と年間再エネ化率
このままで2030年になると東北の年間再エネ化率は38.7パーセント、目標36~38パーセントに辛うじて 達成か?しかし問題は、経産省審議会で全く議論されなかった出力抑制が、太陽光は73.7パーセント、 風力が62.1パーセントも発生している。つまり、太陽光発電業者は売電収入の73.7パーセント、風力は 62.1パーセント減収するという事である。これだけ減収となれば「発電業者は即死する」しかない。
(図Ⅵ.1)
(図Ⅵ.2)
(2)5月の東北の天気実績
全発電量と需要の倍率の最高は、5月4日の4.1倍、2番目が8日の3.4倍だった。これらの日は、 東北の 全域が雲一つない晴天日であった。(図Ⅵ.3) 反対に最少の日は、5月19日が1.35倍、21日が1.36倍、27日が1.33倍の需要超過である。(図Ⅵ.3) と(図Ⅵ.4)はこの3日間の天気を、東北の13気象台が9時、12時、15時の観測値である。 全供給域で一日中雨だった5月21日でも、供給過剰になった。この状態は、火力を最低出力まで下げ、 且つ揚水発電を能力一杯まで働かせた後の値である。但し、連携線は利用していない。利用しなかった 理由は後述する。
(3)東北の1年間の月別抑制回数と全国の年間抑制回
(図Ⅵ.5) (図Ⅵ.6)
(4)発電業者の売電収入はいくら減少するか❓
出力抑制は天気が良くて発電慮の多い日に限って発生される。 (図Ⅵ.7)は太陽光の一日の発電量の 多い順に並べたグラフである。出力抑制は多いものから順に停止させるので売電収入の影響は大きい。 年180回停止すると収入の減少は50%減ではなく、下の表で最大68%減と読める。
(図Ⅵ.7
Ⅶ.30年以降は、再エネ地獄が始まる
(1)新たに太陽光を導入しても、抑制の山を築くだけ
30年頃には日本は何処に行っても、ほぼ毎日抑制だらけ。そんな時新たに太陽光を導入しても、導入 した分は抑制に回されるだけで、再エネ化率の向上に貢献できない。 タケノコシンドロームは抑制部分にも適応されるのである。
(図Ⅶ.1)
(2)洋上風力が稼働しても、受け入れ余地なく、捨てられるだけ
洋上風力は30年過ぎたころに本格稼働に入る。特に北海道と東北の導入が多い。その頃は日本全域で 年200回以上の出力抑制で、洋上風力が稼働しても、昼間は太陽光と一緒に抑制されるだけとなる。 夜間は、そもそもが需要の少ない時間帯に、原発と火力の最低出力が稼働しているため。洋上風力は 出力抑制されるだけである。可哀そうに!!
(図Ⅶ.2)
Ⅷ.太陽光発電の特性知らずして、 解決を考える事なかれ
特性 Ⅰ;「タケノコシンドローム現象」
太陽光発電の導入容量が増えると、発電量は南中時を目指 して、上へ上へと伸びて行く。決して横には広がらない。タケノコ は一日に30センチ伸びる。 (図Ⅷ.1) 猛烈な勢いである。伸びきった「タケノコ」は、「天井」(平均日 需要)を突き抜け、更に伸びると、屋根(ピーク日需要) も突き抜ける。
突き抜けた「タケノコ」は切らざるを得ない(出力抑制)
(図Ⅷ.1)
特性Ⅱ.再エネ化率30パーセント超えると出力抑制が頻発する
太陽光の発電は日の出とともに始まり、日没と同時に終了する。 途中、太陽が真南に来る南中時に最大発電量となる。南中時を最大とする放物線が描ける。 放物線が描く面積は、24時間需要曲線が描く面積の30パーセント前後である。 これ以上太陽光の発電が増えると、需要ラインを超えるので供給過剰となり、過剰部分は抑制せざるを 得なくなる。30パーセントは原発や火力の最低出力が無い場合であるが、それらが有るとの、その分だ 太陽光は底上げされ、10パーセントや20パーセント代でも需要ラインを超すことになる。 最近、関西は原発を5,000MWの出力に上げたため、太陽光の率は9パーセントであるが、出力抑制 状態になっている。
(図Ⅷ.2)
特性Ⅲ.1日の電力需要を太陽光発電だけで供給するには、 昼の電力需要の3倍の太陽光発電が必要である。
一日24時間の電力需要(需要ラインで囲まれた面積部分(土色))を、太陽光発電(放物線で囲まれた面積)だけで供給するとした場合、南中時の太陽光発電量は、同時刻の電力需要の3倍が 必要となる。例えば、閑散日の南中時需要は2,485万kWであるが、閑散日一日の需要と同じ量を発電 出来る太陽光発電はステップ2の曲線となる。 その曲線の最大発電量は7,922万kWであり 南中時需要の3倍以上となる。 同様に、ピーク日の南中時需要4,947万kWの 3倍近い12,675万kWの太陽光発電となる。 注意すべきは、3倍は晴天日の場合であるが、 実際の雨や曇りを含めると、晴天日の4~5倍 の発電量が必要となる。 3倍にすると当然供給過剰になるから、出力抑制となる。しかし、一方では再エネだけで脱炭素化するためには再エネの導入拡大を図らなければならない。3倍になっても出力抑制が発生しない技術、それが弊社のHBBS/PVSSである。
特性Ⅳ.晴天日に太陽光発電が発電した1日分を24時間かけて均等放電すると、時間当たり放電量は,南中時最大発電の3分の1~4分の一になる。日照時間が多い夏至の頃は3分の1で、冬至の頃は4分の1になる。
例えば、(図Ⅷ.2) Step1の曲線(白線)は最大値が2400万kWで 24時間放電では847万kW、 Step2(赤線)では最大が7,922万kWで24時間放電では 2,683万kWとなっている。 Step3の太陽光発電の一日分の発電量を24時間かけて放電 すると、1時間当たりの放電量は4,294万kWとなる。 この放電量では、南中時の需要を超えることは無い。 ただし、早朝の低需要時間帯の需要を超えることがあるので 要注意である。
(図Ⅷ.2)
Ⅸ.太陽光が原因の出力抑制解消 「電気は貯めてから使う」
(1)「貯める手順」の概要
貯めるためのコストを超過するメリットを出しながら段階的に貯めていく。
ステップ①;太陽光の供給過剰を完全解消する。
ステップ②;洋上風力は一旦液化水素に変換し保存する。
ステップ③;電力需要の季節変動と再エネの季節別供給力の差を保存して年間の差を グリッド・ストレージに保存しながら脱炭素化を実現する。
(2)ステップ① ; 上に伸びるタケノコを、 横に寝かせて供給過剰完全解消
①タケノコ対策の概要
各太陽光毎にHBBSまたはPVSS接続させ (図Ⅸ.1) 発電した電気は一旦それぞれの蓄電池に蓄電し 発電終了後のゼロ時から24時間均等放電する。 タケノコの高さが3分の一程度の高さになる。 発電したその日に、センターで翌日の稼働計画 作成締め切り時間直前に、各発電所で蓄電 した量を知らせて来るので、火力発電の稼働計 画が作成反映できるため、火力の最低出力を 思い切り下げる事が出来る。均等放電で供給 過剰になる事が事前に分かった場合は、水力や バイオや風力の出力調整で解消できる。 それでも解消できない場合は、連携線を使用して 他所に支援をお願いすることも可能である。 他地域でHBBSを使用していれば、南中時に 一斉に供給過剰にはならないので、連携線の 役目が果たせる。風力は必要に応じて抑制されることはあり得る。
(図Ⅸ.1)
②タケノコ対策効果
再エネ化率は大幅に向上 33.4 ⇒ 74.7(+41.3)パーセント 太陽光有効発電量 7,498 ⇒ 28,092(+20,594)GWh 風力有効発電量 8,805 ⇒ 16,542(+7,737)GWh 火力 39,860 ⇒ 13,261(-26,599)GWh
(注)効果算定の数値は特定ケース設定した場合の結果であるので、必ずしも将来の決定値ではない
(図Ⅸ.3)
(3)HBBS/PVSS
①システム構成と基本機能
★パネルで発電した電気を直流のまゝ蓄電する(パワコン不要) ★蓄電池は複数個を結合し、結合容量は一日の発電量を適切に処理可能な容量とする。 ★毎日決められた時刻にセンターへその日の発電量を知らせ、午前ゼロ時から均等放電を開始する。 ★HibridBatterySystem(HBBS)、PhotoVoltaicsSecurity System(PVSS)と命名。 ★HBBSは自己消費の無いパネルに、PVSSは自己消費のあるパネルに適応する。
②HBBSの場合の蓄電と放電の同時処理を可能とさせる蓄電池容量
(図1)前日の発電量を24分の1した量でコンスタントに放電する。発電は日の出から日没まで行う。 (図2)前日蓄電した量は24時間かけて均等量づつ減少し、24時間後にゼロになる。当日の蓄電量は 日の出とともに少しづつ増加し、日没時に最大値に達する。 (図3)前日分と当日分の合計量の変化 をみると、16時頃に最大値の1.33になる。
③PVSSの蓄電池の使われ方
2つの蓄電池を持ち、一つは蓄電用、他は放電用とし、午前ゼロ時に役割を切り替える。蓄電は自己消費しなかった分を蓄電する。放電は前日蓄電分を24時間かけて均等放電とする。蓄電池容量は自己消 費の無い年間一日の最大発電量とする。
(4)蓄電池コストはだれが負担すべきか?
❤❤❤❤ 1年間の発電実績(図Ⅲ.5)から容量とコストを推定する ❤❤❤❤
①13000kWの実績(図Ⅲ.5)から売電収入を推測する 1年間の発電量 16,425 MWh 1年間の売電収入(12円/kWh) 19,710 万円 20年間の売電収入 394,200 万円 1万kWのパネルの20年間の売電収入 30.3 億円/万kW
②蓄電池コスト 使用する蓄電池はNAS蓄電池として2.4万円/kWhで計算した。 1.3万kW時の蓄電池容量(6万kWh×1.33) 79.8 MWh 1.3万kW時の蓄電池コスト(2.4万円) 19.2 億円 1万kWのパネルの蓄電池容量 61.4 MWh 1万kWのパネルの蓄電池コスト 14.7 億円/万kW
(図Ⅸ.10)
蓄電池コストは、20年間の売電収入の約半分に相当する。 これでは投資効果は極めて少ない。
(5)電力会社別2030年頃の全太陽光に他する蓄電池費用
電力会社別に必要な蓄電池容量とそのコストを計算した。合計20兆円規模の事業となる。
(図Ⅸ.11)
①太陽光、風力、火力が得られる直接効果の金額換算
蓄電池使用で増加または減少した発電量を、IT買取単価もまたは公表されている火力の単価で計算 とした結果、なんと火力が最大効果を生み出している。東京電力では太陽光の効果が、風力より少ない 最低の額であった。20年間の額は東京も東北電力も、系統下の全蓄電池のコストより大きな額である。 蓄電池コストを太種だけに負担させることは、極めて大きな不公平を生み出すことになる。
東北電力における蓄電池使用で得る効果の金額換算 (図Ⅸ.12)
東京電力における蓄電池使用で得る効果の金額換算 (図Ⅸ.13)
東北と東京の蓄電池容量費用 (図Ⅸ.14)
東京電力は自社の系統に接続された全太陽光の蓄電池のコスト6兆3,806億円を負担すると、火力 発電の燃料費が13兆1,397億円節約できる。
東北電力は3兆3,398億円の投資で5兆4,638億円の燃料費の節約となる。
太陽光だけに蓄電池を適応したにも拘らず、風力と火力発電にも効果が出ている。 しかも、最大効果は火力発電で、太陽光は最小の効果でしかない。
全太陽光に必要な蓄電池コストを、火力の効果だけで十分に補えるほどである。
(6) 電力会社にとってのHBBS効果
①間接効果
★系統接続の最大発電量が、蓄電池を使用すると3分の一以下になるので、系統 容量を3倍に拡大したのと同じ効果となる。
★火力発電は全て事前の計画通りに発電出来るので、火力発電の安定運転が可 能と成り、かつ最低出力を思い切り下げ事が出来る。
★太陽光発電所から毎日の夕方にその日の発電量を知らせて来るので、天気予報 を使用した太陽光の毎日の発電量予測が不要となる。
★天気の急変等で発電量の急変が有っても、蓄電池から系統に供給される量は一定であるため、安定化した系統運転ができる。
★太陽光発電に対する前日の発電予測は不要となるため予測作業関連のコスト削 減が可能と成る。
★太陽光発電に対する出力抑制が皆無となるため、抑制予測や抑制処理や抑制 実績管理など一連の作業が皆無となる。
★コスト削減等で得られる利益を電力自由化後激しくなった価格競争の原資とし て利用し、価格競争に打ち勝ち、且つ利益率の向上に努める事が可能と成る。
②蓄電池コスト負担で可能となる電力会社の新たな挑戦
① 電気料金単価を値上げする事なくとも、経常利益を高める事が出来る。 利益が出れば自社株価が高くなり、経営に好影響をもたらす。
② 利益が大きくなれば、その利益で電気料金を下げて、他電力会社との 価格競争を有利に展開できるようになる。
③ 蓄電池コストを負担すれば、更に再エネ接続が増え、利益も益々増加する。
④ 太陽光の出力抑制を解消せずに再エネ拡大を続けても、増えるのは発電業者 の犠牲ばかりで、再エネ化率はほとんど増えない。技術大国の評価も失い、 世界の笑い者になるだけである。
Ⅹ.ステップ② ; 洋上風力を救うのは、この道だけ
(1)洋上風力が直面する課題
風力が陸上と洋上で大量に稼働し始める10年後は、現在の受付状況から推測すると、稼働している風力 は現在の23倍の容量まで拡大し、太陽光と同じ容量の109GWにまで拡大する。その時は既に太陽光も 大量に供給過剰となっているので、風力も殆どが供給過剰となる。その実例を東北で見てみよう。 接続申請されている風力の大半が稼働し始める2030年頃の東北(図Ⅹ.1)の稼働想定図である。 現在稼働中の風力170万kWに 対して新たに2,714万kWを加えると容量2,884万kWが、その大半を洋上風力とした場合、2/24の風力発電量485.9GWh、 MAX21.7GWhと、需要量の 2倍強が、1週間連日供給過剰 となっている。この風力の超過分を 東京に送電しても、東京も供給 過剰となっているので引き受けて くれない。東京以外も殆どの地域は過剰分を引き受ける余力は無い。送電線容量を拡大しても受け取り手が居なければ、何の効果も無いことを確り頭にとどめておくべきである。
(図Ⅹ.1)
(2)解決策;洋上風力は即、液化水素へ変換
風力発電、特に洋上風力に対する特別な供給過剰対策が必要である。
通常のやり方で系統に乗せようとすると、すぐに出力抑制の対象となり殆ど発電が許されない状態になる。 それを避けるには、同時同量の計算対象から外すために発電した電気は系統に乗せずに直接液体水素 に変換して、後でトラック便か船便 で輸送する手段を取るべきである。 電力系統で運ぶなら、需要の少 ない時間を限定して送電すること も可能であるが、系統に乗せる には供給不足の地域発生を待た なければならないが、日本全国供 給過剰の為、望み薄である。
Ⅺ.ステップ③ ; 年間の需要と供給の不一致をGSで解消
(1)太陽光と風力だけで年間電力需要を満たせるか?
経産省推奨の「供給過剰分切捨方式」で、再エネ化率を高めようとすると、切捨部分の方が多くなり再エネ 化率は高くならないだけでなく、発電業者が経済的にも採算の取れない状態になってしまう事を説明する。 説明を分かりやすくするために、太陽光と風力だけに限定して、他の者は一切省いた東京電力のデーターを 使用する。東京電力の電力需要は夏と冬にピークが来て、春と秋は需要は少なくなり、特に5月のゴールデンウィーク 期間は最低需要になるのは、毎年ほぼ同じパターンである。 一方、太陽光発電は6月の夏至の頃を最大となり、12月 の冬至の頃が最小となる。地球は太陽の周りを一定 軌道で公転しているため、太陽からのエネルギーは毎 年ほぼ一定である。途中梅雨の季節や台風の季節には、 その年によって多少の変化はあるが、一年を通すと ほぼ一定の量で3る。 一方、風力発電は春や冬は風は多いが、夏は少なくなる というパターンで吹いている。ただし、太陽光に較べると、年に よって発電量が大きく変化する点では異なる。 以上の条件で、東京の1年間の電力需要を太陽光と風 力だけで、供給した、すなわち、年間電力需要=年間太陽 光発電+年間風力発電になるように、現在受け付けている 承認済と検討待ちの半分が稼働したとして作成した グラフが、(図Ⅴ.4)である。ただし、風力は陸上風力の 発電効率を適応している。このグラフから分かる事は、年間では需要と供給は一致しているが、夏と冬の ピークには供給不足となり、1月~6月までは供給過剰となる。 供給過剰の時は出力抑制として捨て去り、不足のところは何処かから供給して貰うか、火力発電を稼働さ せなければならない。その結果、再エネ化率は90パーセントにしかならない。 そこで再エネ化率100パーセントを目指して、8月の不足のところを再エネで供給させるために、 8月の需要 = 太陽光+風力になるまで全体を底上げしたグラフが、真ん中の(図Ⅴ.5)である。全体が底上げ されたため、供給過剰分が極端に増える。風力の捨てられた量は、227TWhもあり、年間需要279TWhの81% に相当し、 風力発電の68パーセントが無駄に捨てられることになる。捨てられる分を15円/kWhで計算すると、毎年3.4兆円になる。年間売り上げ6兆円弱、経常2000億円前後の東京電力がこんなに沢山、出力抑制として捨てて しまうのを黙って見ているだろうか?もし黙って見ている様な経営者だったら、経営者失格と言わざるを得な い。経産省の制御方式では、毎年3.4兆円、しかも、風力発電の68パーセントも捨てることになる。こんなに 捨てて、経営の無駄をまき散らして、最適な制御方法だと言えるのか??言ってるのは経産省だけだろ。
(図ⅴ.4) (図ⅴ.5) (図ⅴ.6)
(2) マイクログリッドはエネルギー産業の革命だ ❣ ❣
東京電力の例では、供給過剰として捨てられる分を一時保存すると、1年間で27.6TWhとなった。 この量はピーク月8月1か月間の需要量に相当する。果たしてこのような大規模蓄電池は存在するのか? 今後の再エネ大量導入の最大研究テーマとして取り上げることを提言する。
♦♦♦♦ 蓄電は複数個所に分けて蓄電する ♦♦♦♦
★電気スタンド EV時代にはEV車向けの電気(ガソリン)スタンドが必要。現在ガソリンスタンドは東電管内だけで7千ヶ所 有るそうだ。1スタンドで毎日300車に500km走行分の電気を提供すると、1スタンド当り50MWh程度の 蓄電池が必要となる。東電管内だけで一日当たり350GWhの蓄電量となる。 電気の充電時間は通常は8時間くらいかかるが、高速充電であれば 30分程度で出来るそうだ。1台当たり30分掛けて、営業時間12時間に300台に充電するためには、 25台が一斉に駐車できるスペースが必要となり、電気スタンドと言うより駐車場と言う感じになる。土地代の 高い都会地でこれだけのスペースを確保するのは困難であり、且つ採算を取るのも困難であろう。 それに代わる対策として、蓄電池の標準化を進め、蓄電池の種類を大型、中型、小型の3種類位に限定 してどのメーカーの車でも共通して使用できるようにする。電気スタンドでは充電サービスを受けるのでなく、既 に蓄電しているバッテリーと数分間で交換するサービスを提供する。既にこのタイプのサービスは、2輪車では 一部メーカーが実施している。スタンド側は、空のバッテリーに8時間かけて満タンになるまで充電する。 1バッテリーに8時間かかるため、8時間で200台の車にサービスするには、常時200台の充電したバッテリー が在庫として持っておく必要がある。従って、1スタンド当り400台分の蓄電能力(100MWh)が必要と計算 できる。東京電力管内で最低でも700GWhの蓄電能力が必要となる。
★フロントステーション
現在の配電変電所に相当する。東電の配電変電所は1000ヶ所は有る。配電変電所の役割は二つある。 一つは需要家に電気を供すること、二つ目は発電所からの電気を受け止める事である。
★ミドルステーション
配電変電所より上位の変電所、中間変電所、1次変電所、超高圧変電所等を総称してミドルステーション と呼ぶことにする。東電管内だけで1000ヶ所有るそうだ。このステーションの役割は二つある。一つは電気を 液体水素に変換して、変換された水素を貯蔵タンクに保存することと、2つ目は、適切なタイミングで貯まった 水素を電気に変換して電力系統へ送り込むこと、の役割がある。
★バックヤードステーション
旧火力発電所跡地15ヶ所を液体水素専用貯蔵タンクの保存場所とする。他所の地区との輸出入はこの ステーションからトラック便または船便で行う。